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【白猫】メインストーリー 第06章 アオイの島

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最終更新者: にゃん

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2014/11/19



目次


プロローグ

Story02-1 白猫と濡れ衣

Story02-2 おもてなし!

Story03-1 口は災いのもと

Story03-2 喧嘩するほど仲がいい?

Story03-3 黄金色の追跡劇

Story04-1 旅の御宿

Story05-1 働かざる者食うべからず

Story06-1 肩透かしの訪問者

Story08-1 陰謀の渦巻く城

Story10-1 それぞれの思惑

Story10-2 鬼と人間


登場人物






プロローグ 新たなる冒険へと



……ここはアオイの国だな。将軍と呼ばれる支配者により、長い間、平和が保たれているという……

それにしても美しい自然だ。これは、噂に聞く<四季のルーン>の力だろうか?

この島にもあるのね。大いなるルーンが……

この間は奪われちゃったから、今回は手に入れなくちゃね。

……バロンさん。<大いなるルーン>って、一体何なのでしょう?

7つ集めると〈約束の地〉へと導く……それだけなのでしょうか……

<大いなるルーン>はそれ一つでも、強大な力を秘めております。

闇の者どもがそれを集めているとなれば……悪い予感がいたしますな……

…………

アイリス? どうかしたの?

……ううん、何でもないわ…………前に進みましょう。

そうよそうよ! 仲間もどんどん増えてるし、ガンガン進みましょ~!

では、飛行島の守りは任せてくれ。主人公よ、白の巫女殿のこと、頼んだぞ。



メインストーリー 第6章
~アオイの国の風来坊~



story2 白猫と濡れ衣


どの通りも人でいっぱい。活気のある国だね。

ねえねえアイリス! おだんご屋さんがあるよ! いこういこう!

ふふっ、キャトラったら。いきましょうか、主人公。


<おだんご屋の店内は大変込み合っている……>

おじさん! おだんご四人前!

へい!って、猫じゃねぇかい!喋るたぁ珍しいねぇ。だんごなんか食って、腹こわさねぇかい?

アタシはなんでも食べてるもん!早く四人前!アタシ二人前!

ははは、ちょっと待っててくんな。

もう、キャトラったら!恥ずかしいじゃない!

だって、『旅のごはんは恥かいてでもたらふく食え!』って言うじゃない。

言わないから……

へいお待ち!

うっひゃー!いっただっきまぁ~す!むぐむぐむぐむぐ……


「ちょっと待ったぁ!」


見つけたぞドロボウ猫!大人しくおナワにつきやがれぃ!

むぐ!……んー!んーんーんーんー!

キャトラ!おだんごつまったの!?

――!

げほっ!……あー、死ぬかと思った……ありがと、主人公。

なんなのよいきなり!?

問答無用!とう!

<少年はキャトラに飛びつくと、キャトラの前足に手錠を……>

あれ?ちっちゃすぎてかかんねーや。

うまくやりやぁがれアキ!お礼がオジャンになっちめぇだろうが!

ななな、なによ!アタシなにもしてないわよ!

やいやい抜かすな、盗人猛々しいぜ!

あのぅ、コジローの旦那ァ、店内でもめ事は……

公共の場でマナーを乱すのは心苦しいんだがよぉ。こっちも一大事でなぁ。

よーし、ワッパがダメなら、スマキにして……

ヤダ~!

キャトラ!追いかけましょ、主人公!

――!

あっ!待ちやがれ!逃がすなアキ!今晩のおまんまのタネだぜぃ!

おーよ!

へっ、この俺様から逃げられると――

旦那ァ……

なんでぇ?

すいやせんが、逃げちまった客人のだんご代、払ってもらいやすかい?

ってやんでぇ。こないだ喧嘩の仲裁したから、七串分タダじゃねぇのかよ。

それが、八串でして……一串分いますぐお支払いいただきたいんです。

そんくらい、そのうち……おい、なんだ?袖を引っ張るんじゃねぇよ。

とりあえず、皿、洗っていただきやすよ。

バカ!離せって!そんなことしてる暇ねぇの!




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story2-2 おもてなし!



