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CHUNITHM攻略wiki SUN

ユグドラシル

最終更新日時 :
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作成者: ゲストユーザー
最終更新者: ゲストユーザー


通常冥府へと誘う女神

Illustrator:めばる


名前ユグドラシル
年齢測定不能
職業大樹の守護神
  • 2021年11月4日追加
  • NEW ep.I - Side.Aマップ8(進行度1/NEW時点で265マス/MAP1から820マス*1)課題曲「Blazing Break」クリアで入手。
  • トランスフォーム*2することにより「ユグドラシル/冥府へと誘う女神」へと名前とグラフィックが変化する。

大地と生命を守護する大樹の守護神。

ある日、倒れた人間を救ったことで森の生態系が変化していき……。

スキル

RANK獲得スキルシード個数
1勇気のしるし×5
5×1
10×5
15×1



  • コンボバースト【NEW】 [ABSOLUTE]
  • 一定コンボごとにボーナスがある、強制終了のリスクを負うスキル。道化師の狂気【NEW】と比べて、コンボノルマが1.5倍になる代わりにJUSTICE以下許容+100回となっている。
  • NEW初回プレイ時に入手できるスキルシードは、PARADISE LOSTまでに入手したDANGER系スキルの合計所持数と合計GRADEに応じて変化する(推定最大49個(GRADE50))。
  • GRADE100を超えるとボーナス増加量が鈍化(+10→+5)する。
  • スキルシードは300個以上入手できるが、GRADE300でボーナスの増加が打ち止めとなる
  • CHUNITHM SUNにて、スキル名称が「勇気のしるし」から変更された。
効果
150コンボごとにボーナス +????
JUSTICE以下150回で強制終了
GRADEボーナス
1+6000
2+6010
11+6100
21+6200
31+6300
41+6400
50+6490
▲PARADISE LOST引継ぎ上限
61+6600
81+6800
102+7000
142+7200
182+7400
222+7600
262+7800
300+7990
推定データ
n
(1~100)
+5990
+(n x 10)
シード+1+10
シード+5+50
n
(101~300)
+6490
+(n x 5)
シード+1+5
シード+5+25
プレイ環境と最大GRADEの関係
開始時期最大GRADEボーナス
NEW+289+7935
NEW337+7990
~PARADISE×386
2022/6/9時点
GRADE・ゲージ本数ごとの必要発動回数

※NEW稼働時点でゲージ5本以降の到達に必要な総ゲージ量が変更。必要なゲージ量を検証する必要があります。

  • ノルマが変わるGRADEおよびGRADE300のみ抜粋して表記。
GRADE5本6本7本8本9本10本11本12本
1450
(3)
900
(6)
1350
(9)
1800
(12)
2400
(16)
3000
(20)
3750
(25)
41450
(3)
900
(6)
1350
(9)
1800
(12)
2250
(15)
2850
(19)
3600
(24)
56450
(3)
900
(6)
1350
(9)
1650
(11)
2250
(15)
2850
(19)
3450
(23)
76450
(3)
900
(6)
1200
(8)
1650
(11)
2250
(15)
2700
(18)
3450
(23)
87450
(3)
900
(6)
1200
(8)
1650
(11)
2100
(14)
2700
(18)
3300
(22)
114450
(3)
900
(6)
1200
(8)
1650
(11)
2100
(14)
2550
(17)
3300
(22)
131450
(3)
900
(6)
1200
(8)
1650
(11)
2100
(14)
2550
(17)
3150
(21)
142450
(3)
750
(5)
1200
(8)
1500
(10)
2100
(14)
2550
(17)
3150
(21)
179450
(3)
750
(5)
1200
(8)
1500
(10)
1950
(13)
2550
(17)
3150
(21)
202450
(3)
750
(5)
1200
(8)
1500
(10)
1950
(13)
2400
(16)
3000
(20)
245450
(3)
750
(5)
1050
(7)
1500
(10)
1950
(13)
2400
(16)
3000
(20)
281
(300)
450
(3)
750
(5)
1050
(7)
1500
(10)
1950
(13)
2400
(16)
2850
(19)
筐体内で入手できる所有キャラ
  • 登場時に入手期間が指定されていないマップで入手できるキャラ。
CHUNITHMマップで入手できるキャラクター
バージョンマップエリア
(マス数)
累計*3
(短縮)
キャラクター
NEWep.Ⅰ
side.A
6
(165マス)
480マス
(-80マス)
サルゴン
・フェルネス
7
(215マス)
695マス
(-110マス)
九十九 宗治郎
8
(265マス)
960マス
(-140マス)
ユグドラシル
ep.Ⅰ
sideB
3
(55マス)
95マス
(-20マス)
土呂城 ゆい
ep.Ⅲ3
(255マス)
535マス
(-20マス)
ミスラ
・テルセーラ
4
(375マス)
910マス
(-30マス)
ヨアキム
・イヤムル
NEW+ep.Ⅴ3
(375マス)
825マス
(-50マス)
エヴァ
・ラグエル
4
(455マス)
1240マス
(-90マス)
闇よりも深い黒に染まる
バーニッシュ
ゲキチュウマイマップで入手できるキャラクター
バージョンマップキャラクター
NEWイロドリミドリ
~僕らの学園フェス編
五十嵐 撫子
/僕らの学園フェス編
※1
萩原 七々瀬
/僕らの学園フェス編
※1
葛城 華
/僕らの学園フェス編
※1
小野 美苗
/僕らの学園フェス編
※1
オンゲキ日向 千夏※2
柏木 美亜※2
東雲 つむぎ※2
NEW+maimaiでらっくすしゃま
/UNiVERSE
みるく
/UNiVERSE

