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血盟のドルキマス Story1

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黒猫のウィズ×コードギアス コラボ
2018/11/30


一章 魔神が現われた日





story 異界



「ここは……。」


(俺たちが攻め込んだギアス嚮団は中華連邦の僻地にあった。

しかし、ヤツが、シャルルが俺を引きずり込んだ遺跡の異空間でもない。と、なると残る可能性は……)


ルルーシュが辺りを見回すと、少し離れた場所に、彼の愛機であるナイトメアフレーム――蜃気楼があった。


「蜃気楼は無事か。それに、遠くに街が見えるな。

ふむ……。あの街並み、見たことのない文化体系だな。」


ルルーシュの知識量は普通の人のそれではない。地形だけではなく、文化、風俗、歴史など得られる知識はだいたい把握している。

だが、それは自分たちの〈世界〉に限ってのことだ。


「それにこの植生……見覚えがない。これで、ほぼ間違いなくなったな……。」

「……どういうことだ?」

「ここは少なくとも、俺たちがいた場所と時間ではない。なあ、C.C.。ここはギアスが関係しているのか?」

「いや。断言はできないが、アーカーシャの剣に類するものではない。」

「ならばここは、俺たちのいた世界ではなく、どこか別の世界だ。」

「……まさか、アーカーシャの剣を傷つけたことが作用して……。いや、しかし……。」


C.C.がそうつぶやいた時、近くの森からなにかが飛び出してきた。

それは――異形だった。


「なんだ、コイツは? 人間……いや、機械か?」

「危ない! ぐっ!」


突如として襲い掛かる異形からルルーシュを庇うC.C.。その胸に異形の鋭い爪が深く突き刺さる。


「C.C.! このっ!」

ルルーシュが懐から取り出した拳銃を異形に向けて数発撃つが、固い体表がそれを弾く。

しかし、銃撃で怯んだ異形のー瞬の隙をついて、C.C.が自らの胸に突き立てた異形の腕を持ち、意識を集中する。

すると、異形の身体がビクンと跳ね上がった。


「見えたぞ、ルルーシュ。コイツには意思がある。思考がある。ならば……。」

「そうか! そういうことならば!」


異形に向けて、ルルーシュの左眼が赤く光る。


「ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命じる! 貴様は死ね!」


逆らうことを許さぬ支配者の声が、言葉が、異形の思考器官に到達する。

次の瞬間、異形はC.C.の身体から引き抜いた鋭い爪を自らの体に突き立て崩れ落ちた。



「ギアスが通じたか……。」


ギアス――C.C.がルルーシュに与えた絶対遵守の力。

ルルーシュが視線を合わせ命じたことは、本人の意思と関係なく実行される。


どうやら正体不明の異世界の異形相手にも通じるようだ。

――と、見ている前で、地に倒れた異形の肉体は塵となった。


「大丈夫か、C.C.。無茶し過ぎだろう。」

「私のおかげで命拾いしたろう? それに私は……、」


と、言い終わる前には、胸に大きく開いたはずの傷はすっかりと無くなっていた。


