【白猫】オーバードライブ紅蓮 Story3
目次
登場人物
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story11 チャレンジャー
魔獣が逃げたのは、この先みたいね……!
大丈夫大丈夫、あたし……それなりに腕が立つし。
それに、これはあたしの使命。禁忌の魔術によって命を永らえた私の使命。
禁忌の存在は、封印する。
行かなくっちゃ……!
…………
……
<魔法陣が、光を放ち始めた……!>
いいぞいいぞ……!!
むふふ、遺跡に眠る魔力を有効に活用すれば……この街はさらに発展する!
ですが……この魔術は<禁忌>ですよね?
禁忌に指定したからこそ、我々以外の誰も、利用できない。そういうことだ。
みなさん!早くここから逃げて!
なんだと!貴様ら、どこのものだ!
魔獣の正体がわかったのです。あいつは……人間だ!
数年前、遺跡のこの場所で起こった魔力の放出現象……
(この魔法実験の根拠になった現象じゃないか……!?)
それに巻き込まれた冒険家が、怪物に変身したという証言が得られたのです!
その通りだ。
きさま、この私の実験を妨害するつもりか!
実験の成否など、どうでもいい。チャンスはものにしないとな。
何ぃい!?
…………
……
一線を越える……か。
確かにそうなんだ。僕の前には、いつも線が引かれているんだ。
誰が引いたんだろうな、この線は……
まあ、僕なんだけどね。
最初に線を引いたのは、いつだったのかな……親父が死んだときかな……?
…………
……
知識という財産を、誰ともわかちあわず、己の欲のために利用する――
お前たちは<闇>にも劣る、邪悪だ!
ま、魔獣に……!!まさか、こいつは――!!
伝説の魔獣……ヴァリアント!!
ゲルハルト評議員、早くお逃げを……ぐあああっ!!
させない!!
リネア嬢……!
血止めの魔法……これで……!
グォォォォ!!
……魔獣よ。あなたにはもう、誰も殺させない。
この私は、禁忌を封じるもの――禁忌の存在たる魔獣よ。汝を封印する!
グォォォアアア!!
…………
……
僕は諦めていたんだ。何をしてもうまくいかないなら、何もしないほうがいいって。
だから僕は、線のこちら側に立ち止まって、何もしないことを選んだんだ。
でも、この線の向こうには何があるんだろう?
線の向こうに行ったら、もう戻れない――そんな予感がした。
それって、自分が別の何かに……ああ、なんてこった。僕はもう、怪物じゃないか。
元に戻るなんてことは、もうできないんだ。元に戻るなんてことは――
僕は元の姿に……人間に戻るんじゃない。レクトになるんだ。
やっぱりお前だったか、ネヴィル!逮捕する!
グオオオ!
ぐはっ!!
<ジャコモ警吏は吹き飛ばされた!>
どうしてこんな真似を!
悪党というものは魔物と同じだ。いずれは倒さねばならない。
リネア嬢、逃げろ……!
この街の法と正義に対する侮辱ね……独りよがりの正義は、邪悪っていうのよ!
評議員たちは表では魔法の規制を進めながら、裏では私腹をこやしていた。
私の愛した人も、ある魔法薬が禁忌に指定されたことで、治療がうけられず死んだ。
あの写真の人が……!
私はこの街を、愛している。
……ええっと、僕も……ちょっといいかな?
レクト……!
レクト、あんたは来ちゃ駄目!この人は……!
おじさんも……僕と同じだったんだね。
お前にも、私と同じことが起こったらしいな。
同じ事って……じゃあ、レクト――!
そうだね……本当、運が悪いっていうか……
私はこの力を、運命だと思っている。そこをどきなさい、レクト。
どかないよ……僕はおじさんを止める。
レクト、今この時こそ、スキエンティアが変わるチャンスなんだ。
変わらなくちゃならないのは、おじさんの方じゃないの……?
何だと?
おじさんは、自分の怨みを晴らしているだけじゃないか……!
怨みなどはない。やらねばならぬから、やっているだけだ、レクト……
やりたいからやってる。つまり、そういうことでしょ。僕もそうするよ。
何をするつもりだ……レクト。
やってみるよ僕は変わってみせる。この線を越えてみせる。
チャンスをつかめといったが。チャンスをつかめるのは、一握りのものだけだ。
私はこのチャンスを逃さない。お前にも、譲るつもりはない。
僕は……チャレンジするんだ!
ジャアアアア!!
……どうしてレクトが……魔獣なのよ……!
最終話 線の向こう側
グァアア……!!
<変わらなかったから、変わってしまった男がいた。>
ジャアアアア!!
グアアアア!!
<変わりたいと願い続けたのに、変わらなかった少年がいた。>
グオオオオ!!
レクト……私に世界を……変えさせてくれ……
もう……変わってるんだ……おじさんの世界は……!
……がはっ。
フン、ようやく倒したか……あの男は回収しろ。貴重な実験サンプルに……
<魔法陣が、光を放っている!>
お、おい……これは、一体どういうことだ!
暴走ですよ……そいつらの戦いで術式が暴走してるんです!
お、お前たち、どこに行く!
逃げるんですよ!この街はもう終わりだ!なにもかも吹き飛んじまう!
そうか……これが……報いか……!
……このソウルの放出量……ああ、ダメだわ。この街が……跡形もなく……!
