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血盟のドルキマス Story4

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黒猫のウィズ×コードギアス コラボ
2018/11/30




story 決意



イグノビリウムの大艦隊が、突如としてドルキマス王宮に向かい、進軍を開始した。

エルナがその報を聞いた時には、すでに空の彼方には、禍々しい戦艦の姿が見え隠れし始めていた。

無論、ディートリヒの拠点となった王宮を守る部隊は十二分に配置されていた。

だが人型兵器を含んだその大艦隊は、迎撃による被害もかえりみず、ただひたすらに王宮を目指しているという。

近づきつつある不吉な影を見ながら、エルナはつぶやく。


「元帥閣下がここにいらっしゃらなくて良かった。」


エルナはゆっくりと歩いて、ナナリーのいる客間へと向かう。

――ゆっくりとしか、彼女は歩けないのだ。


ディートリヒによる故国への謀反。その最後は、要塞に立てこもったグスタフ王の暗殺だった。

その任務はディートリヒ自身の手によって行われた。ただひとりついていくことを許されたのが、元帥つきの従兵――エルナだ。

その無謀な任務の最中、激しい戦いで、彼女は重傷を負った。

療養には、1年以上の時間が必要だった。ようやく歩けるようになった頃、イグノビリウム戦役が勃発する。

エルナは従兵として元帥の旗艦に乗ることを望んだが、ディートリヒは拒んだ。


「役には立たないものなど、戦場には不要だ。王宮の警護を命ずる。」


上官の命令を拒むことはできない。軍に復帰できた事自体が奇跡なのだ。

以来、絶望的な戦場へおもむく同輩を、上官を、見守るしかない日々が続いていた。


「やっとお役に立てそうです。

元帥閣下は、この国の光。きっとこの戦いにも勝利をもたらし、ドルキマスを立て直してくれる。

だから――いまここに閣下がおられなくて、本当によかった。」


――死ぬのが、自分で。


決意を胸に、エルナは扉を開く。


「ナナリーさん。」


ナナリーは、ディートリヒが丁重にもてなしている客人だ。


(閣下は、戦争に意味のないことはしない。ナナリーさんは、勝利に必要なんだ)


それがどういう理由なのか、エルナにはわからない。わからなくても、関係ない。


「ここは、危なくなるの。ナナリーさん、いっしょに逃げよう。」


 (ナナリーさんは、私が守る。この命に代えてでも)


ディートリヒの往く道は、自分が守るのだ。




コードギアスOP





story 渓谷突入



ナナリーを救うため、ドルキマスに向かうルルーシュの前に広がったのはー―

上空を埋めるイグノビリウムの艦隊だった。


「相変わらず馬鹿げた数だな。これほどの艦隊をどこに駐留させているんだ?」


常識的には考えられない事象に頭を痛めるルルーシュに、ディートリヒの艦から通信が入る。


”戸惑っているようだな、異界からの客人よ。我々の戦術を嘲笑うように湧いて出る。これがイグノビリウムなのだ。”

「まるで害虫だな。しかし、害虫相手でも戦略というものは存在する。」


先程のブリッジに広がっていた周辺の地図を脳内で再現する。

見るのは一瞥に留めたが、必要とされる可能性のあるデータは、逃すことなく頭に入れてある。


(ここからドルキマスヘのルートは26。迂回ルートを潰すと7。求めるのは安全性ではなく速度)


ルルーシュの頭脳は、ひとつの答えにたどり着く。


「峡谷を抜けるルートで行く。」


目指すべき方角へ、即座に愛機、蜃気楼を向ける。その眼前に、ディートリヒの旗艦が躍り出た。


"案内しろと言ったのは貴君のはずだ。最短距離を行く。ついてきたまえ。"