「不老不死なんだからな。……しかし、いったいこのバケモノはなんだ? この世界はどうなっている?」

「情報が圧倒的に不足しているな。異世界だとしてあんなバケモノしかいないのか、なぜ俺たちを襲ったのか。まずは情報を集めるとしよう。

「なら、あそこに見える街に行くんだろう。歩いて行くには少し違いな。蜃気楼で行こう。」

「仕方ない。蜃気楼で抱えるから落ちるなよ。」

「何を言っている。レディーを強風に曝す気か?詰めればコックピットに乗れるんだ。なに、少し狭いぐらいは我慢するさ。」

「お、おい!」


ルルーシュの制止を無視し、C.C.は蜃気楼のもとへと向かう。

その態度は、普段のC.C.となにひとつ変わりのないものだった。

思わず、その背に声をかける。


「C.C.!」

「どうした?行かないのか?」


――我が願いは死ぬこと。私の存在が永遠に終わることだ――


「その……、俺はお前の意志を曲げたのかもしれない。それは……。」

「ふっ。らしくないじゃないか。魔女の心配だなんて。」

「俺はお前の過去を見た。死なない身体でも痛みを感じる。それは心もだ。それを長い長い時の中でお前は……。」

「なあ、ルルーシュ。お前は私の本当の願いを知っているんだろう。」

「ああ。俺はお前を……。」

「なら、大丈夫だ。だって……。

必ず笑顔をくれるんだろう?」



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story



街は何者かに襲撃されていた。



「サザーランドだと!?」


サザーランドは神聖ブリタニア帝国の量産型人型兵器である。


(この街並みは、やはり俺の知る世界のものではない。なのになぜナイトメアがいる? いや、それよりも……)


サザーランドの襲撃に人々は逃げ惑い、逃げ遅れたひとりの少女に巨大な手が伸びる。


「いやぁ!」

「おい、やめろ!」


ルルーシュの乗る蜃気楼の膝から放たれたワイヤー付きの刃、スラッシュハーケンが少女に迫るサザーランドの腕を切り落とす。

暴挙を制止しようと現れた蜃気楼を外敵と認めたサザーランド部隊は、一斉に襲いかかってくる。


(識別コードはブリタニア軍のものだが、この統制の取れていない動き……ブリタニア軍のそれではない。確かめる必要があるな)


得られる情報からいくつかの可能性を推測する。それを確かめるために的確に1機ずつ撃墜していった。

またたく間に、最後の1機となった敵は苦し紛れの特攻をかけてくる。――ルルーシュの狙い通りに。


「あまりに単純すぎる。」


突進を避け、すれ違いざま、スラッシュハーケンで斬りつける。

敵機はフロートユニットと脚部を失い、墜落していった。


「ほう、やるじゃないか。近接戦闘は苦手だと思っていたぞ。」

「相手が素人同然だからな。遠距離戦重視の蜃気楼でもこれぐらいは出来るさ。

それに俺の推測が当たっていれば、乗っているのはブリタニア兵ではないからな。」


それを確かめるために、フロートユニットを破壊したのだ。

街はずれに墜落したサザーランドを追い、ルルーシュは蜃気楼を着陸させる。


(エナジーが尽きそうだな。無理もない。ギアス嚮団での戦いから、ずっと補給ができていないからな。

絶対守護領域の展開どころか、ハドロンショットを撃つこともできんな)


