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シャルロット(王冠)・思い出

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作成者: にゃん
最終更新者: にゃん
選ばれし光焔の御子
シャルロット・フェリエ CV:内田真礼
更なる力を得た光焔の御子。
彼女は御子をやめたことを――やめた。
2017/06/30



KINGS CROWN
飛行島の思い出 
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思い出1



<キングス・クラウン>の戴冠式が終わり、しばらくしたのち――

新たなる力を手に入れたシャルロットが、飛行島へとやってきた。


ちーす!

きたわねシャルロット。アンタにはすっかりおなじみの飛行島に!

まーね一。……もうさ、この島、あたしのモンってことでよくね?

よくない!

シャルさん、戴冠式お疲れさまでした。

リスもあんがと!

まー、たまにはああいうパーティーもいいかもね。冒険家どうしの交流にもなるし。

……お金かかるけどね……今度やる時はカンパ制にしてみようかしら。

したら、あたしもちったあ出してやってもいいけど?

え、ほんとに?シャルが? お金を?

ちったぁな、ちったー。

……こりゃー、あしたはヒョウと雨と雪と雷ね。

うぉい!色々降りすぎ落ちすぎ!

それでシャルさん。力を得た感想はいかがですか?

んー?まあ、イイ感じよ?仕事もはかどるはかどる。

アンタ、いま仕事してんの?

ギルドの依頼とか、ちょくちょくねー。めんといけど、カネは必要だし?

寝て食って寝て食って仕事して、がいまは寝て食って仕事して寝て、みたいな感じ?

ちょっとだけ変わったわね。ホントにちょっとだけ。

ええ。シャルさん、なんだか変わりましたよ。雰囲気というか、なんというか。

そーかなー?

それも、精霊の力のおかげなのでしょうか?

あー!そうなんだよ!ちょっと聞いてくんね!?

力を得るための試練っつーのがあったってのは話したっしょ?

はい。

それがさー、マジでシャレになんねーぐらいキツかったんだよ!ホント、死ぬかと思った!

そんなに大変だったの?

大変ってレベルじゃねーし!

……よければ、詳しく聞かせてくれませんか?

おっけー!つか、そのために来たんだし!


シャルロットは精霊の王冠が現われてからの出来事を話した――



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思い出2



「あーもー、マジでだるいんですけど……

おつかいの依頼だっていうからラクショーかと思つたのに、こんな山奥だなんて聞いてねーし……

えーと、こっち?……違う、ここはさっき通った……もー、どこにあんだよ、家ー!

うわっ!? なに!?」


「お、王冠……?」

「選ばれし者よ!お初にお目に掛かる!私の名はライダス!」

「……しゃべった?」

「私は精霊である故!」

「精霊……? 王冠が?」

「いかにも!」

「ふーん……で、精霊のおっさんがあたしになんの用?てか、選ばれし者つてどゆこと?」

「力を授けるにふさわしい者、という意味でございます!」


「答えになってるようでなってなくね?

えーと、なに?つまり、おっさんがあたしに力をくれるってこと?」

「いかにも!但し、その為には貴殿に試練を受けていただく事になりますが!」

「わかった。お断りしまーす。」

「なっ!?」

「いやあ……せっかくだけど、力はもうあるしさあ?」

「……ふむ。成る程。<光焔の御子>ですか。シャルロット・フェリエ殿。」

「なんで知ってんの?べつにいーけど……」

「確かに強力な力ですな。」

「そーゆうわけだから。……それに、試練とかダルすぎてやってらんねーし。」

「…………」

「わりーけど、他のヤツ当たって。じゃーな――」

(……いや待てよ)

「ごめんおっさん。やっぱあたし、やる。」

「おお!それは真ですか!?」

「しょーじき、選ばれし者とかいわれて、悪い気はしないしなー!」

「さすがはシャルロット殿!そう言っていただけると思っておりましたぞ!」

「けど、試練の前にちょっとだけ寄りたいトコがあんだ。」

「勿論!準備は必要ですからな!いいかな?」

「それで……どこに行かれるので?」

シャルロットは質屋の看板を指さす。


「いらっしゃいませ。」

「この王冠売りたいんだけど、いい?」

「……ほう、これは中々……」

「超レアだかんな。なにせ、精霊が宿ってるから。」(わりーなー、おっさん♪)

 『…………』

「それでは……こちらの額でいかがでしょう?」

「うっひょ~♪」

「ありがとうございました。」

「さーて、今夜は超高級ビーフだな~♪」



『さて……乗り越えられますかな?』


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思い出3



「ん……ふわ~……もう朝か~………………

休みって、終わんのあっという問だな一。……あー、二度寝したい……


……んなこともいってられない、か。

さーて、チビたちを起こしにいかなきゃな。」


 ***


「こらー!テーブルに食いモンこぼすなって何度いやーわかんだっつの!