はあ、はあ、はあ……
あれなら……私の切り札なら……でも、失敗したら……!
リネア、あれを……止められる?
ソウルの放射を一時的にでも止められたら……
なるほどね。栓が必要ってわけだ。じゃあここにちょうどいいのが。
……まさか、あんた……!
リネア……僕にいったよね。本当の自分に変身しなさいって。
でもそれは、レクトに犠牲になって欲しかったからじゃない!
チャレンジしたいんだ。僕は。ヒーローは無理でも、ヒーロー気取りくらいはね。
<魔方陣から、凄まじいソウルが吐き出された!>
ジャアアアア!!
<魔獣は、光の前に立ちふさがる!>
……わかった、レクトの気合、無駄にはしない!全拘束解除!禁忌術式・限定解放!!
暗き憎悪のよどみの中で――光無き欲望の泥にまみれ――花は開く。
グォォウ……グアアアア!!
だめだ……これ……体がもたない……!
二つ絶望の地獄に、ただ一条。光よあれ――
ふうい……ん……あああっ!!
ジャアアアア!!
チャレンジか……
私はきっと、信じていなかった。この街の強さを……立ち上がろうとする意志を……
グオオオオウ!!
おじさん……!
止めるぞ……レクト……!
レクト……マスター……!
<二人の魔獣は、魔方陣に向けて突進した!>
グオオオゥ!!
ジャアアアア!!
<魔獣たちは押し込まれ、ソウルの光は、魔方陣の中に封じられていく!>
やってみせる!――光よあれ!あるべきものを、あるべき場所に!
封印術式展開!!いっけぇー!
…………
……
<凄まじい閃光と共に……二匹の魔獣は消滅した。
<花園>の告発により、ゲルハルトは逮捕され……
スキエンティアの遺跡で起こった事件は、終息を迎えた。>
「ここは……どこだ?僕は……どうなっちゃったの?」
「ここは、ソウルの流れの中だ。」
(ソウル……じゃあ僕は、死んじゃったのか……)
「お前は、この街を守ったんだ。」
「そう?だったら……嬉しいかな。」
「私は……どうやら心まで怪物になってしまっていたらしい。」
「おじさんは……いいことをしようとしていたんでしょ。」
「初めはそうだった……だが、評議員たちのことを知るにつれ、許せなくなった。
自分に与えられた力は、悪を滅ぼすためのものと、私はそう思った。
レクト、私は変われなかった。だから怪物になった。
お前は変われ。なりたかったお前になれ……」
…………
……
ええっと……この島の近くで、新種の魔物が出たって本当ですか?
そうよ……なんでも、ヴァリアントっていうらしいわね。
どこで見たか、ご存じですか?
そ、そうねえ……でもどうしたの?危険な魔物なんでしょ?
違うんです、彼は――
…………
……
流れる雲に、青い空。のどかな光景だ……
なんだか……いろんなことがあったなあ……
おーい。
あ、みんなどうしたの?
あそこの雲、マグローニみたいじゃない?
高級魚だねえ。
で?アンタっていったいなにものなの?
それが、よくわからないんだ。人なのか……魔物なのか……
あんたが決めなさいよ。
……えっ?リネア?どうしてここに?
怪物が出たって話を聞いてね。だいたいあんたは!いつも周りに流されすぎ!
ご、ゴメン……
でもまあいいわ……生きてたんだしさ。
リネアさん……レクトさんをずっと探してたんだって。
スキエンティア、帰ってくるんでしょ?
大丈夫……なのかな?
大丈夫よ。あんたの故郷でしょ。
ありがとう。でも今は……まだ帰らない。
そりゃどうして。
僕はこの力の使い道を……見つけたいんだ。
ヒーローになるために?
ヒーロー……ね。急には無理だけど……志は、高くもっておきたいな……!
ところでみんな、レクトの<歯ブラシの歌>聞いた?
ちょ、ちょっとリネア!
…………
……
ヴァリアント。それは、人ならぬ姿に変身する魔性の存在。
夜の街にはびこる悪を前に、少女は魔術を操り、少年はもう一つの己に変わる。
ええっと、見過ごすことは……できないかな……
そうね、行きましょう!術式展開!!
迷いながら、苦しみながら――少女と少年はその先に進む!
後日談
01. オーバードライブ紅蓮 序章 1・2・3 | 2017 01/31 |
レクト・リネア | |
02. オーバードライブ紅蓮2 ~Crimson Darkness~ 序章 1・2・3・4・後日談 | 2017 11/17 |
ウェルナー・セーラ・リネア | |
03. シェアハウス | 04/29 |
レクト(シェアハウス) | |
04. HOSSURU ~すてきなチョコっと大戦争!~ | 02/14 |
セーラ(バレンタイン) | |
05. オーバードライブ紅蓮3 ~Phantom Hero~ 序章 1・2・3・4・5・後日談 | 2018 09/28 |
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06. 銀河新年2019あけまして! ロスト・イン・ドリーム | 01/01 |
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陰陽サモンバトル 序章 1・2・3 | 05/17 |
07. KINGS CROWN3 王冠の試練 | 2019 06/14 |
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08. 茶熊学園2020 序章・1・2・3・4・5・6・7・8 | 01/01 |
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10. 茶熊学園2020(秋) | 09/16 |
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11. オーバードライブ紅蓮4 ~The Evolver~ 序章 1・2・3・4・5 | 2021 01/13 |
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キアラ |