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【白猫】メインストーリー 第05章 ~機械仕掛けの島~ 前編

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作成者: にゃん
最終更新者: にゃん

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2014/10/07



目次


プロローグ

Story1-2 機械の少女

Story3-1 奇怪な科学者

Story3-2 灰縁の魔障

Story5-1 利害の一致?

Story5-2 足りないモノ

Story5-3 お願いと命令

Story7-1 すぐには動かないで

Story7-2 素直な裏切り

Story7-3 脱出成功




プロローグ



ルーンドライバーの光が消えた。この島には大いなるルーンがあるようだな。

こないだみたいな骨折り損はもうヤだもんねぇ~。

キャトラったら。仲間も出来たし、経験も積めたじゃない?

周囲に人の気配はないが……ここは科学技術が発達した島のようだな。

へ~、面白そうね~。

いままでの島とはまた違う雰囲気ね。

私は飛行島を守っていよう。大いなるルーンの捜索は任せたぞ、主人公よ。




メインストーリー 第5章
~機械仕掛けの島~




story1 機械の少女


……わぁ~……すんごいガラクタの山~……

ここは、動かなくなった機械を捨てておく場所なのかしら?

いろんなものがあるわね~。これは大きな歯車かな? あっちのは何かしら?

! キャトラ、主人公! あそこに人が倒れているわ!

大丈夫ですか? しっかりして!

私がわかりますか? 意識はありますか? どうしてこんなところに?

私はゴミです。

えっ……!?

私は人間ではありません。自立思考型アンドロイド〈ハーティ〉です。

アンド……ロイド……?

マスターがいいました。私のような粗大ゴミは不要だ、と。だからここに来ました。

え……? 自分からゴミ捨て場に来たってこと?

命令だったので。

そんな……

もういいなら行ってください。私はここで私の機能停止を待ち続けますから。

世界の終わりとどちらが早いのか知りませんが。

ちょ、ちょっと! そんな暗いこと言ってないで、生きる希望を持ちなさいよ!

生きてません。用がなければ帰ってください。

…………えっと! ……あ! あの! ハーティさん!!

私たち、大いなるルーンを探しているんです。知りませんか?

この島には私たち機械とマスターだけが存在します。

探し物が何か知りませんが、それがこの島にあるものでしたら、持っているのはマスターでしょう。

質問への回答は終わりました。では……

ハーティさん! 私たちを、その方の元に、案内してくれませんか!

……私がですか?

お願いします!

なぜ?

えーい、いいから案内しなさいよぉー!

この猫は害獣ですか?

レディーに向かってなんてこと言うのよ! この れーけつ ろぼっとぉ!

…………

……あれ?? 傷ついちゃった??

ダメよキャトラ、相手のことよく知りもしないでそんなこと言っちゃ……!

……マスターのところに案内します。

え?

それでもう私に関わらないでください。



……なんなのかしら! いくらアンドロイドったって、冷たすぎるんじゃないの!?

……でも…………キャトラに悪口言われたとき、一瞬すごく辛そうな顔をしたわ……

えぇっ!? あれは悪気があったわけじゃなくってぇ……

わかってるわよ。……きっとハーティさん、何かを抱えているんだわ……



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story3-1 奇怪な科学者



マスター。来客です。

…………

あの……すいません……

…………

ちょっと、おじいさん? 聞こえてないの?

…………

どすこーい!!

聞こえとるわ!!

うわっ!?

見てわからんのか! ワシは忙しいんじゃ! 邪魔をするな!

あの……私たち、大いなるルーンを探しているのですが……

勝手に探して持っていけ!

どこにあるのよ?

そんなモンのありかを覚えておくことが、ワシにとって重要か?

そんなモンって……大いなるルーンよ?

研究対象の一つに過ぎんわ! ワシには研究すべきものが星の数ほどあるんじゃ!

しゃべくっとる暇があったら手を動かさんか! ハーティ! と、あいつは捨てたんじゃったな。

……マスター、少しは休息されては……

!? 出来損ないめ、戻って来ていたのか!

お前なんぞに興味はない! この場から消えてしまえ!

はい。

――

ハーティさん!

なんてこと言うのよ! ホントに行っちゃったじゃない!

そりゃそうじゃろ、そう言ったんじゃからな! ロジックを知らんのか!

どうしてそんなひどいことを言うんです? ハーティさんの気持ちも考えてあげてください!

……気持ち? ハーティに気持ちじゃと!? そんなものが創れていたら……!

……え?

