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【白猫】メインストーリー 第14章 Story3

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目次


Story16 申し開き

Story17 暗黒騎士

Story18 再生と破壊

Story19 思考の公式

Story20 指導する闇

Story21 全部あんたみたいなら


登場人物






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story16 申し開き



――ヴァルアス、あんた……

…………

――空飛べたのかっ……!

そこか!?長時間は無理だっ!

<闇>の一味だったんだな。

…………

飛行島を探す旅の途中で、たまに耳に入ってきたぜ。

太古にあったという、<闇>の勢力……それが、近年になって暗躍し始めたってな。

あんた、その一派だろ?

…………

……だとしたら、どうする?

目的は、さっきのデカブツか?

…………

……そうだ。<闇>を抹消しようとする、奴を討つのが私の使命。

…………

<光>が決して失われることがないよう、<闇>もまた、世界には不可欠。

我ら、<闇>も……生存のため、抵抗せねばならんのだ。

…………

……悪い、みんな。席を外してくれ。

(いたのか……!?)

……あんた、言ってたよな。『国は失ったが、仕えるべき主君はいる』って。

…………

それはつまり……遥か昔、黒の王国に君臨していたとされる

――<闇の王>のことか?

……なぜ知っている。

カマかけだよ、半分はな。もう半分は、最果ての地序説、って論文を書いたときに、集めた情報からの類推だ。

……食えぬ男だ。

オレの考えでは、だが。<闇の王>は、<白の王国>との争いで滅んだはずだ。

けど、その言い伝えは誤りで、本当は滅んだんじゃなく、封印されていたってことか?

それと、<闇の王>の目的は、他にはないのか?シンプルに考えれば、世界征服をも目論んでそうだが?

あと――

待て、持て待て!いっぺんに聞かれても返答できぬわ!

じゃ、順々になら答えてくれんだな?

……ちっ。

質問事項はこの紙にまとめてある。

……手際のいい男めっ!



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story17 暗黒騎士



――<闇の王>は復活したが、現在、居場所はわからない。

あんたはその<闇の王>に仕えてはいるか、真意まではわからない……か。

……嘘はない。

けど、真実もちょっと少ないな。

…………

もうちょっと打ち明けてくれれば、オレにもやりようはあるんだけどな~……

……なにがだ?

世界の<我儘>バールっつったか。あいつは、オレたち人間にとっても倒すべき相手だ。

ここは一つ、共闘すべきってのが冷静な結論だとは思うんだが……

なんだ。

なあ、ヴァルアス。ひとつでいいからさ、あんたの本心を聞かせてくれよ?

……語った通りだ。

まあな、それはな。ただ、『もうひとつ別の』本心を教えてくれよ。

な?いいだろ?オマケでさ?

……それに、そうすることに、私に何の得がある?

親身になれる。

……くだらん。

そう断じるタイプか~。

私は騎士だ。感情で動きはしない。

そりゃ立派なことさ。でも、すでに『動いてる』事態に、感情を乗せられたらさ。

もっとこう……なんていうのかな、もっと力が出せたり、そういうこともあるだろ?

……言っていることはわかる。

想いが力を生むことはある。私自身、そのために遅れを取ったこともあるさ。

だが……それには脆さも感じるのだ。

感情を裏切られたとき……その分だけ、反動が大きくなることもあるだろう。

だからって、機械的に命令に従うだけでいいのか?きっとどこかで効率的に劣るぜ。

貴様のために言っていることでもあるのだぞ、カイル。

私に肩入れしてどうする?いずれ道を違えることも十分に考えられるだろう。私は<闇>なのだ。

ま……そうだな。あんたと敵対する未来もってのも、ないわけじゃないとは思うよ。

だけど……そんなもんだろ?

同じところを目指してるうちは、一緒に歩むこともあるし、その先でそれぞれの道に分かれることもある。

もう一度交わることもあれば、ー生交わらないことも、あるいは、衝突することだってあるかもしれないさ。

でも……極論かもしれないが、人生なんてその程度だろ?その程度でよくないか?

…………

ダメ?

……う~む……!その顔で言われると、そうかもしれぬと思ってしまう……

なんだよ。オレの顔が何か突いてるか?

