【黒ウィズ】ARES THE VANGUARD RAGNAROK Story0
2021/06/30
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オリュンポリス。
ヒーローに守られたこの街で、人々は今日も平和を享受していた。
先日、行われたジャスティス・カーニバルで神の邪悪な企みがあったことなど、市民のほとんどは知るよしもない。
だが、それでも――
人々はそれを見た瞬間、ひと目で理解した。
この世界に神が降臨したのだと。
ARES THE VANGUARD
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ゼウス区、英雄庁総本部。
選ばれしトップヒーローしか立ち入ることの出来ない〈神卓の間〉に、ゴッド・ナンバーズが招集された。
集まったのは、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、V、Ⅵ、Ⅷ、Ⅸ、そして零。
つまり、現存する全ゴッド・ナンバーズが、このー室に揃っていた。
……待ってください。いま、何者かが〈アリオン〉に割り込みを!
次の瞬間、街中のあらゆるモニターが、おなじ画面を映しだした。
おっと、ごめんね。私たちがいた時代の人間は、もうみんな死んでいたんだったね。
私はハデス。君たちもよく知る冥府の神だよ。
さて、単刀直入に言うよ。この世界はオリュンポスの神々のものだ。だから、自分たちのものを取りに来たよ。
君たちが神器と呼んでいるものがあるね。あれをすべて渡して欲しいんだ。もちろん、これはお願いじゃなくて命令だからね。
近いうちに受け取りに行くから、ちゃんと揃えておいてよ。それじゃ、またその時に。
居並ぶゴッド・ナンバーズは、「お前が言うのか?」という顔をしたが、アポロンⅥは思慮深くうなずいた。
僕とVは本部で作戦指揮。神がコンタクトしてきたらVが対応する。Ⅵは本部とゼウス区の防衛。
残った部隊はⅨとに預けて、ふたりはオリュンポリス全体の警備。こんな感じでしょ、V。
(メルクリア……来ているのか……?確かめるのならば……。)
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作戦は開始され、ヴァンガート隊はいつでも動けるように待機していた。
アレイシア、エウブレナ!コレーストリートに向かえ!いますぐにだ!
ひとりの男を、100人を超すヒーローが遠巻きに取り囲んでいる。
男はそれを気にする様子もなく、近づいてきたアレイシアたちを見ると片手を挙げて朗らかに言った。
その言葉は正しい。ハデスヒーローから感じる神の力、それを極大にしたものが、眼前の男から漂っていた。
君たちでは、私を止めるのは不可能だって、よくわかったからね。
ハデスの手が、アレイシアの腹部に触れる瞬間、激しい悪寒が全身を貫き、戦神の本能が彼女を衝き動かした。
神の力を全開し、槍を構えるだが――
アレスの力に目覚めたばかりのころ、力を使いすぎて意識を失うことがあった。
それと同じことが、いまアレイシアに起こっていた。
君の力は私たちと同種だからね。生身だけではすぐに使い果たしてしまう。根源の助けなしでは、維持できないだろう?
気合でー歩踏み出したアレイシアは、しかしすぐに力尽きたように膝をつき――
その場に倒れ、意識を失った。
すかさすエウブレナが前に出る。その手には神器、〈見えざる神の二叉槍(ハイデント・アイトネウス)〉が握られている。
ハデスが片手をあげ、天を示すその先には、天空に浮かぶ神殿がある。
そこから、なにかが舞い降りてきていたひらひらと風に舞う、無数のなにか。
それは巨大都市のそこかしこにふわりと舞い降り――
次の瞬間、オリュンポリスは悲鳴に包まれた。
白い布は絡みつくようにしてヒーローたちの顔を覆うと、たちまち黒く染まった。
言うなり、そのハデスヒーローは苦悶の表情を浮かべたまま、エウブレナヘと襲いかかってきた。
その布を巻きつけられた者は、意思に関係なくゼウスの思うままに動く、何人たりとも抗えないよ、
なぜ、こんなことをー!
自分のものをどう使おうと、理由を説明する必要なんてないだろう?
たとえそれが神だとしてもよ!神器!私に力を!