待ちやがれ!このドロボー猫ー!

アタシ違うわよ!勘違いじゃないの!?

だってお前、どっから見ても白い猫じゃねーか!

そんなのたくさんいるわよ!

さぁて、観念してもらおうか。

おせーじゃねえーかコジロー!

仕方ねぇだろ、一皿洗うハメになっちまってなぁ。

あの、あなたたちは……?

俺様は、町外れの呉服屋、<粋染屋>の店主、コジローだ。

同じくアキヒコだ!

同じくじゃねぇよ。居候の従業員だろぅがてめぇは。

呉服屋さん……?どうしてキャトラを捕まえようとするんですか?

町にゃあ厄介事が溢れてやがる……困ってる住民のためにだな――

本業が赤字だから、食べ物もらうために雑用してんだ。ドロボウ猫探しとかな。

 しかもコジローは自分の派手な衣装買うために平気で借金するしなー。へへへ。

こんにゃろうめ!ぺらぺらしゃべるんじゃねぇ!

つーわけで、恨みはねぇんだが、しょっぴかせてもらうぜ。

あ!コジロー、あれ!

<少年の指差した先、塀の上に、大きな魚をくわえた白い猫がいる。>

ほらご覧なさい、真犯人だ!だから、アタシは無実だって言ったでしょぉ!

わり。

ですむかぁ~!

わりわり。

も~!ちゃんと誠意を示しなさぁ~い!

ごめん!

いやホントに面目ねぇ。見つからねぇから、白い猫ならなんでもいいかと思ってよぉ。

ぶ~……

なぁ、見たところ、お前さんたち異国人だろ?

はいそうです。

じゃあよ、お詫びに俺様の家に招待するぜ。

ウチで話を聞かせてくれよ。この国に用があるってんなら、俺様が協力できることも結構あると思うぜ?

え~?アンタ頼りになるぅ~?

腕っ節にゃあ自身はねぇが、顔の広さならちょっとしたもんだぜ?

ともかく、ついてきなって。異国の客人は歓迎する、それがこの国のマナーだからよ。

それでしたらお言葉に甘えて……いこっか?キャトラ?

よろしくー!キャトラ!

もー!よろしく!

そういえば、さっきの白い猫捕まえなくて…………まあ、いいのかな。

……。



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story3-1 口は災いのもと



へえ、<大いなるルーン>ねぇ。たしかにこの島にあるぜ。いまは使ってねぇって話だがな。

じゃあもらっちゃっていいかな?

キャトラ、そんないきなり……

いいんじゃね?

え?

意味ねぇもんがいつまでもあたって、あんましよくねぇし……

つっても、あれはこの国の象徴だ。常識で考えりゃもらえねぇ。

だがよ、このコジロー様がちょいと口をききゃあ……

ホント!?お願いしてもいい?


「ごめんくださーい!」

あン?なんか用かぃお嬢ちゃん?

お嬢ちゃんやあらへん。ウチは、いつみたま あまさかる せおりひめ言います。

長ぇ。セオリでいいだろ。セロリっぽいし。

なっ……!……そんな青臭そうな名前……!

えっ、えっ!?なになに!?ちょ、逃げよ!

――!

イヤヤー!!!

う、うわああああ~!?

どっひゃ~!?



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story3-2 喧嘩するほど仲がいい?



思わず飛び出してきちゃったけど……なんだったのかしら……?

こじろーたち、だいじょうぶかな……もしも~し?生きてる~?

だからウチは悪ない言うてるやろ!

感情がたかぶると、ああいうこと起きてしまうんよ!

すごかったなー、さっきの地震、からの落雷。

こんにゃろうめ!ウチの家屋に大ダメージだぜ!安普請なめんなよ!

ごめん言うてるやろ!

初耳だってんだ!このトンキチめ!

出て行きゃがれ、疫病神!アキ!塩まいとけ塩!

なんやの!まだなんも用事聞いてへんやないの!

コジロー、いま塩ないけど、どっかから借りてくるかー?

借りてこい借りてこい!女房を質に入れてでも借りてこい!いねぇけど!

