【白猫】メインストーリー 第14章 Story3
メインストーリー 第14章 Story3
目次
登場人物
story16 申し開き
――ヴァルアス、あんた……
…………
――空飛べたのかっ……!
そこか!?長時間は無理だっ!
<闇>の一味だったんだな。
…………
飛行島を探す旅の途中で、たまに耳に入ってきたぜ。
太古にあったという、<闇>の勢力……それが、近年になって暗躍し始めたってな。
あんた、その一派だろ?
…………
……だとしたら、どうする?
目的は、さっきのデカブツか?
…………
……そうだ。<闇>を抹消しようとする、奴を討つのが私の使命。
…………
<光>が決して失われることがないよう、<闇>もまた、世界には不可欠。
我ら、<闇>も……生存のため、抵抗せねばならんのだ。
…………
……悪い、みんな。席を外してくれ。
(いたのか……!?)
……あんた、言ってたよな。『国は失ったが、仕えるべき主君はいる』って。
…………
それはつまり……遥か昔、黒の王国に君臨していたとされる
――<闇の王>のことか?
……なぜ知っている。
カマかけだよ、半分はな。もう半分は、最果ての地序説、って論文を書いたときに、集めた情報からの類推だ。
……食えぬ男だ。
オレの考えでは、だが。<闇の王>は、<白の王国>との争いで滅んだはずだ。
けど、その言い伝えは誤りで、本当は滅んだんじゃなく、封印されていたってことか?
それと、<闇の王>の目的は、他にはないのか?シンプルに考えれば、世界征服をも目論んでそうだが?
あと――
待て、持て待て!いっぺんに聞かれても返答できぬわ!
じゃ、順々になら答えてくれんだな?
……ちっ。
質問事項はこの紙にまとめてある。
……手際のいい男めっ!
story17 暗黒騎士
――<闇の王>は復活したが、現在、居場所はわからない。
あんたはその<闇の王>に仕えてはいるか、真意まではわからない……か。
……嘘はない。
けど、真実もちょっと少ないな。
…………
もうちょっと打ち明けてくれれば、オレにもやりようはあるんだけどな~……
……なにがだ?
世界の<我儘>バールっつったか。あいつは、オレたち人間にとっても倒すべき相手だ。
ここは一つ、共闘すべきってのが冷静な結論だとは思うんだが……
なんだ。
なあ、ヴァルアス。ひとつでいいからさ、あんたの本心を聞かせてくれよ?
……語った通りだ。
まあな、それはな。ただ、『もうひとつ別の』本心を教えてくれよ。
な?いいだろ?オマケでさ?
……それに、そうすることに、私に何の得がある?
親身になれる。
……くだらん。
そう断じるタイプか~。
私は騎士だ。感情で動きはしない。
そりゃ立派なことさ。でも、すでに『動いてる』事態に、感情を乗せられたらさ。
もっとこう……なんていうのかな、もっと力が出せたり、そういうこともあるだろ?
……言っていることはわかる。
想いが力を生むことはある。私自身、そのために遅れを取ったこともあるさ。
だが……それには脆さも感じるのだ。
感情を裏切られたとき……その分だけ、反動が大きくなることもあるだろう。
だからって、機械的に命令に従うだけでいいのか?きっとどこかで効率的に劣るぜ。
貴様のために言っていることでもあるのだぞ、カイル。
私に肩入れしてどうする?いずれ道を違えることも十分に考えられるだろう。私は<闇>なのだ。
ま……そうだな。あんたと敵対する未来もってのも、ないわけじゃないとは思うよ。
だけど……そんなもんだろ?
同じところを目指してるうちは、一緒に歩むこともあるし、その先でそれぞれの道に分かれることもある。
もう一度交わることもあれば、ー生交わらないことも、あるいは、衝突することだってあるかもしれないさ。
でも……極論かもしれないが、人生なんてその程度だろ?その程度でよくないか?
…………
ダメ?
……う~む……!その顔で言われると、そうかもしれぬと思ってしまう……
なんだよ。オレの顔が何か突いてるか?
『に』ついてるか、だろ!