『に』ついてるか、だろ!

ははは。素のあんたって、ツッコミキャラだよな。

茶化すな!聞かせてやらんぞ、本心を!

悪い悪い。真面目になります。

……人には『分』があると、私は思っている。

ぶん?

私は騎士だ。統べる立場ではない。

誰かに仕え、命令を全うすることが、私に与えられた役割だ。

だから私は、『誰に』仕えるか、ということには、意志を挟まぬようにしている。

私は……私の人生は、よくて『ナンバー2』だ。……俗っぽく言うとな。

たまには俗っぽいのもいいさ。それがかえってわかりやすいときもある。

……フン。

……話は終わりだ。

ん。

騎士の口には限界だ。これ以上は語れぬ。

……ふ~ん……

(ま……伝わったさ。

『口出ししない』なんて言うところにこそ……

往々にしてあるもんさ。本当の、願望がな……)

お~い!じゃあ難しい話は終わりだ!飲もうぜ!

おい!?離席した私を、どうして呼び戻す!?

共闘、するって!一緒にあの、バールってのをやっつけようぜ!

ああそうかっ!協力感謝するっ!


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story18 再生と破壊


――珍しいことは続くものですね。

あなたがここに、何の用です?

チンケなトコだな。

開口一番クレームですか。

思ったママを口にしただけよ。<闇の王>はどこだ?

虚空の幽園の中です。

ぶち殺しても構わんかな?

どうぞお好きに。あなたも逝く覚悟があるのなら。

ふむ……

遠慮しておくか。どことも知れん、詐欺まがいの空間でやり合ったところで、面白くもなんともない。

儂は奴とは違う。決戦とは注目を浴びるべきだ。

かような娯楽を、求めているであろう?この世の生命はすべからく、な。

私は別に。

ンン~?

本当に決着がつくのであれば、一見する価値もありますが。

どうせいつものように、乳繰り合うだけなのでしょう?

くくくく……!それも良いではないか。あっさり終わってしまっては、今後の娯楽に困ろうが。

長引かせたところで。いつか終わるなら無意味です。

思いの外、幼い信念で動いておるのだな?

私が、ですか?

そうだ。<再生の巫女>よ。貴様は、儂よりも刺激を欲しておる。

『いつか終わるものがつまらない』など、乳飲み子の駄々に過ぎんぞ?

代わりを欲してはいません。無くていいと思っています。

だからこそ、儂と対をなしているというわけか。

世界が勝手に配属した<役割>です。未練も執着もありません。この場で私を滅しますか?

あたらもったいないわ。貴様との議論は、これ以上ない暇潰しになる。

……おかしな感想ですね。

ん?なんのことだ?

……いえ、なんでも。他に、何か?

そもそも用と呼ぶほどの用事など――ああ、そうだ。

手駒を貸せ。貴様も混ざったという形にしておいてやる。

余計なお世話です。

では脅迫という形を取るか。

!?

かはっ……!

儂は『優しさ』も嫌いではない。

その後の『残虐さ』がより華々しく映るからなぁ!

あぁぁあああっ!?

自分だけ安全だと思うなよ?儂にはあらゆる者が敵。例外はないぞ?

……ならば、消して結構です。

馬鹿が。貴様にとっては<無>こそが望みであろうが。

<有>は苦痛……一瞬の快楽を得るがため、永遠の不安を背負う……

貴様の願望は叶えてやらん。<一瞬の苦痛>を千個ほど上乗せしてくれるわっ!

……っ!

さあ、抗ってみせろっ!

……その程度のこと、今更私が、厭うとでも?

ほう?

ですが、癩に障りました。バールよ。<均衡の一端>よ。

何をほざく。儂は均衡を<破壊する者>よ。

吠えていなさい。――<循環>を外れ、<無>へと還りしソウルよ――

お?

――藁束の巨獣<エンキ>よ、殻を破りて天を舞え――

驕りし老木に<死の眼差し>をくれよ!

やればできるではないか?……どれ、儂が面接官だ。

存分にアピールしてみせろ!





