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【白猫】メインストーリー 第09章 ジモ島 後編

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最終更新者:にゃん


2015/08/24



目次






story 恐怖のはじまり




ドゥドゥは、いってるよ。『ランチタイムだ』って。

……グ…………ググ……! 

グガァァアアア! ハラガヘッタ、クワセロヨォォオオオ!

なんなのよあの子供っ!? 頭おかしいんじゃないのっ!? 

あいつはドゥドゥ。道化師エピタフの配下。他者の恐怖を喰らう獣。

……あいつに狙われた者は、恐怖と絶望に染められてから、……生きたまま食われるわ。

そんなっ!? アタシイヤよ! 

私もよ――! 

ウゥッ!? メガァ!? キサマァ……! 

さあ、いまのうちに!



……はぁ、はぁ……ここまでくれば……

……はぁ、はぁ…………ねえ、アンタ? 

なあに? 

目をくらましてさ、なんで逃げたの? 闘わないの? 

…………子猫ちゃんこそ、一緒に逃げなくていいのよ。

わかってるけど……急にピャーっと二手にわかれてもね。

アンタじゃなくて、アタシが追われる展開も、意表を突いてあるかもと思ったし。

……ふふ、……愉快な子猫ちゃん……

アンタにほめられてもね! 

……わかってるわ。

……あ! こんなことしてる場合じゃない! 

アイリスと主人公に早く知らせなきゃ! 

待って。

うん。

あら、素直。

さっきなにかくれようとしてたでしょ? その続きだよね?

賢い子猫ちゃん。そうよ。この<慈愛のルーン>を……

ええっ!? 

ドゥドゥは忘れないんだ。一度かいだにおいを。

あああああっ!

ドゥドゥは我慢もできるよ。

もっと<恐怖>すればもっとおいしくなるから――

――マルノミハ シナイッ! ヒトクチズツ、カジリトッテヤルッ! 

アンタ!?

くっ……! 黙って喰われるかッ! 

ウゥッ!? ……ッグフ……! グフフフフフフフフ!

――逃げるわよ。

でも、アイツはにおいで……!

だからって、逃げないわけにいかないじゃないっ!

…………

ドゥドゥは、いってるよ。

『もうー度、10数えたら、いくからね』


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story 思い出のかたち




ややっ!? やややややっ!? やややややややっ!? 

なんですか? 

もうこんな時間じゃないか! ライタップ! 

え? 

わあ……!

さあ、この観覧車に乗るんだ! 美しい夜景をオゴってやるゼ!

…………

ありがとうございます、ミスターマンさん。

主人公いきましょう♪

素敵な夜を! いってらっしゃーい! 

…………

(……お似合いの二人だゼ……!)

……きれい……夜の遊園地って、こんなに幻想的なのね……

…………

……いろんなことがあったなあ、って思うの。

…………

……いろんな島にいって、いろんな人と出会って……

いつも一緒だね。主人公とは……

……私……あなたと一緒にいると……

どきどきする の

……これで、本当に、いいんだろうかって――



おかえりなさ~い、お二人さん! いかがだったかな? 

はい、すっごくいい眺めでした。

さて、じゃあこの流れで、記念撮影だ。

記念撮影? 

こちらの<ルーンカメラ>でね。ささ、もっと寄って寄って。

……こうですか? 

OH! そんながっかりが、この世にあっちゃいけねえぜ、ブラザー!

はい、マップ!

わあ……! 

なんてこった! 今世紀最高のカップルが撮れてしまった! まさにプリンスとプリンセス!

…………

(まったくだゼ……!)


主人公。

これで、離れても忘れないね。

! 向こうで何かが光ったみたいだけど……?

ワッツ? そんなイベント、聞いてたかいブラザー?

…………

もしかして……キャトラ!?

いってみましょう!



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story




しつこいヤツねっ!

子猫ちゃん、私とは別の方角に……

ドゥドゥは、いってるよ。『右へ逃げてはいけないよ。』

『右は絶対に、そっちの先は、いけないよ。ふくろこうじだよ』

だったら左へいくまでよ!

