【黒ウィズ】ARES THE VANGUARD編(8周年)Story
目次
登場人物
![]() | ネーレス |
![]() | アポロンⅥ |
![]() | エウブレナ |
![]() | ヴァッカリオ |
![]() | アレイシア |
![]() | ウィズ |
その他 |
story1 FAREWELL
アポロンバスター!
デウカリオン・プリミラ!
――それから数日後。
そうだね、と君はうなずく。しかもヴァンガード隊の基地の目の前だ。
今度こそツナマヨコーンをね、と君は固い決意を込めてうなずき、基地の中へと入った。
なにかいいことがあったの?と君は訊ねた。
ナチュラルに自分を棚にあげたなと君は思った。
時間だ。私は行く。本部にナンバーズが揃う日を楽しみにしているぞ!
こちら、ご注文のツナマヨコーンピザです。そしてこちらはサービスのペパロニピザです。増量期間なので4枚お持ちしました。
こうして様々な人が訪れ、ヴァンガード基地はいつになく賑わっていた。
その喧噪の中、ヴァッカリオはエウブレナに近づくと、耳元に口を寄せ、ほかの者に聞こえないように囁いた。
story
v時間が遇ぎるのは早いよねえ。ネーレイスちゃんが来てもう1年。エウちゃんたちが来てからは1年半近くだもの。
ヴァッカリオは答えず、ただ静かに目をつぶった。ただ静かな顔が、その言葉が真実であると告げていた。
そう言うと、ヴッカリオは腰に下げた杯――〈尽きざる密の神酒杯(アペイロン・ネクタル)〉を無造作に放り投げた。
エウブレナ。ハデスⅣを継ぐものとして、裁きをくだしてくれ。
長い沈黙が落ちた。
エウブレナはゆっくりと話しだす。
とても背の高い、無愛想な人で……ひどいんですよ?私が挨拶しても、顔を逸らして目も合わせてくれないんです。
それで、私ってば躍起になってしまって……。その人にかまって欲しくて、高い棚の上に無理やりのぼったんです。
子供のころの考えって、不思議ですよね。これで私の方が高いから無視できないだろう、なんて思いながら、その人に声をかけて――
その瞬間、足を滑らせて落ちてしまいました。
頭が真っ白になって……気がついたら、その人が私を抱きかかえていました。
私が足を滑らせた瞬間、駆け寄って、抱きとめてくれたんです。ぽかんとする私に、その人は言いました。
「大丈夫か?――無事でよかった。」
ありがとうって私が言うと、その人は顔を赤くして、またフイッと顔を逸らしました。
でも、子供にそんな優しくしたんですもの。そうはいきません。その後は1日中、その人についてまわって遊んでもらいました。
それからしばらくして父が亡くなり、あのぶっきらぼうで優しくて照れ屋な人とは、それっきり会うことはありませんでしたけど――
やっと、わかりました。あれ、隊長だったんですね。
くすくすと笑いヴァッカリオの投げ捨てた神器を拾う。
けど、いまも昔も、あなたが私たちを見守ってくれているってこと、もうわかっていますから。
そんなあなたがいたから、パパの最期の顔があんなに穏やかだったってことも。
そう言って、神器をヴッカリオに手渡すとエウブレナは背を向ける。
屋上にひとり残されたヴッカリオは夜空を見上げ、つぶやく。
ゾエルはヴァッカリオの隣に立つと屋上の柵にもたれかかり、夜空を見上げる。
「お願いです、ディオニソスⅫ!あなたの力を貨してください!」
「ルールの先を行く部隊、ね……。アンタ、俺のことはどこまで知っている?」
「……おそらく、すべてです。」
「この身体が壊れかけのポンコツだってことも?それを知っていて、頼んでるわけだ。」
「無茶を言っているのは承知です!この部隊を率いることができるのは、あなた以外にいないのです!」
「……いいだろう。ただし条件がある。その組織のボスは俺じゃない。アンタだ。俺はアンタの部下になる。」
「そんな……!最強のナンバーズが、だれかの部下になるなんて……!」
「予感がする。そろそろプロメトリックは動く。その時、俺が生き延びられる保証はない。
だから、トップに立つのは、正義のためならどこまでもしぶとく生き延びられる奴じゃないとダメだ。」
「それが、アタシだと……?」
「自身がないか?だったら話はこれでおしまいだ。ヘラフォースに戻るんだな。」
「……わかったよ!やってやるよ、この×××××野郎が!こき使ってやるから、ついて来やがれ!」
story
騒がしい夜はつづく。夜風にあたりたくなった君は基地を出た。
すると、意外なことに、アレイシアが君のあとをついて出てきた。
ありがとう。いつも助けてくれて。さすがボクらの先輩だね。
もとをただせば、君の方が先にゾエルたちのもと働いていた。アレイシアはそれを言っているのだ。
もっとも、当時は地域ふれあい課として地味な仕事はかりをしていたが……。
ヒーローは戦うだけじゃない。みんなの生活を守るのも大切な仕事だよね!
それに、どんな苦しい時でもボクが踏ん張れるのは、魔法使いさんたちのおかげでもあるんだ。
ヒーローはひとりじゃない。いろんな世界にいろんなヒーローがいて、みんな、なにかを守ろうとしている。それがわかったからね。
なにより、どこか遠くの世界で、魔法使いさんも戦っている。それを考えると――
「負けんとよおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!」って、力が湧き上がって、何度でも立ち上がれるんだ。
アレイシアが、拳を握り、君の前に突きだす。
それはこちらの台詞だよ、と君は言い、突き出された拳に、自分の拳を重ねた。
楽しい時間は過ぎていく。夜も更け、送別会も終わりの時を迎えていた。
ネーレスは一同の前に出て、最後のあいさつをすることになった。
ナンバーズになっても、ここで得た経験を生かして、みんなを救う……ヒーローに……。
別れの言葉がそこで途切れる。
ネーレスは顔をくしゃくしゃにして涙を流していた。
そう言ったきり、言葉を詰まらせ、ネーレスはうむいてしまう。そこへ――
突然の叫びに、ネーレイスが顔をあげると、アレイシアが己の頬をトンと叩きニッと笑っていた。
ネーレイスは少しだけ戸惑い、それから拳を固く握ると仲間に向けて駆けだした。
離れても、想いはなにも変わらない。隣で戦うだけが仲間ではない。交わした拳が、そう伝えていた。
ほーほっほっほっ!冗談はよしてくださる?わたくしがポセイドンⅡになった以上、ヴァンガードの出番なんてありませんわ!
アレイシア!エウブレニャ!このポセイドンの足を引っ張らにゃいよう、せいぜいがんびゃることにぇ!
そう言って、ネーレイスは高笑いをあげながら、去っていった。
アレイシアやエウブレナでは、別れが辛くなる。君は師匠の配慮に納得し、うなずく。
独り占めしたいだけなのかも、と思いながら、君はネーレイスを追って基地を出た。
(私もいつまでも先延ばしにはできない……。そろそろ覚悟を決めるべきなのはわかってる。……でも、あともう少しだけ……。)
通信がつながるなり、君は叫ぶ。ヴァンガート隊、出動だよ、と。
「「「「「了解!」」」」」
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