「フッ……生憎だが、私も遅れを取るつもりはない。」



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story 絶対守護領域



峡谷もまた、イグノビリウムに占拠されていた。

無数の砲台がグランツ・デーゲンを襲い、背後からはサザーランドが追ってくる。


「地形を利用した戦い方を知らないと見える。」


背後にハドロンショットを放つ。

狙い済ました一撃は、追いすがるサザーランド――ではなく、突き出た断崖を穿つ。

砕けた岩が降り注ぎ、3機のサザーランドを谷底へと叩き落とす。残る1機はグランツ・デーゲンヘと迫るが――

ふいに下降した艦の機動についていけず、眼前にあらわれた崖に衝突し、砕け散った。


「ほう、小型とはいえ、艦艇でナイトメアの機動を翻弄するとはな。」


「面白い。地図に描かれた精細な地形をあの一瞬で完全に把握し、利用するか。」


だが、次の瞬間、崖の四方に配置された砲台が、一斉にルルーシュを狙った。

蜃気楼は本来、遠距離砲撃型の機体である。高遠移動をしながらの回避は限界がある。

しかし、問題はない。


「ふん。そのような攻撃が届くものか。」


すべての砲撃は、蜃気楼の手前で弾かれた。

蜃気楼に搭載された全方位エネルギーシールド――絶対守腰領域。

ドルイドシステムとルルーシュの知能が合わさって初めて使用可能なそれは、要塞の大型砲すらも寄せ付けない。


「警戒用の要塞もイグノビリウムの浸食済みとはな……しかし!」


左右の腕に内蔵されたハドロンショットを放つ。それは的確に要塞に命中しー瞬で沈黙させた。


”ゼロ。道のりはまだ半ばだ。―気に進むぞ。”

「望むところだ。」


(ナナリー……待っていてくれ。すぐに行く)




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story 異界に舞う




「……あれは!」


ルルーシュとディートリヒは、ともに速度を落とす。

峡谷の狭い視界を覆うように、それはいた。



”ふざけたものを持ち込んでくれる。”

「峡谷に食い込んでいる。このルートを塞ぐためだけに、大仰なことだ。」

”奴らに駒の使い方はわからんよ。手駒を使い潰し、敵を押し潰すだけだ。”


その言葉を証明するように、超大型艦が斉射をはじめる。


「味方ごと撃つか。個々という概念が無いのかもな。」


ルルーシュは岩陰を利用し、巧みに斉射を防ぐ。ディートリヒもまた岩陰に船体を隠し、被弾をまぬがれている。


”妙だな。いかにイグノビリウムとはいえ、これほどの強引さは珍しい。明確な意思を感じる。”

「あの超大型艦を抜けば、ドルキマスは目と鼻の先。ディートリヒ、この蜃気楼の絶対守護領域ならばこの砲撃を耐えきれる。」

”ならば、ここは貴君を頼るとしよう。”


振り向いた背後には、ふたりを追うサザーランドの大群がいる。立ち止まることは許されない。


「承知した。ならば道は私が切り開く!」


蚤気楼が絶対守護領域を展開する。このエネルギーシールドがある限り、なまなかな攻撃など届かない。


「共に来い、ディートリヒ・ベルク!」


息を呑んだのは、ディートリヒの隣にいた副官のローヴィだ。

軍の頂点である元帥号をいただいてから、いや、それより遥か以前から、戦場では誰もがディートリヒの命令を欲した。

なのに、あの幼ささえ残る少年は、当然のようにディートリヒに命じた。

そしてその言葉を聞いたディートリヒは、冷たい瞳のまま、口元にうすい笑みを浮かべたのだ。


「久しいな、この感覚は。だが、悪くはない。

ローヴィ、全速前進だ。ゼロに遅れを取ってくれるなよ。」


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story ナナリーの想い



敵の超大型艦は、眼前に迫っていた。もはや、蜃気楼の射程内だ。

だが、蜃気楼の最大兵器――拡散構造相転移砲を撃つことはかなわなかった。


「イグノビリウムならではの戦法だな。」


絶対守護領域はどんなものも通すことは無い完璧なエネルギー障壁だ。それゆえに展開中はこちらも攻撃することは出来ない。

自らの障壁で防がれてしまうためだ。イグノビリウムもそれに気づき、物量で蜃気楼を取り囲んだ。

砲撃するために障壁を解いたなら、一気に押しつぶされてしまう。


「矛盾、か。」


ディートリヒが、図ったようなタイミングで通信を入れる。


”結構。貴君はよくやってくれた。ここまで引きつければ問題ない。”


(この男、何か策が……)