蜃気楼は動けなくなったサザーランドのコックピットハッチに手をかける。


「さあ、確かめさせてもらうぞ。その正体をな。」


告げた直後、サザーランドのコックピットハッチを剥ぎ取る。中から現れたのは――

さきほどの異形だった。


「やはりな。」


よく見ると、ただ乗っているのではない。その有機物とも無機物ともつかない肉体はサザーランドと融合していた。


「なるほど。操縦ではなく、自分の身体の延長としてササーランドを動かしていたのか……。」

「ほう。このバケモノはこんなことも出来るのか。しかし、ルルーシュ。お前はあまり驚かないんだな。」

「俺たちの世界では当然非常識なことだが、推測は出来たからな。それよりも……。」


――と、その時、バケモノに向かってなにかが飛んできた。


「……グレネードだと? 誰が!?」


ルルーシュが理解するのと同時に、異形は爆散し、サザーランドは停止した。


「チッ、貴重な情報源が……。」

「なぁにやってんの?〈イグノビリウム〉に話しかけるなんて。」


声のした方を見ると、白衣の女がグレネードランチャーをさげて立っている。


「てっきりあいつらが仲間割れでもしたのかと思ってワクワクしたけど、喋れるってことは、人が乗ってるのね。

ふぅん、人型兵器ねぇ。機動性と汎用性を重視したのかしら? 動力はどうしてるのかな。

あたし、レベッカ・アーレント。自己紹介したから、この素敵なもの、触っていいわよね?」


レベッカと名乗った女は、返事を待たず、蜃気楼の脚部をべたべたと触りはじめる。

撫で、叩き、測り、唸り、果ては愛おしそうに頬ずりしはじめた。


「うーん……いいね! いいよ、この子!」



「なんだか妙な奴だな。しかし、この世界にもちゃんと話が出来る人間がいたみたいだ。」

「どうやらあの女、ナイトメアに興味があるようだ。科学者……か。ラクシャータに似たものを感じる。

ふむ……使えるかもしれん。」


「あの、レベッカさん、でしたっけ。」


声をかけると同時に、ルルーシュが両手を上げて敵意がないことを示しながらコックピットから姿を見せる。


「お、やっぱり人が乗ってた。」

「僕の名はルルーシュ。アイツらとの戦いで仲間がケガをしてしまって、休めるところを探しているんです。」

「なるほどねえ。アッチで倒れてるヤツらは君がやっつけてくれたのね。オケオケ、休むところね。ばっちり用意しますことよ。」

「助かります。レベッカさん。」

「気にしないで。だから、その子、ちょっといじらせて欲しいなあ。」


(やはり好奇心旺盛なタイプか。まずはこの女から情報を得るとするか)


「おい。」

ルルーシュの脇から顔を出したC.C.が真剣な眼差しで、レベッカに声をかけた。


「あら、あなたがお仲間ちゃん?」

「そうだ。ケガをしてしまった、というな。ところで、ピザはあるか?」

「あるある、ありまくる。さ、こっちこっち。」


レベッカの軽い返事にC.C.の表情が明るくなる。


「よし、急ぐぞ、ルルーシュ。」

C.C.はコクピットから飛び降りると、浮かれた足取りで先を行くレベッカの後をついていった。



「やれやれ、ケガをしていることになっているんだぞ。あいつ、別の世界に来てもビザを食べたいのか。」



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story 戦乱の世界




レベッカはルルーシュたちを街の外れへと導いた。

そこにあったのは――


巨大なドックだった。


「ここは? 何かの格納庫のように見えるのですが。」

「正~解。空賊が使ってたものよ。とっくの昔に逃げたんで、あたしが有効利用してあげてるわけ。」


かつて空中艦艇の格納と補給を担っていた巨大なドックは、蜃気楼もたやすく格納することができた。


 (空賊……空の海賊。と、いうことは空を飛ぶ技術はあるということか……。うん? あれは……)


