BLACK UNIVERSE_1
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各話セリフ/意訳
Part.1
苦労量保存の法則というものがある。 *1 |
一人が一生の間に経験する苦しみの量は決まっている。 |
だから今苦労すれば、あとで楽ができる。 |
という意味で |
大人が子どもによくかける言葉である。 *2 |
だけど、その言葉が事実なら |
一人が一生の間に経験すべき苦しみの量は決まっている。 だからどう足掻いても逃れられない。 |
・・・ということにならないだろうか? |
自分が背負う苦労からは何をしても逃げられないという事が分かったら、 |
ひら
人々はどんな反応をするだろうか? |
ひら
そう、例えば・・・ |
「ヘジンちゃん!」
入部届 |
いくらお断りしても |
聞く耳を持ってくれない先輩とか。 |
「なに、あの先輩?」
「今、あの子に声かけてたよね?」
「何日か前からヘジンを訪ねてきてるの。」
「なんか部活に入ってほしいって」
「なんであの子に?」
「呪われたらどうすんだか」
「ちょっと。」
「人前でそういうこと言うのやめてよ。」
ガタン
「・・・・・・。」
「ヘジンがあなたたちに何したって言うの。」
「ひどいんじゃない?」
「だってさぁ・・・」
「あの子の持ってる鞄、見たでしょ。」
「変な御札がべたべた貼ってあるやつ。」
「中ニ病患者か、」 *3
「でなきゃホントに呪われてるか。」
「どっちでも関わりたくないじゃん。」
「ヘジンちゃんどこ行くの!」
「お手洗いです」
「ここにまで着いてくるのですか?」
「待ってるよ!」
「・・・お帰りください。」
( 今日でまるまる一週間・・・ )
ジャーー
( これも不運の一部なのでしょうか。 )
はぁ..
運というものは |
人間の力ではどうにもならない |
大きな流れのことである。 |
いくら努力しても、 |
その人の持っている運が不運ばかりなら |
結局は良くない方へ流れるようになっているのだ。 |
そして、私に与えられた不幸は |
他のひとの数十倍。 |
私だけでなく他人まで破滅に導くほど強大なものだ。 |
( こんなに長く関わるのはよくない。 )
( 私にとっても、あの先輩にとっても。 )
「・・・・・」
サッ
↑
自分のハンカチ
「こんなに誘われたら、そろそろ入る気になったりしない?」
「新入部員募集期間も終わっちゃうしさ~」
「今じゃなきゃ入れないんだよ?」
「この ”不幸部” にね。」
「そうなのですか? では早く終わると良いですね。」
「そう言わずにさ~」
「他の欄は書いておいたし。君は署名するだけでいいんだよ~」
「他の方を誘ってみてはいかがですか?」
「いや、不幸部には君が必要なんだ。」
「他の誰かじゃなく君が!」
「だって ”不幸部” は、誰かの不幸を解決してあげるサークルなんだよ?」
「あらゆる不幸を背負ってると有名な君ならきっと」
「誰かの不幸まで引き寄せることができるはず・・・」
ピシャッ
「・・・・。」
「あとでまた来るから!」
「そのときはホントに入ってよね!」
( そもそも・・・ )
( 不幸部なんて部活動一覧に無いじゃないですか。 )
( 不幸部って何なのですか )
( 不幸部って・・・ )
「サークル決まった?」
「さっきはごめんね。」
「友達の話、ちょっとひどかったでしょ?」
「いえ、大丈夫です。」
「いいよ~ 同い年なんだし敬語じゃなくて」
「で、どの部にするの?」
「やっぱりバドミントン部?」
「やっぱりとは?」
「だって、」
「あなたに付き纏ってるあの先輩、”バドミントン部” の副部長だよね?」
「バドミントン部ですか?」
「うん。あの先輩けっこう有名なの。」
あなたほどじゃないけど
「授業をあまり受けず保健室や売店でサボってばかりの先輩。」
「なのに先生たちはちゃんと注意しないんだって。」
「・・・あまり関わり合いにならないほうがいい御方のようですね。」
「でも、どうしてかちょっと気にならない?」
「私たちにできないことしてるからか、なんとなく憧れるみたいな?」
「あの先輩と仲良くなったら紹介してほしいな!」
「せっかくだし私たちも仲良くなろ!」
「私に関わればあなたにも不幸が訪れます。」
「噂はご存知ですよね?」
