創始頌・サブストーリー・1~8
脱感作療法
法王庁
花園
フェタチーズ:チェダー?チェダー――いったいどこに行ったのかな……
チェダーチーズ:狼が子羊を食べに来たぞ!
フェタチーズ:うおお!
フェタチーズは、突然草むらから出てきた人にびっくりして地面に座り込み、唖然としながら興奮と得意げそうな表情のチェダーを見た。
チェダーチーズ:へへ、成功した!
フェタチーズ:成功……?チェダーがここに隠れていたのは、ぼくを驚かすため?
チェダーチーズ:お前とは限らないよ、誰でもいいもん~
フェタチーズ:ならぼくで良かったね。もし法王庁の人ならめんどくさいことになってたよ……カイザーがそろそろ出発していいって言ってたよ。
チェダーチーズ:おおお!出発だーっ!
フェタチーズ:うーん……こんなことをぼくが言うのは良くないけど……でも……
フェタチーズ:チェダー、バニラマフィンは……他の人に馬と言われるのが好きじゃないから……彼を馬と呼ぶのはもうやめてよ……
チェダーチーズ:ダメです!
フェタチーズ:え?
チェダーチーズ:俺は手伝ってるだけ~
フェタチーズ:手伝う?で、でもチェダーがそう呼んだら、彼は傷つくよ……
チェダーチーズ:これは治療だよ!
フェタチーズ:治療……?
鴨のコンフィ:彼の意味はたぶん、脱感療法のことだろう。
フェタチーズ:えっ、コンフィ姉さんもここにいたの。
鴨のコンフィ:本を読んでいたが、うるさくて読めなくなった。
フェタチーズ:ご、ごめんなさい……
鴨のコンフィ:大丈夫、もう慣れた。それに貴方のせいではない。
フェタチーズ:じゃあさっき言ってた脱感療法って……どういう意味?
鴨のコンフィ:心理療法の一種で、ある刺激行為を繰り返すことで、患者を徐々に慣れさせ、最終的にはその行為に対する過剰反応を克服する。
鴨のコンフィ:チェダーもこの方法でバニラマフィンを慣れさせ、最終的に暴力に翻弄された影から抜け出させようとしているのだろう。
フェタチーズ:そうだったんだ……まさかチェダーも……こんな普通のことができるとは……
チェダーチーズ:あああ――子羊ひどすぎるぞ!
フェタチーズ:……!!ごめんね、チェダーがまともじゃないとは言ってないよ……
チェダーチーズ:出発するって言わなかった?どうしてまだ出発しない!嘘つき!お前こそ狼だろ!
フェタチーズ:え?このことを言ってたのか……じゃあぼくらも早くカイザーたちと合流しようか!
入国
創世日
サヴォイア国外
スブラキ:なんかあっちはにぎやかだね……
キャラメルマキアート:なにしろ創世日ですものね、サヴォイアの人々も祝ってるんでしょう……バクラヴァたちがいつ戻ってくるかもわからないですし、もしその時に世界が本当に破滅してしまったら……今のうちに街に出て楽しみましょう!
スブラキ:え?まさかマキアートも遊びに呆ける時があるとはね。
キャラメルマキアート:以前は部外者の立ち入りを禁じていたサヴォイアですが、最近は変革があったみたいで、身元さえはっきりすれば城内に入れるようになりました……
キャラメルマキアート:わあ、ここが食霊の力に頼らずに、今まで生き残ってきた唯一の国なんですね!どんな歴史があるんでしょう……じっくり掘り起こすのが待ちきれないわ!
言い終わると、マキアートはリュックを掴んで一目散に走り去った。スブラキはその場で呆然としていた。
スブラキ:わあ、やっぱり彼女の専門分野になると別人みたいだ……
ムサカ:……
スブラキ:え、あの……
ムサカ:君は行かないの?
スブラキ:僕は大丈夫、もし貴方が動きたくないなら一緒にいるよ。
ムサカ:……実は、創世日を祝ったことがないんだ。
スブラキ:え?だから……見に行きたいの?