ははは。素のあんたって、ツッコミキャラだよな。
茶化すな!聞かせてやらんぞ、本心を!
悪い悪い。真面目になります。
……人には『分』があると、私は思っている。
ぶん?
私は騎士だ。統べる立場ではない。
誰かに仕え、命令を全うすることが、私に与えられた役割だ。
だから私は、『誰に』仕えるか、ということには、意志を挟まぬようにしている。
私は……私の人生は、よくて『ナンバー2』だ。……俗っぽく言うとな。
たまには俗っぽいのもいいさ。それがかえってわかりやすいときもある。
……フン。
……話は終わりだ。
ん。
騎士の口には限界だ。これ以上は語れぬ。
……ふ~ん……
(ま……伝わったさ。
『口出ししない』なんて言うところにこそ……
往々にしてあるもんさ。本当の、願望がな……)
お~い!じゃあ難しい話は終わりだ!飲もうぜ!
おい!?離席した私を、どうして呼び戻す!?
共闘、するって!一緒にあの、バールってのをやっつけようぜ!
ああそうかっ!協力感謝するっ!
story18 再生と破壊
――珍しいことは続くものですね。
あなたがここに、何の用です?
チンケなトコだな。
開口一番クレームですか。
思ったママを口にしただけよ。<闇の王>はどこだ?
虚空の幽園の中です。
ぶち殺しても構わんかな?
どうぞお好きに。あなたも逝く覚悟があるのなら。
ふむ……
遠慮しておくか。どことも知れん、詐欺まがいの空間でやり合ったところで、面白くもなんともない。
儂は奴とは違う。決戦とは注目を浴びるべきだ。
かような娯楽を、求めているであろう?この世の生命はすべからく、な。
私は別に。
ンン~?
本当に決着がつくのであれば、一見する価値もありますが。
どうせいつものように、乳繰り合うだけなのでしょう?
くくくく……!それも良いではないか。あっさり終わってしまっては、今後の娯楽に困ろうが。
長引かせたところで。いつか終わるなら無意味です。
思いの外、幼い信念で動いておるのだな?
私が、ですか?
そうだ。<再生の巫女>よ。貴様は、儂よりも刺激を欲しておる。
『いつか終わるものがつまらない』など、乳飲み子の駄々に過ぎんぞ?
代わりを欲してはいません。無くていいと思っています。
だからこそ、儂と対をなしているというわけか。
世界が勝手に配属した<役割>です。未練も執着もありません。この場で私を滅しますか?
あたらもったいないわ。貴様との議論は、これ以上ない暇潰しになる。
……おかしな感想ですね。
ん?なんのことだ?
……いえ、なんでも。他に、何か?
そもそも用と呼ぶほどの用事など――ああ、そうだ。
手駒を貸せ。貴様も混ざったという形にしておいてやる。
余計なお世話です。
では脅迫という形を取るか。
!?
かはっ……!
儂は『優しさ』も嫌いではない。
その後の『残虐さ』がより華々しく映るからなぁ!
あぁぁあああっ!?
自分だけ安全だと思うなよ?儂にはあらゆる者が敵。例外はないぞ?
……ならば、消して結構です。
馬鹿が。貴様にとっては<無>こそが望みであろうが。
<有>は苦痛……一瞬の快楽を得るがため、永遠の不安を背負う……
貴様の願望は叶えてやらん。<一瞬の苦痛>を千個ほど上乗せしてくれるわっ!
……っ!
さあ、抗ってみせろっ!
……その程度のこと、今更私が、厭うとでも?
ほう?
ですが、癩に障りました。バールよ。<均衡の一端>よ。
何をほざく。儂は均衡を<破壊する者>よ。
吠えていなさい。――<循環>を外れ、<無>へと還りしソウルよ――
お?
――藁束の巨獣<エンキ>よ、殻を破りて天を舞え――
驕りし老木に<死の眼差し>をくれよ!
やればできるではないか?……どれ、儂が面接官だ。
存分にアピールしてみせろ!
story19 思考の公式
…………
やはり無駄か。
当然の結果だな。さて――当然の結果だな。さて――
ないよりはマシだ。借りてくぞ。返さんが。
お好きに
<破壊のルーン>でかさ増しすれば、前座くらいにはなろう。
……あなたはいつまで続けるつもりですか?