……グフ……! 

グフッ、グフフフフフ……!


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story




なんなの……! 左がダメで、右に逃げるしかなかったじゃない……!

……ドゥドゥ……!

グフフフ……!

ドゥドゥは、いってるよ。『今度は、左へ逃げてはいけないよ。

絶対に左はいけないよ。

なにがあっても左はだめだよ。

追い詰められて、つかまるよ』

……アンタのいうことなんかっ! 

グフフフフフ……!



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story




また、ダメな方に……! 

遊ばれてるんだわ……

ドゥドゥは、いってるよ。

『右にいったら、頭からかじられるよ』

『左にいったら、足からしゃぶられるよ』

『真ん中はひどいよ』

『まず、中身を食べられるよ。ゆっくりと、時間をかけて』

『気絶はできないよ。ドゥドゥは、知つてるよ。意識を残したままの食べ方』

『<恐怖>はふくれるよ。もっとおいしくなって、ドゥドゥのおなかもふくれるよ』

グッ、グフ、グフフフフフフフッ! 

どこにいってもダメじゃない……!

……ごめんね子猫ちゃん……

……なにがゴメンか知らない! アタシは逃げるもん!

うん、うん……そうだね……! 

ニゲテミロヨォオオオオオ!?



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story チェックメイト




まだ追ってくる!? なんなのよお!?

……このままじゃ、本当にあいつの言った通りに……

……グフッ♪

ドゥドゥは、いってるよ。『とってもおいしそうになった』

だからお話があるよ。もっとおいしくするために。

エピタフ様は、いってたよ。『黒の姫君、グローザサン。いままでゴクロー様でした』

――!? なにがよ……? 

『とっても無知なグローザサマ。ヨクソ信じてくださいました。一部ホントーだったから、疑わないのも無理なかったネ』

なんなんのことよ――?

『黒の王国の崩壊は、白の巫女、アイリスのせい。これがホント』

『<闇の王>は、黒の王国の復活を目指している。これ、ウソ』

『ジブン以外の存在なんか、ドゥ~だっていいじゃないですか! この点には、ワタクシも同意』

『黒の王国を復興させて、黒の姫に戻れて、黒の王子とも……ナンテ』

『ソンナの信じて、尽くしちゃうってバカじゃナイ? シンケー疑うヨ』

…………

『だからネ、役立たずのグローザチャン』

『バイバイ。愛をこめて。エピタフ ヨリ』

『PS』

『ヴァルアスさんにもこの話、通ってますから』

…………

……どういうこと……? アンタ、だまされてたの……? 

……みたいね。

でも……

……ええ。言い訳する気はないわ。私は黒の王国に生まれた。白を憎む、<闇>だった。

……『だった』? 

いまは…………なんだかわからないわ。自分自身でもね……? 

ドゥドゥは、いってるよ。

あああああああっ!? 

いってなかったね……!

絶望で手一杯にならないでよ。もっと<恐怖>をちょうだいよ。

……モット……! クワセロヨォオオオオ! 

……くっ……うぅ……! 

弱い者いじめはやめなさいよ! 趣味悪いわよ!

子猫ちゃん……

――そうだ。

ドゥドゥは、イイコト思いついたよ。

『前菜から食べよう』

キャトラーッ!

ピンチじゃないか! 逃げろ、キャトラっ!

(……あの女性……)

(……はじめましてだ……! )



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story 男の男



グガァァアアアアア! 

<ドゥドゥの頭上に黒い炎の球体が膨れ上がる。>

<恐怖>ゴト、オイシクシテヤルヨォ! コンガリトォオオオ! 

<黒い炎が、キャトラめがけて一直線に放たれる!>

子猫ちゃん! 

アンタ!? 

ちっ、近い!?

<グローザに肉薄したミスターマンが、全身で炎を受け止めた……!>

な、な……! 

なに光速で近づいてきてんのよ!

