セラフィナ・ヴィス・アニマート
通常 | 聖剣の巫女 |
---|
Illustrator:コダマ
名前 | セラフィナ・ヴィス・アニマート |
---|---|
年齢 | 17歳 |
職業 | フォノ神殿の巫女 |
身分 | 神話教国の貴族の娘 (アニマート家の末妹にしてゼーレタクトの後継者) |
- 2020年7月16日追加
- CRYSTAL ep.Iマップ3(PARADISE時点で95マス/累計125マス)完走で入手。<終了済>
- 入手方法:2021/11/4~12/8開催の「「お風呂上がりの一発でわからせる!」ガチャ」<終了済>
- 専用スキル「聖剣ゼーレタクト」を装備することで「聖剣の巫女 セラフィナ」へと名前とグラフィックが変化する。
- 対応楽曲は「モノクロトワイライト」。
神話教国の名家、アニマート家の末妹。
聖剣ゼーレタクトを受け継いだ彼女は世界の果てへと導かれていく。
彼女と同じ姓を持つキャラクターがいるようだが…?
MetaverseレーベルとSeelischTactレーベルの関連用語やそれに似た名称が多数出ており、CRYSTAL ep.IIIのストーリー内容から提唱された「MetaverseレーベルとSeelischTactレーベルの世界観は繋がっている」という説を補強する内容となっている。
- Metaverseレーベルの関連用語・似た用語
- フォノ神殿…フォノ・ゼニス(メインフレームの本拠地)
- 神人セーレ…セーレ・ヘイズ
- アンキ街道…エテメンアンキ(メインフレームの拠点の一つ)
- 豊穣の都『ブルーノヴァ』…ソルナの出身地がブルーノヴァ
- ミィムの語る伝承(EPISODE5)…CRYSTALまでのMetaverseレーベルのSTORYで語られた内容に似ている
- 反逆者レヴル…混沌の器の一柱に同名の存在がいる。同一存在であるかは不明
- SeelischTactレーベルの関連用語・似た用語
- セラフィナの姓「アニマート」…ルミエラ・ヴィス・アニマート(SeelischTactレーベルの神話教国の聖女)と同じ
- 聖剣ゼーレタクト…世界観が繋がっている節の発端。セーレ・ヘイズの項目も参照
- 大陸エマーグ…SeelischTactレーベルの舞台
- 神話教国…SeelischTactレーベルに登場する国家。上記のルミエラもここに所属する
- フォノ神殿…神話教国の聖域。上記「フォノ・ゼニス」を連想させる名前であるが、それより前に公開されたルミエラのSTORY(EPISODE2)で既に名前が出ている
- 奏者(コンダクター)…SeelischTactレーベルに同名の伝説上の存在が出てくる
スキル
RANK | スキル |
---|---|
1 | コンボエッジ・シャープ |
5 | |
10 | 聖剣ゼーレタクト |
15 |
include:共通スキル
- コンボエッジ・シャープ [TECHNICAL]
- 「コンボエッジ」の条件が厳しくなり、その分ボーナスが高くなったもの。基本的にあまり使うスキルではないが、一部高難易度曲でのクリア狙いに有用となる。精度が高ければゲージ6本まで可能。
- 筐体内の入手方法(2021/8/5時点):
- PARADISE ep.Iマップ4(PARADISE時点で累計270マス)クリア
プレイ環境 | 最大 | |
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開始時期 | ガチャ | |
PARADISE× (2021/8/5~) | 無し | +3 |
あり | +7 | |
PARADISE (~2021/8/4) | 無し | |
あり | +19 | |
CRYSTAL | 無し | |
あり | +20 | |
AMAZON | 無し | +15 |
あり | +20 | |
STAR+以前 |
GRADE | 効果 | |
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初期値 | 500コンボを達成した場合 ゲーム終了時にボーナス +42000 | |
+1 | 〃 +43000 | |
+2 | 〃 +44000 | |
+3 | 〃 +45000 | |
▼以降はCARD MAKERで入手するキャラが必要 | ||
+4 | 〃 +46000 | |
+5 | 〃 +47000 | |
+6 | 〃 +48000 | |
+7 | 〃 +49000 | |
▼以降はCARD MAKERで入手するキャラが必要 (2021/8/5以降では未登場) | ||
+8 | 〃 +50000 | |
+9 | 〃 +51000 | |
+10 | 〃 +52000 | |
+11 | 〃 +53000 | |
+12 | 〃 +54000 | |
+13 | 〃 +55000 | |
+14 | 〃 +56000 | |
+15 | 〃 +57000 | |
+16 | 〃 +58000 | |
+17 | 〃 +59000 | |
+18 | 〃 +60000 | |
+19 | 〃 +61000 | |
▼以降はCARD MAKERで入手するキャラが必要 (PARADISE以降では未登場) | ||
+20 | 〃 +62000 | |
理論値:105000(6本+3000/24k)[+3] | ||
理論値:109000(6本+7000/24k)[+7] | ||
理論値:117000(6本+15000/24k)[+15] | ||
理論値:121000(6本+19000/24k)[+19] | ||
理論値:122000(6本+20000/24k)[+20] |
所有キャラ【 グレン / イセリア(1) / ソウル・ブラザーズ / 三田 ナナコ(1,5) / ジェフティ(1,5) / セーレ(1,5) / セラフィナ(1,5) / 美咲 杏奈 】