「レベッカさん、これって電力を発生させているんですか?」


ルルーシュが壁に貼られた概念図を指差す。そこにはレベッカが研究する鉱石により、電力を発生させる術が記されていた。

当然、ルルーシュがこの世界の文字を読めるわけではない。書きなぐられた数式や図、ドックの状況を見ての推測だった。


「あら、よくわかったわね。あたしはグラールという鉱石からエネルギーを生み出す研究をしているの。

で、ここの施設を利用して莫大な電力を生み出してるってわけ。」


異世界といえども、独自の科学体系があることをルルーシュは興味深く思った。

このレベッカという科学者らしい女がナイトメアフレームに興味を示すのもうなずける。


「面白いわね、君たち。見たことも無い科学技術で作られた人型兵器。あたしの研究を理解しちゃう知識。

あたし今、君たちに興味津々よ。いったい何者なのか、聞かせてくれるかしら?」

「やはりあなたは正体不明の俺たちへの不信感よりも、好奇心のほうが勝る人種のようだ。ならば、交渉と行きましょう。」


と、ルルーシュは懐から四角い鉄の小箱を取り出した。


「さっきあなたが破壊したサザーランド……散人型兵器の唯一無事だった1機から取り出したサクラダイトだ。」

「サクラダイト?」

「ええ。ナイトメアフレームと呼ばれる人型兵器の動力源にもなる多様性を持つレアメタルだ。

あなたのグラール研究の一助になるのではないかな?」

「面白そうねえ。乗ったわ。条件はなんでもいいわよ。」


逡巡する哺子もなく、レベッカは小箱に手を伸ばしたが、ルルーシュはひょいとそれを躱す。



「交渉はこちらの要求も聞いてから進めるものですよ。」

「なんでも良いって言ってるのに。で、何をお望みかしら?」

「交渉はフェアに行うものです。俺があなたに望むのは……情報です。」


レベッカは一瞬、肩透かしを喰らったような顔をしたが、すぐに納得したようにうなずいた。


「君たち、異界からの来訪者なのね。」

「正解だ。」


ルルーシュは小箱をレベッカに渡す。それは交渉が成立したことを示していた。


「わかったわ。そういうことなら1から説明するわね。ことの始まりは、そうねえ、1年ちょっと前だったかしら――」



レベッカの語った内容は、まるで使い古されたファンタジー小説のようだった。

この大陸は空中戦艦を用いた戦争が絶えない戦乱の世界であったが、1年余り前、大異変が起きた。


〈イグノビリウム〉――

太古に存在したという魔法文明時代の怪物が、突如として蘇り、人類すべてに牙を剥いたのだ。


何処からともなく無尽蔵にあらわれる圧倒的な物量を前に、ほとんどの国はろくに抗うこともできぬまま制圧された。

もはやこのまま世界は滅びるしかないのか……人々は絶望の淵に沈もうとしていた。


救ったのは、ふたりの人物だった。


「ひとりは、軍事国家ドルキマスの空軍元帥――ディートリヒ・ベルク。」


ディートリヒは残された各地の軍を束ね、犠牲を恐れぬ冷酷で苛烈な軍略によって、なんとか戦線を維持し続けていた。

彼がいなければ、とうに人類は滅んでいただろう。レベッカはそう断言した。


「ほう。」


ルルーシュが短く漏らす。


「そして、もうひとりは、あたしも会ったことはないんだけど――黒猫の魔法使い」。


異なる世界より突如としてあらわれたその人物は、呼び名の通り、しゃべる黒猫を連れた魔法使いだという。

黒猫の魔法使いは、誰も操れなかった古代の魔道艇を起動させ、ディートリヒの指揮のもと、無数の敵を撃退。


そしてふたりは中枢となる要塞に攻撃をかけ、ついにイグノビリウムの王を討つことに、成功したのであった。

これによって多くの領土が人類の手に戻った。この街――フェルゼン王国の王都も、そうした土地のひとつだという。


「軍事国家の指揮官と異世界の人間か。」


レベッカの話を聞きつつ、ルルーシュは思考を巡らせる。


「けど、それで終わりってわけにはいかなかったのよねえ。」


指導者を失ったイグノピリウムの戦力は激減し、人々は戦う気力を取り戻した。

だが――それでようやく五分と五分だった。もともとの戦力差がありすぎたのだ。

以後、数ヶ月の間、人類とイグノビリウムは、互いに一歩も退かず、終わりの見えない泥沼の戦争を繰り広げている。


「では、この世界に来た俺たちに襲い掛かってきたのも、そのイグノビリウムという魔法文明時代の怪物だな。」

「そうよ。これがこの世界の現状ってわけ。どう? 必要な情報は得られたかしら?」

「ああ。存外に早く手がかりが見つかった。」

C「異なる世界より現れたという黒猫の魔法使い、だな。」

「……ああ。しかし……。」


ルルーシュが何か言いかけると同時に、ドックの扉から少女が顔を出して声を上げる。


「やっぱり、いたー!」

「君は……。」


ドックに現われたのは先ほどルルーシュがサザーランドの襲撃から救った少女だった。

助けてくれた黒の巨人、蜃気楼がレベッカのドックに運び込まれるのを見て、お礼を言おうと来たのだという。


「お礼はこのお兄ちゃんに言いなさいな。このお兄ちゃんが黒の巨人で街を守ってくれたんだから。」

「そうなんだ!ありがとね、お兄ちゃん!」


と、小さな花を一輪、ルルーシュに差し出す。


「ああ。綺麗な花だ。ありがとう。」


花を受け取り、少女とルルーシュは微笑み合う。

少女からもらった花を片手にドックの外からルルーシュは街を見る。


さきほどまで戦場となっていた街は、いくつもの建物が倒壊し、嘆きの声が響いている。

だが、人々はただ打ちひしがれるだけではない。肩を落とし、涙を流しながらも、瓦磯を片付け、隣人を助け、街を動かしている。


(戦火に慣れている……)


