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ワッフル・エピソード

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ワッフルのエピソード

様々なことに好奇心を抱き、目にしたすべてのことを知りたがる、明るくて好奇心旺盛な少女。

外観に惑わされず、その本質を探究し続ける。

現在は白トリュフの元で、楽しく研究をしている。

Ⅰ 失望

「トカ・ミスルの定理によって、巨霊の霊力はいかなる形でも自然界に存在していた物質の中に長く留まることができない……これはまったく……まったくのでたらめだ!」


中年の男が顔を真っ赤にして、演壇の上で喚いている。

男は唾を飛び散らせ、とても興奮していた。自制をできずに感情の赴くまま手に持った紙を激しく上下に振っている。


 その様子を見て、私は苦笑いをする。


 この人の論文は、もう一ヶ月も同じまま。

課題は解決せぬまま、一ヶ月前と同じことを喚いている。


 彼はこの先も何の進歩も見せず、無為な時間を過ごすのだろうか。


 私は呆れつつも、少しだけ同情した。目の前の男を見て、私はどうしようもなく残念な気持ちになる。なぜなら彼は私の先生だったから。


(そう、これまでは……)


 そこで私は目を伏せて、溜息をつく。


(でも、今はもう『違う』)


 私は諦めと覚悟を持って立ち上がる。そうして演壇に歩み寄り、どんどんと興奮していく先生の後ろに立ち、チョークを手に取って黒板に無言で文字を書き始める。


 彼の言ったトカ・ミスルの定理方程式を一つ一つ並べ、研究室の関連実験で調合された材料データの情報も追加する。



 チョークの文字が徐々に黒板を白く染め、無数の優雅な数理記号を整然と分布させる。

その様子はなんとも知的な美しさが溢れている……


 文字を書く音だけが規則正しく辺りに鳴り響いた。


 先生がその音に気付いてやっと振り返る。

 私が最後の一文字を書き終え、サッと先生を振り返ると、先生は先生は茫然とした表情で黒板と私を交互に見た。


「これは……」


 ボソリと呟き、先生は体を震わせる。そうして、黒板の文字を復唱しながら、その顔を青ざめさせていった。


ずっと先生は自信満々に自身の正しさを訴えていた。

しかし今は私が黒板に書き連ねた文字に、ただただ圧巻されている。


「何か、仰りたいことは?」

「……くっ!」


 先生は言葉で私を撃破できないことを悟って、激昂して教科書の「標準」の定理を持ち出してきた。


(……残念だな)


 先生の返しに私は落胆する。かつての先生はこんな人ではなかった。記憶の中の先生は、もっと偉大で尊敬できる者だった。


 しかしもう、賽は投げられた。

 過去の自信と優雅さに溢れた先生とは二度と向き合うことはないだろう。


 初めてグリークス学院に足を踏み入れた時を思い出す。

 この学院の理念を聞いたとき、私はとても興奮した。


『科学的に解釈して食霊と堕神を解明する』


これはとても素晴らしい。今でも私の心を湧き立たせる。


(だけどもうそんな夢のような時間は終わってしまったの)


 カバンを手に、私は他の学生が驚きの表情で見つめる視線を他所に、大広間を出た。


 私は早く実験室に戻って自分の研究を続けたかった。ここで話を聞いているのは、あまりに無駄な時間だ。



教学区を出て、毎日お相手している大講堂を振り返ったら、私は胸が苦しくなった。


ここできっとたくさんのことを学べるのだと思っていた。


 失望の気持ちが湧き起こる。グリークス学院は堕神出現の初期に創立された。


 その時、人々は食霊と堕神に対して非常に深い研究興味を持っていた。

戦場の前線に支援と援助ができるよう、皆が努力を重ねた。


 だけどその努力が実ったのは一部だけだ。


 戦争が終わってからも、世界の構造は変わらない。


先生は変わらず教鞭を執っていた。

一ヶ月も同じ課題に翻弄され、解決の糸口すら掴めぬまま、同じ疑問を繰り返し喚く機械のようだった。


(あの日憧れた先生は、もういない)


 彼のもとではもう学べることはない。

 いろんなことを教えてもらったのに、そんな風に思うことを少しだけ罪深いと思った。


 それでも、私は課題と向き合いたいと願った。このまま前に進むことをやめたくない。


 だからーー


 私は大きく首を横に振った。


(旅立ちの時が来ました……!)