AIRバージョンからボーナス量が増加した。STARバージョンで所有者も増えた。
初期値 | 500コンボを達成した場合ゲーム終了時にボーナス +40000 |
---|---|
GRADE UP | コンボ達成ボーナス +1000増加(最大+44000) |
- 聖剣ゼーレタクト [CATASTROPHY] ※専用スキル
- ソウルイクリプスの亜種。あちら同様、シズマストラッシュの即死版ともいえる。ALL JUSTICEを達成すれば初期値から9本が可能である。
- ATTACK以下3回で強制終了を厳しいと考えるか、FULL COMBO必須ではないから緩いと考えるかで使い勝手は大きく違って見えるだろう。もちろんALL JUSTICEでなければボーナスは少ないので注意。
- ただ、ATTACK以下3回という即死条件のスキルには、譜面問わず8本可能な魔神の領域、ノーツ数次第でさらに上を狙える破邪の呪符、密度分布次第だが9~10本を狙える汎用スキルの無の境地など強力なものが多い。これらと比較すると「ATTACK以下を1回でも出した途端に上限本数が5~6本まで低下する」というデメリットが辛い(前述のスキルは全てATTACK以下を出した数が本数に影響しない)。
- SeelischTactレーベルに同名の「ゼーレタクト」という武器が存在する。
GRADE | 効果 |
---|---|
初期値 | ゲージ上昇UP (160%) ALL JUSTICEを達成した場合 ゲーム終了時にボーナス +90000 ATTACK以下3回で強制終了 |
+1 | 〃 (180%) 〃 +100000 〃 |
理論値:208000(9本+28000/30k) |
ランクテーブル
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | |
スキル | Ep.1 | Ep.2 | Ep.3 | スキル | |
6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
Ep.4 | Ep.5 | Ep.6 | Ep.7 | スキル | |
11 | 12 | 13 | 14 | 15 | |
Ep.8 | Ep.9 | Ep.10 | Ep.11 | スキル | |
16 | 17 | 18 | 19 | 20 | |
21 | 22 | 23 | 24 | 25 | |
スキル | |||||
~50 | |||||
スキル | |||||
~100 | |||||
スキル |
STORY
深緑の大地と、何処までも果てしなく広がる、蒼い蒼い空。
ここは、大陸エマーグに根差した由緒ある国――神話教国。
かつての神より聖域を受け継いだ神人が建国せし大国である。
数々の古代文明の遺構や神代の物語を継承しており、神人の末裔たちによってこの国は維持されてきた。
しかし、人から人へと受け継がれていく物語とは、えてして尾ひれがつくもの。この神話教国も例に及ばず、物語は時に都合よく解釈され、利己的に再定義されてしまう。
神人の物語とは、もはや近いようでいて遠い彼方のものであった。
教国の聖都で特に重要視されているフォノ神殿。
ここは神代の頃より継承された遺跡の一つであり、教国の民たちが祈りを捧げる場所でもある。
今まさに彼らが祈りを捧げているのは、神人セーレの末裔とされる巫女たち。
そして、厳粛な空気のもとに行われている儀式の中心で洗礼を受けていたのは、由緒正しき名門アニマート家の娘――セラフィナ・ヴィス・アニマートであった。
「今ここに、継承の儀を執り行う。さあ、こちらへ」
「……はい」
彼女の一族は聖遺物『ゼーレタクト』の管理を代々任されてきた家系である。そして、継承の任を賜ったのは、神人セーレによく似た少女『セラフィナ』の役目となったのだ。
――聖剣『ゼーレタクト』。
かつては蒼き輝きを有し、神々に仇なす魔を討ち滅ぼす破邪の剣であったという。だが、今少女が手にしているのは、薄汚れた青銅色のそれである。
(本当にこんな物が、聖遺物なのかしら? 近くの山に転がってる石を削ってきたようにしか……ていうかこの退屈な儀式、早く終わらないかな)
セラフィナは、周囲にバレないように嘆息すると、引き締めた顔つきで聖遺物を授かった。
――その瞬間。
青銅の聖遺物は、セラフィナに反応するかのように中心から一筋の光を放ち、その光の束を徐々に増やす。
そして、殻を破るように、中から真っ青に煌めく刀身が姿を現したのだ。
「えっ、ええ!? 私、何かやっちゃったの!?」
「……いつか……必……上へ帰るわ……、必ず……」
「声が……聞こえる……?」
「……旅立つのよ……、果てを、世界の果てを、目指しなさい……」
「この声、もしかしてゼーレタクトから……?」
――時を同じくして。
蒼き聖剣の覚醒と呼応するように、地平の果てに変化が訪れた。ソレは、天空を衝かんばかりにそびえ立ち、光の塵をまとってこの世界へと顕現する。
世界のどこからでも観測できた光の柱は、人々が伝え聞く神々の争い、天変地異の到来を予見させるに十分であった。
今、聖剣を巡る運命の物語が動きだそうとしている。
セラフィナを新たな主とみなした聖剣は、彼女を伝承の彼方に消えた神話の世界へといざなう。
彼女が幾多の出会いの末に見る、物語の先に待つものとはなんなのだろうか。
ここに、彼女の冒険譚が幕を開ける。
私は、神人セーレ様の末裔として何不自由なく、気ままに生きて来た。
たまたま彼女と瓜二つだと言われる私は、何をやるにしても、従者の人たちが手伝いと称して駆けつけてくる有り様で。お風呂や着替えの時すら数人がかりでやろうとする過保護なものだった。それはあの時だって……ううん、もうこの話はヤメヤメ!