「手慣れたものでしょ?この街は、もう何度もこんな目にあっているから。」


いつの間にか、レベッカが隣に立っていた。


「何度も?」

「そう。前線が広がりすぎて、すべてに対応なんて無理なのよね。で、ベルク元帥はいくつかの土地を捨てた。

ここもそんな街のひとつ。それで、ちょくちょくイグノビリウムに襲われるのよねえ。」

「こんなに栄えた街、王都を捨てたのか?」

「元帥閣下って、そういうとこあるから。とにかくそんなわけで、この街、見捨てられちゃってるのよ。」

「見捨てられた街、か。」


ルルーシュの脳裏に、ひとつの光景が蘇る。

神聖ブリタニア帝国によって植民地と化したエリア11――かつて日本と呼ばれた地を。そこに住む、名を奪われた人々の姿を。


(俺は力無いものが安心して暮らせる世界を作るため、ブリタニアと戦ってきた。だが、この世界はどうだ?

異形のバケモノに襲われ、軍からも見捨てられ――この世界をお前が知ったら、どう思う?)


ルルーシュは少女からもらった花を見つめ、遠く離れた場所にいる大切な者の名を、そっと呟く。


「ナナリー……。」



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story 魔法使いとゼロ


「はぁ~もう疲れたにゃ……。」


師匠の盛大なため息に、仕方ないよ、と君は言った。

突如としてこの異界に飛ばされた魔法使いの君と、その師匠である黒猫のウィズは――


出会ったドルキマス国元帥ディートリヒになかば強制的にイグノビリウムとの戦いに駆り出された。

激しい戦いの末、君はイグノビリウムの王を倒したが、戦乱はまったく収まりそうにない。

占領されていた土地や街を解放したせいで戦線が広がり、以前より大変になったくらいだ。


「フェルゼン王国は敵の猛攻が予想され、守るに難い。放棄する。」


戦況を見るディートリヒはそう判断した。だが、フェルゼンは大国であり、土地を離れられない人々がたくさんいる。

君はディートリヒに異議を唱えたのだが――


「では、貴君と魔道艇を遊撃隊に任命する。あの街を守りたければ、好きにするといい。

ただし、貴君は替えのきかない駒だ。くれぐれもそれを忘れないでくれたまえ。」


ディートリヒはいつも通りの底冷えのする瞳でそう告げ、それきりなにも言わない。


 ***


「ディートリヒは完全にこの街を見捨ててるにゃ。私たちが守るしかないにゃ。」


その通りだよ、と君は言う。誰かを見捨てるという性分は、君にはない。

おかげであちこちを飛び回り、民衆を守る黒猫の魔法使いとして、すっかり有名になってしまった。


「でも……疲れたにゃ~。今日も朝から大変だったし、ひと休みするにゃ。」


そうだね、と君がうなずこうとした、その時――

彼方に見たことのない兵器群を発見した。



「アレはなんにゃ!? 他の異界で見たロボットみたいにゃ!」


謎のロボット達は、どうやら街を襲っているようだ。


「きっとイグノビリウムの新型兵器にゃ! このままじゃあの街が危ないにゃ!キミ、急ぐにゃ!」


さきほどまでの疲れも吹き飛ばし、人々を守るうとする師匠の言葉に、もちろんだよ、と君はこたえる。



 ***


イグノビリウムの襲撃により、街は混乱に陥っていた。

敵の数は多くないが、ナイトメアフレームは機動性が高い。

叫び、逃げまどう人々を、無慈悲に蹂躙していく。


「許せるものではないな。」

「なにをしている、ルルーシュ。そんな格好をして。」

「抗うんだよ。そのために適した姿というものがある。」

「この世界はおまえにとって、緑もゆかりもないはずだ。」

「そうだな。緑もゆかりもない。しかし、目の前の虐げられる人々を救わない道理もない。」