Ⅱ 犬と少女

 立方体のキューブを手の上で、なんとはなしに遊ばせている。キューブの上側が明るくなったり暗くなったり、規則的に光る。そのリズムに乗って、私の思考はどんどん開放的になっていく。


 速記帳はキューブの上に浮かんでいて、まるで見えない手の平がそれを支えているように見える。そっとページをめくると、その動きに従って揺れ動く。私はボールペンを口にくわえて、その様子をぼんやりと眺めた。


 これは私だけかもしれないけれど、何度も試して検証した結果、この動作を繰り返すことはあたしがリラックスをするのに、非常に効果的だ。


 講堂から実験室まで、歩いて十分ほどかかる。誤差はだいたい二十秒。


 速記帳に表示されている時間を考えると、普通は五分間かかる。誤差はだいたい十秒。


 残りの時間は、ぼんやりして脳を休ませている……それくらいが、ちょうどいい。


 頭を振って、ノートを見る。ボールペンでチェックを入れていくと、自然と疑問は解決した。


 けど、まだその解答は決まった流れに従ってぼんやりしている。その先の答えに辿りつくために思考をクリアにしようとした瞬間、遠くに犬の鳴き声がして、そちらに気を取られてしまった。


 ――あれ?犬……?


(学校の敷地内に犬は入れないはずじゃなかったっけ。どこの犬だろう?誰が連れ込んだのかな……)


 そんなことを頭の片隅でチラリと考えたけれど、私はすぐ頭を振ってその考えを追い出した。


 まあ、私には関係ない……と思ったそのき、ハッとしてその犬に注目する。


(ちょっと待ってよ!)


 神遊の思考に浸されていた頭が一気に現実へと引き戻される。だが、まだ脳の回転が追い付かず、私は必死に意識を集中する。


(あそこは――)


 次第に意識が覚醒して、目の前の事実に私はそこはかとなく目を見開いた。


(私の実験室じゃない?!)


 それを認識した瞬間、立方体のキューブが、速記帳と一緒に床に落ちる。


(な、なんなのよ!いったい!?)


 慌てて私は手を伸ばし、ノートとキューブを拾った。そして素早く実験室に向かう。




「ちょ、ちょっと!」

 私は、勢いよくドアを開け放った。

「はぁ、はぁ……!なんなの君たち!」


 私は息を切らしながら、実験室の中にいる人をゆっくりと見まわす。


「フォ、フォ!ワッフルさん、おいくつですか?そんなに焦っては駄目ですよ?」


 老人が笑いながら目を細めてこちらを見つめている。その老人の顔を、私はどこかで見た覚えがあった。


「どなたですか?」


 だけど誰かまでは探り当てられない。私は眉をひそめて老人に訊ねた。若干の掠れた私の声には焦りがある。


「グリックス学院理事長です」


 老人は笑みを浮かべて言った。


「毎月の科学研究費をどうするか、審査している者です」


「えっ……!?」


 その言葉に、私は一瞬で怯んでしまう。だが、このままでは引けない。そう思って、私は息を呑んで言葉を続ける。


「……理事長だとしても、こんなに多くの人を連れて、主のいない実験室に立ち入るのはよくないことではないでしょうか?」


 そのとき、舌を出して罪のない顔で息を荒げる犬を目の端に捉えた。それでまた私の怒りが湧き上がってしまった。


「それに犬もいます。実験室にこれは……」


 この時、柔らかい声が背後から聞こえる。犬……の名前を呼んだのだろうか?