「ごめんなさーい!

「しょーがねーやつだなー、もー……

「シャルお姉ちゃん!今日はなにして遊ぼっか!

「その前にべんきょーがあるだろ~。

「えー……べんきょーやだー……

「あたしたってヤだよ?つーか、人に教えんのニガテだし?

でもなあ、サボると先生に怒られるかんなー……

「何か言ったか?

「うわつ!?……え一と、今日もべんきょー頑張ろーなーつて、二人にいってたとこ!

「……そうかそうか。のう、ティム、エリイ?シャルロットは仕事熱心じゃの~。

「そうかな?さっきだって――

「ティム!


「ほら、シャル姉ちゃん、はやくはやく!

「あそほあそぼ一!

「わかったわかった!……ったく、ほんと毎日元気だよなあ、お前たちゃー……

「それで、なにして遊ぶ?かくれんほ? 鬼ごっこ?

「そーだなー……じゃあ、今日は御子ごっこでもするか!

「…………?

「なあに、そのあそび?

「……あれ? あたしいま、なんていった?

「え?みこごっこでもするか、って……

「御子……って、何だ?

「ぼくたちに聞かないでよ……

「???


「じゃあ、僕たちが勇者で、シャル姉ちゃんが悪者ね!

「チャンバラ、苦手なんだよなあ、あたし……

「それ~!

「わ……わわっ!

「ほら、姉ちゃんもこーげきして!

「……おりゃ~!

「……シャルお姉ちゃん、へつぴり腰……

「う、うるせーな!可憐な乙女は、ふつ一剣なんて振り回しゃしないの!

「……ふふふ。

「あはははは!

「あっ、こら!笑ったな!

「やべっ、姉ちゃんが怒った!

「に~げろ~♪

「うぉらー!待たんかーい!


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思い出4



「えーと、パンに牛乳、レタスとキュウリ、それからジャガイモね。

「それと、牛肉もな。

「え!?マジで!?今日の晩飯、ビーフ!?

「うむ。ビーフじゃ。うれしいじゃろ?

「やーりー♪

「……あ、先生。ちょっと聞きたいんだけど。御子……って、なんだと思う?

「巫女?神に仕える者の事か?クジョウの島が有名じゃな。

……なんじゃお前、巫女にでもなりたいのか?

「ちがうちがう。そんで、多分そういう意味でもない。

「…………? それ以外の意味は、わしは知らんが……

「そっか……う一ん……

「どうしたんじゃ、一体。

「いやなんかさ、さっきからずっと引っかかってんだよね。どっかで聞いたことがあるっつーか……

あたしにとって大事なものっつーか…………んん?大事なものかあ……?

……あー!モヤモヤするー!

「…………のう、シャルロットや。

「なに?

「……いつでもここを出て行って、よいのじゃからな?

「……?どーしたんだよ、急に。

「こうして昔からずっと、孤児院に住み込みで働いてくれているお前には、心から感謝しておる。

じゃが……年頃のお前には、やりたい事もたくさんあるじゃろう。

「…………

「お前にはお前の人生がある。だから、遠慮なんてしなくていいんじゃぞ?

「……別に、遠慮してるワケじゃない。

確かに、やりたいコトはある。毎日好さなだけ寝て、好きなだけビーフ食って……

いわゆるスローライフつてやつね。

「お前らしいのう。

「……でもさ、ここでの生活も、あんがい気に人つてんだよ。あたしは。

チビたちの世話して、掃除して、洗濯して、買い物行って……

「お前はよくサボるがのう。

「げ! バレてた!

「……ま、あたしはさ?好きで、ここにいんだよ。

だから、よけいな気い使わなくていーよ、先生。

「……ありがとうのう、シャルロット……



「街の方からだ……

「これは……!魔獣の襲来じゃ!

「シャルロット!子供たちを中へ!

「わ、わかった……!

「シャルお姉ちゃん、ぼくたち、しんじゃうの?

「姉ちゃん……こわいよう……

「大丈夫だって!多分、こっちまで来ることはないと思うし……


グギャアアア……!


「!!

「きゃーーー!!

「しっ!大きな声を出すな!

「シャ、シャルお姉ちゃん、見て!


遠くの方から、魔獣が群れを成して孤児院へと近付いてくるー


「ウソだろ……!なんで!!

「――ダメだ!このままじゃ……!

「待てシャルロット!どこへ行くつもりじゃ!

「確か物置きに、護身用の剣があったはず……!

「魔獣と戦う気か!?お前には無理じゃ!

「んなもん、やってみなきゃわかんないだろっ!

「大体、剣の握り方もろくに知らんお前が、生身であやつらを倒せる訳がないじゃろ!

「あたしは御子様なんだろ、先生っ!

「御子様……?何をいっておるんじゃ、お前は!

「わかんねえ!――でも、行く!!