「だがお前になにができる? ナイトメアフレームにギアスは効かない。肝心の蜃気楼はエナジー切れ。」

「手は打ってあるさ。なあ、レベッカ。」

「ええ。蜃気楼ちゃん、いつでも元気に戦えちゃうわよ。」


見ると、蜃気楼のエナジー・フィラーを挿入するソケットに見慣れないユニットが取り付けられている。


「そうか。グラールを研究しているレベッカにサクラダイトを渡したのは……。」

「あたし、グラールからエネルギーを作る研究をずっとしてたでしょ?

そこに超電導物質のサクラダイトを利用して蜃気楼ちゃんの超演算システムで研究、開発した結果がコレ、ってわけ。」

「一種の永久機関だ。グラールとサクラダイトだからこそ起きた奇跡だな。

なあ、C.C.。前にも言っただろう。俺に力のあるなしは関係ない。」


かつてギアスの力を得て、ルルーシュはブリタニアに反旗を翻した。だが、ギアスは契機でしかない。

ギアスが無かろうと、ルルーシュは最愛の妹ナナリーが安心して暮らせる世界を作るため、祖国ブリタニアを壊そうとしていた.


「わかっているさ。はじめから止める気はない。さっさとこの世界を救って元の世界に戻るぞ。レベッカのビサは口に合わなかったからな。」

「あれでも上等なんだけどなあ、こっちだと。」

「はは。レベッカには世話になる。」

「世界を救ってくれるんならお安い御用よぉ、ルルーシュくん。」

「いや、違うな。今から俺はルルーシュじゃない。」

「あら?」

「今から俺は、一方的なイグノビリウムの暴虐に反旗を翻すもの、力を持たない人々が運命に抗うための記号――

ゼロだ。

行くぞ、C.C.。いずれ元の世界も平和にするんだ。その前にこの世界を平和にするぐらいはやってみせるさ。」

「ああ。……実にお前らしい。」


かくして、ルルーシュを乗せた蜃気楼は異界の空を舞う。

弱き人々を虐げるイグノビリウムを討つために。



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story




戦場にたどり着いた君は驚いた。

町を襲っているロボット部隊を、別の黒いロボットが圧倒していたのだ。


「グラールを使用した機関――グラールドライブと呼ぶか。

グラールドライブからのエナジー供給は安定しているな。ならば!」


蜃気楼が左腕を伸ばし、手首から加粒子砲が発射される。

蜃気楼の基本兵装、ハドロンショット。

強力な砲撃は、一撃でサザーランドを撃沈させた。

予想を超える威力に、左方の敵部隊が移動方向を変える。


「左翼が崩れたな。ならば次は右翼。」


蜃気楼の右腕があがり、再びハドロンショットが放たれる。

再度、1機のサザーランドが撃墜される。萎縮した右方の敵部隊が真ん中に寄る。


「こいつらには指揮官がいないのか。ただ目の前の出来事に反応するだけだな。

どれほど物量で勝っていようと、戦略が無ければ機能はしない。それは数多ある歴史が証明している。だから――」


敵の部隊は、蜃気楼の前方に集まっている。被害を承知で、味方を盾にしながら押し潰すつもりなのだろう。

――すべて、ルルーシュの思惑通りだ。


「こういう結果になる。」


蜃気楼の胸部が開き、光が宿る。それはルルーシュの苛烈な意思の具現。すべてを圧する殲滅の輝き。


「相転移砲、発射!」


次の瞬間、乱反射するプリズムの輝きに包まれ――

敵の部隊は消滅した。


拡散構造相転移砲。

ルルーシュの頭脳によってのみ使いこなせる蜃気楼の最強兵器である。


君は呆然とするばかりだ。加勢する暇もなかった。

「あのロボット、すごい強いにゃ! いったい何者にゃ?」


君が心当たりがないか考えていると――


”あーあー、そこの小型艇の人、あたしはレベッカ・アーレント開発官。ドルキマス軍所属よ。”