※1:入手には、同イベント進行度2までの全エリアのクリアが必要。

※2:入手には、同イベント進行度3までの全エリアのクリアが必要。

その他の条件を満たすことで入手できるキャラクター
  • 詳しい条件についてはキャラページを参照。
期間限定で入手できる所有キャラ
  • カードメイカーやEVENTマップといった登場時に期間終了日が告知されているキャラ。また、過去に筐体で入手できたが現在は筐体で入手ができなくなったキャラを含む。

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ランクテーブル

12345
スキルスキル
678910
スキル
1112131415
スキル
1617181920
 
2122232425
スキル
~50
スキル
~100
スキル

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STORY

EPISODE1 生命の大樹「全ての生命に、大樹の加護あれ」

 ――今より遥か昔、神話の時代。

 世界の中心には、雲にかかるほどに天高く伸びた大樹があった。

 大樹は大地を豊穣させ、深き森を生み出す。

 しかし神から地表にもたらされた大いなる恵みは、正常に使われなければならない。

 その管理のために遣わされた神の一柱――名を、ユグドラシル。

 彼女は『生命を平等に愛すること』という神々の掟を忠実に守っていた。

 木々を、草花を、獣たちを、人々を――そこに生きる全てを慈しむ。

EPISODE2 偶然と掟「定められた運命に、抗ってはならない」

 大樹の下にある森は知ある生物によって、やがて原初の森と呼ばれるようになった。

 その知ある生物こそが――人間だ。

 他の生物と比べて肉体的に優れたところは少ない。

 その代わり、他の生物にない知恵を持っていた。

 自らの弱さを自覚する人間は、他の生物と関わらないよう、森の隅で慎ましやかに暮らしている。

 しかし、そんな彼らを襲う存在が現れた。

 魔物――森の生きる生物の一部、大樹から溢れた魔力を浴びて変容した存在だ。

 魔物は本来の生物にはなかった鋭い牙や爪を持ち、生物全てを食料として食い殺す。

 そう、魔物は人間の天敵であったのだ。


 「このままでは、ほどなくして人間は滅んでしまうかもしれない……それも自然の摂理なのでしょうか」


 ユグドラシルは全ての命に平等である。

 進化や淘汰に手を貸すことはない。

 ユグドラシルが介入すれば、絶妙に成り立っている森の生態系が崩れてしまうからだ。

 しかし――


 「これは、大樹から溢れ出た力がもたらしたこと……そのまま放置してしまうのは、正しいのでしょうか」


 ユグドラシルは大樹を複雑な表情で見つめる。

 大樹とそれを守るユグドラシルは、森へ加護を与え、生物から力を少しずつ得ることで存在していた。

 即ち、森で生きる木々が、草花が、生物が傷つけば、その分だけ還ってくる力は少なくなる。


 「私は正しくありたい……今の私に、何かできることがあるなら」


 そんな想いと共にユグドラシルは争いの跡地に赴く。

 そこには凄惨な死の気配が満ちていた。

 荒らされた草木の中に人であっただろう血肉が無造作に散らばっていた。


 「なんと惨いことを……せめて、森へと還し、新たな生命の糧としましょう……」


 ユグドラシルが手に持っていた杖を掲げる。

 すると先端にある青い宝石が眩いほどに輝き、そこから鮮やかな光が発せられた。

 光は食い散らされた血肉に降り注ぎ、大地の糧へと姿を変えていく。

 これは、女神であるユグドラシルが持つ力の一つ。

 生命を大地へと還すことで大樹の力へと変換し、森の生命力を活性化させていくのだ。


