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キラキラしていた夜・ストーリー

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キラキラしていた夜

プロローグ


正月十四日早朝

鬼谷書院


 最後の灯篭を古い木の一番高いところに吊るした後、一行は新しい灯りで飾られた中庭を満足げに見渡した。


老虎菜:ようやく終わった!灯篭が飾られただけでこのしょぼい庭もこんなにキレイになるんだな。

蛇腹きゅうり:ええ。明日の夜には灯篭祭りを迎え、灯篭が一斉に灯される。さらに賑やかになるに違いない。

雪掛トマト:もちろんよ。灯篭の模様も、その上に書かれたなぞなぞも、ぜーんぶ餅米蓮根が書いたものよ、お金で買えないわ。

老虎菜餅米蓮根すごいな。これ全部お前が書いたのか?!何百個の灯篭を一人で?どれぐらいかかった?

餅米蓮根:あっ、いいえ……その……皆さんの力になれれば……

老虎菜:てことは、なぞなぞも自分で考えたのか?

老虎菜:さっきから気になってたんだ。「日が落ち、香り残る、凡心から一点を取れ」ってどういう意味だ?

餅米蓮根:これらのなぞなぞは全部父上の本から抜粋したもので……あれは文字当てのなぞなぞです。

老虎菜:文字当て?参ったな、お題の意味がわからない。

蛇腹きゅうり:考えてみてくれ、この前虎たちが換毛期になって、抜け毛がひどかったではないか?このまま抜け毛が続くと虎たちがどうなるか……と心配していただろう?

老虎菜:換毛期……そうだった!ハゲるのが心配だった!答えは「禿」か!

餅米蓮根:はい!ご名答です!

老虎菜:当たった?いやぁ、題目から難しいんだよな。字は読めるけど、組み合わせると分からなくなるよな。なんかこう…もっとわかりやすいやつないか?

雪掛トマト:あった。これならあなたにも分かるはずよ。「顔があるのに口がなく、足があるのに手がなく、それでも食べたり飲んだりもする。」物当ての灯謎よ。

老虎菜:食べたり飲んだり?こいつも酒好きか?じゃあ口と足がないのは…

クラゲの和え物:ばかばか!物当てなんだから酒好きってなによ。答えは「机」よ!

老虎菜:……?!


 クラゲの和え物が笑いながら太い木の枝に逆さまにぶら下がる。その場にいる全員が自分を見てびっくりした様子を見て、とても満足そうに足を揺らしている。


老虎菜:現れる前にまずは挨拶してくれないか?

クラゲの和え物:ふーんだ!いやよ。あら、かの有名な蓑衣黄瓜が顔真っ青になってる〜!まさかびっくりした?

蛇腹きゅうり:そんなわけが…!おい、さっきは金駿眉のところにいただろ、ここに来て何をする。

クラゲの和え物:あー、謎解きを聞くのに夢中で、危うく大事なことを忘れてしまった。

クラゲの和え物金駿眉はいま、プレゼントを断るのに保護者に囲まれてるよ、そうそう。あの保護者が、自分の子があなたと…雪掛け姉さんと仲がいいって言っていたよ。行ってみたら?

雪掛トマト:ふーん。老虎菜餅米蓮根、もう帰っていいよ。私は蓑衣黄瓜と様子を見に来る。

老虎菜:あれ?


 雪掛トマトが説明を終えた。老虎菜はまだ謎解きに没頭している、彼女にぽんと肩を叩かれて、彼はようやく我に返ったのだ。そして、振り向いたら庭にはもう誰もいない。みんなは用事で出かけた。


老虎菜:もう行っちまったのかよ…餅米蓮根、どうする?

餅米蓮根:どうやら緊急な要件のようですね。老虎菜兄さん、退屈してるなら一緒に灯謎を解きませんか?

老虎菜:おう!


 色とりどりの灯篭の中で、二人の談笑する声が庭中に響く。そして、何時の間にか笑い声は止み、二人は疲れてベンチにもたれて居眠りをしてしまった。

 しかし、灰色の厚い雲がゆっくりと太陽を覆い、さあっと滝のような雨が来る。強風が轟き、あっという間に庭中の灯籠は全部壊れてしまった。


餅米蓮根:うっ…何の音……?!そ、そんな!雨が!

老虎菜:……?!