つまるところ私は、箱入り娘なのだ。
でも、こんな退屈な環境、私には耐えられない。
できる事なら、今すぐにでも出ていきたい……。
「セーレ様かぁ……そんなに私に似てるのかな?」
部屋に立てかけられた肖像画を見るたびに、小さい頃から散々聞かされてきた伝承を思い出す。でも、神人様の伝承なんて人々を従わせるために用意された、体のいい話でしかないと私は思う。この肖像画だってきっと美化されたものなんだ。
……でも。
もしセーレ様の冒険譚が本当なのだとしたら。
私も彼女のように、世界中を見て回りたい。
「誰か、私を連れ出して……なんて言えないよね」
――そんなある日の事。
私の願いを聞き入れてくれたのか、神様が突然平凡な毎日を変える機会をくれたの!
継承の儀で私が授かった聖遺物『ゼーレタクト』。
まぶしい位に蒼く輝いた剣は、私にだけ聞こえる声で地平の果てを目指せって言ってくれた。
これは二度とないチャンスかもしれない!
そう思った矢先、私はある人と出会ってしまった。
「はじめまして、私は導師ミィム・ミクラー。聖剣の使い手を光の塔へと導くものです」
「(わぁ……すっごい綺麗な人……)」
「あの、何か私の顔についていますか?」
「わっ、ご、ごめんなさい!」
思わず魅入っていた。だってだって!
透き通った紫水晶(アメジスト)の瞳に、きめ細やかな白い肌。艶のある髪はシルクのように柔らかそう!
まるでお花の妖精のお姫様みたい。
一目で私は、彼女が私の運命の人なんだ! って、思ったの。
立派な紹介状を持ってアニマート家に現れた彼女は、なんでも果てにある光の塔の伝承を伝える一族の末裔なのだとか。
彼女が言うには、あの光の塔は天変地異の前触れなんだそう。最初は、お姉様たちや従者たちも彼女の話には半信半疑だった。
でも、彼女が話して聞かせてくれた物語は、セーレ様の伝説に連なるもので……、
「この呪われた塔が災いをもたらす前に、聖遺物『ゼーレタクト』の力と、それを操る奏者『コンダクター』の協力が欠かせません。ですから、私と共に光の塔を目指して欲しいのです」
彼女の話を聞き終えた頃にはお姉さまたちも、すっかり信じるようになっていた。
けれど、妹を危険な目に遭わせるわけには……と、その場で即答する事は避けている。
でも、どれだけみんなが心配してたとしても、私の高鳴る胸は誰にも止める事なんて、できはしなかった。
直ぐにでも教国を出たかった私は、お父様とお姉様たちに直談判した。けれど、何度聞いても結果は『派遣した調査隊の帰りを待て』という、決まり文句。
しかも、私が飛び出して行かないように、従者たちが常に監視しているような有様だった。
私にはベッドに寝転がって途方にくれる事しかできない。
「もー、信じらんない……ミィムはどう思う?」
横で腰かけていたミィムは、穏やかに微笑んでいる。
私の寝室には、私とミィムの2人だけ。
ミィムには私がワガママを言って、お父様が認めてくれるまで寝泊まりして欲しいって頼み込んでいた。
彼女は特に拒否する訳でもなく、素直に私の案を受け入れてくれたのだ。
「彼らの気持ちは分かります。見ず知らずの者に、おいそれと大切な家族を差し出そうとは思わないでしょう」
「そうかもしれないけど……でもこのままなんて、絶対にイヤ。私は部屋に押し込められて、ただ歳をとっていくなんて……」
「フフ、貴女の気持ちはもっと分かります。頼んでもいない安寧なんて、余計なお世話というもの」
「ミィム……」
憂いを帯びた彼女の顔はとても美しくて、つい時間を忘れて見惚れてしまう。それと同時に、私はミィムの過去が気になっていた。
「ミィムは、今までどんな旅をしてきたの? 私、貴女の事をもっと知りたいな」
「そうですね。では光の塔とそれにまつわる話をしましょうか」
――それからというもの。
昼は彼女からこの世界に関する知識を教わり、夜は彼女の旅の話を聞いた。
彼女の口から紡がれる物語は、どれもが刺激的で、私の知らない世界はこんなにもあるんだと、毎日驚かされてばかり。聞いた事もない植物の名前や、湖に沈んだ遺跡の数々など、日々を共にする中で私はすっかり夢中になっていた。
今日はどんな話を聞けるのだろうと、胸を弾ませていると、不意に扉を叩く音が響く。
「セラフィナ様! 父君様から、調査隊帰還の報せが入りました。至急、神殿へとお越しくださいませ」
――ついに、この時が来たのね!