……出て行け! お前ら全員、出ていかんか! くわぁー! っぺ!


ギャー! なにすんのよ! サイアクだー! 言われなくても出て行くわよ!

いこ! アイリス!

……そうね、ハーティさんを追わなきゃ……

……失礼しました。

ふんっ!




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story3-2 灰縁の魔障



…………

……鉄臭い。ホコリっぽい。歩いてるのは機械ばかり……存在する価値もない島ね。

性懲りもなく、また戻ってきたのかハーティ。しゃべっとらんと茶でも淹れんか。

誰と間違えているのかしら、アルベルト博士。こんなところに一人でよくもまあ……

? なんじゃお前は。


私は闇の三刃衆が一人、灰縁の魔障グローザ。大いなるルーンはどこかしら?

同じことを二度言わせるな!

……はぁ? わけのわからないことを。噂通りの変人ね。

何が噂じゃ、ワシのことを知っとるヤツなんぞ、もうこの世におらんはずじゃ。

おめでたいわねぇ。二代や三代で晴れるものじゃないみたいよ。

あなたの発明で犠牲になった人たちの恨みはね……!

なんじゃと……!

己の発明で島を滅亡させたのに、自分はサイボーグになってまで生きていたいだなんてね。

やかましいわ! 貴様は何もわかっておらん!

じゃあ、教えてもらおうかしら。

ワシャ何も話さんぞ!

ええ、結構よ。直接見るから。

<>

! 頭が……!

頭が割れるようじゃ……! 貴様、何を……!?

私の魔術は電気を操る。あなたの脳神経を操作して、記憶を見させてもらうわね。

馬鹿な……! そんなことが許されるものか……!

心配しなくていいわ。この術は、思い出したくない記憶も何十倍にも増幅させるから――

たいていの人間は、精神が壊れて気が狂ってしまうの。許すも許さないもなくなるわ。

ふふふ……! 見えるわ……! あなたの発明した爆弾が炸裂して、島が炎に包まれていく光景が……!

これ全部あなたのせいなのね! アッハハハハハハ!

わかっとるわい……! だからこそ、償うためにも、ワシは……! 科学を……!

良かったわね。もうじきそんな悩みも全部消し飛ぶわよ。

それにしても情報量が多いわね、あなたの頭の中って。この中のどの発明で何人殺せるのかしら?

……もう二度と……! ワシの発明を、争いに利用はさせんぞ……!

ワシの頭脳はワシだけの物じゃ! 貴様なんぞに荒らされるくらいなら……!

! 記憶が途絶えた?

…………

……自ら機能を停止したか……ふん、どうせなら研究所ごと爆発でもすれば良かったのに。

意地でも自分の功績を残したかったのかしらね? ……まあ、こうすれば!

<>

おんなじだけどね! アッハハハ!

大いなるルーン……一瞬だけ見えたわ。何かの機械に埋め込んだようね。

ふん、こんな島で探し物なんて、何も可愛くないけれど。

ヴァルアス様。大いなるルーンは、必ずやこのグローザが持ち帰ります……


 ***


『あの女めェ……ゼッタイに許さんゾィ……!』



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story5-1 利害の一致?



いた! ハーティさん! 待ってください!

なぜ?

なぜ、って……

私はマスターの命令に従っています。

あんなの命令じゃないわ! ただの八つ当たりよ!

何が違うのですか?

全然違うわよ! あんなのイチイチ真に受けてたら、アンタの身が持たないわよ!

『身』というのがボディのことでしたら、所有権はマスターにありますので。

アンタの意思はどうなるのよ!?

……それがあれば、そもそもこうはならないでしょう。

え……?

ハ~ティ~! こんなところにおったんかィ!

! ナニコレ! ガラクタが喋ってる! こっけ~い!

失敬な! ワシャ、アル……アル――!

そうじゃ! RBじゃ! ワシのことはRBと呼ぶがいい!

いま言い直さなかった?

名は体を表すからのう! んなこたぁいいんじゃ! お前ら! カタキを討ってくれ!

だれの?

ワシの!

どゆことっ!?

わかるぢゃろ!

わかんないわよ!

察しが悪いのぅ! こんな奴らほっといて、行くぞ! ハーティ!

……コード認識…………マスター……? はい、わかりました。行きます。

覚えとれよあの女ァ! ジャムにしてトーストに塗って、一口かじって食べ残してやるわァ!

ジャムにしてトーストに塗って、一口かじって食べ残しましょう。

ま、待ってください、RBさん。どこに行くつもりですか?