老虎菜:しまった、灯篭が!


ストーリー1-2


 雨が止み、空はまだ曇っている。急いで帰ってきた雪掛トマトの前に立つのは裁きを受けている者のように首を項垂れる老虎菜、そしてその後ろにしくしくと泣く餅米蓮根だ。

 庭の中は落花狼藉、にわか雨でびしょびしょに灯篭たちは、強風にズタズタに千切られた。


雪掛トマト:こ、これは一体…

老虎菜:全部俺のせいだ。寝ぼけてしまって……灯篭は全部、雨で台無しになった。

餅米蓮根:違います。私がいけないんです。謎解きに夢中で……老虎菜兄さんが灯篭まつりの準備で疲れているのに……私、無理やり老虎菜兄さんに付き合わせたから……

老虎菜餅米蓮根には関係ない!俺のせいだ!

餅米蓮根:ち、違います!老虎菜兄さんはなにも悪くないです!

雪掛トマト:まあまあ。二人とも落ち着いて。どちらのせいでもない。だって、こんな時に雨が降るなんて誰も思いつかないもん。

蛇腹きゅうり:そうだ。みんながここにいたとしても、これほどの数を全部救出することはできないだろう。ただ…明日の祭りはどうなるか……

老虎菜:待てよ。坂の下で既製の灯篭が売ってるはず。それで足りない分を補填するのもアリじゃないか?

雪掛トマト:確かに、今から灯篭を作っても間に合わないし、既製のもので補填するのも悪くない方法だ。でも、明日が元宵節だ、おそらく灯篭も売り切れてるでしょうね。

老虎菜:やってみないとわからないだろう?今すぐ山を降りて買いに行くぜ。

餅米蓮根:わ、私も行きます!

雪掛トマト:ちょ、ちょっと待って……店舗の場所はまだ教えてないのに!



 スープ団子やお餅、路上でお菓子を売っているお店がずらり。通りには食べ物のいい匂いが漂い、人の食欲をそそる。老虎菜は唾を飲み込み、意思を固め、餅米蓮根と街中に灯篭の店を探している。


店主:よう、お兄さん。何を探しているんだ?

老虎菜:ここに灯謎の書かれた灯篭が売ってないか?

店主:残念ながら、あるお客が数日前にうちの灯篭を全部買ったんだ。他のものも見てくか?このウサギの灯篭もオススメだよ!そちらのお嬢ちゃんに似合うよ!

老虎菜:だい、大丈夫!俺らまだ用事があるので……

店主:ええ、お兄さん!だったらこの蓮華の灯篭を見てください!昔から、女の子がこの蓮華の灯籠をもらうと、未来が順調になり、願い事は全部叶うと言われているぞ。

店主:看您俩兄妹,这妹妹乖巧喜人,哥哥又威武飒爽,可不得趁这上元佳节再添份喜气!

(翻訳:見てください、二人の兄弟姉妹。妹は可愛くて明るく、兄は力強くて勇敢です。この元宵節を楽しみに利用してはいけません!)

老虎菜:じゃあ…二つ……いや、三つください。

餅米蓮根老虎菜兄さん……


 二人がしゃべっている間、隣から聞き覚えのある声がした。



マオシュエワン:よう、老虎菜!やっぱお前たちだな!おや?今日は山降りて何しに来たんだ?

金華ハム老虎菜……え、マオシュエワン、この人はお前の友達か?


―――

⋯⋯

・喧嘩強そうだな!

・その格好、武術経験者だろ!

・おおっ、良い体してんな!

―――


マオシュエワン:おい、俺の友達に手を出すんじゃないぞ。しばくぞ。

金華ハム:チェッ、やるか?たたきつぶしてやる!

老虎菜:ちょっと……お前たち……

老虎菜:おい!二人ともいい加減にやめろーー!


 老虎菜の怒鳴りが通りすがった者たちの視線を集めた。おずおずと彼の背後に隠れている餅米蓮根は、必死に涙をこらえている。喧嘩の最中の二人も、何か恥ずかしくなって手を離す。


餅米蓮根:喧嘩は……良くないですよ。

マオシュエワン:お前が勝手に発狂したから、女の子を泣かせたじゃないか!今日は見逃してやる!二度はない!