「クラスの皆が亡くなったのに一人だけ生き残ったとか、」
「行く先々で火事が起こるとか・・・」
「でも、そんなの噂・・・」
「事実なのです。」
「すべて。」
「関心を持っていただき有り難いのですが、」
「今後はそうしてくださらなくて結構ですから。」
「ほら!あいつ生意気なのよ!」
「ジへが思い切って話しかけてあげたのにさ・・・」
「あの先輩への態度見てれば性格わかるでしょ?」
「やめてってば。」
「ぜんぶ聞こえちゃう。声抑えてよ。」
「ふん。」
「聞こえたら聞こえたでいいわよ。」
「別に間違ったこと言ってないでしょ?」
「無い!」
「俺のICカードが消えちまった!」 *4
バッ
「俺の財布も無くなってる!」
「私は時計が...!」
「現金が無くなった!!」
ざわ ざわ ざわ
「私の物も無い...!!」
「えっ、どうしよう、私も!!」
「・・・・・・。」
「無い・・・」
「お母さんの形見の指輪が・・・」
「消えちゃった。」
ざわ ざわ ざわ
ざわ
「ね、なんかあったの?」
「体育の時間に盗難事件が起きたそうです。」
「ただ、そのとき運動場を離れた生徒はいなかったそうで・・・」
「とりあえず何か対応しないといけないから、持ち物検査をしてるみたいですね。」
「無駄だろうね。」
「そもそも盗んだ奴が自分の鞄に入れておくわけないし。」
「それもそうですね・・・ ひょっとして ”幽霊” の仕業では?」
「幽霊が盗んでどうするんだい?」
「そうですけど・・・」
「あのクラスには”あの子”がいるし。」
「出入りした人は誰もいないって言うから・・・」
「そうと決まったわけじゃないですが、みんな一番怪しいのはあの子だと思ってるはずですよ?」
「いつも体育の時間は一人でスタンドに座ってますし。」
「・・・・・・。」
「誰も見てない隙にこっそりと・・・」
「証拠はある?」
「はい??」
「証拠はあるのかって!」
「推理無罪の原則って知ってる?」
「確かな証拠も無しに推理だけで人を疑っちゃいけないんだぞ!!」
(推定・・・無罪だったような・・・)
「とにかく・・・」
「これじゃこの時間は会えないか・・・」
「どうしよう・・・」
「校内じゃアクセサリー着けちゃ駄目だから、ちょっとしまってたの・・・」
「誰が・・・」
「・・・・・・。」
「イ・ヘジンが犯人なんじゃないの?」
「だって、私たちはみんな2人1組でバレーの練習してたし。」
「あの子ひとりだけ残ってたじゃない?」
「私たちの気がそれてる間に誰にも知られずにさ・・・」
「違うよ。ヘジンは・・・ ずっと私と喋ってたよ。」
「教室に来る間なんて・・・無かったもの。」
「じゃあ、なんでうちのクラスにだけこんなことが起きたの?」
「やっぱりイ・ヘジンがうちのクラスにいるから・・・」
ガタッ
過ぎ去るはず。いつものように。 |
数日もすれば何もなかったように戻るはずだから。 |
それまでだけ我慢していれば・・・ |
「・・・・・・。」
「どこ行くの?」
「そろそろ終わったかなって来てみたんだけど。」
「犯人は捕まった?」
「・・・いえ。」
「君がいるところには不幸が絶えないんだね。」
「やっぱり不幸部には絶対に必要な人材だよ。」
「そのお話はもう結構です。」
「私は・・・」
「その手で不幸を無くしてみない?」
「君がいることで周りが不幸になるなら、」
「君がその不幸を解決しちゃえばいいんだよ。」
「俺が手伝うから。ね。」
「いつ泥棒が入ったんだと思う?」
「体育の時間・・・ですよね?」
「どうして?」
「それは・・・」
「体育の時間なら誰もいなくて盗むのが楽ですし・・・」
「でも、その時間に教室に行った人は誰もいなかったんでしょ?」
「だったら」
「” 盗難事件は体育の授業中に起きたことではない ”」
ザッ ザッ
体育の時間
「この答えを導き出さなくちゃ。」
「では、一体いつ盗まれたのですか?」
「体育の時間の前までに、少しずつ。」
「たいてい、人は何か無くなってもすぐは気付かないんだ。」
「体育の前までに持ち物が消えたことに気づかず」
「体育の後に気がつけば ”体育の時間に消えた”と考えてしまう。」
「誰が何を持ってるか、どこに保管してるのか、かなりわかってたみたいだから」
「犯人は君のクラスメイトだろうね。」
「そして最も怪しいのは、」