「出番だ。しっかりやりたまえ――魔法使い。」




「まったく……。ディートリヒの猫使いは最悪にゃ。」

人使いもね、と君は言い、魔道艇の機首を下げる。



出発の時、ディートリヒは君に、ひそかに連絡を入れた。


「待ち伏せの予想される地点がある。貴君は先回りをし、背後から襲撃するのだ。」


魔道艇の速力はグランツ・デーゲン以上だ。それに加え、ディートリヒは周辺の気流までも完全に把握している。

で次谷の東に流れる気流に乗り、全速力で進む。危険なルートだが、速度だけなら最速だ。

ディートリヒ自らを囮とし、敵の追撃を分散することによって成立する奇襲作戦だった。



「こんなの、キミじゃなければとっくにへばってるにゃ!」


それでも、おかげでチャンスができたよ、と君は近づきつつある敵を見る。

君は無防備な敵の背後に、全力の砲撃を浴びせる。

だが、巨大すぎる相手には火力不足なのか、敵戦艦はわずかに揺らぐだけで、撃沈には至らなかった。


――その時。


「あれは……魔法使い。どこへ行ったのかと思えばディートリヒの指示か。ただ今度は火力も計算に入れた方がいい。

まあしかし、敵の待ち伏せ場所を読み切っていたのは、流石と言える。

――俺と同じだからな。」


ルルーシュは通信の回線を合わせる。


「今だ! やれ!」

”了解!”


峡谷が、鳴動した。

左右に切り立つ岸壁から、次々と熱湯が噴き上がる。断崖がその形を失っていく。

追跡してきたサザーランド部隊が、無数の小型艇が、降り注ぐ岩石に呑まれ、谷底へと沈んでいく。

奈落の底、その中心にいるのは、見る者の目を奪う、鮮やかな真紅の機体。


ナイトメアフレーム――紅蓮可翔式。


「全部ぶっ壊れな!」

巨大な爪を備えた異形の右腕が、峡谷を揺らしていた。


輔射波動機構。強烈なマイクロ波により、膨大な熱量を発生、対象を加熱させる、紅遭の必殺兵器。

大地に突き立ったそれが、周辺の地下水脈を沸騰させ、岸壁を崩壊させていた。

密集していた敵の被害は甚大だが、降り注ぐ岩や瓦磯のなか、蜃気楼とグランツ・デーゲンは無傷だった。


「ゼロめ。これを計算した場所に私を導いたな。」


ルルーシュは崩れる崖の軌道を計算し、もっとも被害の少ない場所に移動した上で、カレンに合図を送ったのだ.

もはや中空に残っている敵は、超大型艦だけだ。


「狙いは見事だったが、イグノビリウムの戦艦は通常の攻撃では撃墜することはできん。」

”大丈夫よ。そこの赤い子、私か開発したグラールドライブを使ってるんでしょ?

なんかあれ使うと、魔道艇みたいにイグノビリウム艦に攻撃がよく通じるようになるみたいなのよねぇ。”


そこへ、通信に声が割って入る。


”それも想定済みだ。カレン!”

”わかってる!”


交差する翼を広げ、紅蓮は空を見上げる。

神聖ブリタニア帝国に恐れられた、黒の騎士団のエースが、異界の空を舞った。


”そこのあんた! 戦いに来たんだろ? 手伝いな!”

「キミ、負けてられないにゃ!」


君はうなずき、照準を合わせる。

紅蓮の異形の右腕が、獲物を求め爪を開く。



「さあ、いくよ、デカブツ! 紅蓮の力、思い知りな!」



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story




黒の騎士団零番隊隊長、紅月カレンは、中華連邦の捕虜となり、ブリタニアに明け渡されていた。 

そしてエリア11の政庁に囚われ、尋問を受けていたが――

謎の光に包まれ、気がつくと見知らぬ世界にいた。

そばにはブリタニアに奪われていた彼女の乗機、紅蓮可翔式があるばかり。 


「ここ……いったいどうなってんのよ?」

戸惑うカレンの前で、サザーランドの部隊が、眼前の町を襲っていた。

思わず紅蓮と共に飛び出したのは、それがエリア11――日本の姿とかぶって見えたからだ。


敵を撃退し、町の人々に感謝され、衣食住には困ることはなかったが、状況を理解した彼女は戸惑った。

「べつの世界……? そんなところで、私はどうすれば……。」

行先を見失ったと思った時、彼女の心に自然に浮かんだのは――ゼロだった。

「ゼロ……。」

祈るような気持ちで蜃気楼に送った通信は、しかし、つながることはなかった。

「この世界に来たのは、私だけ……。ゼロは……ルルーシュはいない……。

そう、思った。だが――


「諦めるな! 必ず助けてやる!」


中華連邦に捕らわれた時のゼロの言葉が、彼女の脳裏に幾度も蘇る。

だから、カレンは誰も出ない通信を続けた。

ゼロは、ルルーシュは、きっと自分の前にあらわれる。そう信じて。


その一途な想いは、報われた。


”カレン? カレンなんだな?”

