【黒ウィズ】ARES THE VANGUARDⅡ Story
プロローグ
特に何事もなく街道を歩いていた時のことだ。
「ヒマにゃ。」
師匠がそんなことを言い出した。どうやら刺激に慣れすぎて、日常では物足りなくなってしまったらしい。
「あの異界はなかなか刺激的だったにゃ。ほら、あのヒーローがたくさんいる異界にゃ。キミもたまには変身とかしたらどうにゃ?」
そんな無茶を言われても……と君が眉をひそめると、師匠に怒られた。
「なんでそうやってすぐに諦めるにゃ!そんなんじゃー人前の魔道士になれないにゃ!とりあえず変身のマネだけでもしてみるにゃ!」
あ、これ退屈しのぎにつきあわされているだけだな、と君は察したが、仕方がないので言われたとおりに変身のマネをしてみた。
起きたらんかい、神器!と君は――
――言った次の瞬間、見覚えのある異界にいた。
「待たんかいアホンダラぁぁぁぁ!!おいの目が黒がうちは、ヴィランは逃がさんばぁぁぁい!」
「にゃ!危ないにゃ!」
「ん?お?キャット先輩!ということは、魔法使いさんもいるね!」
ひさしぶり、と君は挨拶をした。
彼女の名はアレイシア。かつて君がこの異界を訪れたとき、後輩としておなじ職場で働いていた子だ。 ――1日だけだが。
「その様子だと、アレイシアは仕事中にゃ?」
「その顔!君も手伝いたいって感じだね?」
自分も地域ふれあい課のー員だからね、と君は胸を張った。
「さっすがザ・ヒーローだ!でも、地域ふれあい課じゃないぞ。いまのボクたちは、ヴァンガードだ!
「ヴァンガード?それはいったいなんにゃ?」
「よぉぉぉぉぉぉぉぉし!ひさしぶりのフルメンバーだ!ヴァンガード、出動じゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
なにも説明してくれないアレイシアに、変わってないなあ、と思いながら、君はオリュンポリスを駆け出した。
***
この異界では神話還りと呼ばれる特殊な力を持った人々が、公務員として日々、悪党と戦っている。
かつてここを訪れた際、君はその組織の末端、地域ふれあい課のー員として働いていたのだが――
「じゃあ、地域ふれあい課がヴァンガードって名前に変わったにゃ?」
「君たちがいなくなったすぐ後にね。だから今では君たちもヴァンガードだぞ!ふふん、うれしいでしょ!」
名前がカッコイイに越したことはないね、と君は同意した。
「だよね!ヒーローは、カッコよく!あ、見えてきた!」
君とアレイシアは暴走した機械を追っていた。だが、追いついてみると様子がおかしい。
機械はすでに地に倒れ、動きを止めており、そのかたわらに何者かが立っていたのだ。
「遅かったわね。とっくに片付けてしまいましたわ。
ヴァンガードなんてグズなクズの集まりね。わたくしのような本物のヒーローには敵うはずがないのよ。」
少女は嘲るような瞳でアレイシアを見ていた。明らかに挑発している。
「あらぁ?どうしたのかしら出来損ないさん?わたくしになにか言いたいことでもおあり?」
「あるぞ。」
アレイシアはー歩前に出ると、手を振り上げ――敬礼をした。
「お疲れさまです!おかげで速やかに事件を解決できました!ありがとうございます!」
「え?いや、あの、わたくし、いまあなたをバカにして……。」
仲間は大切だね、と君はうなずいた。
「あの、手柄を取られて悔しいとか、そういうのは……。」
「よぉぉぉぉぉし、仕事は終わりごはん食べよう、ごはん!ハンバーガーおごるぞ!」
「私はピザがいいにゃ!」
君はうなずき、ツナマヨコーンがいい、と言った。
「了解!ピザはやっぱペパロニだよね!うおぉぉぉ!お腹空いたぁぁぁぁぁ!」
「ええ~……。」
あらすじ
ルールでは救えない人々を救い活躍してきた特殊部隊「ヴァンガード」。
しかし規律を重んじるヒーローの中には、彼らを快く思わぬ者もいた。
ヴァンガードを潰すために動きはじめたトップヒーロー、ゴッド・ナンバーズ。
異なる正義を掲げるヒーローとヒーロー。
対決の時が迫っていた――
01. ARES THE VANGUARD 1・2・3 | 2019 10/07 |
02. 巨神vs戦神 | 10/11 |
03. アレイシア&エウブレナ編(謹賀新年2020) | 01/01 |
04. ARES the VANGUARD(魔道杯) | 02/21 |
05. ARES THE VANGUARD Ⅱ ~英雄大戦~ 序章・1・2・3・4・5・6・7 | 2020 03/30 |
06. アポロニオ&ヴァッカリオ編(GW2020) | 04/30 |
07. アレイシア編(GP2020前半) | 08/31 |
08. ヴァッカリオ編(GA2020後半) | 09/17 |
09. ARES THE VANGUARD Ⅲ ~ジャスティスカーニバル~ 1・2・3・4・5・6・7 | 2020 11/13 |
10. アレヴァン編(8周年) | 2021 |
11. ~RAGNAROK~ -鼓動-(魔道杯) | 06/25 |
12. ARES THE VANGUARD Ⅳ ~RAGNAROK~ -終焉- 序章・1・2・3・4・5・6・7・後日談 | 06/30 |