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おいで、神器。
甘い声でそう告げ、手を伸ばした瞬間――
君が絶体絶命のピンチだっていうのは、なにも変わらないんだしね。
言葉と共に、ハデス神の力が獣を形作る。
神器を奪われたエウブレナが、あれを喰らえばひとたまりもないだろうだが――
けんど!その程度でヒーローは止まらんばい!エウさん、やるぞおぉぉぉぉぉぉぉぉ!
さあ、おいき、ケルベロス・オニュクス。
放たれた巨大な番犬の爪が、ふたりに襲いかかる。
だがその爪は、届く寸前で両断された。
アンタがハデス神か、俺の後輩を可愛がってくれたみたいだな。
だが、いまはアンタらのおかげでこの街が大変なんだ。さっさとケリをつけさせてもらう!
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ハデスが手にした神器を軽くふると、巨大な番犬が2頭同時に形作られ、そのままディオニソスⅫを襲う。
迎え撃つディオニソスⅫは、手にした酒坏をふり、ネクタルの飛沫を宙へ飛ばす。
それは星座の形を取ると、流星のごとく降り注いだ。
ネクタルの流星に貫かれた番犬が消滅するだが、ディオニソスⅫは止まらない。
先の技と同時に跳躍したそのたくましい体躯が、彗星のごとき跳び蹴りと化してハデスに突き刺さった。
決めさせてもらう!
神剣ザグレウスが輝きを増す。それは希望を示す〝最強〟のー撃。
神をも断つそのー撃を前に、ハデスは避ける素振りもなく、顔の前に手をあて――
顔を覆う布を取り去った。
そこにあったのは、失ったはずの友の顔。
驚愕と共に、大剣が止まり、ニコリと笑った友は無慈悲に告げる。
倒れたディオニソスⅫにアレイシアが駆け寄る。
強烈なー撃を喰らったディオニソスⅫのマスクは砕けていた。
だから、嫌でも気がついた。
なんで……パパが生きて……。それに、パパがハデス神?いったい、どういうことなの?
すぐに、ヴァッカリオ君を倒すから。
クリュメノス。お前は人間の敵なんだな?
ふたたびザグレウスを構えるヴァッカリオにハデスは憐れみの視線を向けた。
変身するだけでボロボロのはずだよ戦うはおろか、立っているのもやっと、決着を急いでいるのもそのせいだよね?
ハデスの指摘は正しい今回、変身した時点でわかっていた、限界が来たのだこれが最後の戦いになる。
だが、だからこそ。
ー瞬の沈黙。
次の瞬間、ふたつの奥義はぶつかりあった。
拳を握ったアレイシアが次に目にしたのは。
大量の血を吐き、地に崩折れる〝最強〟の姿だった。
その胸には、神器〈見えざる神の二叉槍〉が深々と突き立っていた。
とはいえ……。
すごいね、ヴァッカリオ君は。下手すると本物のディオニソスを超えているよ、力のほとんどを使い果たしてしまった。
これでは僕もー度退かざるを得ないね、楽しかったよ。
いまもなお血を吐くヴァッカリオに、アレイシアは駆け寄り、抱き支えた。
アレイシアの言葉をさえぎるように、己の血に塗れたヴァッカリオの腕が上がり、アレイシアの頭を優しく撫でる。
余す手が神剣ザグレウスを引き寄せ、その柄をアレイシアにそっと手渡し、そして――
…………。
うああああああああああああああ!
アレイシアの慟哭が空に響くだが、それに足を止める者すらいない、悲鳴は、いたるところであがっていた。
神に操られたヒーローと、同胞と戦うヒーローと、逃げ惑う市民と。
絶望に包まれた都市を、天空の神に見下されながら。
ゼウス |
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その日。人と神との戦いが始まった。
ARES THE VANGUARD Ⅳ
~RAGNAROK~
PV
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02. 巨神vs戦神 | 10/11 |
03. アレイシア&エウブレナ編(謹賀新年2020) | 01/01 |
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05. ARES THE VANGUARD Ⅱ ~英雄大戦~ 序章・1・2・3・4・5・6・7 | 2020 03/30 |
06. アポロニオ&ヴァッカリオ編(GW2020) | 04/30 |
07. アレイシア編(GP2020前半) | 08/31 |
08. ヴァッカリオ編(GA2020後半) | 09/17 |
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12. ARES THE VANGUARD Ⅳ ~RAGNAROK~ -終焉- 序章・1・2・3・4・5・6・7・後日談 | 06/30 |