出るはずがないと思った通信がつながり、求めていた声は、ひどく優しく言った。

”見つけたぞ、カレン。”

「……ゼロが、ルルーシュが私を見つけてくれた。」

”暴虐に抗うために、お前の力を貸して欲しい。”

ルルーシュの言葉に、迷いはなかった。それで、カレンの気持ちは決まった。

「わかりました。零番隊隊長、紅月カレン。戦線に復帰します!」

そして――


「はじけろ、イグノビリウム!」

君の砲撃で傾いた超大型艦に、紅蓮が取り付き、輛射波動を放つ。

ドルキマス軍の最高戦力と、黒の騎士団の最高戦力、ふたつの力をともに受けた敵艦は――

轟音とともに谷底に沈んでいった。


”ありがとう、カレン。よくぞ私のもとに戻ってきてくれた。”

ディートリヒが訪れる前、ルルーシユはカレンからの通信を受信した。

エナジーの切れかけている紅蓮のためにジェレミアにグラールドライブを持たせ、C.C.と共にカレンのもとに送ったのだ。


「やはり、貴君の目はチェス盤上ではなく、その先の戦場を見ていたようだな。」


ディートリヒ・ベルク……。ヤツも待ち伏せを正確に予測し魔法使いを配置していた。

流石は希代の軍略家といったところだな。……だが、ともかくも今は――)


道は開けた。ナナリ一のもとへ駆け抜けるのみ。


”ゼロ様、露払いは済ませております。”

「よくやった、ジェレミア。カレン、詳しい話は後だ。私についてこい。



(ゼロの正体がルルーシュだと知った時、私はルルーシュを信じられず、見捨ててしまった。

けれどブリタニアに占領された日本のために戦ってくれたことは事実。

そして今、来たばかりの世界で力のない人々のために戦っている。だったら私は……!)


「……任せてください、ゼロ。あなたの敵は、私が排除する!」



峡谷を抜けると、ドルキマスは遠くなかった。轡を並べて進むルルーシュとディートリヒの目に小国のささやかな王宮が映る。

――その上空はすでに、イグノビリウムの大艦隊により埋め尽くされていた。


「くっ……間に合わなかったのか……? ナナリー……いや、まだだ、まだ……!」


わずかな希望にすがるルルーシュの耳に、それは飛び込んできた。

絶望を告げる、あの声が。


「オールハイルブリタァニア!」



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story 偽りの皇帝



ルルーシュたちが王宮上空についたのは、そのわずか後のことだった。


「オールハイルブリタァニア!」


苦い気持ちで幾度も聞いたその声は、ルルーシュたちの通信に割って入り、ドルキマス中に響く。

王宮の中庭に着陸したイグノビリウム艦のそばに、皇帝シャルルは立っていた。


「馬鹿な……! 皇帝はあの空間に……いや、そうか! 奴も俺と同じようにあの時、この世界に転移して……。」


”いいや、違う。”

言下に否定したのは、君に回収され魔道艇に乗っていたC.C.だった。

”あれはシャルルではない。”

「どういうことだ? C.C.!」


この距離から見える影は小さい。だが、ルルーシュがその姿を見間違えるはずはない。倒すと誓った仇敵であり実の父親でもあるのだ。


”あれは、お前の記憶から姿を奪っただけだ。”

「俺の記憶だと? そうか。あの遺跡と同じ……。」

かつて神根島やギアス柵団の遺跡で体験した他人の記憶の共有と混濁。それと似たようなことが起きたのだろう。

「何者かが遺跡を利用して俺の記憶を盗み見たということだな。」

”ああ。アーカーシャの剣から転移する際、ひどく弱った思念体がお前に近づいてきた。お前の精神を貪ろうとしたのだろう。”