金華ハム:は?発狂しただと?チェッ、お互い様だ!ったく……早く灯篭を買って機関城にもどるぞ。

老虎菜:灯篭?お前たちも灯篭を買いに?

マオシュエワン:そうだよ。あのバカ鳥のせいで散々苦労したよ!先日に灯篭を大量に買ったのに、今日になってまだ足りないって言ったから、早速買いに来たんだ。

金華ハム:この一帯の灯篭は全部彼に買い占められたくせに、今頃どこに行って灯篭を買えばいいんだ?

老虎菜:そんな大量な灯篭を買って何をするんだ?

マオシュエワン:わからない。なんだ?お前も灯篭を買いにきたのか?

老虎菜:ああ。その……あれだ。あれほど大量の灯篭、すぐには使い切れないと思う。できれば、ちょっとだけ譲ってくれないか?もちろん金は出すよ。

マオシュエワン:大した用事に使わないと思うよ。いっそ、あいつのところに連れてってやろっか?今なら杏花楼で酒を飲んでるはずだ。


ストーリー1-4


 四人は杏花楼につく時、辣子鶏東坡肉は酒を飲みながら談笑している。とても機嫌が良さそうだ。


マオシュエワン:バカ鳥……辣子鶏、ちょっと。

辣子鶏:なんだお前たち……ん?あいつらは?

マオシュエワン:鬼谷書院の者だ。前にも言ったことあるだろ?

辣子鶏:鬼谷書院?

老虎菜:俺は老虎菜だ。マオシュエワンから聞いた。お前は灯篭を大量になったって……だからその…ちょっとだけでいいから、その灯篭を譲ってくれないか?値段はお前が決めていいから。

辣子鶏:灯篭を?ダメだダメだ!こっちも数が足りてないのになんでお前なんかに……小僧、なんか用か?

餅米蓮根:うっ、辣子鶏兄さん……本当に、本当にダメなんですか?ちょっとだけ、ちょっとだけでいいですから。

辣子鶏:だ、ダメだ!そんな目で俺を見つめるな!

金華ハム:おいおい、ちょっとだけならいいだろ?この薄情者め。

辣子鶏:ダメなもんはダメだ。お前ら、ほかを当たるんだな。

マオシュエワン:店ならもう行ったぞ。灯篭は全部お前に買い占められたって店主たちが言ってた!

金華ハム:数千個の灯篭を買ったのは本当か?何をするつもりだ?

辣子鶏:もちろん大切なことに使うに決まってるだろ!小僧には何がわかる!

マオシュエワン:おかしい。数千個も買ったなら、機関城は今あちこちで灯篭を見かけるはずだ。しかし、今朝出かける時、数個しか見当たらなかったぞ。残りの灯篭はどこに使ったんだ?

金華ハム辣子鶏、お前、いったい何を企んでる?

辣子鶏:おい!いい加減にしろ!普段は喧嘩ばかりしてるのに!いつそんなに仲良くなったんだ?!

辣子鶏:実は、灯篭はすべて他で「使って」しまったんだ。しかも取り外すことはできない。書院の力になりたいが、今回は無理だ。すまない。

マオシュエワン:取り外せない?……これはどういう……

東坡肉マオシュエワンよ。彼はとある人を喜ばせるために、必死に考えてやっとこの妙案を思いついた。これ以上は聞かないでくれ。

辣子鶏:?!おい、東坡肉!何をバカなことを!

辣子鶏:とにかく、用事ができたから機関城に戻るぞ!じゃあな!

マオシュエワン:用事って……馬鹿言うな!おい!

金華ハム:怪しい……あいつ、何を企んでるんだ?

東坡肉:ふっ、吾もそろそろ帰るとしよう。灯篭の件、すまないが別の方法を試すしかないようだ。では吾もこれで。


―――

⋯⋯

・どうやらこうするしかないみたいだ……

・大丈夫、他に方法はないかを考えてみるよ……

・後で他の店に聞いてみるよ……

―――


 老虎菜ががっかりして頭を垂れた時、ボロボロのみすぼらしい服の男が近寄ってきた。


男:盗み聞きする気はないが、先ほど灯篭が買い占められてどこにも売っていないと、言ったのかね?

男:家には使わなかった灯篭が何百個も残っている。低価格で譲るよ。どうかね?

老虎菜:本当か?!いるいる!