 「また、生まれて来てくださいね……ん?」


 ユグドラシルは漂って来た血の匂いに顔をしかめる。


 「行ってみましょう」


 血の匂いを辿った先には、傷ついた人間の姿があった。


 「あぁ……なんと酷い傷……しかし、まだ息はあるようですね……」


 ユグドラシルは迷いを抱いた。森の生命同士の闘争で傷ついた人を癒やしていいものか。

 だが、元々魔物を生み出したのは大樹である。

 ならば、答えは自ずと決まっていた。


 「かの者に生命の息吹を――」


 杖が輝き、男の身体が光に包まれる。

 やがて光が晴れると男の身体にあった傷は癒え、眠りに落ちていた。


 「これは……正しき行いです。そうでなければ、なりません」


 ユグドラシルは魔力を分け与えることで、人の身体を再生させた。

 それが、掟に触れることだと理解しながら。

EPISODE3 知恵と智慧「生命あるものは時代を駆け、紡いでいく」

 ユグドラシルが人間を助けたあの日を境に、森の生態系は大きな変革を迎えた。

 人間の文明が急激に発展しはじめたのだ。

 それはユグドラシルが与えた魔力から、女神の叡智の一部が人間へと伝わってしまったことが原因だった。


 「こんなことになってしまうなんて……しかし、ようやく人間と魔物が対等となれたのかもしれません」


 人間が火を扱う知恵をつけたのだ。

 魔物の棲み家へ火を放ち、魔物と共に森を焼いた。

 さらには製鉄技術を生み出し、魔物の牙や爪でも引き裂けない鋼鉄の盾と鎧を身に纏うようになる。

 それを武器に転用して作られた鋭い鉄の刃は、強靭な魔物の肉体を軽々しく切り裂いた。

 そうして人間は、魔物と戦う術を確立していく。

 文明の発展とともに生活は豊かになっていき、今まで木で作られていた家々は石造りに代わり、家々が集まる地を背の高い外壁で囲うと、街が生まれた。


 ――それから、数百年。

 森には、人間が支配する大国が築き上がっていた。

 人間と魔物の勢力図は逆転し、魔物は淘汰される存在へと変わった。

 人間を助けたあの日から、ユグドラシルは一度たりとも森の生命に干渉していない。

 だが、その一度が森の生態系を歪なものにしてしまった事実が、ユグドラシルの心を苦しめていた。

 より良く、より豊かに、より便利に――

 人間の欲望はどこまでも肥大化していった。

 今や武力や技術は魔物を退けるだけのものではなく、他の生命や森を傷付けることもある。

 意志を持つ生命ですら、利欲のために虐げ、奴隷のように扱うこともあるのだ

 それはまるで支配者のような振る舞いであった。

 他者を傷つけることも、森を壊すことも厭わない――利己的な人間が、ユグドラシルには恐ろしく見えた。


 「本当に、私は正しかったのでしょうか」


 そうひとりごちるユグドラシルの言葉に、答える者はいない。


 このまま森が傷つき荒れ果てれば、近いうちにユグドラシルの力も失われてしまうかもしれない。

 力の象徴である、杖の先端についた青い宝石は、青々とした輝きを失い、濁りはじめている。


 「大樹と、この森を守ること……それだけが、私が存在する理由……」


 ユグドラシルは森の生命を想い、一筋の涙を流した。


 「せめて、この日々が早く終わりますよう……」

EPISODE4 欲望の果て「どれだけ手に入れても、満たされはしない」

 そう遠くないうちに人間と魔物の争いは幕を閉じた。

 魔物の中でも大きな力を持った規格外の存在である魔王が、人間の兵士によって討ち取られたのだ。

 魔王の意志の元に一つとなっていた魔物たちは、統率者を失い、無残に狩られるだけの存在となった。


 「魔物もまた、生命の歪みでした。それが滅びた今、森にまた、穏やかな日々が戻ってくるのですね……」


