【黒ウィズ】ARES THE VANGUARD RAGNAROK Story8
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みんな!大切なことを言うから、よく聞いてね!
このお話はARES THE VANGUARD RAGNAROKのネタバレを含んでいます。
エピローグの直前に入るエピソードなんだよね。だからいろいろバレバレになってんの。できるなら本編の後に楽しんで欲しいなあ。
本編がまだのみんなは、ここで右上のMENUから、スキップを選ぶといいぞ!
……どう?ネタバレOKの人だけが残ってくれたかしら?
そんじゃあ始めよっか。せ~の――
目次
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やれやれ、神との戦いが終わったと思ったら、早速ナンバーズを招集か。宮仕えは辛いねえ。
ま、いろいろ状況が変わったし、すっぽかすわけにはいかないだろうけど……。
会いづらいよなあ、お兄ちゃん。おいらが死んだと思ってたんでしょ?会うなり抱きついてきたりしたらどうしよ。
ご苦労だった、Ⅻ。まずは無事を喜ぶとしよう。
報告はすでに受けている。ハデス神のはからいだそうだな。死んだはずの部下の蘇生も確認している。
負傷者は多く、この街が無傷とはいえないが、あれだけの戦いであったのだ。この結果は快挙と言えよう。
Ⅻは肉体の不調が完治したそうだな。
え、あ、はい。すごい調子いいです、はい。
……………………ぉぉ…………
……ふむ。ならば、これまでの分も、仕事をしてもらうとしよう。当分は休めると思うな。
(やりづら~~~……。)
滂泥たる涙を流しながら何事もなかったかのように仕事を続けるアポロンⅥの姿は、それから数日続いた。
えっ、ふたりとも、尊っ……。やばすぎでしょ……。
そんなふたりを見ながらぷるぷる震えるアルテミスⅧの姿も、やはり数日続いたのであった。
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私がナンバーズに復帰か……。しかし、良いのか?私のしでかしたことは理解しているのだろう?
もちろんです。貴方の出した直接的な被害がアポロンⅥの負傷だけだと言うことも、です。
また、結果論を言うならば、神の侵攻を警戒していたあなたは正しかった、ということもできます。
なにより、市民があなたを望んでいるのです。罪の意識があるのならば、市民に仕えることで贖罪とすべきでしょう。
しかし……。そう簡単に信用されるわけには……。
条件は伝えたよね?X同様、僕の読心を防がないこと。これなら悪いことなんてしようがない。
いまだって、君の心は僕に聞こえているんだ。信じるも信じないもないよ。
……わかった。堕罪のためだ。恥を受け入れ、この身を市民に捧げよう。
それはよかった。けど、ひとつだけいいかな?
大事な話の最中に、食べたスイーツのことを考えるのはやめてくれないかな?
ち、違うのだ!あれは本当に美味しくて!そう、食感だ!食感が新しかったのだ!
ホントにやめてよね。僕まで食べたくなってきたじゃないか。
そう思って、みんなの分を買ってきたよ。とりあってえず、お茶にしない?
Ⅺの処遇も考えねばなりませんが……甘いものに罪はありません。お茶の準備をしましょうか。
やっぱそんな感じ?そう思って、もう用意しといたよ。食べよ食べよ。で、その後はピラティスね。
その日の神卓の間のティータイムは、たいそう盛り上がったという。
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いらっしゃいま……。
……なにをしに来たのだ?
え~?お客様にその態度はありえないと思うなー。
なにがお客様だ!貴様だろう!最近毎日、私へのクレームを本部に入れているのは!
ある特定の客にだけ優しいとか、ある特定の客の所にだけ宅配をしているとか、ある特定の客にだけ割引をしているとか!
う~ん、でもそれって、全部ただの事実じゃないかなあって、Xちゃんは思うのでした。
事実だから怒られるのだろうが!
やだ逆ギレだ、こわ~い。
……はあ。まったく、昔から君は理解しかねる。
ヘパイストスⅪに訊ねたのだよ。君の娘の事件やアテナⅦの母親の件に、裏で手引をしていた者がいたらどうする、と。
即答されたよ。
「あり得ないね。僕をだれだと思っているんだい?あらゆる手を使って、何年もかけて、事件について調べ上げたさ。
僕の娘の事件にも、ネルヴァの母親の件にも、裏なんてなにもない。黒幕なんていたらとっくに処分してるよ。」
へ~、そ~なんだ~?ふっしぎ~。
ふざけるのもたいがいにしたまえ!なぜ自分が黒幕の素振りをしたのだ!貴様の話はどこまでが真実なのだ!
