【白猫】オーバードライブ紅蓮3 Story4
目次
story18 それぞれの朝
ベルナルド殺害の真犯人を見つけるにせよ、情報を集める必要がある。
幸いにしてキアラは過去情報の閲覧が可能だ。俺とキアラで聞き込みをする。警察の目もあるしレクトは。ここで待機していてくれ。
運悪くセロと遭遇した場合は全力で逃げてくるから、戦闘の準備だけはしておいてほしい。
私の力、弱ってきてる。レクトくんがいないと使えないかも……
レクトくんに触れてると、パワーアップする。いろいろごまかせる。
その願いを叶えてやりたいと思うのは、甘いか……?)
しかたがない。レクト、君も一緒に来い。
***
資料室……なにか手がかりがあるかもな……
…………
……
人工精霊、ソウルによる肉体生成、過去情報の抽出技術、ソウルイーター……四つのコードによる奇跡の器。
人工精霊のコードによって擬似的な自我の発生が確認された。抽出される過去情報により、自我に個性も生じている。
だが、例外なく個体の稼働年数は二年。兵器としての転用は推奨されない。
被検体三〇五に概念の施術をしたところ。自我に欠損が発生。攻撃性の増加と理性の欠如が見られた。
被検体の経過をみつつ、イングニウム・コードと、その他術式との関係を観察していく。
研究責任者ベルナルド・デルネーニ……
花園の目をあざむいてレヴナントに協力していた?ありえるのか?
そもそも、この島がレヴナントの勢力下だと花園が知っていたなら、ベルナルドを放置しないはずだ。
裏切れと言っているようなものだ……
花園は事実を知りながら泳がせていたのか?あるいは、誰かが事実を隠蔽し、花園をあざむいていた……
レジーナは最初から事実を知っていた。彼女が手引きしていた可能性が高いな。確度の高い情報があればいいんだが……
レジーナの名前の代わりに、この名前を見かけるなんてな……
研究協力者サリム・クーパー。……お前は、ここでなにをしてたんだ?
story19 変えられぬ現実
なにかわかったかな?
(正直な気持ちを言えば、サリムさんみたいに女の人と堂々と喋れる人はかっこいいと思う。
僕もそんな大人な男になりたい。でも、僕みたいな奴が、サリムさんみたいになれるなんて考えるのもおこがましい。
だからって、サリムさんを否定するのは嘘になる。でも、本心を言えば、キアラに軽蔑される。
いや、待て。最初から軽蔑されてないこと前提だけど、そんな確証はないじゃないか。危ない、調子に乗るところだった。
どうせ、僕の評価が、これ以上、下がるとは思えない。それに、僕もサリムさんみたいになりたいって気持ちに嘘はない!)
(嘘をついてしまった……)
…………
……
彼女は手相を見る勉強中でね。少しでいいから手伝ってくれないか?
さて、警官を犯人と決めつけるのは早計だが、手がかりは得た。その警官を見つけて、キアラが触れれば――
――ドクン
…………
……
……今からでもヴィエスタの花畑に行きましょう。
囲まれてる……警察がすぐ近くに来てます。
サリムさん、キアラを頼みます。僕は警察の相手をするので。
最悪、君は死ぬ。君の行為は、ただの感傷だ。なにも生み出さない。
――変身――
story20 シェイプシフターズ
警官は増えてきたけど、セロはまだ……
<ウェルナーは注射器のようなものを取り出し、それを首に刺した>
…………
……
「これ……お姫様だっこ……レクトくんが……よかった。」
「彼は戦ってるよ。」
「どこに……連れてくつもり?」
「ヴィエスタの花畑だ。」
「ダメ……無実……証明しないと……下ろして……」
「悪いが、それは聞けない。」
「あの人……
ベルナルド博士の……家に入った……人……先生、おろして……
ははっ!成功した!!ふははははははははっ!
これでベルナルドは死んだ!あはははははは!