ムサカ:はい。
スブラキ:じゃあ僕がガイドになってあげる!うっ、僕も初めてサヴォイアに来たけど……
こうして2人は一緒にサヴォイアに向かった。最初は少し気まずい雰囲気だったが、すぐにスブラキの喜びに取って代わった。
***
スブラキ:わあ、魔法のローブだ!あっ、水晶玉!わあああ、魔法の杖もある!サヴォイアは魔法の城みたいだ!
ムサカ:(子供みたいだ……明らかに来たかったくせに)
スブラキ:わあ!あっちに巨大なターキーの試食がある!ムサカ!
ムサカ:うん、行こう。
スブラキ:え?
ムサカ:どうした?
ムサカ:……
ムサカは一瞬固まったが、すぐにスブラキが何を言っているか反応した。
ムサカ:私がムサカではないと言ったのは文字通りの意味じゃない。
スブラキ:ぼ、僕はムサカが怒ってるから知らないふりをしたのかと思っていた。結局、貴方を騙したし……
ムサカ:騙される感覚は本当に辛いからこそ、将来君にもその思いを味わってほしくない。
ムサカ:私はもう君の知っているあのムサカではない。背負わなければならない自分の使命がある……いつか、君の敵側に立つかもしれない。
スブラキ:何だよ、そういうことか。
ムサカ:?
スブラキが長い間わざと冷たく扱われて不愉快に思うか、少なくとも悔しがるかと思っていた。目の前の少年が安堵の笑みを浮かべるとは思わなかった。
スブラキ:貴方が僕を本当に嫌っていない限り、将来敵だろうが、どこにいようが、貴方を取り戻す!
スブラキ:僕は勇者で、貴方は最も大切な仲間だから!
復讐
夜
アビドス
夜の砂漠を照らすのは星だけだが、十分に明るい。ファラフェルは星の光がまぶしいのを嫌っているようで、顔をしかめて寝返りを打ったが、間もなく穏やかな寝息が聞こえてきた。
シャワルマ:本当に不思議だ……前まではスラムの一番良いベッドでも眠れなかったのに、今では野外でも眠れるようになった。
クナーファ:え?ファラフェルはそんな性格だった?苦労に耐えられる子だと思ってたよ。
シャワルマ:まあ……苦労に耐えられるけど、くどいだけ。
クナーファ:復讐の考えが彼を成長させたんだろう。
シャワルマ:……話を戻すけど、本当にボクらを手伝ってくれるの?ボクらは偶然道で出会っただけなのに……
クナーファ:道で偶然出会っただけなのに、強盗に襲われた私を助けてくれた。
シャワルマ:全然役に立たなかったけど、代わりにキミに助けられた……
クナーファ:ああ、私はもともと傭兵だったから、彼の復讐を手伝うのは過去の仕事と変わらない……ましてファラフェルが提示してくれた値段は私のキャリアの中で最高額だ。
シャワルマ:ハハ、アイツは金のことでケチをつけたことはないんだよね。
クナーファ:でも私のことよりも、君のことを心配している。
シャワルマ:え?ボク?
クナーファ:キミはファラフェルのためだけにこの復讐チームに加わっているように聞こえる。
シャワルマ:ああ……確かにカレはボクの大事な友人だけど、カレのためだけじゃない……
シャワルマ:実は王室に対して何も感情がなくて、ファラフェルに会う前は、王室の人たちが大嫌いだった……でも、今考えてみると、王室の人たちがみんなが残虐なわけじゃないし、オアシス捜索隊はみんな普通の罪のない人たちだった。
シャワルマ:だから復讐よりも彼らのため公正がほしい――いったいどんな理由で彼らの命を奪ったのか。
クナーファ:ああ、本当にいい坊やだな。
シャワルマ:……これはずっと言いたかったんだけど、ボクを「坊や」って呼ぶのはまだいいけど、ファラフェルにもそう呼ぶのは……あまり適切じゃないでしょ?