…………

<こんがりと焦げたミスターマンが、どうっと地面に倒れる。>

ミスターマンさん……!

ブラザー、よくやった! 距離感のなさが幸いしたな!

あ~、ひゅんってした……思わず先ツッコんじゃったけど、ありがとねミスターマン……

無事でなによりだったねレディ! 

なんなのよいったい? なにが起きたワケ? 目の前に現れて倒れて……? 

あなたは……

…………

WOW! 知り合いかい?

話せば長くなるんだけどさ……

グ、グ、グ……! 

フ ザ ケ ル ナァーッ! 

クワセロ、クワセロヨォオオオ! 

まずいっ! 

! みんな、逃げるわよっ! 

!? あんたなんで平気なのっ!? 

タフガイだからさ! 

はあ!?

コケニシヤガッテ……! 

ホネイッポンノコサズ! <恐怖>ゴト、クラッテヤルゥゥゥ!!



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story




ドゥドゥハ、イッテルヨ……

『ムシケラドモガ、サッサト クワレチマエヨォオオオオ!』

なんて強い闇の力……! 

……あいつはエピタフ配下、<愉快な道化の影芝居>シャッテンシュピールの一人、ドゥドウ・バルベル。

子供のような外見に惑わされないで。

一度暴れ出すと手がつけられない、危険な奴よ。

ありがとうございます。

……白の巫女……

私に礼なんかやめて。

……ハーティのことですか。

……それも含めて。あんたと私は、相容れないわ。

でもあなたは、キャトラを守ってくれました。

気のせいよ。

ううん、たしかに庇われた。アタシ。

子猫ちゃん?

どういうつもりか知らないけど、事実は事実。ヒネて受け止めたりはしないよ。

……そう。優しい子猫ちゃんね。

アタシは平等なの。アイリスにいたっては、もっと平等で優しいのよ。

……そんなこと…………ないわ……

お話中失礼! いまが緊急事態だってことをお忘れなく!

ドゥドゥハ、イッテルヨ……

『モウ、ミンチデ、イイヤ』

!?

ドゥドゥハ、ナレルンダョ……イキテナイ、オッキナモノニ……!

<ドゥドゥが城の壁に手を触れると――

――ドゥドゥは城と同化した! 備えられた巨大な砲門が、標的を求め狂ったように回頭する!>

なによそれ

t!? 反則じゃないっ!? 

グアァァァアアアア……!

<でたらめに放たれる、砲弾の雨が降り注ぐ!>

ゼンブ、ブッコワレチマェヨォオ……!

HEY!………やめろよ! ここをなんだと思ってんだ!

ここは人に夢を与える遊園地! なんの権利があって壊すのサ!

…………

ダメよジモート、聞いちゃいない……逃げるしかないのよ……!

お断りだ! 

ええっ!?

ここはボクたちの島だし、お客様のための島だ! 

ここで意地張んなくってもさ! いっても、アトラクションくらい壊されたって……!

そうさ、ここにある物は無駄さ! 笑い、興奮、熱狂、そんなもの、生きる上で必須じゃあない! 

でもね、だからこそなんだ! 人は明るく生さていくべきだその誇りで建った場所なんだ!

あんな腹ペコボーイの好きにさせるわけにはいかないよ!

アンタ……!? ちょっ、待ちなさいよ!? 

HEY! BOY! ボクの名前はジモート・ノ・トゥーレ!

やるならボクを狙いなヨ!

グググ……!

そうそう、イイコだ! ボクだ、ボクを狙うんだ!

ジモートさん! 

HAHAHAHAHA! 新しいアトラクションかい? 軽いもんだ、なあ、ブラザー! 

…………

グググ……! ムシケラガァァアアアア……! 

……なんなの、あの二人……?

アイリス、主人公! いまのうちに、なにか手を考えなきゃ……!


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story




ヘイヘーイ! こっちこっち! 狙いが甘いんじゃない! 

グオオオオ……!