 はじまりは大樹の歪さか、それともユグドラシルの傲慢か。それを考え悲しみに暮れる日々が終わるのだ。


 「森をかつての姿へと……」


 ユグドラシルは大樹を見上げる。


 「大樹の魔力も大きく失われてしまいました……戻るには、どれだけの時間がかかるでしょう……」


 自身もまた、力の大半を失ってしまった。

 どのようにすれば、森を美しい姿に戻せるのか。

 悲しみに暮れている暇はない。

 前を向き、森を少しでも良い方向へ導かなくては――


 「……?」


 そんなユグドラシルの考えを遮るように、悪しき気配が大樹へと近づいてきていた。


 「人間が、こんな森の深奥まで……?」


 困惑するユグドラシルを追い立てるように、剣や弓で武装をした人間達が姿を現す。


 「この大樹こそが魔物を生み出した元凶である!」


 隊長格の人間は、そう言って高らかに剣を掲げる。


 「これを絶てば、森に真の平和が訪れるはずだ!」


 それに追従するように、人間達が剣を掲げていく。

 同時に、けたたましい雄叫びが響き渡った。


 「愚かな……」


 人は、どこまで歪な存在なのだろうか。

 ユグドラシルの中で静かに絶望が生まれ始めていた。

EPISODE5 歪なる生命「最初から、全て間違っていた」

 大樹を前にした人間達は、樹を打ち倒すための巨大な槌を掲げてみせる。

 火矢や武器を用いても、大樹を倒すなど不可能だ。

 しかし、あれならば大樹に少しずつ傷を与えることができるだろう。

 人間達は本当に、大樹を倒すつもりなのだ。


 「総員、攻撃準備!」


 武器を構える人間達の前に、ユグドラシルは立ちはだかった。


 「お待ちなさい。この大樹は森そのものです。それを傷付けることは森の生命として間違っている……そんなこともわからないのですか!?」


 突然現れたユグドラシルの姿を見て、人間はたじろぐ。

 だが、それはほんの一瞬の事であった。


 「魔物が人の真似を……! 許せん! 殺せ!」


 それは小さなどよめきから、徐々に大きくなる。


 「「殺せ! 殺せ! 殺せ!」」


 その場を支配しているのは、悪意だった。


 「――そん、な……」


 絶望が、ユグドラシルを満たす。

 それでも、森の生命を信じたい――そんな微かな願いが、彼女をぎりぎりのところで踏みとどめていた。


 「――放てっ!」


 矢が、ユグドラシルの胸を真っ直ぐに貫いた。


 「……ぁ……やめ――」


 次の矢が、また次の矢がユグドラシルを貫いていく。


 「くっ……仕方ありません……!」


 ユグドラシルは地面から樹のツルのようなものを生やし、矢を振り払う。

 そのまま盾のように、自分の前へと突き立てた。


 「これで危害を加えるつもりはありません。人間たちよ、このような行いはもう――」


 それでも、人間の攻撃は止まらない。

 早く諦めてくれ――そんな想いは、ツルを貫いた銀の刃に断ち切られる。


 「ひっ……」


 人間の予想外の行動に、ユグドラシルは恐怖した。

 同時に、ツルが銀の刃ごと人間の腕を切り落とす。


 「ぐっ……ぎゃぁぁぁぁぁ……!?」


 そんな悲鳴も今のユグドラシルには届かない。

 ユグドラシルの恐怖でツルは暴走し、暴れるように人間を蝕んでいく。


 「あ――」


 穴だらけになった身体からツルが引き抜かれると、人間は既に事切れていた。

 人間の死体から赤い液体が広がっていき、ユグドラシルの足元まで流れてくる。

 そっと触れると、見覚えのある赤が指先を染めた。


 「わ、私は今、森の生命を……」


 ユグドラシルは自分が何をしたのかようやく理解した。

 護るべきものを、慈しむべきものを、傷つけたのだ。


 「あ、あ、あ……」


 同胞の死に、人間達はうろたえていた。