2人で神殿に駆けつけると、お父様たちに加えて塔に派遣された調査隊の人が待っていた。でも、おかしい。出立した人は、30人を超える規模だったはずなのに。
「どうして、1人しかいないの? 他の人たちはもう休んでいるのかしら」
「塔から帰還できたのは……私だけなのです……」
鼓動が早くなる、私は無意識に見ないようにしていたんだ、彼の傷を。
調査隊の人はひどい傷を負い、包帯からは血が滲んでいた。
重い空気があたりを包む。私は何も言えず、お父様の顔をうかがう事しかできなかった。そして、お父様はとても険しい表情を浮かべた後、私たちに戻るようやさしく告げた。
事態は、私の想像以上の方向へと進展している。
これ以上悪い事が起きる前に、異変を止めなくちゃいけない。それをできるのは私だけ……。
あの声に導かれてか、心の底から私はそう思っていた。
だから、例え周囲から反対されてでも、私はミィムと一緒に旅に出る。
そう心に誓ったんだ。
「セラフィナ、光の塔へ向かう許可が下りたようですよ?」
ミィムは開口一番にそう告げた。
私が密かに決意を固めたその日の夜、教国は未曾有の天変地異に襲われていたのだ。
お父様たちもようやく彼女の予言が真実であると、実感したのだろう。
「私も外の世界を見て回れるのね……ミィム、一緒にこの世界に平穏を取り戻しましょう!」
この旅が危険なものである事は分かっている。でも、それ以上に、この高鳴る胸の鼓動を抑えられなかった。
気付けば、私はミィムをぎゅっと抱きしめていた。
「ん……、セラフィナ?」
これから待ち受ける先で、どれだけの困難があったとしても。
彼女と一緒ならなんだってできるんだ!
――翌日。
私たちは、2人だけで塔へと向かう事に。
当然、反対の声はあったけど、最終的に私が無理を通してみんなの意見を引っ込めさせてしまった。
そして、ついに。
「これが最初の一歩! えーいッ!」
思いっきり踏み込んだ一歩。
そんな事で何かが変わるわけじゃない。
それでも、確かに。
私の中では何かが変わった気がした。
この果てしない道の先に、新しい世界が私を待っている。
「行きましょう! ミィム!」
私はミィムの手を取って駆け出していた。
まずは、大動脈アンキ街道を抜けて、豊穣の都『ブルーノヴァ』へ!
道中には、昨日の嵐にも負けなかった草花や、葉を伝い落ちる雫、見た事もない光景が広がっている。
私の目には、そのどれもが新鮮に映っていた。
「ほらほらーミィムー、置いてっちゃうわよー!? あっ! ねえねえ、あの丘に寄ってもいい? 綺麗なお花がたくさん咲いてるわ!」
「やれやれ、道のりは長いというのに……。まあ無理もありませんね」
私が目移りして寄り道ばかりだったけど、その後特に問題もなく、私たちは『ブルーノヴァ』へ辿り着く事ができた。
この豊穣の都は、絵本に出てくる癒しの天使様の伝説が色濃く残る街だと聞いている。
そんな事をミィムに話すと、
「そういえば、この街には天使の羽を模した焼き菓子がありましたね。食べていきますか?」
「それは食べておかなくちゃ! 早速案内して!」
ひと通り街を回った後、私たちは塔がよく見える丘に来ていた。街中で出会った商人が言うには、あの塔は禁忌の地と呼ばれる未開拓地に出現したらしい。
ここからだと、レスクヴァ台地のツンドラ地帯を抜けた先にある、アプスの谷の奥へ向かう必要がある。
「セラフィナ。ここからの旅は険しくなります。気を引き締めてくださいね?」
「もちろん! ミィムと一緒ならどこへだって行けるわ!!」
待ってなさい光の塔!
私たちがこの異変を止めてみせるんだから!
街を後にした私たちは、アンキ街道から北へ進み、シャルヴィ丘陵地帯を抜けてレスクヴァ台地を目指していた。
塔を目指すさなか、私は疑問に思った事をミィムに尋ねる。
「ミィムの一族は奏者(コンダクター)を導く事以外に目的はあるの?」
「はい。私たち一族に受け継がれてきた伝承。それの成就の為に、私はあの塔を目指しているのです」
「成就って、具体的には何をすればいいの?」
そう言うと、彼女は少しだけ塔の方へ視線を向ける。
「……そうですね。少し時間は早いのですが、今日はこの近くで野営の準備をしましょうか」
それから、手分けして作業を進めていく。設営が一段落したのは、陽が西へと沈みかけた頃だった。
パチパチと焚火の音を聞きながら、彼女の隣で話に耳を傾ける。
「――光の塔の先にあると呼ばれる真実の世界。私たちの一族はそこを目指しているのです」
「真実の世界? この世界とは違うの?」
「ええ。貴女には酷な話かもしれませんが、残念ながらこの世界はまやかしでしかないのです」
この世界が、まやかし?
それって、つまり……。
「かつて、愚かな争いの末に滅びを迎えた人々がいました。彼らは逃避行の果てに仮初の世界を創り出し、そこで神となったのです。しかし、彼らは栄華を極めたにも関わらず、自らまいた種によって滅びを迎えてしまいました――その果てが、この蒼き世界なのです」
私にはミィムの言っている事がにわかには信じられなかった。
だって――
「あの、セラフィナ……何をしているのですか?」
「ミィムの太もも、プニプニしてる。ねえ、このミィムの身体もまやかしだっていうの? 私には信じられない」
ジーっと感じる視線を無視して、私はただ彼女の足をツンツンし続けていた。
「……貴女は、面白い人ですね。これ程私になついてきた人は初めてです」
「だって……ミィムは私の初めての人だから。私の退屈だった物語に光をくれた、大切な人なの」
真っすぐに彼女の瞳を見据える。
炎の灯りのせいなのか、私には彼女の心が揺れ動いているように感じられた――その時。
パチッ!