そうぢゃ! ついてくれば探し物も見つかるかもしれんぞ! 利害の一致じゃ! お前らも来い!

え、えぇ~? ちゃんと説明してよ~?

その時間が惜しいわィ! 道々、察せ察せ! ハーティ! いくぞ!

はい。

ハーティさん! 一人じゃ危ないです!

アイリス!

なんじゃい急に走り出して。せっかちな娘ぢゃのぅ。

アンタのせいでしょうが! 追うわよ、主人公!


ま、待ってくれ~ィ。ワシャ0.1馬力しかないんじゃ~。



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story5-2 足りないモノ



ハーティさん! 機械たちが暴走してるのに、一人で行っては危ないですよ!

命令でしたので。

あれは多分違います、号令というか、掛け声というか……

号令と命令は違うのですか?

えーとね、なんて言ったらいいのかな……


アイリスと言うたか? あのお嬢ちゃん、やたらハーティのことを気にするのぅ。

ほっとけないんでしょうね……にしても、アンタがさっきのじいさんとはね~。

その体、似合ってるわよ。ずっとそのカッコでいた方がいいんじゃない?

イヤぢゃい! こんなアームぢゃ、キーボードも叩けんし……

ホントはこんなことしとる暇などないんぢゃ。はよう研究を再開したいわィ。

仕事熱心もいいけどさ、こうなったら開き直って研究はちょっとお休みしちゃえば?

そうぢゃのぅ。それもイイかもしれんのぅ。

その体になったら、急に親しみやすくなったわねぇ。RBって、ハーティの製作者よね?

ほじゃぞィ。

なんで出てけとか消えろとか言うのよ?

そんなことゆーたか?

研究に集中し過ぎて無意識で言ってたのね……出来損ない、とかも言ってたよ。

まぁ、それはそうぢゃからのぅ。ワシはハーティに、心を持たせたかったんぢゃ。

プログラムは完璧ぢゃった。ぢゃが、目を開けたハーティには、何かが足りんかった。

ワシはハーティに、優しくなって欲しかったんぢゃ。ぢゃがそれは、あんなイエスマンとは違うんぢゃ。

たしかに、ハーティの言動は人間には見えないわね……

ハーティを見るたび、己の力不足を突きつけられとるようで、無性に腹が立ってのぅ……

そうだったのね。ねえ、ハーティに足りないモノって何かな?

それを補えたら、ハーティももっと人間みたいになるのかな?

知らんわー。

なによそれー。

ワシは優秀ぢゃが完璧ではない。出来んことがあるから、日々研究を続けとるんぢゃよ。



……だから、ただ従うんじゃなくて、一回自分で考えてから……

そのプロセスは私には不要です。

……ううん……違うの。その不要なものこそが、あなたには必要だと思うの。

……? 理解が及びません。

お~い、二人とも~、そろそろ出発しようと思うんぢゃがの~。

……ハーティさん。ゆっくりでいいから、考えてみてね。

…………


こらRB。目的地とか、詳しいこと、まだ聞いてないわよ?

説明するんか~。メンドーぢゃのぅ~。二回は言わんからのぅ~。

島の機械が暴走しちょる。動物を模したアニマロイドたちも、やっぱり暴走しちょる。

暴走を鎮めるのに必要なプロセスが、マザーコンピュータの再起動ぢゃ。

マザーコンピュータのある中央施設の入り口を開けるには、工場でスイッチを押さにゃならん。

工場は三つあるから、まず最初のトコに行くぞィ。

途中でお前らの探しモンが見つかったら、拾たらええわィ。

なんか、見つかんない場合もありそう……

じっとしとるよりは確率ハネ上がるぞィ?

ま、そ~だけどねぇ。

よし、そーと決まれば突撃ぢゃ~!

はい。

<>

ハーティさん!

RB! だからそれやめぇ~!

すまんすまん、ついのぅ……



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story5-3 お願いと命令



ハーティさん! ストップ!

マスターの命令は『突撃』です。

もう! RBさん! 止めてください!

ハ~ティ~、待つんぢゃ~。

はい。

RBさん!!

な、なんぢゃよ~?

軽々しくハーティさんに変な命令しないでください!

許してくれィ~。ジジイのお茶目ぢゃよ~。

あなたは冗談のつもりでも、ハーティさんには絶対の命令になるんです!

もっと考えて発言してください! ハーティさんはRBさんの言うことしか聞かないんですから!