 しかし、ユグドラシルの行いは明確な敵対者という大義名分を人間達へ与えてしまっていたのだ。


 「邪悪なる魔物を討て! 同胞の敵を取るのだ!」

 「「うぉぉぉぉぉぉ!」」


 人間達は剣を抜き、ユグドラシルへと向かっていく。

 ユグドラシルの意志とは相反して、ツルは彼女の絶望をきっかけに、人間を殺し続けた。


 「ぅ……ぅ、ぁ……」


 身体の奥底から押し寄せる何かを堪え、ユグドラシルは口元を必死に抑える。

 それはまるで、最後の砦のようで――


 「……え?」


 そんな必死さを嘲笑うかのように、ユグドラシルの両手がすとんと落ちた。

 そのまま足元に転がった腕をユグドラシルは、不思議そうに見つめている。


 ああ――と、気付く。


 これが、邪悪か――。


 「あ、はっ……あははははははははは!!」


 ユグドラシルはようやく、自分がすべきことを理解する。

 大樹と森の平穏こそが、与えられた役目だ。


 ユグドラシルは、だらんと脱力したまま、人間達を見やる。

 その顔には、歪な笑みが浮かんでいて――


 その奇妙な光景に、美しく不気味なユグドラシルの姿に、人間も目を離せなかった。


 「――――――ふひっ」


 次の瞬間、ユグドラシルの身体が光に包まれる。

 同時に地面が激しく揺れ始めた。


 「あれ、は……?」


 人間達は、それが生まれる光景をただ見ていることしかできなかった。

EPISODE6 慈愛と自愛「全てが、一つになる」

 巨大な魔物を前に、人間達は怯えていた。

 自分達の理解が及ばないものを恐れる――奇しくもそれは彼女が抱いていたものと同じ感情。


 「――――ふひっ」


 巨大な魔物――新たなるユグドラシルは、再び歪な笑みを浮かべた。

 その禍々しくも妖艶な姿は、人間達の言う邪悪な魔物そのもの。


 「ひっ」


 ――目が、合った。

 ユグドラシルは愛おしそうに舌なめずりしてみせる。

 次の瞬間、トゲの生えたツルがその人間を貫いていた。


 「ひとぉつ」


 人間は絶命していた。

 死体はそのまま大地へと還っていく。

 それを養分にするかのように、そこには真新しい苗が生まれた。


 「あは」


 ユグドラシルは苗をそっと撫でてみせる。

 人間達は、何が起こったのかも理解できずにいた。


 「ふたぁつ」


 呆然と見ていた人間が、苗へと変えられる。

 3つ、4つと、人間はその数を減らしていた。


 「「うわぁぁぁぁぁぁ!!」」


 人間達は、一斉に背中を見せて逃げ出していく。

 だがユグドラシルは、全く気に留めていなかった。


 「大丈夫です……みぃんな、同じ生命なのですから」


 にぃ――と、彼女は愉しそうに微笑った。

EPISODE7 生命よ大樹に還れ「そして森は、静寂を取り戻す」

 「あはっ、隠れても無駄ですよ。苦しいのはほんの一瞬。一つになってしまえば、みぃんないつまでも一緒にいられるのです」


 逃げた人間も、街の人間も、全てはユグドラシルの手のひらの上。

 ユグドラシルは森の全てを支配していた。

 木々も、花も、獣たちも、そして無機物さえも。

 全てが人間へと牙を剥く。

 人間にとって豊穣の場所であったそこは、逃げ場のない死地へと変わってしまったのだ。


 「私は全てを慈しむのです……そう、森のあるべき姿を護るため」


 ――ユグドラシルはひとりひとり、丁寧に愛を注ぐ。

 殺された人間が、殺した森の生命が、全て大地へと還っていく。

 まるで最初からそうであったと言わんばかりに、一つになろうとしていた。


 「ふふふ……さぁ、この森に住まう生きとし生けるものたちよ。私の愛を受け取ってください。そして一つとなり、共に永遠に生き続けましょう」


 それこそが、平等に愛するということ。