「わふっ、わふぅっ!」


 目の前の犬が嬉しそうに鳴いて、私の横を通り過ぎていった。その動きに合わせ、私もゆっくりと振り返る。


「驚かせてしまいましたか? だったらごめんなさい」


 ローブを着た一人の少女がそこには立っていた。そして、腹ばいになって喜んでいる犬をそっと抱きあげた。


「心配しないでください。この子はとても賢く、大人しい子ですから!」


Ⅲ 驚愕

「は?」


 その説明に、私は余計腹を立ててしまう。


「大人しいからといって、実験室にペットを持ち込んではいけません。ここは実験室です。分かりますか?」


 私は大きく腕を振り上げ、入り口の標識を指して言った。


「あそこの看板が見えますか?『消毒してから室内に入る』『ペットは厳禁』です」


「ごめんなさい。あなたの言っている看板が私には見えません」


 少女は申し訳なさそうに俯いた。そして、手を振って合図をする。


 この時になってやっと彼女をよく観察してみた。そこでやっと彼女のことが少しだけわかった。


 精致で小さな顔についている一対の目は暗くて光がない――彼女は盲人のようだ。


 私は彼女に質問をしようとしたが、彼女の懐にいた犬が鳴いたのでできなかった。


「どうしたの?チェラブ」


 彼女は首を傾げて、犬の顔を覗き込んだ。


「チェラブが申し訳ないと伝えてくれと言っています。この子は爪をきちんと掃除していますので、安心してくださいね」


「……」


 少女の態度と言葉に、私は一瞬言葉を失った。どう返すべきか、これは悩ましい。


 続いて少女は指を実験台に軽く触れさせ、テーブルに沿ってぐるりと回る。すると、犬がそれにあわせて叫ぶ。それはまるで、少女と奇妙な交流をしているように見えた。


 テーブルを一周し、少女は立ち止まった。そして、私に振り返って言った。


「霊力と自然産物と人工産物との相互作用に関するデータを調査していますか?」


「!!!」


 少女から出た言葉に、私はただただ驚いてしまった。少女の目は見えていないはずなのに、どうしてこの言葉を発することができたのか?


 ――彼女の眼は、本当は見えている?


 だとしても、このグリックス学院全体で実験台を見ただけで理解できる人なんていないはずなのに、なぜ彼女は歩いただけで分かって居たのだろう?


 彼女は私が驚いているのがわかったのか、唇を擦って、微かに微笑んだ。


 そして、実験台の上の器具を数回点滅させて、それらの役割について説明した。それらのものは、私が自分で設計したものだ。彼女は部品を通して全体の役割を簡単に分析してしまった。


「う……そ、でしょ?!」


 私の声に、彼女はいたずらっぽく犬の手を掴み、私に向けて振りました。


「もっとあなたの実験室を見学したいです。いいですか?」


 私は呆然と彼女を見つめる。言葉が何も出てこない……!


「問題ありますか、ワッフルさん?」


 そこでハッと我に返り、私は息を呑んだ。

「いいえ。問題ありません……」


 私は彼女を拒否できない。どうしようもなく、彼女に興味と好奇心が溢れてしまったからだ。


(この人は……誰?)


Ⅳ 招待

「白小頭鏡の使用は学界ではずっと論争がありますが、今選んでいる東渓鏡よりも適切だと明確に教えてくれます」


 あの日、犬を連れてきた盲目の少女が、私の前で滔々と喋っている。


「あなたはダブリの理論ツールに対して高い造詣を持っていますが、群れ羊の基準を検証することはできません。ここで使うのは間違っています。ダブリの一連の理論はみな霊力の塑性と流動性をその研究の枠組みに入れていません。これはあなたの怠慢です。専門家であるタブリは、自著『巨霊力初探』の序文でこの点を強調されており……」