男:ついてきて。


ストーリー1-6


 四人が男の後を追って荒廃した家に行くと、床一面に白い灯篭が散らばっており、全て手作りのものだが、とても粗末に見える。


男:灯篭なら全部ここにある。数えたことないけど、五百…六百個はあるはずだ。

男:要るなら全部持っていくといい。

金華ハム:ゴホゴホ……灰がすごい!おい、この灯篭どう見ても半製品だろう!

男:そうだ。だから安く売ろうと思ってな。

マオシュエワン:こんな雑な商売ある?あれ?あの灯篭はいいんじゃない?


 マオシュエワンの指差す方向を見ると、机の上に精巧な灯篭が置かれている。すこし古びているが、模様は綺麗なままだ。


老虎菜:いいね!ちょっと古いけど、新しいやつないか?

男:あれは…非売品だ。

金華ハム:非売品?


―――

⋯⋯

・ちょっとおっさん、そんな商売のやり方はないだろ!

・おっさん、どういう意味だ?金なら十分ある!

・おいっ、良い物を隠して売らない道理はないだろ!

―――


男:とにかく、あれを売るつもりはないんだ。他の灯篭を買う気ないなら、帰ってくれ。

餅米蓮根:待ってください叔父さん。私たちは灯篭を買って祭りで使うんです。あの灯篭の模様がとても綺麗だから、それを庭で飾ったらみんな喜ぶと思って……

餅米蓮根:あの灯篭は叔父さんが描いたのですか?その……こんなに綺麗な灯篭は他にありませんか?

男:ないんだ。あの灯篭は亡き父の遺品だ。床にある半製品ももともとあんな灯篭に……しかし、父が出来上がる前に死んでしまった

金華ハム:……


 部屋中は一気に悲しい雰囲気になった。全員がシーンとする中、餅米蓮根は悪いことでもしたかのようにじっと頭を垂れた。男は苦笑いしながら首を横に振り、喋りだした。


男:父は、先月に他界した。前触れもなく突然亡くなってしまったから、これらの紙灯篭しか残さなかった。

男:本来ならば、模様をかき、色を塗り……木材を適切な尺寸と形状に切ってベンチを作る。最後は灯篭と組み合わせれば、龍灯の出来上がりだ。

老虎菜:ベンチ……龍灯?もしかして、あの有名な橋灯のことか?!

男:おう?よそからの者の割に、橋灯のことを知ってるとは……今時の若者は、橋灯のような古臭い物に興味ないからな。

男:父は村の龍舞隊のリーダーだった。そして唯一、灯篭の模様を描ける人だった。彼が亡くなってから、龍舞隊も解散になり、やがて灯篭も使われずにここに置いたままだ。

マオシュエワン:だから安く売ろうとしたのか……知らずに失礼なことを言ってしまって……悪かった。

男:いいんだ。そんなことより……これらの灯篭は、父が急遽作ったものだから、いつものと比べれば、確かに粗末な作りだ。

男:父は……龍舞隊の最後の公演のために必死に頑張ったんだ。なのに……父が先に倒れるとは……でも確かに、その年で若い頃のように一晩中灯篭を作るなんて無理にも程がある。


 男の濁った目から大きな真珠のような涙がぽろぽろと落ちる。ずっと黙って聞いていた餅米蓮根は手を出して、彼の涙をそっと拭いてあげた。


餅米蓮根:叔父さん、龍舞は……もう見れないんですか?私はまだ見たことがありません。

男:皆この年だ、後継者も見つからない限りでは、今年は最後の公演を完成して解散する予定だった。でも……この最後の公演も……実現できないだろう。

男:隊員たちも生活を維持するために必死なんだ。灯篭を売るのも、その金で元宵を買って、父を弔うつもりだ。

餅米蓮根:……

老虎菜:いや。そんな終わり方じゃ寂しすぎるだろ!今年が最後の公演ならば、俺はそれを実現させたい!


ストーリー2-2


老虎菜:いや。そんな終わり方じゃ寂しすぎるだろ!今年が最後の公演ならば、俺はそれを実現させたい!

男:お兄さん、それは無理だ。明日が元宵節だ、これらの紙灯篭を龍灯にするにはいくつかの工程が必要だ。明日には間に合わないんだ。

老虎菜:なぁに、力仕事なら俺に任せろ。やり方を教えてくれれば、明日の夜まで必ず龍灯を完成させる!