拡声器を持った白衣の女性が、地上から呼びかけてきた。


”あなた、噂の魔法使いよね? そっちにドックがあるから下りてきてくれるかしら?”


女性の指し示すドックの方へ、黒いロボットが下りていく。


「なんだかわからないけど………キミ、とりあえず下りて話してみるにゃ。」


わからない時は話し合うのが1番だね、と君は答え、魔道艇をドックヘ向かわせる。


 ***


ドックには見慣れない服装をした、一組の男女がいた。


「きみがいまの小型艇の操縦者か。」


黒衣に身を包んだ少年だ。幼さの残る見た目に反して落ち着いた話し方が印象的だ。


「そうにゃ。」

「ん? こちらの世界の猫はしゃべるのか。

……いや、レベッカが言っていたな。しゃべる黒猫をつれた魔法使い……。なるほど、きみが……。」

「なにぶつぶつ言ってるにゃ。」

「……なぜ、単艦で突っ込んできた? なにか策でもあったのか?」


そんなものはないけど、困っている人が目の前にいるのに、黙って見ていることはできないからね、と君はこたえた。


「……ふふ。きみはバカだな。」

「バカとは失礼にゃ!!」

「いや、困っている人を見過ごせないのは立派なことだ。

だが、無策で突っ込んで自身を危険にさらしてどうする? 救えるはずの人々も救えなくなってしまうぞ。」


少年の言葉に悪意や敵意はなく、正しさがある。経験に基づいた発言なのだろう、と君は思った。

彼が言うことがこの世界では必要なのだと思い、君はお礼を言った。



「訂正しよう。きみは真っ直ぐなヤツだな。」


ふいに、少年の声が和らいだ。そうすると、ひどく優しい顔になる。きっとこれが本来の顔なのだろう。


「私の名はゼロ。こいつは……。」

「C.C.だ。お前が黒猫の魔法使いか?」


君がうなずくと、C.C.と名乗った少女は、重ねて問う。


「異なる世界から来たそうだが、行き来の仕方を知っているのか?」


残念ながら、と君は首を横にふる。


「ふむ。第2優先事項から接触があったのは喜ばしいことだが……。」

「ハズレだったな。」

「勝手に人をハズレ呼ばわりとはどういうことにゃ!」

「いや、失礼。私たちも君たちと同様、異世界から来た人間だ。君たちに会えば、元の世界への戻り方がわかるかと思ってね。」


力になれなくてごめんね、と君は謝る。


「きみが謝る必要はない。勝手にこちらが期待しただけのことだ。

なに、この世界を救うと決めたからにはそちらが優先だ。戻る手立てがあるのなら備えておこうと考えていただけさ。」

「そうだな。焦って戻る必要はない。お前がアーカーシャの剣を傷つけたことでシャルルは向こうに閉じ込められている。」

「ならば、神楽耶(かぐら)をはじめ、星刻()、藤堂、ディートハルト――揃えた必要な人材によって超合集国は成るだろう。

シャルル無き今、世界の半分を占める超合集国が誕生すれば、いくらシュナイゼルとて簡単に手出しは出来ない。

幾ばくかの均衡状態が生まれる。その間にイグノビリウムを殲滅すればいい。」


(そうだよな? ナナリー……)



彼らが何者なのかはわからない。だが……。

とても強く、優しい顔だ――君はそう思った。



 ***



――その頃、ドルキマス王宮にて。


「ほう、これは。

突然の来客とは……魔法使い以来だな。」


「……。」




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