クナーファ:あれ?「坊や」って呼ばれたくない?ああ……それは君らが私に勝てるようになってから言ってね~
シャワルマ:それは永遠に不可能じゃないか!
偶然
アビドス
城
コシャリ:……ヴィダルが爆発を引き起こしたと?
カターイフ:うん、カレが現れたタイミングが良すぎるし、今でも何しにアビドスに来たのか動機がわからない……
コシャリ:なるほど……じゃああなたが探してきた人たちは信用できる?もし下心があって城に近づく機会を得ようとする奴なら……それは私たち自身にとっても非常に厄介なことよ。
カターイフ:えっと……信用できると思う。だってあの王室の王位継承者であるファラフェルと、姉さんを知っていると言った食霊で名前は確か……
カターイフ:バ……バクラ……
カターイフ:うん!そう、その名前!
コシャリ:彼が戻ってくるとは……また悪い預言を見たのかしら……だけど彼の言葉は確かに信用できるわ。彼らを城に入れることは、私からフィテールに言います。
カターイフ:うん……姉さん、もう一つお願いしたいことが……ある人を探しに行きたいんだ。
コシャリ:……わかった。城のことは私に任せて。
カターイフ:え?誰を探したいのか聞かないの?
コシャリ:あなたには自分なりの考えが当然あるわ。それはとても重要な人物なんでしょう。
カターイフ:はい。以前にカレと喧嘩してしまって……カレを取り戻す必要があるんだ。
カターイフ:ではオレはファラフェルたちにこれからの計画を伝えに行くから、兄の方は任せます。
コシャリ:わかりました……
カターイフは後ろ姿まで気合が入っているようだ。コシャリは彼の姿が遠ざかっていくのを眺め、長い時間が経ってから長いため息をついた。
コシャリ:……やっぱり爆発の事件は元々私が計画したとあの子に伝える勇気はなかったわ。利用され、あんなに多くの人が死ぬとは思っていなかった。今ではカマルアルディンも行方不明になっている……
コシャリ:これからは、自分が犯した過ちを埋め合わせできますように……
練習
フェジョアーダ:こんな場所にこんな家があるなんて知らなかった……
ファラフェル:これは以前、父上が吾のために建てた……
バクラヴァ:え、あの……
ファラフェル:そんなに緊張するな、言えないことは何もないし、吾はそんなに脆くない。
ファラフェル:だが、吾は今まで傭兵と接触したことはない。どうやって商談するんだ?
バクラヴァ:実はとても簡単で、俺らは君を何もわからない成金と設定したから、君は本領……コホン、自信満々で挑めばいいですよ~
ファラフェル:確かに簡単に聞こえるが……とにかく相手に疑われることなく、奴らがアビドスに来た本当の目的を突き止めるってことだろう。
バクラヴァ:そうです~ですが相手が非常に狡猾であることを考えれば、もし本当に情報を聞き出せなければ、奴らの中に紛れ込むにはいい方法だと思います。
ファラフェル:ああ。では今時間があるうちに練習をしよう。
フェジョアーダ:あっ?練習……おい、バクラヴァ俺を前に押すなよ!
ファラフェル:早くしろ、時間を無駄にするな。
フェジョアーダ:ああ……コホン。お、お前値段を言え。お前の傭兵とこれらの武器はいくらだ?
ファラフェル:ふ、金は吾にとって一番価値のないものだ。吾は金などいらない。貴様らが何をするのか気になるだけだ、それから……何か価値のあるものを得られればいい。
フェジョアーダ:うっ……あ……えっと……あの……
ファラフェル:チッ、大丈夫か、バクラヴァやはり貴様がやったほうが。
バクラヴァ:いえ、殿下は完璧になさっていると思います。以前に王室で何を学んできたのか疑問に思われるほどに……
バクラヴァ:あとは、ヴィダルが来るのを待つだけです。奴と城の主が何を企んでいるのかわかれば、あるいは奴らを阻止するチャンスがあればこの世界を救えるでしょう……
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