金華ハム:わ、私も手伝います!

マオシュエワン:おいおい俺のことも忘れんなよ。体力なら俺も負けないからな!

男:しかし……灯篭には模様を描く必要がある。私の知り合いの中で、もう描ける人はいない。

餅米:叔父さん、数日前に何百個の灯篭に模様を描きました!そんな心配はいりません。私にやらせてください!

男:こ、これは参ったな……

老虎菜:おっさん、騙されたと思って俺らを信じてくれよ。おっさんと隊員も龍舞を諦めたくないだろ?だったら協力させてくれ。

男:……

男:あぁ……ありがとう。本当にありがとう。


 皆は協力して家から龍灯の材料を運び出したが、そのほとんどがまだ半完成品で、手を加える必要があるものだった。そして、手順を丁寧に説明した後、男は散り散りになった隊員を呼び戻さなければならないことを思い出し、急いで玄関から小走りに出て行った。


金華ハム:おっさん、イキイキしてるよな。会った時と全然違う。

マオシュエワン:龍舞をする人だからな!小さい頃から厳しい修行を積んでいると聞く。

老虎菜:そうだ、龍舞は体力的にも技術的にも厳しい、しかも格闘武術と似ているところもある。

金華ハム:そういえば俺も橋灯を見たことないよな。俺たちが作ったこの龍灯はどんな風に踊るんだろ?

老虎菜:老人から聞いた話だが、元宵節の夜には、何百個もの龍灯がつながって輪になる。灯篭の光が夜を照らして、祭りの最高潮に盛り上げる。高いところから見ると、本物の龍が歩いているように見えるらしいぞ。

マオシュエワン:へえ、いいじゃない?待てよ。老虎菜、いっそ書院の灯謎大会を龍舞大会にしちゃえば?

老虎菜:あっ、そうだ灯謎大会!


―――

⋯⋯

・しまった、完全に忘れていた!

・雪掛たちはまだ書院で待ってる、この事はあいつらと相談しないと。

・わざわざ灯篭を買いに来たのに……どうしよう。

―――


餅米蓮根老虎菜兄さん、心配しないでください。

老虎菜:あれ?餅米蓮根?どこにいる?

餅米蓮根:えっと、ここ、ここにいます!

マオシュエワン:ここか!餅米蓮根背が小さいから、完全に灯篭に埋もれたよ。

餅米蓮根:灯篭が多すぎて……私、事前に手紙を出して、書院の皆さんに事情を知らせましたので、老虎菜兄さんは心配しなくて大丈夫ですよ。

老虎菜:そうだったのか、良かった。って……餅米蓮根、いつ手紙を書いたんだ?

餅米蓮根:灯篭に模様を書記載くときです。そういえば、灯篭の模様が載っている冊子を見つけました。これを参考に描いてみたのですが……どうですか?

マオシュエワン:こんなに?!三…いや、四十個もあるか。速いな。

金華ハム老虎菜、お前んとこのお嬢さんは頼もしいな。このままだと負けてしまうぞ。

老虎菜:うるさいな。みんな、気張れよ!龍灯を完成させるぞ!


ストーリー2-4


正月十五日早朝


 朝の風が大地に吹きつけ、空は次第に明るくなっていく。人々は徹夜で目を血走らせながら、まだ急いで龍灯を作っている。


マオシュエワン:もう夜明けか……龍灯はまだ半分しか完成してないぞ。

金華ハム:簡単に見えるけど、実際に作ってみたらこんなにも複雑とは思わなかった。

老虎菜:暗くなる前に完成すればいいだろ。もう半分しか残ってないんだ、みんな、頑張れ!

マオシュエワン:よっしゃー!おいハム、お前もしっかりしろよ!

金華ハム:いきなり叩くなよ。びっくりしたじゃないか!おれは大丈夫だ。お前と殴り合えるぐらい元気だぜ!

マオシュエワン:ずっと喋ってないから眠ちまったじゃないかと思ったよ。まあ喧嘩はいつでも付き合えるけど、いまは龍灯を完成させることに専念しよう。

老虎菜:皆、まだ元気そうだな。

老虎菜:そうだ、餅米蓮根、そっちはどう?


―――

⋯⋯

・疲れたら休んでいいぞ!