やだ、店員に怒られた、変な店……。
ま、この世界からアレスの神話を消したのはぼくだ。それは間違いないんだから、細かいことは考えず、憎んでくれればいいよ。
それにぼくばっかり責めるけどさ、君だってたいした嘘つきだよね。
やっとわかったよ。君が知っているというゼウスの秘密って、ブリンガーのことだったんだろう?
……私はティタノマキア以前を知っている。異界より戻ってきたゼウスが、奇妙な力を手に入れているのはわかっていた。
それがどこか、〈神話に終焉を告げる獣〉に近いものだということもな。
もっとも、あれほどの存在だとは思わなかった。ゼウスは露見を恐れるあまり、疑心に囚われていたのだろうな。
どのみち、神の力を失ったぼくたちにはもう関係のないことさ。ゼウスのことはハデスたちに任せるとするよ。
というわけで、今日は店員に怒鳴られたってクレーム出しておくよ☆まったねー☆
ははははははははは。二度と来ないでくださいませ!
そんなー部始終を、店に入ろうとして、自動ドアの前で止まって見ていたネーレイスがつぶやいた。
ものすごく入りづらいですわねこのお店……。
ふっ……メルクリアのやつ、いい顔で笑うようになったじゃないか、まるで笑顔のようだ。そう思わないか?
い、いましたの!?
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正式にナンバーズに復帰するんだってな。
ま、身体も治っちゃったしね。これまでⅫは極秘任務に携わっていたって、そういう形で公表するってさ。
悪いが、ヴァンガードの隊長は引退だな。こっちはアンタとアレイシアに任せるさ。
それじゃ、敬語に戻った方がいいですかね、ナンバーズ様?
よしてよ、も~。おいらとボスの仲じゃないの。ていうか他のナンバーズにもタメ口でしょ?
それもそうだったな!
で、そんなことより、ビデオレター、ちゃんと持ってる?
ああ、ほらよ。
ゾエルは何枚かのデータチップを投げてよこす。ヴァッカリオが遺言代わりに残していた、各人へのビデオレターが入ったチップだ。
助かった~。こんなもん見られた後で、ノコノコと生きて帰ってたら恥ずかしすぎでしょ。
つっても、何人かにはもう渡しちまってんぞ。アレイシア、ハルディス、コリーヌ――
へいへいヘーい、泣かせんなよなあ。お前、オレのこと好きなのかあ?手えつないでやろうか、なあ?
隊長!自分、感動したっす!ウチみたいな元ヴィランのこと、あんな風に思っていてくれてたなんて!
ちょっ、やめて恥ずかしい!忘れてちょうだいってば!
まとわりつくふたりをなだめて、部屋から出すのに、小ー時間ほどかかった。
ふう、やれやれ。余計なもん作るんじゃなかったまったく。さっさと残りのを処分しないとな。
えーと、これがエウブレナ宛。こっちがネーレイス宛。んで、これがお兄ちゃん宛、と。
いや~、危なかった。こんなもん見られたら、お兄ちゃんと会うの気まずすぎでしょ。
……Ⅵとの交渉材料に使えるかもしれねえな。おい、やっぱそれこっちにくんねえか?
やめてってばそういう……。
話はじっくりと聞かせてもらった。
お兄ちゃん、いまロッカーから出てきたよね!?
そのようなことはどうでも良い。さあ、チップをこちらに渡す条件を教えてもらおうか。
どうでもよくないよ!おいらたちけっこう長話してたよ!?ずっと入ってたの?ねえ?
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ボクがヴァンガードの隊長に?
エウブレナはⅣとしてハデスフォースに、ヴァツカはⅫとしてディオニソスフォースに、それぞれ戻らなきゃならねえからな。
そっか……ゴッド・ナンバーズだもんね。仕方ないか……。
ま、そもそもアレイシアがナンバーズになった時点で、おいらのここでの役割なんて終わったも同然だったしね。
ちょっとは真面目に働くとしますよ。
私を認めてくれた皆さんのためにも、ハデスⅣとして覚悟を決めなくてはいけないわね。
ナンバーズ様にいつまでも始末書ばっか書かせとくわけにもいかねえしな。
なに、安心しな。ヴ゛アンガード所属を希望する新人が増えてるんだ。いまにどこよりもでかい部隊になるさ。
う~ん……でもやっぱりちょっと淋しいぞ。
肩を落とすアレイシアに、エウブレナはクスリと笑うと、こう告げた。
アレイシア、手を上げなさい。
手?あ、そうか、ハイタッチだね!