にくたらしー!そこまでしはる!?


……そのへん ひとまわり しときましょうか……

戻ってきても喧嘩してたらどうしよう?

そのときは出会わなかったことにしましょ……



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story3-3 黄金色の追跡劇



冷えたかな~アタマ~?

町で評判になっとるからどんなお人かと思ったら、しょーもない人やったな!

ばっきゃろぃ、今日はじめましてだろが、そう簡単に人を評価すんなぃ!

まだやってた……

だいたいなんだってんだ、なんの用事かは知らねぇが、安い仕事は請けねぇぞ!

ンなことないクセにー。

言うたな!これ見てぶったまげや!

……なんだこりゃ?

どや!黄金色の菓子やで!

これが好きなんやろ!ウチの兄ちゃん、ようこんなもんもろとるもの!

……んー……なんつーか、それはなぁ……

あ!

ああ!なんやのあのタヌキ!ウチの全財産やのに!

……全財産……?

お願い、取り返してぇな!この通りや!

な、なんだよ、袖、離せってんだよ。

あれがのうなってもうたら、ウチ、野たれ死んでまう!

だよなー、腹減ったら元気でねーもんなー。

後生やさかい、取り戻してぇな!

わぁった、わかったから、あんまし引っ張んな、一張羅なんだよ。


のっぴきならねぇ事態のようねぇ。手伝うぜ!

アイリス口調がうつってるよ。

おぅ、戻ってたのかお前ら。すまねぇな、恩に着るぜ。

さっきのぶんぶく茶釜ヤロウは、逃げ足だけは一人前だ。先回りしてふん捕まえるぜ。

合点だ!

またんかいな茶釜ー!

へっへっへ、かけっこならオイラ負けないぜー。



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story4-1 旅の御宿



さぁ、観念しやが……

ん?お前、モナカ……黄金色の菓子はどうした?

ムキュ~。

え?逃げてる途中で落としちゃったの?

な、なんてこっちゃ……!ウチの全財産が……!

ムキュゥ……

ごめんね、だって。

……まぁ、わざとやないんやしな。ええよ。ほな、もうお行き。

ムキュッキュ~。


はぁ。現時点をもって、ウチ、一文無しになりました。

そー落ち込むなってセオリ。もとからもとから。

へ?……あ、いまセオリ言うた?

うん。オイラ、アキヒコ。アキって呼んで。

アキ、な。わかった、そんなら、ウチもセオリを甘んじるわ。

……今日は、運がなかったな。大人しくおうちに帰んな。

……帰れへんねん。

……どうしたんでぇ?

兄ちゃんとケンカしたんや。いや、ケンカやったらまだええ。

兄ちゃん最近変なんや。影が濃くなったちゅうか……なんや、恐ろしゅうて……

そうや!コジローはん!しばらく泊めてぇな!

兄ちゃんが頭冷やしたら、すぐに帰るさかい!

……あのなぁ、セオリ。会ったばかりの男にだなぁ、泊めてくれとか……

そうよ、女の子一人じゃよくないわ。アタシたちも泊まってあげる。

なんでだよ!おめぇらだって、会ったばっかは変わんねえだろうが!


(キャトラ?)

(だってアタシたちも、宿ないじゃ~ん。)


それなら絶対安心安全よ。うん、そーすべきだわ。

こんにゃろうめ!ンなことしなくたって、俺様は極上の紳士でぇい!

ほな、ええんやね?

……ええぃ!このコジロー様が、全員まとめて面倒見てやらぁ!

ありがとなぁ~!

でっけー口叩いてっけど、うちにはなんもねーからさー。食いモン集めがんばろーなー。

庶民って大変なんやね…………よっしゃ!何でも言うてや!ちゃきちゃき働くさかい!

おう、中々骨が太いじゃねぇか。気に入ったぜ!

よろしくなー!セオリ!

そうね……ふふ、みんなでお泊り。合宿合宿♪




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story5-1 働かざる者食うべからず


ふ~!魔物退治の雑用、完了!こういう仕事なら慣れたものね!

でも、なんだか、ここ最近いいようにコキ使われてる気がしてならないわ!