・強がるなよ、まだいけるか?

・一晩中灯篭に模様を描いていたから、クマができてるぞ。

―――


餅米蓮根:私は……大丈夫です!まだ行けます。


 突然、扉がそっと押し開けられ、入ってきたのは書院の者だ。


老虎菜:どうしたお前たち?

雪掛トマト:昨夜、手紙を読んだあと、人手が足りないのではと思い、夜明けに下りてきたわ。

クラゲの和え物:すごい。老虎菜、これぜんぶあなたたちが作ったの?綺麗な灯篭がいっぱい!

老虎菜:まだ半分しか完成してないんだ。そこの紙灯篭を全部龍灯にしないといけないんだ。

蛇腹きゅうり:かなりの量だ。では拙者たちも手伝おう。老虎菜、作り方の手本を見せてくれないか?

老虎菜:わかった!

雪掛トマト:灯篭に模様を描く必要があると、手紙に書いてあったわ。ちょうどいいわ、ここに来る途中で助っ人をつかまえたわ。ほら逃げない。大人しくして。

羊方蔵魚:イタタタタッ!髪をひっぱらないでください!わかった、わかったから、やめてくれ!

雪掛トマト:どこに逃げる気?高価転売の件、まだ終わってないわよ?協力してくれればまだ秘密にしてあげるけど、その態度じゃ……ね?

羊方蔵魚:わかりました。どうか誰にも言わないでください。

羊方蔵魚:逃げる気なんてないんですよ。ちょっと新鮮な空気を吸いたくなっただけです!へへっ、任せてください。私は皆様の言う通りに協力いたしますよ。

雪掛トマト:じゃあ、餅米蓮根、こいつを任せるわ。今から彼があなたの助手よ。

餅米蓮根:助手……ですか?

クラゲの和え物:そうそう。餅米蓮根、遠慮せずに命令して〜

羊方蔵魚:さっきから私ばかりをいじめていたじゃないですか……私は、貴方に何をしたのでしょうか?

クラゲの和え物:フンッ、いじめられやすい自分に聞けば?

羊方蔵魚:まあいいです。私は子供を相手にしない主義なんでね。

羊方蔵魚:模様を描けばいいでしょ?付き合いますよ。餅米蓮根、私たちも始めましょう。


ストーリー2-6


 昼過ぎ、ようやく龍灯が完成した。男は隊員たちを連れて庭に到着した。何百個もの灯篭でできた巨大な「龍」を見て、隊員たちは思わず涙ぐんだ。


男:良かった……龍灯が……本当に完成した。

男:ありがとう。この御恩をどう返せばいいものか…

雪掛トマト:いいえ。実は、今晩の龍舞について、一つ願いたいことがあるのです。

男:私たちに出来ることであれば、なんでも言ってくれ!

雪掛トマト:もともと、鬼谷書院で灯謎大会を開こうと思いましたが、残念ながら事故で灯篭が不足になったので……今夜のイベントを龍舞灯会に変更したいです。いかがでしょうか?

男:龍舞灯会……

雪掛トマト:はい!これでは灯謎を楽しむ同時に、龍舞も見られる。一石二鳥じゃありませんか?

雪掛トマト:今回、灯謎大会を参加する者は皆、我が書院の生徒です。きっと子供達も橋灯を見たことがないでしょう。こんなに素敵な出し物は先祖から受け継いだ文化の結晶です。ぜひ子供たちにも見せてあげたいですわ。

老虎菜:雪掛けの言う通りだ。龍舞……橋灯は文化の宝物だ。もっと多くの人に展示するべきだ。そしたらきっと誰かが受け継いでくれるだろう。


 皆の話を聞きながら、男は「龍」の頭を優しくさすりながら考え込んだ。突然、彼の目が光の弱い星のようにチカッと輝いた。振り向いたら、後ろにいる隊員たちも同じ目をしている。


男:よし。私たちは必ずこの龍舞灯会で最高な龍舞を完成する!

蛇腹きゅうり:招待状を多めに作って、子供たちに近所の人たちに配るのを手伝ってもらおう!とにかく、人数が集まるほど盛り上がるから、多ければ多いほどいいってことだ。皆、早く準備しましょう。

老虎菜:今から書院に帰って準備すっから!

男:お兄さん、お待ちを。

老虎菜:お、俺?