……うん、別れに涙は似合わない!よっしゃ、エウさん、いっちょこいやあ!
力強く上げられた手のひらに向けて、エウブレナはゆっくりと近づき――
そのままアレイシアを抱きしめた。
わわっ!な、なんですかあ!
ありがとう、アレイシア。貴方に出会えなければ、私はヒーローにはなれなかった。
ヴァンガードでの日々は、私の宝物よ。この思い出がある限り、私はヒーローであり続けるわ。
エウさん……。
驚き、固まっていたアレイシアもまた、エウブレナの背に腕を回し、抱きしめる。
ボクもだよ、エウさん。エウさんがいたから戦ってこれた。エウさんがいたから、ヒーローでいられたんだ。
ありがとう。
ヴァッカリオはその光景に優しい笑みを浮かべ、ふたりに近づくと、ふたりの頭にそっと手を置いた。
ふたりとも、よくやったな。もう俺が教えられることはなにもない。
お前たちは俺の誇りだよ。これからのオリュンポリスをよろしくな。
うん!でもディオニソスⅫも、まだまだ最強のヒーローなんだから、一緒にがんばろうね!
そうですよ、Ⅻ。これからはおなじナンバーズとして、よろしくお願いします。
後輩に情けない姿は見せられないからな。がんばらせてもらうさ。
ヴァンガード本部に3人の笑い声が響く。
その夜は彼女たちを見守るように、事件のない、静かな夜であった――
が、数日後。
なんか、結局ほとんど毎日、エリュマで会ってるね。
ここのエリュマ、私の職場からも近いし、品揃えが他のところと全然違うのよね。ここを知ってしまうとよそはちょっと……。
そーそー。パワフルワンを仕入れてくれるエリュマなんて、ここくらいなのよ。もう離れられない身体になっちゃったね。
というか隊長。よく考えたら私、隊長から教えていただいたことなんて、なにもない気がするんですが……。
ヴァカ隊長、ヴァンガードだと飲んでるか寝てるかだったもんね。
情けない姿を見せられないっていうのも、もうー生分は見せていただいてますし……。
え、いまさらそれ蒸し返しちゃうの?いい思い出にしちゃおうよ、そこは。
これはアレだな。酒が足りないんだな。てんちょ~!パワフルワン、あるだけ持ってきてちょうだい!
飲ませるんじゃねえって言ってんだろうが!
ずいぶんと盛り上がっていますわね。わたくし、今日は出動だらけでくたくたでしたのよ。
あーしも~。癒やしが欲しい~。アレイシアちゃん、岩盤浴いかない?
うむ。それならば私の区に良い浴場がある。今度、みなで入りにゆくとしよう。
……ここってさあ、たぶん世界で一番安全な店だよな。
ナンバーズが何人も常連っすからね。どんなヴィランもここは狙わないっすよね。
あはは。少しでも楽しい時間をお届けできていましたらなによりです。だってここは――
お客様の幸せが我々の楽園。エリュマです。
01. ARES THE VANGUARD 1・2・3 | 2019 10/07 |
02. 巨神vs戦神 | 10/11 |
03. アレイシア&エウブレナ編(謹賀新年2020) | 01/01 |
04. ARES the VANGUARD(魔道杯) | 02/21 |
05. ARES THE VANGUARD Ⅱ ~英雄大戦~ 序章・1・2・3・4・5・6・7 | 2020 03/30 |
06. アポロニオ&ヴァッカリオ編(GW2020) | 04/30 |
07. アレイシア編(GP2020前半) | 08/31 |
08. ヴァッカリオ編(GA2020後半) | 09/17 |
09. ARES THE VANGUARD Ⅲ ~ジャスティスカーニバル~ 1・2・3・4・5・6・7 | 2020 11/13 |
10. アレヴァン編(8周年) | 2021 |
11. ~RAGNAROK~ -鼓動-(魔道杯) | 06/25 |
12. ARES THE VANGUARD Ⅳ ~RAGNAROK~ -終焉- 序章・1・2・3・4・5・6・7・後日談 | 06/30 |