居候してるんだし偉そうには言えないけどさ、アタシたちの目的はなんだったのかしら!?

……。

それにしても、この島には、変わった魔物がいるのね。

〈鬼〉と呼ばれる、この島に昔から住んでる異形の一族さ。

フツーは人を襲ったりはしないんだけど。まー、鬼にもいろいろいてさ……

……アキどうしたの?おなかでも痛いの?

んにゃ、なんでもないよー!じゃ、コジローとセオリんとこ戻ろうぜー。


 ***


ただいまー!

アイリス!キャトラ!二人も言うたって!

へ?

コジローはんたら、また借金して反物仕入れてきたんよ!

たんもの?ああ、この布のことか。……う~ん、派手派手ねぇ……

いいだろ?こいつが俺様に『買ってくれ』ってささやいてきたもんでなぁ……

また悪いクセが出たなー?

コジローはん!店が赤字なん、ホンマにわかってはるの!

借金なんて、世の中が変わればなくなるモンだし、したもん勝ちだろ?

なんでやねん!

なんで……や……なん……?

あーもー、コジロはんのだらしなさには、呆れるわほんま!怒るでしかし!責任者出て来い!

ウチが看板娘やるようになって、お客はんも増えてきたいうのに……!

それはお前の勘違いじゃね?

……あんたってお人は……!

わー!すまん!お前のおかげだ!客増えてる!収入増えてる!ありがとう!

……ほんまにもう……

……ねえ、コジロー。大いなるルーンの話なんだけどさぁ。

あら、<破壊のルーン>のことやね。

そう、はかいの……

破壊!?……な、なんて物騒な……

せやんなー?でも、いまはもう何も破壊してへんよ?

ほんで、破壊のルーンがどないしたん?

ええと……私たちは、大いなるルーンを集める旅をしているのだけど……

破壊ってのは怖いけど……コジローの口利きで、本当に譲ってもらえるの?

んー、まぁそのー、なんだ……あれは、管理している一族がいてだなぁ……

大いなるルーンの譲渡やね。憲法上可能なはずやで。

え!?

たしかそのへんの条文は、制定時から変わってへんのよ。

ずいぶん詳しいじゃねぇか。

ウチはこんなんは知っとるんや。法的に認められとる権利やから、口利きとか特にいらんと思うよ。

じゃあ……やってみようか?

―♪

細かいことは、役所に行って聞いてみたらええで。

コジローはんも行ったげたら?大人もおらんとうまくいかへんやろから。

そんじゃあ、ここいらで俺様の威厳を回復しておくか。

ウチは店みとるな~。

なんでやねん!

へ?いまのはボケちゃうよ?

……間違えちゃった。精進あるのみね。



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story6-1 肩透かしの訪問者


おうおう!この俺様の名義じゃ、書類を受け取れねぇたぁ、どういう了見だ!

こちとらやりたくもねぇ赤字決算して、収入証明書まで揃えたんだぜ!?

窓口のお姉さん、笑ってたわよね。

しかも、住所の番地が違うだなんだ、あっちゃこっちゃたらいたらい回しにされてよぉ!

よくいままで住んでたわよね。

赤っ恥のコキッ恥のままで、終われるかってんだ!受理出来ねえ理由を言え!

……それはですね…………コジロー……さま?

なんでぇ!

これ、偽名ですよね?

なんでやねん!

…………

あら?

というか、通称、ですよね……これでは、こちらとしても……

え?そうなのコジロー?

というよりも…………何してんすか……?

ちっ、帰ぇんぞ!

コジローさん?


…………

……


あらまぁ、そないなことがあったんかいな。

そ~なのよぉ~。コジローもあれからムッツリだしさぁ~。

ってやんでぇ。普通の受け答えはしてんだろうが。

まーまー、コジローにもいろいろあんだからさー。

しゃあないなぁ、したらウチが一肌脱いだるわ。

え?セオリちゃんが?

そうや。ウチ意外と、こんなん得意やねんで。

ま、大船に乗ったつもりで待っといて。ほんなら早速行ってくるで。

セオリって結構しっかりしてるよなー。

アンタももうちょっとしっかりしなさいよ。

わかってるってばー。


なんやの!あんたたち!