大きくはぜた火の粉が、私の方へ飛び込んできた。
私はつい反射的にミィムに抱きついてしまって……。
ドサリ、と。姿勢を崩した私たちは、気づけば抱き合うような形で寝転がっていた。
「大丈夫ですかセラフィナ……セラフィナ?」
「ねえミィム。やっぱり私には分からない。だって、ミィムの心臓の音、トクントクンって私にはちゃんと聞こえるよ? 体温だって感じるのに。それさえもすべて、嘘だっていうの?」
「……」
「ねえ答えてよ、ミィム……」
ミィムは何も答えてはくれなかった。
ただ無言のまま、優しく私の髪を撫でるだけ。
やがて、その穏やかな手つきに導かれるように、意識はまどろんでいき――
空に輝く星空の下、私は眠りにつくのだった。
丘陵地帯を通り過ぎ、レスクヴァ台地が間近に迫っていた。
その間に天変地異による災害に見舞われる事も無く、これまで無事進行できていたのは幸いだったと思う。
レスクヴァ台地のツンドラ地帯に差し掛かると、地形は明確に変化していた。これまでのなだらかな草原地帯とは打って変わって、冷たい空気と朽ち果てた古代遺跡や、不思議な模様が描かれた超構造体が地面に突き刺さっていた。
凄い……としか言いようがない。
ここで目にした数々の遺構は、フォノ神殿にも見られる神話文字が刻まれていた。
「セラフィナ、気になるのは分かりますが、目移りして転ばないよう気をつけてくださいね?」
「わっ! えへへ……転んじゃった。今度は気を付けながら歩いて見るね!」
「いえ、見るなら立ち止まって見て下さい……」
ミィムの目指す方角、その遥か遠方には薄っすらと目的地である塔が見えた。
この距離からではその高さは実感できなかったけど、それでも『ただならぬ何かがある』と思わせるには十分な程の、極めて異質な雰囲気が伝わってくる。まるで彼の地がこの世界の中心であるかのような……。
レスクヴァ台地に入って以来、それまですれ違っていた旅人の姿も、めっきり見かけなくなってしまう。
ここにきて、いよいよ未開拓地へと足を踏み入れたんだって実感がわいてくる。
そのせいなのかな……私の足取りは、心なしか強張っているように感じられた。
そして、そんな私の不安に呼び寄せられたのか、ソレは突然私たちの前に姿を現した。
「セラフィナ、気をつけてください!」
「も、もう転ばないから安心してっ!」
「そうではありません。敵です!」
……敵?
杖を構えるミィムの先にいたのは、人でもあり獣でもあるような、どこか歪な形をした怪物たちだった。
「これって……まさか」
私たち神話教国が伝えてきた神人セーレ様の伝説。
この怪物たちは、そこに登場する闇の眷属たちに似ている。尾ひれが付いた物語上の存在だと思っていた怪物は、実在していたんだ……!
「たっ……倒さなくちゃ!」
咄嗟にゼーレタクトを抜いたまでは良かったけど、足がすくんで思うように動けない。ミィムが1人で応戦してるけど、私たちの数倍の物量じゃどの道……。
私は『ゼーレタクト』に選ばれたのに。あの怪物を倒さなくちゃいけないのに! なのに、その一歩が踏み出せない!
怖気づいてモタモタしていると、怪物の一撃を喰らったミィムが宙を舞っていくのが見えた。
「うぅ……わああぁぁぁッ!!」
心の底から湧き上がる怒りが、怪物を倒したいという願いが、ゼーレタクトに光を生み出す。その瞬間、私は強く念じた。
お願い! 私にあの怪物と戦う力を貸して!
無我夢中で走り出した私の背中を押すように、聖剣は応えてくれた。
「このぉおおおおおッ!!」
怪物の身体を貫く。
手に響く柔らかな感触……。
とても怖かった。
それでも私はミィムを……ミィムを助けないと!!
聖剣は輝きを増し、私の身体には力がみなぎる。
追うのもやっとだった怪物たちの動きも、次第に捉える事ができるようになっていた。
不思議だった。
私は戦い方やその怪物たちを知っているかのように、攻撃を切り抜ける。
もしかしたら、ゼーレタクトが教えてくれていたのかもしれない。
聖剣の一閃を浴びた怪物たちは、怨念のような呻き声を上げながら、一瞬にして塵へと還っていく。
そして、最後の一体。
聖剣が怪物の身体を引き裂き、あたりには静寂が広がり、私の荒い吐息だけがこだまする。
「あ、あれ……?」
緊張の糸が途切れた私は、その場にへたりこんでしまった。
ゼーレタクトの力。セーレ様の伝説。
それらは全て――
「あはは……全部、本当の事だったんだ……」
「セラフィナ! 大丈夫ですか!?」
「うん、平気。って、ミィムは怪我なかった!?」
ようやく状況を飲み込めた私は、大慌てでミィムの身体に怪我がないか確かめた。
怪物の攻撃を受けて、ミィムはひどい傷を負って吹き飛ばされ……、あれ?