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story19 思考の公式


…………

やはり無駄か。

当然の結果だな。さて――当然の結果だな。さて――

ないよりはマシだ。借りてくぞ。返さんが。

お好きに

<破壊のルーン>でかさ増しすれば、前座くらいにはなろう。

……あなたはいつまで続けるつもりですか?

ン?

わかっているのでしょう?<理>は、決して覆せない。あなたは、なんのために。

貴様は世界の終焉を経験したことがあるのか?

いいえ。

ならば黙っていろ。結果が<無>などと、誰が決めた。

それ以外ないでしょう。論理的に考えれば。

馬鹿が。論理など。儂ら<個>には、手持ちの公式がそもそも制限されている。

いくら計算しようと、いくら計算しようと、解など得られるものか。

思考を諦めるのですか。

貴様がな。

……なんのことだか。

もう一つ言うなら……

貴様は醜悪だ。儂よりも、<闇>よりも、なお、な。

…………

いずれ来たる<無>の前に、『意味のある行動』などない。貴様はそう考えているのであろう。

だが、意味の正誤など誰が決める?世界に観測者がいるとでも?おらんわ、馬鹿馬鹿しい。

己の言動全てを『誤答』だとして何もせぬのなら、それこそ時間の浪費よ。

諦観に<美>はない。恥を掻くのがそれほど怖いか?

怯えたまま無意味な生を続けていろ。阿呆が。

…………


……私が動かぬのはそれが<役割>だから。

クソ便利な言葉だなぁ。そうは思わぬか?ハッハッハッハ……!!

…………



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story20 指導する闇


――いかに武器が良かろうと、使い手が素人では話にならぬ。

最後の最後で勝敗を分かつのは、『何を信ずるか』、そして、『どれほど信じているか』だ。

それを肝に銘じ、各々、鍛錬に励め!

おー。

……なんだ、その気のない返事は。

ちょっと難しいって。俺たち、普段はただの農業従事者なんだから。

そうそう。信じる信じないの話は、そりゃあ大切だと思うけどさ。

そこが決め手になるような対決まで、そもそも行かんと思うのよね。

……そんなことでどうする!たしかにそれはもっともだが!

もっともだろ?

だが、小手先の技術だけを追っては、上達が鈍るっ!

まずは高みを目指せっ!その上で、必要がなくなれば剣を置いたって構わんっ!

う~む。

まあ、やってみますかね。言ってること自体は、ちゃんとしてるし。

そうなんだよなあ。なんだかんだ、小手先の技術の教え方も上手だし。

熱意も伝わってくるしね。

いつまでごちゃごちゃしゃべっている!既に解散しているぞっ!

へ~い。


熱血!暗黒騎士先生!……ってとこか?

おい、カイル!なぜ私が、町人たちに剣を教えねばならん!?

共闘するって言ったろ?

聞いたが、こういうことか!?

まあまあ。ギブアンドテイクだって。この町の武器はあのデカブツにも有効なんだろ?

一人一人が強くなれば、あんたにもメリットがあるじゃないか。

それはそうだがっ……!……どうも腑に落ちんっ……!

世の中、腑に落ちることの方が少ないモンさ。

また知った風な口を……

……<空槍>、だったか。準備はどうだ?

剣などよりもよほど、あれが勝敗の要だぞ。

それなんだが……どうも上手くない。

何か問題があるのか?

説明、頼めるか?

もちろんだ。あの<空槍>なんだが、端的に言えば、この間ので撃ち尽くしてしまった。

なんだと?

責めないでやってくれ。虎の子だったんだからな。

そんな気はないが。要は、補充が必要なのだな?どうすればいい?

話が早くて助かるよ。<空槍>で射出する槍には、純度の高い<空石>が使われているんだ。

それを採ってくればよいのだな?どこにあるのだ?

あの山が見えるかい?あそこは、虚空とつながっているとも言われていてね。

…………

これまでは、川下に流れつく<空石>を選別して使っていた。つまり、山を登るほど、質の高いものがあるってことだ。

よし、早速その山へ行こう。

ありがとう、助かるよ。いくら武器防具が高性能でも、山は厳しいんだ。自警団の連中も、戦闘のプロってわけじゃないから。

ああ、オレたちに任せてくれ。

それはいいが……私たちが不在の間に、町が襲われたらどうする?