<城塞かと化したドゥドゥ、無数の砲塔から、ジモート目掛けて弾が飛来する!>

HAHAHAHA! ダンスエンダンシン! 当ててごらんよ!

<――ジモートは、よく見ればかなりの数、直撃をくらっている!>

ジモート!? だいじょうぶなのアンタ!?

HAHAHAHA……! まだまだ、ステップは踏めるさ……!

<続いて降ってきた砲弾がジモートを直撃! 黒煙が姿を隠す!>

ジモートッ!

HAHAHA……センキューブラザー……!

…………

グルァァアアアアア!!

<城塞の砲塔が、無慈悲な装填音を響かせる……!>

やるしかないわ、二人がひきつけてくれてるうちに、私たちが……!

あんなデカイのどうやって……

でも、やるしかないでしょう!?

――待ちなさい。

私が止めてみせるわ。

あなた……? そんな体で……!

……だから、いいじゃない。ここで使い切っても。

一か八か、全生命力を雷に変えて、あいつを貫いてみせるわ。

なにいってんのよ、ヤケッパチ!?

……子猫ちゃん。最後にあなたに会えて良かったわ。

私はもう、闇には戻れない……用済みの、半端者なのよ。

そんな……

だから、もういいの。

さあ、私から離れて!

……ダメ……! 

私は<灰緑の魔障>グローサ! 由緒正しき、黒の公爵家に生まれし姫なり! 

我は雷……! 我の命、その全て、敵を裂く剣となりて……

<グローザの体からばちばちと放電がほとばしり、目を焼くほど光が強まっていく……!>

待って!

(さようなら……子猫ちゃん……それに……黒の王子さま……)

――貫け――! 

近い! 

…………

なんなのよあんた!? なんで邪魔するのよ!?

! 無事なんですね! 

ええ! 中途半端になっちゃったからね!

あんたにぶつけちゃったわよ! むしろあんたが大丈夫!? 

…………

わぁ~……コゲコゲだぁ~……

キャトラ、笑いごとじゃないよ……

……こ……

え?

……この島へ…………この島へ…………ようこそ……

……それだけ……?

…………

……それだけなのぉ!? バッカじゃないのあんた!? 

HAHAHAHAHA!

うるさいわねっ! 

HAHAHAHAHA!

うるさいって言ってるでしょっ!

怒りもいずれ、笑いに変わる! 元気、出たろ? HAHAHAHAHA! 

出てないわよっ!

HAHAHAHAHA! これは失敬! 次はその元気を笑いに変える番だネ!

だから、元気なんか、出てないって言ってるでしょぉ!?

……なんだかんだいって、二人に元気にさせられちゃってるじゃんね?

……ふふふ、……あなたもね、キャトラ。

グァアアアアア! ナニモカモ、コッパミジンニクダケロヨォオオオオオ!

HAHAHA! 笑いが一人の乙女を救った! 既に見えたゼ! この勝負!

ジモートっ! 

センキューブラザー! 

……守ろうゼ…………俺たちの……誇りを……

……笑いは…………無敵だ……!


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story




HAHAHA! まだまだ! 

…………

グググ……! ムシケラノブンサイデ……! 

ちょっと、アンタたち、ホントに平気なの!? 

体はピークを遇さているサ! だけど心はホットホット! 倒れちゃいられないよ!

…………

HUHUHU! 軽い軽い!

<言葉は強気だが、二人は満身創痍。立っているのもやっとだろう……>

……なんて馬鹿な二人……

……ふふ……

どうしたの? 

あははははははは!

ヒュー! ついに女神が笑ったゼ!

誰が女神よ。私はグローザ。……闇に裏切られた、元、黒の貴族の姫……

私は、黒の王国の復活のため、戦ってきた。罪を犯してきた。それは、償えるものじゃない。

グローサさん……

今の私は誰|こも必要とされてない。もう、どうでもよくなってた。たとえ自分が死んでもね……

だけど……

だけど? 

…………

……あんたたちは、なんでそうまでするの? 