最初から……全部……レクトくんに……記者が来るって……知ってて……」
「……悪いが、少し話をさせてくれ。なに、ただの世間話だ。」
「ひっ!」
「……俺が触れようとした瞬間、逃げた。あいつ、俺を知ってるのか。」
「追って……お願い……先生……レクトくんを……助けてあげて。」
「……悪いが断る。レクトに頼まれたからね。」
「ダメ……もう問に合わない……から。わかるの……」
「…………」
「それなら、せめて……レクトくんを……助けたんだって満足して……死にたい。
お願い……だから……助けて……先生……」
――助けて……――
「……わかったよ。
レクトを助けて、君に花畑を見せる。多少、無茶だが無理じゃない
キアラ、必ず君に花畑を見せる。だから、それまで死なないでくれ。」
「うん……がんばる……」
…………
(……ピザ、おいしかったな。レクトくんと一緒に……空、飛んだのも……楽しかった。
誰か……来る?レクトくん……?)
「セロ……」
「なに満足そうな顔してるんですか?死ぬんですよ、あなた……」
「そうだね……先に逝くよ……」
「花畑はいいんですか?ソレラは見たがってましたよ?まあ、僕が邪魔しましたが……
彼女は最後まで望みをかなえられなかった。あなたはいいんですか?」
「見たいよ……見たいに……決まってるでしょ……
でも……もう……問に合わないから……諦めるよ……」
「この薬を飲んでください。多少は時間を延ばせるでしょう。」
「……どうして?」
「花畑、見せてあげますよ。それが、兄として、同じ存在としてのせめてもの手向けです。」
「おい、ここは危険だぞ!すぐに離れなさい!」
「うるさい、死ね。」
story21 声
ガッ!グルゥゥゥ……グラァァ!
赤いヴァリアントォォォォ!
殺してやる!キサマだけはぁぁぁぁぁぁっ!)
(殺す、ころす、殺す、コロス!殺してやる!死ね、しね、シネ、死ねぇぇぇ!)
殺される……
世界が……
……止まった?
「厄介なことになったよ。僕も君も……」
「お前は!!」
「そう敵意を向けないでくれ。相棒……」
「なにが相棒だ、ふざけるな!」
「ふざけちゃいないさ。実際、僕と君は運命共同体。君がしくじれば僕も死ぬ。」
「これはお前がやったのか!?」
「そうだよ。思考のスピードを何千倍と高速化させた。いわゆる走馬灯というやつだね。
無意識の底に封印された結果、こうして君の非常時にしか顕在化できなくなった。」
「なにが目的だ?」
「正直言えば、君の体を奪いたい。だが、リネアの封印術式は強固でね、僕には破れない。
さて、本題に入ろう。封印されてるとはいえ、僕には君以上に君の肉体とヴァリアント化の術式を利用できる能力がある。
僕としても君に力を貸したい。君と心中はごめんだからね。」
「その言葉を信じられるわけないだろ!
「だが、このままたと殺されるよ。」
「お前の力を借りるくらいなら、僕は一人で戦う!」
「……非合理的だな。あいかわらず理解しがたい愚昧さだ。
なら、アドバイスだ。君のスペックはウェルナーに劣ってはいない。むしろ、つぎはぎだらけの彼より十全に能力を発揮できる。
足りないのは経験と党悟。君はまだ他人を傷つけることに怖れを抱いている。
だが、安心しろ。本気で殴ったところで、ヴァリアント化している限り、アレは壊れない。
さて、そろそろ時間だ。彼が正気を失っている今しか勝ち目はないぞ。
覚悟を決めて――
一線を越えろ。」
(徐々に時間が……)
死んでたまるかぁぁぁっぁっ!)
story22 再び
動くな!
持て!
あまり派手に暴れたくないんだが、義理があってね……
しかし、俺も君たちも貧乏くじを引いたな。
…………
……
レクトから話は聞いている。ベルナルド博士殺害の容疑で彼を追っているのだろう?
