【白猫】メインストーリー 第10章 Story2
2016/05/12
目次
story11 荒野の野宿
ひとまず溶岩地帯は抜けられただろうか。
よし。ここらを拠点にして、一回休息を取るか。
そーしよー!
……
…………
火には困らないのが、この島のいいところかもな。
いや熱すぎるだろ。
あたしの島よりもここの方が暑いよね~。
お水、足りるかしら……?
どっかに泉でもあればいいんだけどねぇ。
……あなたたち、野営にも慣れているのね。
まーねー!ずっと旅してるしー!
私は自然と共に生きるエルフだ。野外生活の方が得意なくらいさ。
……この島に、森がないのは残念だが……
あなたはどうなの?騎士団長さん?王宮じゃない場所での暮らしは?
や、別に。
あら、たくましいのね。
ゴロツキ連中とスラム街で寝起きしてた時期もあるしな。
ヘー!意外…………でも、ないわ。
よね。ダンテって、野蛮なかんじするもんね。
ありがとよ!
だから褒めてないっての!なんかコレ、すっごい久しぶりだわ!
story12 宿直の二人
…………
どうした?見張りは嫌だったんじゃないのか?
『黒の公爵家に生まれた貴族の姫のあたしが、なんでそんなことを!』と言っていたじゃないか。
ええ。なんだかんだ、あたしが一番育ちがいいってわかったから、言わせてはもらったけど。
アイリスもああ見えて、中々たくましいからな。
図太いっていうんじゃない?
始めはもちろん、違ったさ……旅をしているうちに、慣れたってことだな……
……そう……
君もいずれ、野宿だって気にならないようになるさ。
あたしは別に冒険家になりたいわけじゃないんだけど?
え?そうなのかい?ラーレッタに連絡して、冒険家ギルドにはもう君を登録してしまったよ。
……なんで勝手にそういうことすんのよ……?
よかれと思い……
……はぁ。いいけど。その方が色々都合がいいみたいだし……
本当にすまなかった。
もういいって言ってるでしょ。
では、ついでにもう一ついいだろうか?
……なによ?ホント、案外図々しいわよね、あんた。いいわ、言ってみなさいよ?
アイリスのことだが……
……あぁ……仲良くしろってんならそれは無理な相談よ。
なにせ、あたしたち黒の王国の人間にとって、敵国の主だったんだから。
……そうか。
無理強いをするつもりはない。ただ、無暗に刺激するのは……
……あの子、挑発しがいがないんだもの。やる気も失せるわ……
……はは。それはそれは。
フン……
君はもう休むといい。
言われなくても。毛布二枚頂戴。新しいやつ。
え?寒いのか?
敷くの。早く。
あぁ……わかった。
story13 偵察の二人
偵察なんて、あんたは嫌がると思ったんだがな。
『あたしは黒の公爵家の姫よ!』……って?ガキじゃないんだから。
こないだ言ってたじゃねえか。
一回だけ言う分にはいいでしょ。
……はっははは!思った通りだ!
なに?急にバカ笑いしないで欲しいんだけど?
あんた、面白ぇヤツじゃねえか。サバサバしてるしよ。
……サバサバなんてしていないわ。
そうかい?
ええ……これでも、一緒にいるだけで辛いときも……
……!なんであんたなんかにこんな話しなきゃなんないのよ!
自分からしゃべったんじゃねえか。
……バカなフリして相手にしゃべらせるのが、あんたのやり口ってわけ?
いいや。俺はバカだぜ。
……はぁ?
バカでいいと思ってる。無い頭で考えたって、いいこたあねえ。
頭を使うのは……槍を降ろしてからでいいのさ……
……ふ~ん……
なんて、ガラじゃなかったな。
あんた、イイヒトいるでしょ?
なっ!?いきなりなんだよ!?
あんたには余裕があるもの。どこかに、ね?
……んなことはねぇよ。
別にいいんじゃない?それをダメとは言わないわ。
……守るべき人がいることが……強くしてくれることって、あると思うから……
……そうかい。
…………
だから、あんたも強いんだろ?
よして。
そうだと思うぜ?
フン……知ったような口を……
わかった。この話もやめよう。
……あたしはグローザよ。『あんた』じゃなくて。
ああ。グローザ。
フン……
story14 採集の二人
たっべもっのどっこかっにあ~るっかな~?
望みは薄いと思うけど。
だけど、魔獣もいるんだし、ぜんぜんないってこともないはずだよね~?
まあ……そうね。
フンフンフン……
タビィ、あなた鼻がきくの?
あんまりー。ほんとは耳の方がいいんだけど、この島よくわからないんだよー。
いまでも火山が活動してるみたいだものね。
……いきなり噴火とか、しないでしょうね?
するかも。
えぇっ!?