 ユグドラシルに与えられた役目と掟。


 ――やがて、森の生命が大地へと還った。

 静寂に包まれた森の中で、ユグドラシルはふと気付く。


 「まだ、一つになれていないものがいましたね」


 そう、この森に残る生命はあと一つだけ。


 「あはっ――」


 ユグドラシルの巨体が、大樹へと溶けていく。

 その最後の声を聞いた生命は、存在しなかった。


 すべての生命が消え去った原初の森。

 木々のざわめきだけが、いつまでも木霊していた。

EPISODE8 終わりなく続く、生命の歌「生命は繰り返す。いつまでも、何度でも」

 そこには、天を貫かんばかりの大樹があった。

 大樹は鬱蒼と生い茂る森を見下ろさんばかりに、凛々しくそびえ立っている。

 その根元に、大樹を見上げる影がふたつあった。

 それは一見すると人のような出で立ちをしているが、明らかに別の存在だ。

 木々に生い茂る緑葉のような髪と樹木のような肌、そして果実のような瞳――それはまるで、人の成れの果てのようだった。

 それらは、「カサ、カサ」「ザア、ザア」と葉鳴りのように音を立てながら、何らかのやり取りを交わしている。

 しばらくすると、それらは両手を組み大樹に祈りを捧げるように一礼してから、森の奥深くへ向かい駆けていく。

 木が生い茂る中を迷う事なく進んだ先には、無数の穴が開いた岩の壁があった。


 それらが小さく岩を叩くと、そこにぞろぞろと影が生まれていく。

 その影は、様々な形をした人のようなモノだった。

 再び葉鳴りが辺りに響くと、それに反応した影たちもまた歌うように、祈るように音を奏でていく。

 碧く瑞々しく、それでいて力強い、生命の歌。

 それはいつしか、森全体を包み込むように広がっていった。

 まるで、森そのものへと語り掛けるかのように。


 繰り返される生命の輪廻は、新たな時を刻み始める。

 大樹は、森は、いつまでも変わることなく、そこにあり続ける。

 平等に、誠実に、豊穣を、加護を、与え続ける。


 ――生命が、そこに芽吹き続ける限り。

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脚注
  • *1 マップ短縮140マスを含む
  • *2 RANK15で解放
  • *3 エリア1から順に進む場合
コメント (ユグドラシル)
  • 総コメント数7
  • 最終投稿日時 2022年08月08日 20:52
    • チュウニズムな名無し
    7
    2年まえ ID:ngxtmttx

    >>5

    むしろ意識してた説

    • チュウニズムな名無し
    6
    2年まえ ID:q61270iz

    でっっっっっけ!!!!!(おっぱいが)

    でっっっっっけ!!!!!(身長が)

    • チュウニズムな名無し
    5
    3年まえ ID:auq9mj99

    >>2

    マップボーナスがバレンタインジュナだから、あながち間違ってない

    • チュウニズムな名無し
    4
    3年まえ ID:jdoscgpa

    ぜってぇ許さねぇ!

    • チュウニズムな名無し
    3
    3年まえ ID:qhhxryyp

    また可愛いキャラ追加しやがって…

    進めたいマップ増えたじゃねぇかよぉ…

    • チュウニズムな名無し
    2
    3年まえ ID:i2doei6k

    シビュラ精霊記 体験版

    • チュウニズムな名無し
    1
    3年まえ ID:j1fqm97f

    せくすぃ

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