レクトは犯人じゃない。犯人は警官のなかにいた。今、俺はその犯人を追っている。
君の目的がベルナルド殺害の犯人確保なら、俺につきあえ。
その上、ベルナルド殺しの犯人は未解明のイングニウム・コードを持っている。
一人でやるより二人でやるほうが効率はいい。
以上が俺のプレゼンだ。ついてくるかどうかは任せるが、レクトを追うというならこの場で君たちと戦う。俺としては、そんな無駄なことをしたくないが。
本当に警官がベルナルドを殺した犯人なのか?
……了解した。
story23 真犯人
クソ!
だが、見た目なんて、どうでもいい。大切なのは、中身、魂だよ。
なあ、レジー。本当の君は優しいと私だけが知っている。銃を置くんだ。
私と一緒に来い。また君の得意なポタージュスープを作ってくれ。
君の隣にいてもふさわしいだろ?さあ、レジー、私と一緒に来い。
ぐぁっ!
ウェルナー、サリム・クーパーを殺せ。
なるほど、これはいい。多少、痛んではいるが、スペックは申し分ない。
まだわからないか?私がみつけたコードは。自我情報をソウルに転写し、それを他者へと移し換えるものだ。
君ならわかるたろ?この力さえあれば、私は永遠に生き続けられる。どこまでも自由に!
どう……して?ベルナルド……
君も私を愛してくれてるなら、私のために死んでくれ。
貴様の体を使わせてもらうよ、サリム・クーパー!!
story24 ふぞろいな信頼
顕現するは星の御霊――
ぐぁっ!
しょせんは獣の浅知恵だな。お前が抑えようとした男はウェルナー・バストリーニだ。
ひっ!」
『グルルルルゥ……』
『赤いヴァリアントぉぉぉぉぉぉっ!』
…………
……
……死ぬなよ。
story25 セロ
みんな等しく死んでいく。順番に横ならびに正確に。あますことなく例外も慈悲もなく。
皆がそれを受け入れていた。乱造された粗製品たちは、意味なく生産され、廃棄されていく。
だが、彼女は、違った。
ソレラだけは違ったのだ。無駄なあがきを繰り返していた。
どうして諦めない?どうして無価値だと気づかない?どうして無駄だと思わない?
ソレラも死ぬ。おそらく僕よりも早く。なのに、どうして戦い続ける?
希望をもってあがけば、苦しみは倍増する。夢なんてない。救いなんてない。
彼女が口にするヒーローなんてこの世にいないのだ。
だって、そうだろ?もし、本当にヒーローなんてものがいるならどうして僕らを救ってくれない?
「いないなら、自分がなればいいじゃん」
その言葉どおり、ソレラはヒーローだった。ただまっすぐ前を向いていた。
僕も彼女のようなヒーローになりたかった。だから、手術を受けた。
――手術は失敗した。結果、僕は壊れてしまった。混線する思考は誰かの血を見ている時だけ静かになった。
僕は理解した。もうヒーローにはなれないのだと。
ああ、やめてくれ。行かないでくれ。僕を置いていかないで。
でも、僕はもう、君のようなヒーローにはなれない。隣にはいられない。
君に置いていかれるくらいなら君に嫌われてもいい。
君を傷つけてでも僕は君のそばにいたい。
だから――
――僕は悪者になるよ。
悪者とヒーローなら、君が教えてくれた物語のようにずっと一緒にいられるだろ?
(これは……セロの……記憶?)
君の隣に立つために悪いことをたくさんしたよ。人もたくさん殺したよ。僕が生き続ける限り、もっともっと殺していくよ。
僕はここにいるよ、ソレラ。ねえ、早く来てよ――
君は僕のヒーローなんだから。
君とソレラが見たがってた花畑ですよ。
ぜんぶ腐り落ちてるけどさ!!準備しといたんだ。わざわざねぇぇっ!
ソレラなら、それでも笑うんだ。笑ってくれた。笑ってくれたんだ……
だから、お前も死ね。
ヒーローなんていねぇんだよ!
今、助ける!変身!!
どうして今になって来るんだよ!!
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