ン?
わかっているのでしょう?<理>は、決して覆せない。あなたは、なんのために。
貴様は世界の終焉を経験したことがあるのか?
いいえ。
ならば黙っていろ。結果が<無>などと、誰が決めた。
それ以外ないでしょう。論理的に考えれば。
馬鹿が。論理など。儂ら<個>には、手持ちの公式がそもそも制限されている。
いくら計算しようと、いくら計算しようと、解など得られるものか。
思考を諦めるのですか。
貴様がな。
……なんのことだか。
もう一つ言うなら……
貴様は醜悪だ。儂よりも、<闇>よりも、なお、な。
…………
いずれ来たる<無>の前に、『意味のある行動』などない。貴様はそう考えているのであろう。
だが、意味の正誤など誰が決める?世界に観測者がいるとでも?おらんわ、馬鹿馬鹿しい。
己の言動全てを『誤答』だとして何もせぬのなら、それこそ時間の浪費よ。
諦観に<美>はない。恥を掻くのがそれほど怖いか?
怯えたまま無意味な生を続けていろ。阿呆が。
…………
……私が動かぬのはそれが<役割>だから。
クソ便利な言葉だなぁ。そうは思わぬか?ハッハッハッハ……!!
…………
story20 指導する闇
――いかに武器が良かろうと、使い手が素人では話にならぬ。
最後の最後で勝敗を分かつのは、『何を信ずるか』、そして、『どれほど信じているか』だ。
それを肝に銘じ、各々、鍛錬に励め!
おー。
……なんだ、その気のない返事は。
ちょっと難しいって。俺たち、普段はただの農業従事者なんだから。
そうそう。信じる信じないの話は、そりゃあ大切だと思うけどさ。
そこが決め手になるような対決まで、そもそも行かんと思うのよね。
……そんなことでどうする!たしかにそれはもっともだが!
もっともだろ?
だが、小手先の技術だけを追っては、上達が鈍るっ!
まずは高みを目指せっ!その上で、必要がなくなれば剣を置いたって構わんっ!
う~む。
まあ、やってみますかね。言ってること自体は、ちゃんとしてるし。
そうなんだよなあ。なんだかんだ、小手先の技術の教え方も上手だし。
熱意も伝わってくるしね。
いつまでごちゃごちゃしゃべっている!既に解散しているぞっ!
へ~い。
熱血!暗黒騎士先生!……ってとこか?
おい、カイル!なぜ私が、町人たちに剣を教えねばならん!?
共闘するって言ったろ?
聞いたが、こういうことか!?
まあまあ。ギブアンドテイクだって。この町の武器はあのデカブツにも有効なんだろ?
一人一人が強くなれば、あんたにもメリットがあるじゃないか。
それはそうだがっ……!……どうも腑に落ちんっ……!
世の中、腑に落ちることの方が少ないモンさ。
また知った風な口を……
……<空槍>、だったか。準備はどうだ?
剣などよりもよほど、あれが勝敗の要だぞ。
それなんだが……どうも上手くない。
何か問題があるのか?
説明、頼めるか?
もちろんだ。あの<空槍>なんだが、端的に言えば、この間ので撃ち尽くしてしまった。
なんだと?
責めないでやってくれ。虎の子だったんだからな。
そんな気はないが。要は、補充が必要なのだな?どうすればいい?
話が早くて助かるよ。<空槍>で射出する槍には、純度の高い<空石>が使われているんだ。
それを採ってくればよいのだな?どこにあるのだ?
あの山が見えるかい?あそこは、虚空とつながっているとも言われていてね。
…………
これまでは、川下に流れつく<空石>を選別して使っていた。つまり、山を登るほど、質の高いものがあるってことだ。
よし、早速その山へ行こう。
ありがとう、助かるよ。いくら武器防具が高性能でも、山は厳しいんだ。自警団の連中も、戦闘のプロってわけじゃないから。
ああ、オレたちに任せてくれ。
それはいいが……私たちが不在の間に、町が襲われたらどうする?