はじめて聞く音だからわかんないんだけど……あんまりのんびりしてると危ないかもね~……
あなた……それ早く言いなさいよ!?
う~ん……でも、たぶんたいじょうぶかと思って。心配しすぎて焦っても、ぎゃくに危ないしねー。
そんなことないわ、危険があるなら対策を考えなきゃ。
最悪の事態のことも想定しなきゃいけないのよ、タビィ?
そっか。ごめんなさい。
いいわ、いま聞けたから。
グローザは慎重派なんだね。
あなたが能天気すぎるの。
よく言われるー。あははははー♪
呆れた……
でも……
んー?
タビィのその明るさが、救いになっているのかもしれないわね……
やー、そこまでの効果なんてないよー。
アイリスも、強いからねー。
あたしが何もしなくても、ちょっとずつあたしが何もしなくても、ちょっとずつ明るく、前向きになると思うし。
あたしの元気は、それとはべつべつー!
……ううん。きっと、いい影響を与えているわよ。
もー!そんなにあたしを褒めなくっていいってばー!
あら、ごめんなさい。
ハーティもこうやって、グローザと色々話してみればいいのにねー。
…………
だまってるとさー。嫌いになっちゃうことってあると思うんだけどさー。
話してるとさー!好きになってくることも、あると思うんだよねー!
……ありがとう。あなたはホントにすごいわ、タビィ。
だから、褒めすぎなんだってばー!たべもの探しにいくよー!
……ふふふ……
story15 白の記憶
だいぶ進んだな。今日はこのあたりで野営しよう。
おー!
……
…………
全部、アタシのなんだからー!
食べ過ぎよ、キャトラちゃん……
………………
……すぴ~……すぴ~……
……あら……?
……
そう……ここは…………お墓よ……
<――月明かりに照らされて、広大な墓地がぼんやりと浮かび上がる……>
……お祈りをしていたの。
…………私が……白の巫女がするのは、おかしいと思う……?
ここには、黒の王国の人たちも眠っているから……
白も、黒も、国だった……そこには多くの人々が住んでいて……
それを……私は……!<闇の王>を止める、それだけのために……!
……う……うぅ……!……ごめんなさい……!私のせいで……!
少しずつ、記憶がよみがえってきているの……
天と地……あのとき、世界の全てを、私は……
――崩壊させた――!
――!?
王よ――
だれ……!?声が、聞こえる……!?
――クククク……よいぞ……儂は……貴様を評価する……
え……
理など……摂理など……――粉微塵に!砕け散ればよいのだ!!
…………
儂の元へ来い。儂を解き放つがいい。貴様の望む通り、全ての<均衡>を打ち砕いてみせよう――
――貴様らごとな!ハハハハハハ……!!
<不気味な残響を残し、声は聞こえなくなった……>
…………
……王……私が……!
……そう……!
story16 謝罪妄想
あんなに……謝ってたのに……どうして……遠慮してくれないんですか……?
グゥ……!
私だって……我慢してるんです……
がぁ……!
言われたことを……言われた通り……
がはっ……!
やるしかないから……ごめんなさいって……謝るしか、なくって……!
……なのに……!どうして……!
ぐぅあぁぁぁあああああ……!!!
あたしはこんなに譲ってるのに、どうして勝手するかなぁ!?!?
わかる!?堪えてたのは、こっちなの、わかる!?
謝ってたよねぇ!?ねぇ!?謝ってたのわかるよねぇ!?
謝るしかないから謝ってんだけどさぁ!?
なんで勝手するかなぁ!?大人しくしてられないかなぁ!?
がああぁぁぁぁ……!!!
………………いいです……
おしゃべりは……一人じゃできない……聞いた方も……悪いんです……!!!
……ハァ……ハァ……
……低俗な、<闇>が……!
story17 狂える闇
話しかけてきたの!?幽閉されてるっていう、そのなんとかってひとが!?
うん。
囚われの身でありながら、なおそれだけの力を有しているのか……!
で、なんて言ってきたんだ?
来い、と。自分を解き放て、と。
おおー!?ってことは、仲間になってくれそげー?
……そして……<均衡>を、打ち砕いてやると……
…………
……なんとも……壮大な駄々っ子だわねぇ……
良くわからねえが……待ってるっつうなら、早いとこ行ってやろうじゃねえか。
……遠慮してくださいよ……
どうしてそういう、ことをしようとするんですか……
……ウィユ・ブロサール……!
こいつが……!
エピタフ配下、シャッテンシュピールの一人……!
これ以上……進まないでください……
そういうわけにはいかないわ……!
ごめんなさい……私も……出来る限り……我慢しますから……
――!?あんた、あたしのことを忘れたの!?
個人は個人を……邪魔するんです……
だから……謝るしか……ないんです……
それでも王が……王の信念が……一番だから……
謝って、我慢してでも……やるしか……ないんです……
おーのしんねんー?