どうした!

ちょ、どこ触っとるんや!花も恥らう乙女の柔肌は、安いモンちゃうんやで!

<セオリが黒装束の一団に担ぎ上げられている!>

!!

ニ、ニンジャだー!

どこつれてくね~ん!

<黒装束の一団は、セオリを担いだまま一目散に走り去った。>


な、なんて雑な誘拐……!

……言わないでやんな。あれが精一杯なんだろ。泰平の世で忍の腕も鈍ってたんだろうぜ……

……コジロー、アンタまさか、わざと見逃した?

人聞き悪ぃ言い方すんねぇ。巣を叩くのがお約束だぜ。

あいつらあっちのほー行ったよ。逃げる寸前に、におい袋をぶつけといたー。

アンタの方がよっぽど忍者ね。

さて、それじゃあ行くとしようぜ。



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story8-1 陰謀の渦巻く城



セオリはこの奥だなー。

ほんまに!怒るでしかし!

おー、怒ってる怒ってる。

セオリちゃん!

……みなはん?来てくれはったんやねぇ。うれしいわぁ……

ありゃ、忍者たち、黒コゲだ。早く医者行けよー。

……アタシたちの助けなんか、いらなかったみたいね……

……

何かされたの?

ううん。ウチをラチした理由を問いただしたんや。そしたら――

兄ちゃんの命令や言うんやもん。

お兄さんって……どうして?

ウチと破壊のルーンをセットにして、闇なんちゃらいうお人に、渡すつもりなんやって……

闇って、エピタフとか、メガネとか、グローザって女のこと……?

ほんでそいつらの力を借りて、この国を支配する気なんや、たら言うんやもん!

兄ちゃんはそんなことせぇへん!ウソや!って言うたのに、

『ウソやない!』言うんやもん……!

そこまで話が進んでやがったか……

……ねえ、どういうこと?コジローも、真面目な顔しちゃってさぁ……?

……セオリ。だから逃げてきたんだろ?お前の兄貴が――

――ミカドが、闇を手引きしようとしたから、よ……

ミカド?

この国を創った一族の当主さ。いまは将軍家が統治してるから、何の権力も持っちゃいねぇがな。

おそらくミカドは、過去の栄光を取り戻したいっていう、欲につけこまれてるんだろうよ。

…………

ウチ、兄ちゃんに、何べんもいったんや。

『もっぺん国を支配したいとか夢みたいなこと言うたらアカン』て。

でも、『この国の本来の姿を取り戻すんや、そのためなら、手段は選らばへん!』たら言うて、きかんくて……

それで、ミカドは闇の力を借りようと……?いけないわ……!

……おめぇらも、闇の恐ろしさは知ってるみてぇだな。

まあね…………待ってコジロー、おめぇら『も』って言った?

闇の連中の動きには前から注意してたぜ。……そろそろ大挙して押し寄せてくる頃合いだろうな……

大変……!

……へっ。バカだね、ミカドってのは。

この島を闇に売る気なんだ。冗談じゃねーぞ。

アキくん……?

この島は人間だけのモンじゃねー。自分勝手なミカドなんて滅んじまえばいーんだ!

ちょっとアキ!どうしたのよ!


……追ってやってくれるか?野暮用を済ませたら、すぐに追うからよ。

……なんやー!アキのやつ、言いたい放題言ってくれよってからに!

傷心のウチに、あれはないやろ!せやんなコジローはん!

……まぁ、そうだな…………セオリ、おめぇも行きな。

あたりまえや!言い返したらな気がすまへん!

二人のこと頼んだぜ、主人公。

――。



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story10-1 それぞれの思惑


アキ!なんやのさっきに暴言は!ウチの兄ちゃんなんやで!

血のつながりってなんだよ?

……へ?

そんなの知らねー。オイラの親は、鬼の長老だ。

え……?

アキ、アンタ……

別に、ここまで育って、捨てられたことをどーこー言う気はねーよ。

オイラはオイラで自分が正しいと思うことをやるだけ。じゃあな。

待たんかい!まだ話は終わってへんで!