見れば、ミィムの身体にはかすり傷一つない。
「私は秘術の力である程度の負傷を治せます。だから心配しないでください」
「そんな……でも!」
「それよりも、貴女が聖剣の力を引き出せた事が、私は嬉しいのです」
「私がもっと早く助けに入れていたら……あんな怖い目に遭わなくて済んだのに!」
申し訳ない気持ちで一杯で、私はいつの間にか涙を流していた。
「そんなに泣きじゃくって……赤子みたいですね。私は無事なんですから、もう泣かなくていいんです」
「ぐすっ、でも……」
ミィムの手が、頭を優しく撫でてくれる。
私はミィムの存在を確かめるように、強く抱きしめていた。
無事に闇の眷属たちを退けた私たちは、少しだけ休養を取ってから旅を再開した。
寒地荒原の険しい道が体力を容赦なく奪っていく。
教国を出たばかりの頃とは雲泥の差だった。
「ハ……ハァ……」
足を止める頻度も明らかに上がっている。
これじゃ、ミィムに迷惑ばかりかけてしまう。
「大丈夫ですか? やはり未開拓地は人間には厳しいようですね」
「そ、そういう貴女だって、人間でしょう……?」
「私は……、旅慣れしてるので他の方より丈夫なのです」
「うう、正直に言うと甘く見てました……普段から鍛えておけば、よか……くしゅんっ!」
この台地に入ってから、私は妙な寒気に襲われる事が続いていた。周辺の寒さが響いているとミィムは言うけど、私にはそれ以外の何かが関係しているように思えてならない。
これは、あの怪物たちから感じた怨念のような――
その時だった。
「ん……っ!」
私の全身を、強い寒気が襲ったのは。
違う……これは寒気なんかじゃない。もっと鋭くて強い、感情のうねり……。
『……ス、セカイヲ……スベテ……』
幻のように、頭に言葉が紡がれる。
あなたは、いったい誰……?
「世界、を……滅ぼす、憎……悪?」
「セラフィナ! あれを!」
先頭を歩くミィムが指し示した先には、白い外套に身を包んだキャラバンが闇の眷属に襲われているところだった。あの人たちには見覚えがある。あれは神話教国と交流のある巡礼教団だったはず。
でも、どうしてこんな所に?
ううん、今はそんな事考えてる場合じゃない!
「あの者たち……どうにも様子が……」
「どうしたのミィム! 助けに行かなくちゃ!」
「え、ええ。彼らの支援は私に任せてください」
ミィムの曇った顔が気になったけど、今は一刻の猶予もない。
あの人たちを助けないと! あんな奴らなんかに、絶対負けないんだから!
「――これがっ!! 最後のッ!!」
キャラバンを取り囲んでいた怪物たちの最後の一体を塵に返す。私たちは、どうにかこの局面を切り抜ける事ができた。
武装を解いた巡礼教団の人たちの中から、私たちの前に一人の女性がやってくる。
「ありがとうございました、旅のお方。わたくしはこの旅団の代表を務めるセシャトと申します」
目深に被っていた外套のフードを外すと、静謐(せいひつ)な雰囲気をまとった女の人が顔を覗かせた。
パッと見た印象だと幼い顔つきで年下に見える。けど、そんな印象すら覆してしまうような、何処か冷たい、無機質なものを感じてしまう。
すっごく綺麗な人なのに、値踏みするような視線を感じる。私にはそれがちょっと怖かった。
「初めまして、私はセラフィナ。それで、私の隣にいるのは……あれ、ミィム? どうしたの?」
「いえ……なんでもありません。私はミィム・ミクラーと申します」
ミィムは彼女を見かけてから、終始怪しむような表情を浮かべている。お互い初めて会ったっていうのにどうして……。
そんな事を考えていると、ミィムは探りをいれるような言葉を投げかけていた。
「何故、貴女のような方々が、この未開拓地を進んでいるのですか? わざわざ死地へと赴く事が、巡礼教団の教義なのでしょうか」
「あら、棘があってはいけませんわ……。そちらこそ教国の貴族の方と2人きり、だなんて。何かやましい事でもあるのではなくて?」
今にも舌戦を繰り広げそうな2人を、このままにしてはおけない。
そう思い、私は咄嗟に2人の会話に乱入していた。
「はいはい! 私たち、あの光の塔を目指してるんです。セシャトさんたちも、やっぱり?」
「ええ、その通りですわ」
「だったら! 一緒に……きゃあっ!?」
塔を目指そう、と提案しようとしたら、突然石つぶてのような雹が降り注いだ。
「ここは足場が悪いわ。今は共に進みませんこと?」
「……そうするしかありませんね」
結果的に、私たちは数日間行動を共にする事となる。
「…………」
ミィムは、教団の人たちと遭遇してから、居心地悪そうに黙ってばかりで。穏やかな雰囲気も消えちゃうくらい、不機嫌そうに振舞っていた。
そんな彼女の視線は、常に巨大な貨物車の方に向けられている。
それは、大きな大きな箱のような代物だった。
ボロボロの布で覆われていて、私には中身がなんなのか見当もつかない。でも、とても嫌な感じがするのは間違いなかった……。
旅団の人たちに聞いても、何も教えてくれないし……ミィムも気になってしょうがないみたいだった。
数日の後、私たちはようやく険しい地帯を抜けた。
その間も寒くて、雪や雨がほとんど降りっぱなしで。満足に休憩する事もできなかった。
これでやっと休める! そう思ったのも束の間。
闇の眷属たちが、また私たちの前に現れた。
その数は……十数、じゃない!
どう見ても百を超えてる!
こんな……いくら聖剣の力があっても、守りきれないッ!?
「ギィ……! ギギ、ギギギッ!」
「この物量……っ、直ちに防御陣を展開なさい!」
セシャトさんの号令で、教団の人たちは次々に何かを構え始めた。この時代の言語ではない、神話文字が続々と目の前に並ぶ。
それは隣合う文字と結びついて、やがて一枚の大きな結界を形成していた。
「グギッ……!?」
怪物たちはその結界に阻まれて、こちらに攻撃をする事ができないでいる。その間に、旅団の人たちは光をまとった武器を使って攻撃を加え始めた。
「今のうちに倒さなきゃ!」
旅団の人々の砲火は確実に怪物たちを仕留めてゆく。そして結界が解かれると同時に私たちは飛び出し、混戦の中を必死で駆け抜ける。
そして、協力して怪物たちを迎撃した私は、最後の一体にトドメを指した。
するとその一体は、死に際でもあれだけ殺意を見せていたのに、何故かずっとミィムの方を見つめている。
そして、私にだけ聞こえるくらいの声で「ワガ、ア……ルジ」と発して消滅した。
怪物たちに意志があった事にも驚いたけど、私の頭はその怪物の言葉で一杯で。
『我ガ主』って。まさか……?