男:もうひとつ、お願いしたいことがある。

老虎菜:お願いって?

男:慣例として、私たちは公演の前に必ず1回リハーサルを行う。

男:父が年を取ってから、龍珠の操作役を私に任せた。リハーサルの時にはいつも近いところに座って、静かに見守っていた。

男:お兄さんに今回の龍珠の操作役を任せたい。リハーサルの手伝いをしてくれないか?私も隣でリハーサルの様子を見たいんだ。なぜなら、龍珠の操作役は「龍」の全体が見えないからな。

老虎菜:わかった!ただ……俺は龍舞をやったことがない。龍珠の操作役は何をするんだ?

男:龍珠の操作役には、強健な体格と素早い動きが必要だ。お兄さんは武術を練習しているから、問題ないだろう。

男:なあに、そんなに厳しいもんじゃあるまい。このリハーサルは隊員たちに龍舞する時の感覚を掴めさせるためのものだ。


 そう言いながら、彼は傍らの木箱を丁寧に開ける。その中には、きれいに畳まれた服装が入っている。


男:私たちの隊服だ。これも父が作った。本来ならば次の弟子に贈る。

男:もし差し支えなければ、この隊服に着替えて、リハーサルに協力してくれないか。


―――

⋯⋯

・うん!問題ない!

・なるほど、じゃあ始めよう!

・そんなに難しくなさそう、任せてくれ!

―――


 午後の明るい日差しが差し込む庭から時々歓声が聞こえる。観客が座り込んで、龍舞の中でも珍しい「橋灯」を鑑賞している。

 リズムに合わせて、巨大な龍が舞い踊る。日差しに照らされて眩しい光を放つ。皆が力を合わせて完成させたこの巨龍とともに、踊り手たちは汗を流しながら、大地に生気を吹き込む。


老虎菜√宝箱


正月十五日夜

鬼谷書院


 日の丸のように大きな月が夜の幕を開ける。どらや太鼓の音が天までも響く。鮮やかな龍灯は凄まじい動きで舞い踊っている。高いところから見ると、まるで本物の龍が地上を闊歩しているようだ。

 屋上では、老虎菜は龍舞を鑑賞しながら、様々なお菓子を頬張る。


雪掛トマト:あら、こんなとこにいるのね。探したわ。

老虎菜:雪……雪掛けか。

雪掛トマト:やはりここの眺めはいいわね。書院の灯篭は半分減ってるけど、主役の龍灯をより一層際立たせたわ。

雪掛トマト:あら?その格好……リハーサルのあとに着替えなかった?

老虎菜:おっさんから龍舞の才能があるって言われて、この服をくれたんだ。龍舞隊に入ってくれまで勧誘してきたんだ。でも俺は普段忙しいし、祝日だけならって断ってきたんだ。

雪掛トマト:それにしてもあなた、この服にすごく似合うわ。トラ柄の肩掛けも付いてるわ。

老虎菜:おかげで虎は俺に霊力を使ってこの色にも変えてくれって言い出したんだ。

雪掛トマト:うん?でも一匹しか変えてないじゃん。

老虎菜:龍灯を作るのに徹夜して何も食わなかったから霊力が足りないんだよ!とにかく、今からエネルギーの補充が最優先だ!

老虎菜:ま、待って……雪掛け、後ろに何かいる!


 鬼火らしき何物が、雪掛けの背後から飛んでくる。老虎菜がびっくりして固まった隙に、怖い顔に変形して彼に襲いかかる。


老虎菜:うわあ!お化け!?

クラゲの和え物:ハハハハ!ドッキリ大成功!老虎菜、ビビりすぎて棗餅落としたのか?

老虎菜クラゲの和え物!?お前、花灯で人を驚かすなよ!

クラゲの和え物:だって~お気に入りなんだもん。元宵節プレゼントありがとう~!

老虎菜:なんだ、お礼を言いに来たのか。もっとまともなやり方もあるだろう!

クラゲの和え物:もう~つれないやつだな。んじゃ、ほかの人も驚かそうっと!