隙間は、怖いじゃないですか……
だから、全てを……塗り潰しましょうよ……
真っ黒く……そうすれば……
『個』なんて……なくなりますよ……ねぇ……?
トチ狂ったこと言ってんじゃねえぞ。
全てを黒く染めるなんて……!そんなことはさせない……!
納得いくわけ……ないですよね…………だから……
……ごめんなさいって……
謝ってるじゃ……ないですか……!
❗
謝るしかないでしょ!?何かをすれば、誰かに我慢を強要するの!!
納得なんかないでしょ!?謝ってもしょうがないけど謝る以外に何か出来る!?!?
なに……コイツ……!?
……みんな、ここは引くぞ……
あぁ!?
……一旦……!
……わかった。おめぇら!逃げるぜ!
ちっ……!
そういうのも全部……
やめてくれないかなぁああ!?!?
story18 別にどうでもいいんですよ
こっちだって我慢してんだよねぇ!?!?
謝ってんでしょぉお!?!?ごめんなさいってさぁ!?!?汲んでくれないかなぁあ!?!?
なんなのよ……!こないだの子供といい、シャッテンなんとかってのは!?
あの道化の欲望……狂気の一つを、強調させた性質を持っているのよ……!
じゃあエピタフってやつもなんか我慢してるのかしら!?
わかんないけどね……!
ひそひそ話はぁ……!他人を傷つけるよねぇ!?!?
あぶねえ!
ぐぅうぅうぅっ!?
ダンテっ!?
なんなんだ、あの野郎……!発言だけじゃねえ、攻撃も、全て……
とんでもねぇ不快感を、無理矢理押し付けてくるみてえだ……!
――!
!!
やった!センセーの不意打ち成功だ!
……肉体とか…………別に…………どうでもいいんですよ……
なっ……!眉間を貫いたんだぞ……!?
だから……?
そんな……どういうことだ!?
ごめんなさい……私は<闇>の……ソレに……とても近いから……
<ウィユの体から凄まじい殺気――<闇>が滲み出す――>
なんて……濃い……
こいつ……ここまでなの……!?
出来ると思わないで……勝てると思わないで……
グっと我慢してさぁ……!摂理に従いなよぉお!?!?
手がつけられねぇ……!
あ……!
タビィ!ぼーっとするな!
ごめん!(やっぱり……だれかが見てる……?)
……迷惑なの……わかる?わからない?感情じゃあ、なくて……
決まっていることなんだから……――謝ってる分だけ!!マシでしょぉおお!?!?
story19 逃げ場などない
<闇>は……広い方、広い方へと侵食していく……
逃げても……!そっちへ広がるんだから!だから!!!
無駄だってのが、わっかんないかなぁああ!?!?死にたくないのって、感情でしょぉおおお!?!?
そういうことじゃあ、ないんだってばぁあ!?!?
もーやだ!なんなの!?あんなヤツばっか!
ホントよね!同感だわ!
<ウィユから滲んでいた<闇>が、いつの間にか周囲の地面一帯を覆っている!>
きゃあっ!?
おわっ!?なんだこりゃ?
追いかけっこ……追いかけっこ……
わかる?ゴールは……地点……地点は……場所……場所に、闇は……染み込むから……
だから……どうしようもないの……世界に果てがある限り……<闇>は……絶対……
……くっ……!
ンなわけわかんねえ理屈が通るかぁ!!
……残念だけど……それは……摂理…………残念だけど……それは……摂理……
あぁ!?
世界は丸くて四角い。自分が自分である以上。だから……
<闇>から逃げ場はない……!
じゃあどうすりゃいいんだよ!
倒すしかないわ!
それも……無理……
……って…………さっき……
――言ったよねぇええ!?!?
<凶器を手にしたウィユが、アイリスへと迫る――!>
!!
アイリス!!
――しまった。また靴紐を踏んでしまった。
な……?
ここは……?
アイリス、無事なの!?
ええ……でも……なにが……?
…………
――おやおや、これは大口のお客さんだなぁ。
僕が招いてしまったのか、それとも君たちが導かれたのか。いったいどちらだろうね?――まあ、いずれにせよ――
ごあいさつは必要だろうね。僕は、クツヒモ・フムニール。
悩みは特にないけれど、強いて言うなら、そうだなあ。
しばしば自分の靴の紐を、踏んづけてしまうことが、あるね。
だ……!
だからなに……!?
こんにちはー。ちえの賢者さんー。
この男が……!?
ふむ。そう呼ばれたこともあったかなあ。まあ、名前なんてどうでもいいのだけれどね。
ようこそ。<認識>以前の世界へ。
story20 置き去りの狩人
………………!!
……ほんっとに……やめてくんないかなぁ……!?!?
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