そうぢゃのぅ~、それは不便ぢゃのぅ。そんなら、ハーティよ。

はい。

以後、こやつらのこともマスターとして認識せィ。

了解です。新規マスターとして追加登録します。

あの、そういうことじゃないんです、私は……!

ご命令を。新たなマスター、アイリス様。

…………ハーティさん。

マスター、私はハーティです。『さん』は不要です。

……ハーティ。それなら私もアイリス、よ。ますたーでも、アイリス様でもなくて。

そういうわけにはいかないのですが、マスターのご命令とあれば。

ううん。命令じゃないわ。アイリス、って呼んで。これはお願いよ。

もう一つお願い。私とお友達になりましょう? ハーティ。

…………ご命令とあれば。……アイリス……様。

……しかし……お友達とは、どうすれば…………わかりません……

……そうね、いきなり全部は、ね。うん、それでも、大きな進歩よ。

……進歩……?


…………

どしたの? RB? 考え込んじゃって? 顔は変わんないけど。

……いや…………まさかのぅ……

なによぉ~? もったいぶらずに言いなさいよぉ~!

科学者は不確かなことは言わんのぢゃィ。


主人公、アイリスとハーティのことかな?

……


ハーティ、行きましょう。一つ目の工場はもうすぐよ。

はい。アイリス……様。



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story7-1 すぐには動かないで


……これがこの工場の制御コンピューターね。

電気が情報を司るのは、人間も機械も同じ……

読ませてもらうわ。あなたのメモリーをね……!


……はずれね。ここには大いなるルーンのデータはないわ。

ふふふ、暴走しちゃった。ごめんなさいね。私の術って、こうなのよ。


 ***


わわわっ、地面が動いてる??

ベルトコンベアぢゃ。重いモンを効率良く運ぶためモンぢゃよ。

ふ~ん。でも、なんかデタラメな動きっぽいんだけど?

ホンマぢゃのぅ。

おーい、製作者。

作ったあとのことは知らんもん。

一度上に乗ったら、どこかにつれていかれそうですね……

ウム。ハーティ、乗れ。

はい。

ダメ!

はい。

RBさん……! 危ないでしょう……!

だからこそ偵察させる必要があると思うたんぢゃよ。

それでハーティが壊れちゃったらど~すんのよぉ?

ハーティ、危ないから、RBさんに何か言われても、すぐには動かないでね。

わかりました。アイリス……様の命令を最優先します。

……それでいいわ。みんな、行きましょう。



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story7-2 素直な裏切り



ここが工場の一番奥かしら?

そうぢゃったそうぢゃった、こんなトコじゃった! あった! スイッチぢゃ!

ハーティ! 押すんぢゃ!

待ってハーティ! 何があるかわからないから!

……あぁるびぃさぁん……!?

だ、だって、ワナなんぞ作っちょらんもん、そんな怒らんでくれィ……

私がスイッチを押しにいきます!

アイリス!? 危ないよ!

平気よ。ちゃんと警戒すれば。いい? ハーティ? 私をよく見てて。

はい。

一直線に行くんじゃなくて、こう、キョロキョロしながら、慎重に、ゆっくり進んで……

なるほど。

……大丈夫そうね。ちゃんと確認してから、意を決して、えいっ!


「「「!!」」」


ちょっとぉ~! なんだかいろんな機械が一斉に動きだしたぁ~!

RBのウソつき~! やっぱりワナがあるんじゃないのぉ~!

ワシャこんなん知らんぞィ! 何かがおかしくなっとるんぢゃ!

早く脱出を……! ……あれ!?

アイリス! スカートのすそが!

イカン! プレス機に巻き込まれてしまうぞィ!

大丈夫、なんとかするから! みんなは先に逃げて!

バカ言わない――

はい。

<――>

ハーティ!?

……いいの。……みんなも、早く……!

<主人公は、アイリスに駆け寄ると、スカートの先端を斬り飛ばした!>

やった! ナイス判断、主人公!


ありがとう……主人公……

…………

ううん! 本当に嬉しいのよ! 主人公が助けてくれたことは。

……ハーティか。

……いいんです。ハーティは間違ってないわ。命令に従っただけですから。

アイリス……

…………

<――>

うわわ! ちょっと、天井が崩れ始めてるんだけどぉ!?

ともかく、急いで脱出するぞィ!




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story7-3 脱出成功



なんとか出れたぁ~……

うん……

工場も、全壊まではいかんかったのぅ。さすがワシ作成ぢゃ。

じゃあ……行こうかのぅ。ハーティの奴も、拾わにゃならん。

そうですね……

ハーティ……




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