老虎菜:……

雪掛トマト:そうそう、私もお礼を言わないとね。花灯、ありがとう。

老虎菜:どう、どういたしまして……喜んでくれればいいんだ。

老虎菜:元宵節に姉妹に花灯を送ることで、未来の人生を祝福してくれるって、店主が教えてくれたんだ。

雪掛トマト:でも、餅米蓮根から聞いたわ。結構高いとね。今度はちゃんと安くしてくれないかと交渉してからお金を払おうね。

老虎菜:交渉か…確かに。

雪掛トマト:では、龍舞隊の皆さんのために打ち上げ会を準備しないといけないわ。先に言ってくるね。時間になったら来てよね。

老虎菜:打ち上げ会もあるのか!よっしゃ!必ず行く!


金華ハム√宝箱


正月十五日夜

機関城


 日の丸のように大きな月が夜の幕を開ける。街中に談笑する声が絶えない。機関城のあちらこちらに花灯を手にする子供が見られる。しかし、街中の灯篭はすこし少なく見える。


マオシュエワン:なあ、機関城は鬼谷書院と比べて、暗くないか?顔もよく見えないぞ。

金華ハム:打ち上げで飲みすぎただろう?俺の手を見ろ。数字は?2+2の答えは?

マオシュエワン:しっしっしっ!俺は酔ってない!だから書院と比べれば暗いと思わないのか?

金華ハム:えっと……たしかに灯篭が少ないよな。

マオシュエワン:そうなんだよ。バカ鳥が灯篭を大量に買ったくせに、どこに使ったんだ?もしかしてあいつ、転売して……

金華ハム:そんなわけ無い、あいつはそんな商才がないんだ。

マオシュエワン:たしかに。


 二人は喋りながら、見知らぬ路地に足を踏み入れた。前方からギーという怪しい音が聞こえる。


マオシュエワン:ここはどこだ?

金華ハム:シーッ、バカ鳥の声だ。

マオシュエワン:……?


 路地の果てに、意気揚々とする辣子鶏回鍋肉を引っ張って何かをしゃべっている。ふたりの前には、変な形をした巨大な機械がそびえ立つ。


回鍋肉:……なんだこれ?

辣子鶏:なんだと思う?

回鍋肉:……

回鍋肉:わからない。

辣子鶏:アホ!刮目して見よ!


 辣子鶏が手を振ると、機械から変な音が出た。それが徐々に大きくなり、やがて耳をつんざくような音になった。回鍋肉は思わず眉をひそめる。


回鍋肉:爆発しそうなんだが。

辣子鶏:ありえん!これは俺が心血を注いだ作品だ!くそ、こんな肝心なとこに……早く動け!

回鍋肉:……?


 焦った辣子鶏は機械にパンチをぶつけた。そしたら音が奇跡的に消えた。謎の機械の関節が徐々に伸びて、ゆっくりと奇妙な形の物体に変化していく。

 辣子鶏は指を鳴らすと同時に、ぴかーんと燦爛な光が現れ、よく見れば、中にあるのはあらゆる精巧で綺麗な灯篭だ。


辣子鶏:どうだ?悪くないだろう?これ以上綺麗な兎花灯はどこにもないと自慢できるぜ。

回鍋肉:兎花灯?

辣子鶏:そうだ、お前はいったじゃないか?元宵節の時、御侍が機関術で兎花灯を作ってくれたって。俺様が作った兎花灯もなかなかいいものだろう?

回鍋肉:……

マオシュエワン:なんだよ、あれは兎だったのか?!猫だと思ってたよ。おいバカ鳥、あんなに灯篭を買って、これを作るためだったのか!

辣子鶏:おまっ!マオシュエワン……!金華ハムも?!なんでここに?!黙れ!笑うな!

金華ハム:いやーわかってないなマオシュエワン!あれは犬だ!ハハハハハッ!

辣子鶏:くそ!お前ら、喧嘩売ってんのか?失せろ!

マオシュエワン:おかしいもん見せたお前が悪いだろ!ハハハハハハハハ!

辣子鶏:逃げんな!!!!


 子供のように殴り合ってる三人を見て、微笑が回鍋肉の口角に浮かんだ。顔を上げて、機械花灯をそっとさすりながら、目は星のようにキラキラと輝いている。



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ゲーム情報
タイトル FOOD FANTASY フードファンタジー
対応OS
    • iOS
    • リリース日:2018/10/11
    • Android
    • リリース日:2018/10/11
カテゴリ
ゲーム概要 美食擬人化RPG物語+経営シミュレーションゲーム

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