あっ、コラ!待ちなさい二人とも!

……ねえ、キャトラ?あの二人って――

……ううん。なんでもないの。


 ***



これはこれは、お早いお着きで。

お待ちしておりました。〈紫金の魔焔〉ヴァルアス殿。

前置きはいい。破壊のルーンはどこだ。

そう焦らずともよいではありませんか。

あれは現在眠っております。呼び覚ますには、ある者の力が必要でして。

二つが揃うまで、ごゆるりとお待ち頂ければ。

贅を尽くしたもてなしを用意してあります。よければ芸者も呼んで……

……下衆め。

は?

俗物。口を開くな。この地を制圧するまで猶予をやる。せいぜい急げ。

……ははっ。



(外道の分際で、なんや偉そうに……!)



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story10-2 鬼と人間


人間共。道に迷ったのなら咎めはしない。そうでなくば何の用だ。

いきなりこえーよ。長老。

おお、誰かと思えばアキヒコではないか。わしの後を継ぐ気になったのか?

え、アキは人間だよね?

種族は問題ではないのです、お客人。この島を愛する心があれば、我が一族は託せます。

そのへんのことはいーよ。なー長老、感じているんだろ?闇が来てる。力を貸してよ。

呼び寄せたのは、愚かな人間のようだが。

……せやねん。兄ちゃんが迷惑かけます。

……!名を、教えてもらえますか?

いつみたま あさかける せおりひめと言います。心から謝罪します。本当にごめんなさい。

けっ、ごめんで済んだら同心はいらねーよ。

コラ!なんなのアキってば。ずっと憎まれ口ばっか叩いてさ。

いちみたま あまさかる せおりつひめ様。

はい?あ、セオリでいいです。長いので。

……これを。

……この首飾り…………ウチのかんざしと同じ紋様や……

これ、どうしたんですか?

アキヒコが持っていたのです。捨てられていた、そのときに。

……え……?

……アキヒコも、ミカドの血を引いているのです。

ええ!?じゃあどうして、捨てられたりしたの?

――くだらねぇしきたりのせいさ。

コジロー殿。

すまねぇな長老、ちぃっと邪魔するぜ。

なんなのよ?説明してちょーだいよ。

破壊のルーン……それは、火と水、二つの強大な力の結晶と言われている。

破壊のルーンはその昔、国を興した初代ミカドに、特別な力を与えた。

何千年も経ったいまでも、ときどきミカドの一族には、力を宿した子が現れる。

アキは、双子として産まれた。加えてあのアザは、災いの印。

アキは忌むべき存在だとされ、しきたりにより捨てられた。

アキくんには何の罪もないのに……

馬鹿な話だろ。だが、危険そうな物には近づかない。それがここの人間の性質なのさ。

コジローはん、双子、って……?

……姉のお前と、弟のあいつだ。

……随分事情通ね?

知ってることを知ってるだけさ……

……ウチ、なんも知らへんかった……

それでよかったのさ。ミカドがおかしくならなければな。

……こじろーはん、ウチ、どないしたらええやろ?

時間があればお前だけの問題だけどな。闇の第一陣は、もう到着したって情報が入ってる。

アキのやつ、口には出さなくても、本質を見抜いてやがるぜ。鬼に協力を頼みに来ただろ?

自分の感情はおいといて、この島を渡さないためにな。


……長老はん。私からもお願いします。

島を愛する気持ちは人間も同じです。一緒に闇と戦ってください。

……うむ……

……島を守るため……我が一族の力、あなた方にお預けしましょう。

おおきに……!



…………

……



いつまでむくれてんでぇ。長老は約束してくれたぜ。

わかってるよ。

セオリにあんま当たんなよ。あいつは出来たヤツだぜ。

……セオリはまあ、……うん。好きだ。

……それでいんじゃね。

……オイラたちと鬼だけで、闇の魔物たちに勝てるかな?人間たちにも一応頼もーか?

……言うだけは言っといた。……だがまぁ、決めるのは、向こうの連中だからな……

コジロー……



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