「みんなに ”体育の時間に盗まれた” と思い込ませた人物。」
「最初に持ち物が無いと言い出したのは、誰だった?」
[ 音楽室 ]
「やはり」
「あなただったのですね。」
「数日前にバイクで事故を起こしたというお話は私も耳にしました。」
「修理費のためですか?」
「皆様の持ち物を盗んだのは・・・」
「ああ、なんだ。ぼっちちゃんかよ。焦ったわ。」*5
「ビビらせんなっての。」
「そ。俺が盗んだ。で?」
「今すぐ元に戻すのでしたら、皆様にお伝えしたりは・・・。」
「なにお前、俺を脅してんのか?」
「今、クラスで一番疑われてる奴が誰かわかってるよな?」
「俺は被害者側なんだぜ。」
「あいつらはどっちの言うことを信じるだろうな?」
「ぼっちのお前?」
「それとも俺?」
「適当に俺が誰かの物を1つでもお前の周りで拾ったと見せてやれば、」
「あいつらは全員でお前を犯人だと追い込むだろうなあ?」
「無駄にこれ以上誤解されたくなきゃ消えろ。」
「すっこんでな。」
ぐっ
「や~」
「後輩くんの物言いはずいぶん過激だね?」
「普通こういうときは ”ごめんなさい” って言うものじゃない?」
「誰もヘジンの言うことは信じないんだ?」
「でも、俺の言葉は信じると思うよ?」
「自分で言うのもなんだけど、俺って顔は広いほうなんだ~」
えっへん!
「バイクを乗り回して事故った不良学生くん、」
「マジメに学生生活を送っている俺。」
スッ
「みんなはどっちの言うことを信じるだろうね?」
「こっちにはこんな証拠もあるし。」
チャッ・・・
「今すぐ元に戻してきたら許してあげるよ。」
「~~~~~~!!」
「あれ?」
「みんな、俺の失くし物あったわ!」
「え?」
「あ、私のもある!」
「俺もだ!!」
( 良かった... )
「ヘジンちゃん・・・」
「何でこんなところまで・・・」
ドッ ドッ ドッ
「俺、階段上るのけっこうきついんだけど・・・」
「先輩にだけお伝えしたいことがあるからです。」
「ありがとうございました。」
「私ひとりでしたら絶対に犯人を捕まえられなかったと思います。」
「いや、ほとんど君がしたことだよ。」
「俺はちょっと手伝っただけ。」
「クラス全員の不幸を、君が失くしてあげたんだ。」
「・・・・・・。」
「・・・はい。ありがとうございます。」
「本当に。」
「それじゃ、いよいよ不幸部に・・・」
N O*6
「申し訳ありませんが、それは嫌です。」
「実はもう入部届を出しちゃったんだよね。」
「はい?」
てへ
「仕方ないよね、昨日が提出期限だったんだし~」
「部員の申告書にも君の名前を書いていっしょに提出しちゃったし~」
「もう 君と!」
「俺は!」
「不幸部の 部長と!」
「部員になりました!」
「今日はそれを伝えたかったんだ!」
「いえ、私は」
「さて。そういうことで、これからよろしく!」
「部活の時間には必ず参加してね!」 *7
? ? ?
どうやら・・・ |
今回の不幸は思ったより長く私を苦しめるようです。 |
脚注
- *1 memo:「고통총량의 법칙」= 直訳:苦痛総量の法則 = 近しい語に「幸福量保存の法則」があったため参考に訳した. ただし、同じ「◯◯量保存の法則」でも人によって ”個人の総量” ”世界全体の総量” など表す意味が違う場合がある. 語は「質量保存の法則」に由来. 正式な用語ではなく、日本では広く知られてはいない模様.
- *2 memo:「선생님」=訳:先生様(先生). 教師、大人、目上の人、年上の人を指す尊称. 後に続く言葉が「子ども(たち)に」だったので「大人」とした.
- *3 memo:「컨셉병자」:直訳「コンセプト患者」.自分の設定(コンセプト・キャラクターなど)に沿った想像・行動する人を指す韓国での呼称、スラング(参考:namuwiki)
- *4 memo:「교통카드」=交通カード(T-moneyカード)=ICカード乗車券.
- *5 memo:「따」=のけ者、仲間はずれ、いじめられっこ.
- *6 memo:「철벽」=鉄壁. 断固拒否.
- *7 memo:「CA시간」=extra Curricular Activities(特別教育活動)の時間を略したもの. (参考:http://m.cafe.daum.net/babytooth/CjYG/70?q=D__sL3vNRGPdk0&)