言ってるじゃないか、守るためさ! 

なにを? 

…………………………誇りを……

……そうね。わかる。それはきっと、命を賭ける価値のあるものよ……

――私――

……自分を思い出したわ。闇の道化! 闇の王! 私をこんな目に合わせて何様よ!?

このグローサ様を利用してただなんて……

いい度胸してるじゃない!? 気にいらないわぁ!!

HAHAHA! いいぞ! それでいいのさ! いつもの自分を取り戻したね!

(……イキイキとした君が…………素敵だゼ……!)

これは……!? 

<大いなるルーン>……! <慈愛のルーン>の光……!? 

<慈愛のルーンから放たれる暖かな光が、グローザの体を癒していく……>

……〈大いなるルーン>の白き力が…………黒の、私に……? 

ルーンがあなたを認めたんだわ……

……黒だって、最初から悪じゃないのよ…………きっと……

……ややこしいわね。それに、白のあんたは何でも美化しすぎよ。

…………

まあ、いいわ。この好機は逃せない。

――ドゥドウ・バルベルを討つわよ。

グググ……! ザコドモガ、チョウシニノルナヨォオ……!

――フン!

グァァァアアアア……!

いまとなっては、デカイだけのあんたなんか雷のいい的よ!

黒の王子さま。共に、戦いましょう……!

クズドモガァアア……!<恐怖>シロヨォォオオ……! ハラガ、ヘッタァア……!

クワセロヨォォオオオオオオ!



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story



<ドゥドゥは力を使い果たすと、元の少年の姿に戻った――>

ウゥゥゥゥ……! コンナノ、オカシイ……! ナニカノ マチガイダ……!

<恐怖>シ、クワレルダケノ、ムシケラドモニ、コノボクガァア……!

……ドゥドウ・バルベル。あんたはここでおしまいよ――

<グローザの腕に雷が宿り、それがドゥドゥへ向かって差し出される――!>

――!

バイバイ。

…………

ちょっと! 近いのよ!

…………

邪魔しないでよ!

するさ! 

なんでよ!? 

ボクも相棒も、人を笑わせるのが使命だからだ! 

こいつは私たちの命を狙ってたのよ!? 

敵、味方、闇、そんな区分、ボクらにとっちや意味はない! 人がいれぱ笑わせる! 楽しませる! それがボクらだ! 


――っ! いいからおどきなさい! 私がこいつにトドメを……! 

…………

ちょっとっ!? 肩を掴まないでよ、身動きとれないわっ!? 

…………

聞いてるの!? 

…………

なんとか言いなさいよ! 

――無駄さ、レディ。相棒は、笑いのためには手段を選ばぬ男。そして、超一流のパントマイマーでもある。

だからなんなのよ!?

こうと決めたらガンコな奴でね。キミが、他者の命を奪うだなんて。悲劇を諦めない限り――

――両肩に手を置いたまま、三日三晩でも勤かないゼ。

は、はぁっ!? 

…………

ちょっ、冗談でしょ!? 

………………………………………………………………………………………………本気だ……

えぇっ!? ちょっ、助けて! ”王子”さま!?

子猫ちゃんっ!?

……ごめん。なにがどうアレで、どうすることが助けになるのかわからないから……

そんなっ!? 白の……! ……だめ、それだけは……! 

…………

やめて、そんな眼差しで、見つめ続けないでよっ! まばたきくらいしなさいよ馬鹿っ! 

……グフ、ぐふ、ふふ……

……こっけいな…………むしけらたち……

!やったゼ、ブラザー! ボクらの勝ちだ! 

きかん坊だって笑うのサ! 根負けさせれば笑うのサ! な? 笑いは、無敵なのサ! 

……うそ……

……世の中|こは.ヘンなトコ徹底するヤツ、ケッコウいるわよねぇ~……

……ぐふ、ふ、ふ――

――ぐがあぁぁああっァアアア!? 

