恐怖の遊園地・ストーリー・メイン第一章〜第四章
第一章-荒れ果てた遊園地
物語 荒廃した遊園地には、恐ろしい噂が囁かれていた。
何かが駆けてくる音が聞こえる。足音はどんどん大きくなり、やがて、少女がつんのめりながら扉を開け、飛び込んできた。大きく息を切らせながらピザとカッサータを見つめるその目が、ギラリと光った。
ある日
旅館
チーズ「例の情報、手に入れちゃったかも!!」
ピザ「んーと、何のはなし?」
チーズ「街のはずれの遊園地が閉園してから……恐ろしいことが起こるようになったの。」
カッサータ「ふーん。どんな。」
チーズ「変ちくりんな怪物が出たーっ!とか、夜中になるとすすり泣く声が……とか。あっ、それから、入ってしまうと二度と外に出られないんだって。」
ピザ「なーんだ。よくある話ばっかじゃん!さてはチーズ、怪談の読み過ぎだな?」
チーズ「ふん!ともかく…… 噂によれば、奇妙な怪物は何匹もいて、堕神に似ているような似ていないような、感じなんだって。」
カッサータ「奇妙な…怪物?」
チーズ「そう。しかもね、人を沢山さらってるらしいんだ。前にこっそり中に入った子供たちが戻ってこないっていうの。」
ピザ「奇妙な怪物……まさか…」
チーズ「ねぇ、行ってみようよ。なんだか嫌な予感がする……それに、「あいつ」と関係あるような気がするの。」
ピザ「……」
カッサータ(奴のこととなると、やっぱりピザ、おかしくなっちまうな…)
ピザ「はは、なに、ちょっとボーっとしちまっただけさ……それも所詮は噂話なんだろ?」
ピザ「まっ、面白そうだし、ついてってやってもいいぜ!っていうか…… お前ひとりで行って、もし何か危ないことでもあって……」
カッサータ「最後なんか言ったか?」
チーズ「じーーーーっ… なに。料理されたいの?」
ピザ「いやいやいや… そうじゃなくって…」
チーズ「ふん!女の子の勘はすごいんだから!」
カッサータ「おいピザ。「女の子だったんだ~」って表情やめろよ。」
チーズ「なあに?誰が女の子じゃないって?ん?!」
ピザ「おい!いててて!わかった、わかった、チーズほど可愛い子はそういないって…」
チーズ「チーちゃんがせっかく真面目に「あいつ」の話をしてるっていうのに。」
ピザ「わかったわかった、オレが悪かった!」
チーズ「奴のせいで、チーちゃん達、王国を出なきゃいけなくなったんだよ。」
ピザ「そうさ!でもそうでもなかったら、オレたち、こうして一緒になんて、いられなかっただろ…。悪いことだけじゃなかったと、思うしかないさ。」
チーズ「甘い!まったく。あの時のこと忘れたの?二人とも犯人扱いされたんだよ!」
ピザ「言っただろ?オレもカッサータも、たまたま現場に居合わせたもんだから、誤解されちまっただけだって。」
チーズ「だから!「あいつ」を捕まえれば一件落着でしょ!ほらほら、行くよ!」
ピザ「それとこれとは…」
カッサータ「わかった、わかった。じゃ、ちょっくら見にいってみようぜ?奴であろうが、その怪物であろうが、このままにはしておけない。そうだろ?」
チーズ「そ!そういうこと!早く来ないと置いてっちゃうぞー!」
チーズは気だるげに伸びをすると、部屋を出ていった。後ろをついて歩く二人が小声で何やら話している。
カッサータ「……チーズのこと、心配か?…それとも奴のことか?」
ピザ「なんだよ、オレが何か心配してるように見えるか?ははは…」
カッサータ「なに考えてるかくらい、わかってるさ…無理してんだろ。大丈夫だ、俺がついている。」ピザ「ああ、そんなの…わかってるさ…同じことは繰り返しやしないよ。」
ピザ「ってか遊園地、意外と楽しかったりしてな。」
チーズ「ちょっとちょっと!アンタたち早くついてきなさいっ!」
ピザ「ああ、今行く!」
チーズの入手した情報をもとに、三人は噂の遊園地にやってきた。
ピザ「わ~~~こりゃ随分怪しげだ!」
チーズ「廃園したみたいね。」
かつて人々と時間を共にしたアトラクションは埃にまみれ、さびれている。
風に揺られ、老朽化した機械が歯の浮くような音を発した。なんとも不気味な空気だ。
第二章-巨大な怪物
物語 遊園地の入口に現れた怪物の正体は……
巨大な観覧車は冷たい風にさらされ、ギシギシと気持ちの悪い音を立てている。
それらは月光に照らされ、まるで怪物のような影を映し出している。
錆びたゲートには、しぼんだ風船が吊り下がっていた。
近くにあるぼろぼろのベンチには、綿の飛び出たクマのぬいぐるみが捨てられている。
ただならぬおぞましい気配が、三人を取り囲んでいるようだった。
その日の午後
噂の遊園地の入り口
三人は遊園地の入口に立った。
錆びだらけの鉄門の脇には、閉園のお知らせが貼られている。
チーズ「「エ…エデン遊園地は都合により本日より営業停止とし…」」
カッサータ「「再開時期は…未定です」?」
突然何者かが、トントンとチーズの肩をたたいた。
チーズ「わっ!」
カッサータ「何者!?」
住民「おっと、落ち着いてください。怪しい者ではありません。」
ピザ「お前… オレたちになんか用か?」
住民「一言だけ、伝えておこうと思いましてね…… 遊園地に入ろうとしているなら、諦めたほうがいいですよ。」
ピザ「なぜだ?」
住民「やはり、ご存知ないんですね……ここ、閉園はしたものの、アトラクションはずっと残ってるんで、こっそり中に入った人がいるんです。でも、戻ってこなかったんです。」
チーズ「えっ!そんな……」
住民「それでも行くというなら、あなた達の勝手ですが…」
男が立ち去ろうとしたその時。奇妙な怪物が、勢いよく鉄門を飛び越え、チーズに向かって落下してきた!