そう思って振り向いた先に立っていたミィムの表情。
それは直ぐ元に戻ったけど、ほんの少し見えた顔はとても寂しそうで、今にも泣きそうだった。
そんな彼女に、私はどう声を掛ければいいのか分からない。
ねえミィム。どうして、そんな顔をしているの?
ミィムは、怪物なんかじゃないよね……?
「わたくしたちは戦闘の損害を確認しますので、貴女方は先へお進みくださって構いませんわ」
天候が安定したのを見計らって、アプスの谷へ向かおうとした矢先。
セシャトさんは突然そう告げてきた。
「そうですか。別れの前に、一つ良いですか? あなたたちは聖遺物の力だけでなく、隠していた物があるのではないですか?」
詰め寄ったミィムは荷台の方を指さして畳みかける。
「あの積み荷からは強い瘴気を感じます。あの瘴気があれだけの数の眷属を呼び寄せたのではないのですか? 一体、あれには何が入っているというのです!」
ミィムの問いかけに、彼女はただ不気味に笑うだけ。
そんな態度にしびれを切らしたのか、ミィムはより厳しい態度で迫った。
「もし、それが私たちの障害になる物であれば、今ここで破壊し……」
「フフ、ウフフフフッ!」
言葉を遮って、セシャトさんは不敵に笑う。
そして、子供をたしなめるように「シィーッ」と指を一本立てて続けた。
「駄目よ、それは駄目ですわ? アレは人の力でどうこうできる代物ではありませんもの。知ったような口をきかないでくださる?」
完全にミィムを挑発している。
私にはそれが自分の事のように悔しくて。
「……もういいです! 先を急ぐよ、ミィム!」
ミィムが反論する前に叫んでいた。
私は一度も振り返らずに、前へ突き進んでいく。
「人に言えないような聖遺物。それが、貴女方を苦しめない事を願っています」
ミィムはまだ何か言いたそうにしていたけど、それだけを告げて谷の奥地に向かった。
――もしかしたら。
私が先を急いでしまったのは、あの積み荷から感じる悪寒から、逃げたかったのかもしれない。
そう思えるくらい、あれは不気味だった。
触れてしまえば、私の魂ごと呑み込んでしまうと、そう思えたから。
大陸の端にあるレスクヴァ台地の先。
地割れのように大きく走った溝が広がるアプスの谷。
ここを抜ければいよいよ光の塔の根本に辿り着ける。
輝く塔は間近で、それは世界から夜を奪い取るように眩い光を放っていた。
「あと少し、なんだよね……?」
「ええ、夜明けと共に塔へと向かいましょう」
最後の野営を始めた私たちは、肩を寄せ合って火を囲んだ。
真っ暗闇でも光を絶やさないあの塔は、本当に真実の世界へと繋がっているのかな。そんな事を思うと、とても胸が苦しくなる。
明日になれば、私たちの旅は、もう……。
私に沢山の初めてをくれたミィム。
私が本当の自分でいられる大切な友達。
塔に着いたら、やっぱり貴女は真実の世界に旅立つんだよね?
そう聞くのが怖かった。
ずっとずっと、考えないようにしていた。
でも、時間は止まってくれはしないんだ。
「ねえ……ミィムはどうしてそうまでして真実の世界に行きたいの? もしかしたら、そんな世界はないかもしれない。だったら、災いを鎮めて、私と一緒に世界中を旅しようよ」
「貴女の気持ちは嬉しいです。ですが私の考えは変わりません」
……遠いなあ。
こんなに近くにいるのに、届かないなんて。
分かってはいても、やっぱり寂しい。
穏やかな沈黙の中、ミィムは少しだけ私に身体を預けて語り始めた。
「昔……私には沢山の家族がいました。皆がひとつの夢を持って、理不尽な世界を変えようと誓いを交わしたのです」
「ミィムの家族はどんな人たちだったの?」
「聡明でいて力強く、信頼し合っていました。この絆があれば、神にも比肩し得ると思える程に。ですが、皆はある日こつ然と姿を消してしまいました」
「そんな……」
「だから私は、私が一族の最後のひとりになったとしても、一族の悲願、真実の世界への扉を開きたいのです」
決意に満ちた、彼女のまなざし。
私にはもう、「行かないで」なんて、言えなかった。
だから、私がミィムに言えるのは、これだけ。
「ミィム。ちょっと早いけど、貴女に会えて嬉しかった。怖い事もあって逃げ出したくなりそうにもなったけど、こんなに楽しかったのは生まれて初めて。だから……私が絶対に送り届ける!」
「ありがとう、セラフィナ。私も楽しかったですよ。貴女との旅は絶対に忘れません」
初めて見せた満面の笑みに、涙がこぼれ落ちそうになる。
「ううっ……わ、私は、ミィムが大好きー!」
「き、急に何を言い出すんですか……」
……夜が明ければ、この旅は終わる。
今夜は、ミィムの手を握って眠りについた。
光の塔の根本には、神代の文明の遺跡が眠っていた。
その遺跡の上から浮かぶ塔は、凄まじい大きさを誇っている。
その威容を前に、私はすっかり見惚れてしまった。
「まずは入口を探しましょう……、――危ないッ!」
急にミィムに抱きかかえられ、私は地面を激しく転がっていく。
ぐるりと回る視界、目の前が一気に暗くなると同時に爆音が鼓膜を叩いた。
顔を上げるとさっきまで私たちがいた場所に、燻(いぶ)したような煙を上げる鉄塊が突き立っていたのだ。
「セラフィナ! 何かが、来ますッ!」
遺跡の奥に視線を向けると、塔によってできた暗がりから、ゆっくりとソレが姿を現す。
ソレが一歩、また一歩と近づく度に、地面が激しく揺れ動く。
闇の眷属を率いて現れたのは、私の数倍の背丈がありそうな鉄の山――黒い鉄巨人だった。
全身から放たれる理不尽なまでのドス黒い殺意。
あの積み荷以上の存在が、立ち塞がっている。