ダッシュで戻るしかないな!
お前……!自信満々な顔をして、言うのがそれかっ……!
前のことを考えると、一応あんたを優先して狙う可能性が高いんじゃないか?
どうだかな……奴の行動は全く読めん。
まあ、やられたらそのときはそのときだよ。無に還るのが少し早まるだけさ。
……無?ソウルになって地に還る、じゃなくてか?
ああ、この島では、死についてそういう風に考えられてるのさ。
だからって、怖くないわけじゃないけどね。生き延びるためにあらゆる手を尽くしたら……
……それでも駄目だったときには全てを受け入れるしかないさ。
う~ん……まあ、そうかもしれないけど、ギリギリまで決して諦めるなよ?
もちろんだとも。だからと言って早目に自決する風習があるわけでもないさ。
他の島よりも、少しだけ死を身近に考えているというわけか。
そ。じゃあ、悪いが、旅人さん、お願いするよ。
ああ、行ってくる!
(……山、か……
……陛下は、まだ……)
story21 全部あんたみたいなら
おいヴァルアス、遅れてるぞ?どうした?
……カイルお前、やたら速くないか?
あ?冒険家だしな。山登りは得意だけど……どうした?
いや……確認しただけだ。速度を上げる、心配するな。
おう。……にしても、あんたけっこうイイヤツだよな。
<闇>ってのが全部あんたみたいなら楽なんだけどな!はは!
……この共闘は一時的なものだ。
人間どもに剣を教えたのも、<闇>に利があったから。それだけに過ぎん。
じゃ、やっぱり将来的には戦うことになるのかね?
……世界を安息の<闇>に包む。その思想に賛同できぬなら、いずれ、そうなるだろうな。
<闇>じゃなくちゃダメか?
ん?
世界が安息に包まれればいいんだろ?<闇>である必然性ってあるか?
……仮に、世界が<光>で包まれたなら……
……眩しすぎないか?それを安息と呼べるだろうか?
ははっ!そうだな。
……だが。確かに、考えたことはなかった。それ以外の道も本当はあるのかもしれんな。
聞きたいね。
……黒の王国に住まう民は、どこか不完全だったのだ。
それも無理からぬことだろう。黒の民たちは、四六時中『頭上』を押さえられていたのだから。
……白の王国にか?
そうだ。
なるほど、ね。ずっと頭の上にいられりゃ、そりゃ本能的に警戒もするな。
そういうことだ。頭上に広がるべきは眩く輝く<光>でない。安息の<闇>であるべきだ。少なくとも、選択肢が二つならな。
だから、世界を<闇>で覆いつくしたいってわけか……
<闇の王>も同じ考えなのか?
……おそらくな。
おそらく、か。
仮に、それ以外に目的があったとしても、特に問題はない。
あんたにはね。
……いや。私にも、無関係ではないのかもしれない。
おっとっと、なんだか悪いな。なにも、ここにいない奴の陰口を叩かせようってわけじゃあないんだ。
……?……ああ、うむ、そうか。
……それにしても、お前と話していると、気づかされることが多いな。
ん?そうか?無責任な発言も多いと思ってたが。
それでも、別の意見を聞くということは新鮮な体験だ。
ああ……あんた、友達いなかったんだっけ。
友……と呼べる者は、記憶にないな。
……他の<闇>の連中は?
付き合いがなかったわけではないが。
さっき言った通り、頭上に問題を抱える黒の民は、どこか不完全だった。
会話で新たな気づきを得たことなど、私の記憶にはほぼない。
今にして思えば、歪んだ思想を持つ者が多かったのかもしれないな……
……その説で言えば、白の民も、別の歪みを持ってるかもだけどな。
……貴様ら人間は、白といえば無条件に正義と呼ぶのではないのか?
ん~?まあ……世の中的にはそういうことも多いんだろうけどな。
オレは、<冒険家>だからな。自分で見聞きしたこと以外は、中立の観点で考えようと思ってるよ。
そうか……
…………
……闇の道化、という者がいる。
ん?
奴には、気をつけろ。
……忠告だ。
ああ……わかった。ありがとな。
…………
さあ……先を急ごう。
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