 彼女の瞳は世界を映さないが、代わりにその本質を見抜くようで、輝きに満ちている。


「霊力分離の減衰周期に関する統計については、光耀大陸の学者孟達が提出した折畳み置換理論を考慮すると良いでしょう」


 私が口を挟む隙すらないくらい彼女は早口で話し続けた。

 彼女は、これまで私が数々の実験で行き詰っていた多くの問題点を、するすると紐解いていく。


「折り畳み置換理論については、まだあまり普及していませんが、グルイラオ新科社が発行した理学週刊誌の最新刊にて第五十六号で八回まで連載されています」


 私の表情から疑問点を的確に探り出し、彼女はそんなヒントを出してくれる。

 これまでひとりで向き合って行き詰まっていた研究に新たな光が差した。

 気分が高揚していくのがわかる。それはこれまで嫌いだった犬が可愛く思えてくるほどであった。


「えっ?ここでなぜカルノフェン公式を使うのですか?」


 研究レポートを読んでいた彼女が、驚いた様子で声をあげる。

 何故ここが問題にかわからず、私は呆然としてしまう。だから私は慌てて質問をする。


「ここでカルノフェン公式を使うと何か問題がありますか?」

「問題はありません」


 そこで彼女は、漫然と小首を傾げて柔らかく微笑んだ。


「ただカルノフェン公式は私が提出したものだったので。まだシステムの検証はされていませんが、ここで使っても大きな問題はないと思いますよ」


「……え」


 あまりにサラリと述べられた言葉に、私は持っていた速記帳とボールペンを床に落としてしまう。


「か、カルノフェン公式をあなたが……あなたが発明したと言いましたか?」


「はい……」

 少女がそこで言葉を止め、サッと立ち上がった。


「まだ自己紹介していませんでしたね。私の名は白トリュフと言います」


 そして優雅にスカートの裾を持ち上げて、私に一礼する。


「ペリゴール研究所はご存知ですか?私はそこの所長をしております。そしてこの子は私の助手、チェラブです」


 隣に座る犬を撫で、白トリュフと名乗った少女は、とても嬉しそうに微笑んだ。


「お会いできて嬉しいです。ワッフルさん。これからよろしくお願いしますね」



***



 グリックス学院内の喫茶店に座って、私はキーパーを抱いて、慎重に毛をしごきながら、疑問に思って質問しました。


「教えてください、先生。貴方がグリックス学院に来た目的はなんでしょう?」


「グリックス学院はペリゴール研究所が資金援助をしている有名な学院の一つです」


 白トリュフコーヒーを手に持ち、優雅な仕草でコクッと一口飲み干した。


「私は定期的に、我が研究所が資金援助をしている場所に訪問して、援助金が正しく使われているかを確認するようにしています……こんなところでしょうか」


 白トリュフは小さく嘆息し、またコーヒーを飲んだ。


「とにかく。私は貴方にお会いできて、とても満足しています」


 そう言って、白トリュフはガウンの中から白い紙を取り出した。そして懐から取り出した万年筆で、サラサラと何かを書いて、それを私の前に差し出した。


「貴方はペリゴール研究所に興味はありませんか?」


「えぇっ!?」


 私は差し出された紙を手に取り、書いてある文面を読む。それはペリゴール研究所の研究員になるための書類だった。


(私が……あの、ペリゴール研究所に?)


 あまりのことに、私は言葉を失ってしまった。


「どうでしょう?ワッフルさん」


 白トリュフの問いに、私はわなわなと体を震わせる。自分の感情がうまく言葉にできない。だが、答えは既に決まっていた。


「これは……これはこれは!とてつもなく光栄なことです!これから、どうぞよろしくお願いします先生!」


Ⅴ ワッフル

 ワッフルは探究心旺盛な少女だった。

 彼女を召喚した御侍もそんな彼女を思う存分学ばせてやりたいと望み、彼女をグリックス学院へと通わせることにした。


 そして彼女はそこで沢山のことを吸収していった。彼女は学びの師すら追い越して、ひとり研究に没頭し、研究者としてどんどんと成長していく。


 彼女は絶え間なく溢れ出す探究心に突き動かされ、様々な研究をし続けた。


 その道は、決して順調とは言えなかった。

 導く者がいない成長は、様々な困難が付きまとう。それに関してはもう、ワッフルは諦めていた。


 たとえ時間が掛かろうとも、己の学びを止めることはない。前に進もうとする気持ちがあれば、遅々であれど必ず前に進めると確信していたから。


 そんな彼女の前に、不意に現れた白トリュフ。ペリゴール研究所の所長であり、様々な研究成果を発表していた彼女のことは、当然ワッフルも知っていた。


 このまま研究を続けていたら、いつか彼女とその道を交える日も来るはず……とワッフルは、そんな期待を心の片隅に抱いていた。


 白トリュフは、ワッフルの研究を認め、興味を持ち、更なる成長を期待して、己の研究所の研究員として欲した。


 ワッフルは、白トリュフに研究者として尊敬を寄せていたので、その申し出はまさに奇跡だった。


 諦めていた学びの師を新たに得られる。

 これは更に己の研究を極められる道筋を示されたと同意だ。


 迷いなく彼女は白トリュフが差し出した手紙にサインをし、ペリゴール研究所の研究員となった。




***




 ――グルイラオ ティファシスの林地。


 生い茂った森の鳥が花の香りを語り、広い湖の水の波が澄んでいる。


 ここの景色は美しいことで有名だ。それは間違ってもここが観光地であるから、などではない。


 ティファシスの林地は景色に並んで、堕神が頻繁に出没するという問題があった。


 ここには『ペリゴール研究所』という有名な研究施設があった。森の奥には所長の少女と彼女の飼い犬である犬が一匹、それとグリックス学院からやってきた少女――ワッフルがいる研究室があった。