憎悪に満ちた真っ赤な瞳を見るだけで、全身が悲鳴をあげるように震えだす。
「ね、ねえ……塔の番人、とかじゃないよね……」
震える身体で私はミィムに語り掛ける。
でも、ミィムは鉄巨人を見つめて呆然と立ち尽くし、
「そ、んな……どうし……ねえ、あたしが……る?」
ミィムは鉄巨人を見てから、激しく動揺していた。
そして、何かを確かめるようにフラフラと鉄巨人の方へ歩を進める。こちらの視線に気付いた鉄巨人は、両手を広げて空に向かって吼えた。
「オォォォッ!!」
それが戦いの合図だったのか、鉄巨人は重さを感じさせない速度で駆け出していた。
振り上げた腕の一発でも喰らえば、私たちなんて一瞬で消し飛んでしまう。
拳がぶつかる瞬間、
「ミィム、危ないッ!」
ミィムを抱きかかえるように飛んで、間一髪、鉄巨人の突撃を回避する。
鉄巨人は突撃の勢いを殺しきれなくて、そのまま崖に激突した事で、降り注いだ瓦礫の下敷きになり、身動きが取れなくなっていた。
「あたし……が、ごめんね……ごめん」
「しっかりして、ミィム!」
私の腕の中でミィムは許しを乞うように泣いていた。
視線の先では、瓦礫の中の巨人が立ち上がろうとしている。正直、あんな化物に勝てるとは思えない。
今だって身体がガクガク震えて怖いよ。
――でも。
私にはやらなくちゃいけない事がある。私はあの塔にミィムを送り届けなくちゃいけないんだ。震えてなんかいられない。
私は自分を奮い立たせるつもりで、ミィムに叫んだ。
「ミィム、しっかりして! 一緒に力を合わせれば、あんなデカブツになんて負けないわ! だから立って! お願いよ!」
私の願いが通じたのか、ミィムはゆっくりと立ち上がり前を見据える。
「……少し、取り乱してしまいましたね。セラフィナ、行きましょう」
「うん! 行こう!」
身じろぎする鉄巨人を前に、ミィムは私の前に出て鉄巨人を睨みながら語り掛ける。
「これは……、私の物語でもあるのです。私の古い……一つの約束」
ミィムは何かを決意したように頷き、続けた。
「セラフィナ、貴女の力を貸してください。あの子を……反逆者レヴルを倒します!!」
今までにないミィムの力強い言葉に、揺らぎかけた私の心が、強く燃え上がる。
「……うん! 私たちならッ!!」
隣にはミィムがいる。1人では無理でも、2人ならなんだってできるんだ!
私たちの掛け声に、ゼーレタクトも輝きを増して応えてくれている!
「ゼーレタクト! セーレ様! どうか力を貸して!!」
抜き放った聖剣を鉄巨人へと向けた。
私たちは、化物なんかには絶対に負けない!
こんな所で、私たちの物語は終わらないんだから!
チュウニズム大戦
レーベル | 難易度 | スコア | |
---|---|---|---|
スキル名/効果/備考 | |||
■メタヴ | EXPERT | 0 / 340 / 680 | |
テクニカルアクセル(EXP、MASチェイン) | |||
自分と次のプレイヤーは、出すカードがEXP、 MASでCOMBOした時、CHAINとなる。 |
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チュウニズムな名無し
282021年11月20日 12:09 ID:qhhxryyp何かとは言わないがこのぐらいの大きさの方が好き。
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チュウニズムな名無し
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チュウニズムな名無し
262021年02月25日 19:05 ID:h25ahl0wよく見るとめっちゃエッチな衣装だと思う
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チュウニズムな名無し
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チュウニズムな名無し
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チュウニズムな名無し
232020年10月01日 02:06 ID:npro9yhjセラフィナはセーレの末裔……
ん?待てよ?
セーレの末裔ってことはセーレに子供がいたってことだな?
つまりセーレはこの世界で恋人を作って結婚してセッ(自主規制)
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チュウニズムな名無し
222020年08月13日 08:24 ID:eqi40eyqおっぱい
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チュウニズムな名無し
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チュウニズムな名無し
202020年07月21日 10:27 ID:c8d111mzおかしい・・・チュウニの百合ストーリーなのに鬱がない・・・
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チュウニズムな名無し
192020年07月21日 10:09 ID:mschquzbそういえば初代の時点で青の死神=ダインスレイヴ説あったけど
今回のストーリーでそれも結構濃厚になってきてないか