「その思念体からお前が守ってくれたのか。」

”……しかし、奴はすでにお前の意識に触れていたらしい。思念の力を取り戻し、お前が恐れる者の姿を写し取った。”

「すべて俺の心の弱さゆえ……か。だが、あのシャルルの姿をとった思念体というのはいったい……。」


疑問に答えたのは、ひどく冷めた、氷の声音だった。


”イグノビリウムの王だ。”

「王? それは貴方が倒したという……。」

”そうだ。私と魔法使いが倒した。だが思念体の欠片でも残っていたのだろう。

以前はなにを話しているか理解できなかったが、今回はわかるようだ。貴君の記憶を盗んだからだろうな。”


ルルーシュ達が通信を交わす間にも、シャルルの姿をしたそれは、自らの艦へと足を進める。

その傍らには、イグノビリウム兵に連行されるナナリーとエルナの姿があった。


「ナナリー!」

思わず喉をほとばしった声が、ナナリーに届くことはない。


(奴らはなぜナナリーをさらう……?)

”ナナリー様っ!”

(あの偽の皇帝、イグノビリウムの王が俺の記憶を覗いたのなら、答えは俺自身にある)

”ゼロ! ナナリーが連れていかれちゃう!”

(そうか! 逆だ。他の街と違いフェルゼン王都が幾度も襲撃にあったこと。ドルキマスヘの進路を塞いだこと。すべては逆なんだな)

”おい、このままだとナナリーが……。”

(ならば、勝機はまだある……!)


無情にも、ナナリー達はシャルルの姿をしたものと共にイグノビリウム艦内部へと消えた。

そしてナナリー達を乗せた艦は、無数の艦隊に守られながら浮かび上がり、王都の北へと進路を向ける。


”クッ!こうなったら私だけでも!”

「追うな、カレン!」

”けど!”

「今はその時ではない……。」


ルルーシュの言葉は通信を通しても悔しさと怒りが入り混じっていた。


 ***


「……よく耐えたな。」

「……ああ。どちらにせよ、今の戦力では打つ手がなかった。ここは耐えるしかあるまい。

「ナナリー嬢は貴君の大切な妹君なのだろう?」

「そういうあなたも従兵をさらわれている。立場は同じだ。」

「あれは一兵卒に過ぎない。ただの駒だ。」

「そう言うには、心中穏やかではなさそうだが……。」

「……貴君に隠し事は無理か。間違いなくあれは駒だ。ただし、他に代わりのない重要な駒ではある。

あの娘の父の名は、グスタフ・ハイリヒベルクという。」

「ハイリヒベルク……その名、あなたが謀反で倒したという……」。

「そうだ。エルナは先のドルキマス王の遺児。正統な王位継承権をもつ者。

つまり――次代のドルキマス王だ。」

「王の資格を持つ娘か。なせ彼女が従兵に?」

「先王が捨てた妾腹の子だ。私かこの事実を知ったのも近年のこと。

玉座が空白のドルキマスを立て直すには、あの娘が――キングという駒が必要不可欠だ。」

「ならば、あなたも取り戻さねばなるまい。あなたの大切なものを。」

ディートリヒは答えなかった。


「ルルーシュ、ナナリーを追わないのは何かに気付いたからなのだな。」

「ああ。ヤツらの行動の原因は俺にある。イグノビリウムが最も望むもの、それは俺だ。

イグノビリウムの王は、なんらかの理由で俺が必要なのだろう。この世界に来てからのイグノビリウムの行動がそれを裏付けている。

王都を襲つたのも、ドルキマスに立ち塞がったのもすべては俺を手に入れるため。」

「すべては逆だったという事か。」

「だから、俺を手に入れるまではナナリーに命の危険はないはずだ。もっとも、囚われの時間が長くなればそうとも言つてられん。」

不安と焦燥で溢れ返りそうにある本心をルルーシュは心の仮面で隠した。


「……ディートリヒ。優先事項は変わらない。」

「優先事項とは?」

「イグノビリウムの殲滅だ。ただ重要度が変わった。」

心を隠したルルーシュは、震える拳をおさめ、去りゆく敵艦を見送る。


「イグノビリウムをすべて叩き潰す。
絶対にだ!」





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