「十六基の札杭が三つ破壊されました。これはなかなか大物が来ましたね」


 白トリュフは目を閉じ、両手を震わせる。その言葉の先は語ることもないだろうと、低い声で唸った。


「大物?先生、その言い方は厳しくないですか~?」


 ワッフルは辺りに散らばっている各種の器械を組み立てながら話し続ける。


「千万種の科学研究に、正確な第一条、データが不確かね。泣けてきちゃう」


ワッフルの横に座る純白の犬がワン、と大きな声で鳴いた。


「あ、私を慰めてくれるの~?いい子ね、チェラブ~♪」


 ご機嫌な声で、ワッフルはチェラブの体をわしわしと撫でた。


「……調査にはいつも時間がかかります。実験もゆっくりした方が良いでしょう。貴方は少々急ぎ過ぎていますね」

白トリュフは口元を引きつらせながら、そんな説明をする。


(この子は何でもアリなんです。初めて会ったときは実験をするには真面目過ぎるのではと不安になりましたが、余計な心配でした)


 白トリュフは溜息をついた。

 ワッフルは研究所に入ってから、性格がだんだん変わってきたように見える。


「貴方がこれほど口が達者だとは思いませんでした」


 その後に「誰に似たのか」と言いそうになるも、白トリュフは口を噤んだ。


(彼女はすかさず「先生の影響です!」と嬉々として答えるでしょうね)


 続いて、符文杭のフィードバックを真剣に感じ始めた。


「高さ八メートル、幅二メートル、霊エネルギー変動指数四。予想レベル――異化型」


 ワッフルは仕込みを終え、不思議な形状の銃を持って立ち上がる。大量の部品が銃身の外側に露出されており、下にはいくつかの色の違う電線が接続されているのが見えた。


 ワッフルは銃を構えて言った。


「番号〇七、準備完了。いつでもテストできます」


 白トリュフは頷き、口を開こうとしたが、足元のチェラブが急に叫んだのでハッとする。


ワッフル、ちょっと待ってください」


 ワッフルはその声に顔を上げる。すると、視界の果てに、見え隠れする堕神の黒い影が入ってくる。更にその前に、慌てふためいて走る人影を見つけた。


ワッフルは立方体キューブの力を借りて、人影を見つめる。 そこには髪を後ろに結い、体のラインが浮き上がる編み上げのビスチェを着た女性の姿があった。


 確信が持てないワッフルはポソリと呟く。


「あれは……食霊?」


 見覚えのある顔だ。

 確かあれは――




 曖昧な記憶が組み合わさっていく。

 だが、肝心な『モノ』の在処を思い出せない。

 さすがに捨ててはいないだろう、と思いワッフルは走る。


「見つかればいいんだよね?そうすれば何も問題はないよね!」


 チラリとそのとき、見つからなかったときのことが頭をよぎる。


(圧縮ビスケットの話通りだったら、見つからなかったら大変だよね……)


「大丈夫!見つかるって!」

「ワン!」


 ワッフルが元気に叫ぶと、背後から犬の叫び声がした。


「あ、チェラブ!一緒に来てくれたんだ!一緒に探してくれる?チェラブは物を探すの上手だもんね~!」


 ワッフルの現在はとても楽しい。

 かつては諦めの境地で実験をしていたが、今は希望と夢に溢れている。


 これからどんな発見をし、どんな真実を見つけ出せるだろう?


 そんなワッフルには野望があった。

 もっとたくさんの『先生』に会いたいと。

 いろんな知識を得れば、更に実験は綿密になる。

 それは、理解できることが増えること。

 もっと要領よく実験ができるようになることだ。


 世の中にはまだ知らないことがたくさんある。もっともっとワッフルはそれを探究したかった。


 そのために、実験をやめない。

 新たな『出会い』を求めることもやめない……!


 そんな希望を胸に、ワッフルはチェラブと共に実験室へと急ぐのだった。



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ゲーム情報
タイトル FOOD FANTASY フードファンタジー
対応OS
    • iOS
    • リリース日:2018/10/11
    • Android
    • リリース日:2018/10/11
カテゴリ
ゲーム概要 美食擬人化RPG物語+経営シミュレーションゲーム

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