「シャルロット、行くな!シャルロット――!」


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思い出5



「くっそ……!なにタンカ切って出てきてんだ、あたし!

先生のいう通り、戦い方なんて全然知らねーのに……!

……や、大丈夫だ、大丈夫!魔獣ぐらい、どうってことねー!ラクショーだ、こらー!


『グルウウウウ……


「……あ……

魔獣の放つ強烈な殺気に、シャルロットは総毛立つ。


「……なに震えてんだ!やんなきゃだろ……!あ、あたしが……

チビたちを……先生を、守らなきゃだろ……!

……うわああああっ!

腰が引けたまま、シャルロットは勢いよく剣を振り下ろす。

いとも簡単に攻撃をかわされ、シャルロットはバタバタとつんのめった。



「しまっ――」

やられる――そう思った彼女が懸命に体勢を立て直すがー―


「……え?」

『…………』

魔獣は彼女に反撃する事もなく、歩みを再び孤児院へと向けた。


「な……なんで……?」

遅れてやってきた魔獣達も、彼女に目を向ける事すらしない。

「……てめーら……あたしを無視してんじゃねーぞっ!

ただ振り回しているだけのデタラメな攻撃を、魔獣達は容易にかわしていく

「足とめろっ! こっち向けっ!……ちくしょう、あたしは眼中にないってか!?

ざっっっけんなーー!!


『ガアッ!

や、やった……!これで、まずは一匹!

『グガアッ!

「ぐはあっ!

振り向きざまのー撃。生身の体を、魔獣の鎚が弾き飛ばした。


「あがぁぁぁ……



魔猷達は孤児院に侵入しようと、壁を壊し始める。

「くそ……!痛がってる場合じゃ……ねえ!

血に塗れた体を引きずりながら、シャルロットは魔獣の群れに突進する。

「やめろぉぉっ!


『――』

「かはっ!


「――まだまだぁっ!


『――』

「う……うぐ……


とうとう、壁の一部分が破壊され――

そのすき間から侵入しようと、魔獣達が一斉に殺到した。


「きゃあああーーーー!!」

「こわいよ……こわいよおーー!」

「ダメじゃ、逃げ場がない……!」



「ティム……エリィ……先……生……!

くそ……意識が……」


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思い出6 (友情覚醒)




「ざけんな……まだ……あたしは……やれる……!」


何故?


「……誰だ?いや、んなことどーでもいい……

あたしは、あいつらを、守らなきゃいけねーんだ……!」


貴殿はただの娘でしょう?

武術の心得も無い。特別な力も無い。

どこにでもいる、ただのか弱き小娘ではござらんか。


「…………」


貴殿が最後の力を振り絞ったとて、再び魔獣に弾かれ、死を迎えるだけです。


「それでも……いく。」


何故?


「あたしは……あたしは! 光焔の御子だ――!」


…………



 ***



『……どうやら、貴殿にはしっかりと根付いていたようですな。』

「こ、これは……!?」

『貴殿が勝ち取った<力>にて。』

「…………」

『さあ、シャルロット殿!』


「滅せよ――!」



 ***



「…………あれ? あたし……

『貴殿は今まで幻を見ていたのです。

御子としてではなく、ただの一人の娘として生きる世界の幻を。

「……あー…………マジ?

『ですが、貴殿はそれでも、己の宿命を……己の生きる道を見失わなかった。

己の命を投げ打ってでも、大事なものを守ろうとした。

「…………

『幻の中にて感じたでしょう。貴殿の力と……そして、私の力が。

これからは、その力を存分に揮うがよい。貴殿には、その資格がある。

「おっさん…………売り飛ばしたりして、ごめん。

『お気になさらず。そうするであろう事は予想していた故。

「……あー……そう……


『――何はともあれ!

シャルロット・フェリエ殿!よくぞ試練を乗り越えられた!



 ***



ま、そーゆうワケで?力はありがたくもらうことにしたんだわ。

幻とはいえ、そーとーおいこまれたのね……

……確かに、幻の中みたいな人生は、あたしにとって悪くはないのかもしれない。

……けど、やっぱり、それはあたしらしくないっつーか、なんつーか……


や、向き合うとか、んな大げさなモンでもねーよ?

ただ、これからはもう、御子やめるー、とかいわないことにした。

あたしにとって大事な力だって、気づいたからね。

まあもちろん、相応のリスクもあるわけだけど……


でも……シャルさんなら、きっと大丈夫です。

……でもねえ、まさかアンタがそんなこというようになるなんてね~。


……ま、あたしのペースは変えないけどね?

何事もほどほどが大事だっていうっしょ?てきと~にやるわ、てきと~に。

それにやっぱ、御子の肩書きって、オイシイところもあるわけだし~?


そ、そうです……ね?

やっぱり、シャルはシャルね~。




宿命と決意の瞳

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