ピザ「なんだ!?」
ピザはとっさにチーズの前に立ちはだかり、怪物に反撃をくらわすと、怪物は向きをかえ、先ほどの男に向かっていった。
住民「わあああああああああ!」
チーズ「あ、オジサン!!」
怪物は男を捕まえたかと思うと、こちらが反応する隙も与えず、さっと遊園地の中へと去り、叫び声が遠ざかって行った。
カッサータ「ちっ、こりや、面倒だぞ。」
カッサータ「さっきまでは、ピザの言う通りだと思ってたが、こうなると入らないわけにはいかないな。」
ピザ「ちきしょう!!追いかけるぞ!」
三人は怪物を追って、遊園地に乗り込んでいった。日が暮れるにはまだ早いはずだが、夜の帳に包まれた遊園地は三人を飲み込み、怪しい光をちらつかせた。
第三章ー開かれし扉
物語 鏡の迷宮に、奇妙な笑い声が響いている。
遊園地の中――
ピザたちは一目散に怪物を追いかけた。怪物はギョロリと振り返ると不適な笑みを浮かべ、大きなテントの中にさっと消えていった。
ピザ「ここは… なんだ?」
彼らの目に映ったのは鏡で覆われた建物。三人は互いに顔を見合わせると、すぐに中へと入っていった。
カッサータ「ふぅ、随分逃げ足が速いな。」
チーズ「はぁ、はぁ、…… もうだめ。追いつけない。」
ピザ「大丈夫、この中にいる限り、逃げられないさ。ええと…何ていうんだっけ?そういうの。」
カッサータ「袋のネズミか?」
ピザ「それだ、それ!」
ピザは元気よく拳を振り上げ、一歩前に踏み出した。すると、自分そっくりの影にぶつかった。
ドンっ!
ピザ「わ!いててててて…」
おかしな音に気付いたチーズはすぐに駆け寄ったが、眼の前の光景に気づきハッと息をのんだ。
チーズ「こ、これって…あたし達が、いっぱい…?」
ピザ「くっそぉ、きっとあの怪物の仕業だ!」
カッサータ「おいおい…鏡の間を知らないのか?」
ピザ「かがみ?」
ピザは手を伸ばしてあたりを触り、ようやく大きな鏡に気付いたが、見覚えのない影がさっと映ったように見えた。
ピザ「なに!!!」
カッサータ「大丈夫ですか?」
ピザ「さっき…こどもの影が映ったような気がした。」
チーズ「こども?どこどこ?錯覚じゃないの?」
カッサータ「シっ!足音がする…」
突然、気味の悪い笑い声が響いた。
男の子「へへへ、新入りだ~~~~」
女の子「やった~~~はやくぅ、いっしょにあそぼ~」
男の子「はやく、はやく~~」
ピザ「誰!?」
カッサータ「誰だ!出てこい!」
チーズ「なんだか…こどもみたいだったけど…」
ピザ「みろ!いったとおりだろ!」
チーズ「いっつも嘘ばっかりついてるからよ。」男の子「おにいちゃん、はやく一緒にあそぼうよ~あそんでくれたらここから出してあげるよ~~」
女の子「でないと、だしてあげないから~」
男の子「だしてあげないよ~」
カッサータ「こんなガラスごときで、俺たちを閉じ込めようってか?そんなら!」
カッサータが武器を横にさっと降ると、鼓膜をつんざくような甲高い音が鳴り響いた。
キーーーン!!