ダッシュで戻るしかないな!

お前……!自信満々な顔をして、言うのがそれかっ……!

前のことを考えると、一応あんたを優先して狙う可能性が高いんじゃないか?

どうだかな……奴の行動は全く読めん。

まあ、やられたらそのときはそのときだよ。無に還るのが少し早まるだけさ。

……無?ソウルになって地に還る、じゃなくてか?

ああ、この島では、死についてそういう風に考えられてるのさ。

だからって、怖くないわけじゃないけどね。生き延びるためにあらゆる手を尽くしたら……

……それでも駄目だったときには全てを受け入れるしかないさ。

う~ん……まあ、そうかもしれないけど、ギリギリまで決して諦めるなよ?

もちろんだとも。だからと言って早目に自決する風習があるわけでもないさ。

他の島よりも、少しだけ死を身近に考えているというわけか。

そ。じゃあ、悪いが、旅人さん、お願いするよ。

ああ、行ってくる!

(……山、か……

……陛下は、まだ……)






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story21 全部あんたみたいなら



おいヴァルアス、遅れてるぞ?どうした?

……カイルお前、やたら速くないか?

あ?冒険家だしな。山登りは得意だけど……どうした?

いや……確認しただけだ。速度を上げる、心配するな。

おう。……にしても、あんたけっこうイイヤツだよな。

<闇>ってのが全部あんたみたいなら楽なんだけどな!はは!

……この共闘は一時的なものだ。

人間どもに剣を教えたのも、<闇>に利があったから。それだけに過ぎん。

じゃ、やっぱり将来的には戦うことになるのかね?

……世界を安息の<闇>に包む。その思想に賛同できぬなら、いずれ、そうなるだろうな。

<闇>じゃなくちゃダメか?

ん?

世界が安息に包まれればいいんだろ?<闇>である必然性ってあるか?

……仮に、世界が<光>で包まれたなら……

……眩しすぎないか?それを安息と呼べるだろうか?

ははっ!そうだな。

……だが。確かに、考えたことはなかった。それ以外の道も本当はあるのかもしれんな。

聞きたいね。

……黒の王国に住まう民は、どこか不完全だったのだ。

それも無理からぬことだろう。黒の民たちは、四六時中『頭上』を押さえられていたのだから。

……白の王国にか?

そうだ。

なるほど、ね。ずっと頭の上にいられりゃ、そりゃ本能的に警戒もするな。

そういうことだ。頭上に広がるべきは眩く輝く<光>でない。安息の<闇>であるべきだ。少なくとも、選択肢が二つならな。

だから、世界を<闇>で覆いつくしたいってわけか……

<闇の王>も同じ考えなのか?

……おそらくな。

おそらく、か。

仮に、それ以外に目的があったとしても、特に問題はない。

あんたにはね。

……いや。私にも、無関係ではないのかもしれない。

おっとっと、なんだか悪いな。なにも、ここにいない奴の陰口を叩かせようってわけじゃあないんだ。

……?……ああ、うむ、そうか。

……それにしても、お前と話していると、気づかされることが多いな。

ん?そうか?無責任な発言も多いと思ってたが。

それでも、別の意見を聞くということは新鮮な体験だ。

ああ……あんた、友達いなかったんだっけ。

友……と呼べる者は、記憶にないな。

……他の<闇>の連中は?

付き合いがなかったわけではないが。

さっき言った通り、頭上に問題を抱える黒の民は、どこか不完全だった。

会話で新たな気づきを得たことなど、私の記憶にはほぼない。

今にして思えば、歪んだ思想を持つ者が多かったのかもしれないな……

……その説で言えば、白の民も、別の歪みを持ってるかもだけどな。

……貴様ら人間は、白といえば無条件に正義と呼ぶのではないのか?

ん~?まあ……世の中的にはそういうことも多いんだろうけどな。

オレは、<冒険家>だからな。自分で見聞きしたこと以外は、中立の観点で考えようと思ってるよ。

そうか……

…………

……闇の道化、という者がいる。

ん?

奴には、気をつけろ。

……忠告だ。

ああ……わかった。ありがとな。

…………

さあ……先を急ごう。





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