<笑みを浮かべ始めたドゥドゥの体が、真っ黒な炎に包まれる――!>

!?

マサカ、エピタフサマ……!? コウナルト……? ボクニナニヲ、<混ゼテ>イタ……!? 

チクショウ……! アノヤロウ……! グゥガァアアッァァァアアア――!>

<ドゥドゥを飲み込んだ炎が消えたとき。そこには何も残されていなかった――>

なに……これ……いま……エピタフって……? 

……役立たずは捨てる。それがあの道化なのよ。

……ドゥドゥ……あんたも、テゴマの一つだったのね……



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最終話




もう行っちゃうなんて、つれないなぁ、エヴリワン! 

すみません、また来ますね。今回は、とってもお世話になりました。

HAHAHA! ヤーウェルカム! 

それよりどうだい? 元々よりも15%、明るくはなれたかな? 

ふふふ……どうでしょう? 

ねーねージモート。ミスターマンは? 

おっと、相棒に会いたいのかい? 

そうでもないけど、いなきゃいないで落ち着かないから……

相棒ならもうすぐ来るサ。君たちがもっと会いたい人物を達れてね。

え? 

近い! 近い! なんなのよ!

…………

追ってこないでよっ!? ストーカーなのあんた!? 

…………

……グローサさん。

……あんたたち。……ほら、これ。

返すわ。

……ありがとう。

礼を言われる筋合いはないわ。元々、あんたたちから奪ったのよ。

……それでも、返してくれたわけですから。

……優等生ね。そんなんでこの先、闇と戦えるのかしら。

じゃ、アンタも来てよ。

ふさけないでよ子猫ちゃん。

アタシは本気だよ。

…………

そりゃね。ハーティもいるけどさ。

アンタのこと、擁護してもいいかな、って思えるだけの。行動を見た気がするの。

……だからって、どうして私が。

だって……これからどうする気ですか? 

……計算高いのね、白の巫女。私が闇に復讐するのを、利用するってわけね。

…………

闇に裏切られても、私はあんたを信じたわけじゃない。

じゃあ……もっと近くで見てみなさいよ。

どうして? 

どうしてじゃないわ、ちゃんと見なかったから、ずっとだまされていたんでしょ? 

………………賢い子猫ちゃん。

外からだと冷静に見れるからね。

……ありがとう。

フン、本当に厚い、面の皮だこと。

憎まれ口叩きすぎ!

…………

え? なによ? 

心の傷は……

…時間がかかる……

そうそう、言ってたろキャトラ? 『傷ついた心を癒やすのは、ゆるやかな坂道なの』って。

いったけどぉ……

…………

ギニャー! わかったから、近づき過ぎないでぇ!

”黒の王子”さま……

……やっぱり、記憶が……

あなたは、本当は……! 

……なんでも…………ありません…………今の私には……

…………

……忠告してあげる。<闇の王>は、強大よ。あなたたちの想像よりも遥かに。

いまのあなたたちでは、万に一つも勝ち目はない……

そんなのわかんないわよ!

いいえ、子猫ちゃん。冷静に分析しなきゃダメよ。

なら……どうすればいいの? 

……一人。いるのよ。

数万年の昔……たった一人で、闇の軍勢に……

いえ、光の軍勢にすら牙を剥き、戦い抜いた人物がね。

彼を味方につけることが出来れば、少しは希望が見えてくるわ。

その人は、いまどこに……? 

HAHAHA! 何を言ってるんだいアイリス! 何万年も前のハナシだろう? 

彼は、まだ生さてるわ。

ワッツ!? 

闇の王でさえ、彼を完全に滅することは出来なかった。いまでも幽閉されている。

焦熱の監獄……タルタロスにね……

タルタロス……

そこからその人を、助け出せばいいのね? 

仲間になるとは限らないわ。

そんな人なの? せーかく悪い? 

人ではないわ。太古の昔、白と黒が争った時代に……

……己以外の、あらゆる者の存在を許さなかった……

狂える竜の神よ――





NEXT
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