鏡は、カッサータの予想に反してキズ一つなかった。
ピザ「カッサータ…… お前、鏡も割れなくなっちゃったのか?」
カッサータ「お前もやってみろ。ここは…何かの力で守られているな。おそらく、あの怪物か、ほかの誰かの仕業か、いずれにしても厄介だぜ。」
三人は顔をみあわせ、辺りの気配に集中した。カッサータもピザも普段のだらしない面影はみじんもなかった。
ピザ「おーい!どうすれば出してくれるんだ?」
男の子「へへへ、それはね、いっしょにあそんでくれたら~~だしてあげてもいいよ~」
女の子「でられないっていったでしょ~はやくおいでよ~」 さっきまでこっそり後ろについていた影が、奇妙な子供の声が止まると共にいなくなった。
ピザ「君たちのお誘いもいいけど、オレたちには時間がないんだ!」
カッサータ「とりあえず、出口をさがしてみるか。」
三人は迷宮の中をしばらくさまよっていたが、ピザが突然、飛び上がり、カッサータの後ろに隠れた。
ピザ「うううわぁ!!カッサータ!!あいつら…幽霊みたいだ!!!さっきなにか影がそっと通り過ぎて行った!!」
チーズ「へへへ…チーちゃんでした!」
チーズが一枚の鏡の後ろから顔を出し、舌をだした。
カッサータ「おい、慰めてやりたいのはやまやまだが、お前、マフラー引っ張り過ぎだ、窒息させる気か。」
ピザ「あ!す、すまんすまん。」
こどもの声は絶えず迷宮内に響いていた。ピザたちは段々と方向を見失っていく感覚に襲われた。
何やら人影がついてきていることには気づいていたが、さっと振返ってみても、そこには誰もいない廊下だけがみえるのだ。
チーズ「疲れちゃったなー。こんなあてもなく歩いていてもどうにもならないよぉ。」
ピザ「いっそのこと寝ちまおうか!目が覚めた時にはもう出口かもしれないぞ。」
チーズ「もう、楽観的過ぎだよ~。そういうとこ、羨ましいというか、心配というか…」
ピザ「沈んでたって、なんにもならないだろ?」
カッサータ「だからってここで寝るのも考えもんだぜ。何もできないってなら、とりあえずあのガキどもの言うとおりにしてみるか?」
チーズ「…そうするしかないみたいね。」
第四章-こどもたちとの約束
物語 「約束だよ」
ピザとカッサータ、チーズは迷宮の中をさんざん歩いてやっと、目の前の風景に見覚えがあることにピザが気付いた。
ピザ「ここ、さっき通ったところじゃないか?」
チーズ「結局ずっと同じところを歩いてたってことね。」
カッサータ「シっ!」
それまで黙っていたカッサータが突然立ち止まり、ピザとチーズに目で相図を送った。そしてそっと目の前の鏡に近づく、いきなり鏡を推した。すると、鏡は音もなく開いた。
ということは?この鏡が…扉なのか?
カッサータ「大体こんな仕掛けだろうと思ったぜ…見てみろよ。」
扉の向こうでは、さっきのこどもが仰天の面持ちでこちらを見つめていた。ふと我にかえると、そのまま逃げ出そうとした。
ピザ「逃がすかっ!」
ピザはさっと追いつき、子供を捕まえた。
チーズ「駄目でしょ、お嬢ちゃん。約束は守らないと、悪い子は叱られるわよぉ!」
女の子「ちがうよ!わたし悪い子じゃない!ただ遊びたかっただけ…だって、長い間、だれも遊んでくれなかったから…ええーーーん…」
ピザ「ちょ、ちょっと!泣くなって…じゃ、じゃあもう一回あそぼっか!かくれんぼしよう!」
チーズ「何言ってんの!」
ピザ「わかった、わかった!わかってるって、今は他にやるべきことが…」
ピザの真面目な目に戻ったが、こどもはまだ泣き声をあげていた。
女の子「わたし、悪い子じゃないもん…ええええん…お仕置きしないで!」
チーズ「わかったわかったわ。悪い子じゃない、ね、いい子だから約束どおり、外に出して。」
女の子「うん!わたし、いいこだから!同じ間違いは繰り返さないよ。つかまっちゃったし、私が外まで案内してあげる!」
女の子が手で合図すると、仲間の子どもたちは頷き、再び迷宮の中に戻って行った。ピザたち三人は案内の女の子の後について行き、目の前は段々と明るくなってきた。
チーズ「ねぇ、なんだか鏡が少なくなった気がしない?」
カッサータ「ああ、観覧車にも大分近づいてきた。」
左右の鏡も徐々に一列になり、目の前も開け始め、鏡でゆがめられた風景が消えて、ようやく出口が見えた。
ピザ「ふぅ…やっと、出口がみえたな。目がおかしくなるかと思ったぜ。」
女の子「わたしは、ここまでね。今度またあそんでね!」
女の子がまだ言い終わるか終わらないうちに、突然、キーンとした気味の悪い笑い声が響き渡った。
女の子「ひっ!」
一体何の笑い声なのかもわからないでいる時、案内してくれた女の子はまるで物凄く恐ろしいものでも見たかのように、叫び声をあげて鏡の迷宮に駆け戻り、頭を抱えて隅で震えていた。
女の子「やめて、やめてぇ。ピエロさん、もうおてんばしません。言うこと聞きますから、遊園地にこっそり入ったりしませんから、捕まえないで。やめて…」
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