【黒ウィズ】双翼のロストエデン Story3
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あらゆる〈可能性〉があるという〈回廊〉。
そこは見たこともない光景が広がっていた。
アルドベリクの言う通りだった。言葉で説明されたものよりも、そこは歪だった。
〈可能性〉があるというよりも、必要と不必要すら区別されないまま〈可能性〉が投げ出された。
そんな場所のようだった。どちらかといえば、ゴミ溜めに様子が似ていた。
ただし、あるだけです。見つけ出すのは………
ミカエラの言葉を継いだのは、大人しそうな少年だった。しかし………
彼の次の言葉は、驚くほど、粗暴なものだった。
ああ見えますが、私達より長く生きています。
それは、あなたの愛しい人も同じだよ。ずいぶん混乱した存在なんじゃないかな?
レイフェルの視線は、君とアルドベリクの背後に注がれていた。
天界の者を救うために、何をしようとしている!いや、それだけでないぞ!
エストラは、怒りも悲しみも見せずに、そう言った。
ただ、魔族としての生き方を全うするだけの為に黒い羽を開いた。
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BOSSエストラ
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ひとつの〈可能性〉を選んだ時、もうひとつの〈可能性〉が潰える。
エストラが消耗しきった体を横たえているのを見て、君はそんなことを考えた。
アルドベリクは彼女の言葉に従うように、〈回廊〉の奥へと目を向けた。
そしてそれは、もうひとつ別の〈可能性〉が生まれたということではないか。
たぶんそれは間違いではない、と思った。
***
あまり、バランスを崩すことはできない、ということだろう。
もしあなた達がいなければ、いま私達がこうしている〈可能性〉も、なかったはずだ、と。
きっとあなた達がいたから、何かが変わりつつあるのです。
そうだね、と君は笑いながら同意した。
君は、自分の決断が、ひとつの〈可能性〉の扉を叩いたように思った。
そんな音が聞こえた気がしたのだ。
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最終話 絶級 永劫と無限の終り
ぞんざいにそう答えたレイフェル襟首を、アルドベリクが掴み上げた。
何かが聞こえた。
「ちょ、ちょっとお、まーた掃除当番さぼって、アンタいったい何様のつもり?」
「うるせえな。お前こそ、俺の、何様なんだよ。」
「な、何様って……馬鹿じゃないの!?」
その声は、アルドベリクトとルシエラの声に少し似ていた。
「アンタかい。俺に仕事を頼みたいってのは、ずいぶん高貴な身分なようで。」
「無暗に近づくな。貴様に頼みたいのは、仕事だけだ。それが終われば、どこへでも失せろ。」
「まあ、いいさ。俺だって金以外には興味はない。」
また、別の声が聞こえた。古い記憶のようにその声は君の耳に届いた。
「何か、言い訳はしないのですか?我が父の敵として、このまま斬られるつもりですか。」
「ないよ。」
「なら、私の許婚だった男としては、なにか………」
「どうか、お幸せに………」
突然、身の毛もよだつような声が、君の背筋を剌した。
「うあぁぁぁぁ……! ああ……ああああああ!」
その声を聞いて、誰もが顔をしかめた。
だから、おめえらは自分たちの運命を閉じた。
そして永遠に終わらない関係を得たんだ。最悪の結果から永遠に逃れ続ける関係だ。
本当に、それを終わらせてしまって、後悔しないかい?
沈黙の後、アルドベリクは口を聞いた。
俺はそいつを殴りに行く。……それだけだ。
永遠に終わらないもの、それはまるでまがい物だ、と君は思った。
終りがあるから、終わらせないでいようと思える。と君はアルドベリクの言葉に付け加えた。
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『俺はそこまでお人好しではない………』
その化け物は激しい魔力と、憎悪の感情を撒き散らしていた。
と、君に向かってアルドベリクは言った。君はただ……。
もちろん、と答えた。
そう言って、アルドベリクは少し笑った後、鋭い視線を目の前の化け物に向けた。
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BOSS アルドベリク
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その化け物を倒すと、〈回廊〉は世界を閉ざすように、暗闇に呑まれた。
そう思う時もきっとあるはずだけど………
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アルドベリクが神界の神殿に戻った時、
青ざめた顔だったはずのルシエラか何事も無かったように、神殿の中を飛び回っていた。
その光景は、何かが変わったことを、彼に教えてくれた。
目が覚めた時、いなかったから置いていかれたのかと、思っちゃいましたよ。
これからは勝手に出て行くのは禁止ですよ。あと、私を置いていくのも、もちろん禁止です。
……ところで、今まで、一体どこで何をしていたんですか?
アルドベリクは少し微笑んでから、答えた。
エピローグ
「どうしたにゃ?」
君は、自分のローブに空いた大きな穴から手を出してみた。
「もうそれは買い換えなきゃいけないにゃ。やれやれ、出費が増えるにゃ。」
君がローブを払うと、一枚の羽が落ちた。
「きっとアルドベリクの羽にゃ。せっかくだから、何かの記念にするにゃ。」
君は、栞にでもしようか、と考えながら、窓辺に歩いていく。
窓辺に、もう一枚。今度は真っ自な羽が落ちていることに気づいた。
君はその羽を手に取ると、二枚を揃えて、読みかけの魔道書に挟んだ。
双翼のロストエデン -END-
双翼のロストエデン | |
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01. 新生の双翼 (ウィズセレ祭) | 2015 08/31 |
02. 光の巨神と闇の騎神 (レイド) | 09/12 |
03. 双翼のロストエデン 序章・1・2・3 | 2015 12/09 |
04. 失われた記憶の花 (クリスマス) | 12/15 |
白猫コラボ (メイン・飛行島) | 01/29 |
05. 魔王たちの日常 (黒ウィズGP2016) | 06/13 |
06. 双翼のロストエデンⅡ 序章・1・2・3・4・5 | 2016 09/30 |
07. エデンの箱舟 (後日談) 前編・後編 | 10/07 |
08. ミミ&ララ編(4周年) | 03/05 |
ヴァレフキナ(新人王2016) | 03/31 |
09. 続・魔王たちの日常(黒ウィズGP2017) | 08/31 |
10. 双翼のロストエデンⅢ 序章・1・2・3・4・5 | 2017 11/17 |
11. 魔界、ほのぼの(大魔道杯) | 11/22 |
12. ふたりの昔と、これから(5周年) | 03/05 |
13. 殺しの時代(黒ウィズGP2018) | |
覚悟(黒ウィズGP2019) | 09/02 |
森のしぶぶ……(クリスマス2019) | 12/12 |
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