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【白猫】メインストーリー 第14章 Story4

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作成者: にゃん
最終更新者: にゃん



目次


Story22 思索の始まり

Story23 刺激

Story24 祈り

Story25 『二度目』

Story26 選択と解答

Story27 共感

Story28 世界の望み




登場人物





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story22 思索の始まり


(……ォォォォオオ……)


【――を……】

【物語を――】

【<ゼロ>の海に浮かべよ――】


(……なん……だ……?

この……思念は……?)


【争え。永遠に】

【産め。対立する者を。それらに抗う者を】

【無数の争いを】

【無数の争いを】

【無数の争いの世界を】

【無数の争いの世界で、永遠に続く物語を】

【永遠の物語を紡げ】

【求めに応じるべく】


(思念が……代わる代わる……?)


【永遠に、争いの物語を紡げ】

【もっと激しい争いを】

【もっと力を】

【もっと強く】

【さらに勝つ者を】

【さらに勝つ者を】

【さらに勝つ者を】


【さらに勝つ者を】


(……飢えて……いるのか……?

グァアアアアアア……!

流れ込んでくるっ……!

思念が……我の許容量を……超えるっ……!)


「……貴様は……?」

――理解の形――

――『個』ではない――

「……この場に渦巻く無数の思念を……

理解するため……我が、生み出したビジョンというわけか……」

――そうだ。自我は理解の形を定義する――

――それが限界だ――

「…………」

――これからいくつかの自問自答を行う――

――その後、裁定が下される――

――はじめに条件を告げる。<闇>の消滅もまた、世界の終焉を呼ぶ――

――端が欠ければ、<均衡>は自浄作用を失う。いずれ傾き、転覆するだろう――

――我はそれを是とするか?――

「…………

前提を変更させてもらう。」

――ほう――

「我はここに、自問自答をしに来たのではない。

無数の思念……それに、いま少し触れてみたい。

答えを探すのはそれからにしたい。」

――耐えられぬかもしれんぞ――

「際限のない欲望を一身に受けることになるからか。」

――欲望だけではない。善意もそこにはあろう。だが、同じこと――

――思念は他者へと向けられる際、<期待>に収束する。そして、貴様の解に注目する――

――思念は解の責を、貴様のみに問うぞ――

「そういうものだろう。不服はない。」

――よかろう――



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story23 刺激



……おや?また旅人さんかい。珍しいことは続くもんだなあ。

幸せなことではないか。驚きという刺激を失っては、長き生にも意味はない。

たしかにねえ。しかしあんた、その歳で一人旅かい?

誰もが皆、一人旅の途中であろう?

うーん……あんた、何者だい……?圧が……

圧か。隠すのは不得手でな。

だが、対峙する相手が例外なく委縮するというのも、中々愉快なものだぞ。

そりゃ、あんたはそれでいいだろうけど……この町には、何の用だい?

一つ尋ねたい。この町はどれほど古い?

さあ……あんまり知らないね。どこかで誰かが伝え損ねたんじゃないかなあ。

先天的に、戦闘の技術を備えている者が多いようだが?

そうなのかい?まあ、魔物とはある程度戦えてる奴が多いけどね。

でも、他の島を知らないからなあ……どこでもこんなもんじゃないんだね。

遥か古の時代、黒の王国の周辺の島には、様々な戦闘民族がいた。

もしかすると、この島の民はその末裔かもしれんな。

へ~……でも、遥か昔だろ?そんなに続くもんかねえ?

閉ざされた島であれば、血が薄れることも少なかったのかもしれん。

たしかに。でもあんた、なんでそんなことを知ってるんだい?

当時いたからな。

え?

わっ……うわぁああああ!?


慣れんことはするものではないな……

クソも面白くないわ!下等生物との質疑応答など!

だがまあ、最低限の気は済んだ。……さて……

長く楽しむべきか……それとも……?

くくく……!テイスティングくらいしてみてもいいかな……?



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story24 祈り



……こんなところか?我ながら、上手にできたな。

たまには食べ残しもよかろう。放っておけば増えるのだけが、玩具の長所だからな。

さて……?……ン?借り物はどこへいった?

……まあそんなことはいいか。

前菜も済んだところで、メインディッシュをたいらげに行かんとなぁ!

ハッハッハッハ――!



町が……

……無に……

…………

…………多くの者が、無へと還ってしまったな……

ああ……祈ろう……

……<再生の巫女>様……

我らに、ご加護を……

いずれ来たる<無>のため……

再びの<有>をお許しください……



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story25 『二度目』



だいぶ登ってきたな。

ああ。

不思議な雰囲気の山だ。……どこか、懐かしいような……

懐かしいだと?……変わった男だな。

なんで?

……町人の話では、虚空とつなかっている山だということだったろう?

あ~。まあでも、伝承だろ?ホントかどうかは。全然別のモンがあるのかもよ。

…………

案外、オレの記憶を取り戻す鍵があったりしてな。

……アストラ島、だったか?ここからは遠そうだがな。

ああ、そっちじゃなくて。

スキエンティアに着く前の記憶もないんだ。

……なに?

実は記憶喪失、二度目だったのさ。手慣れたもんだよ。ははは。

おい……聞いていいか?もう少し、その話?

だから、記憶がないんだって。

最初の記憶は?

ああ……エクスって奴と会ったとこからがスタートだな。

いつのことだ?

4、5年前ってとこかな?たしか。

…………

もちろん、記憶を取り戻すために色々試みたんだが……全部、無駄に終わったよ。

だから、その前の自分が何者だったかなんて、もう考えないようにしてる。

そういうものか……?

いや、本気で取り組んだんだって。それでも無理だったんだから。

…………

……エクス、というのは?

初めて組んだ冒険家仲間さ。

友か?

シンパシーは感じたけど、な。……ここにいない奴のことをとやかく言うのはフェアじゃない。

ただ……深い奴だったよ。

……その男にそそのかされて、島を出た、というわけか?

いや、自分の意志だ。

と、思うように誘導された?

……ないとは言わない。

(……間違いない……!

道化……!奴だ……!

そのときからすでに、この男に目をつけていたということか……!?

一体どういうことだ……!?奴は、何を知っている……!?)

――!!

ん?

町が――!!

!!



バールか!?

くそっ!空ばかり警戒していたのが仇になったっ……!

今からではっ……

……戻れない。戻るわけにはいかない。余計犠牲が増える。

<空石>を手に入れて、あいつを討つしかない……!

……賢明だ。

どうも!くそっ!


……中立……か……

…………



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story26 選択と解答



【世界は、どうなってしまうんだ】

【産め。対立する者を。それらに抗う者を】

【救世主は現れないのかしら】

【て、敵だ!!】

【なんてことじゃ……もう、おしまいじゃ】

【見て!だれかが】

【いっけぇー!やっつけろーっ!】


「…………」

――思念は<期待>する。強大なる<善>と、強大なる<悪>の誕生を――

――それはただ<力>のみではない――

「で、あろうな。」

――我は応えられるのか?――

――我は、<闇>は、何のために在り――

――何を世界に提示する――

「…………

無数の思念は、また無数の試行錯誤だ。そこにはもはや真新しい解などなかろう。」

――その通りだ。だからこそ、問う――

――我は、何をもって、世界の一端を担うのだ――

「………

結論はすでに出ていた。得てして、回ってくるものなのだな。」

――示せ――

「<闇>がもたらすは、永遠の安息だ。

あらゆる存在を、永遠の安息の中に埋める。

――浅い――

「そうか?続きを聞け。

自我とは苦痛の源であり、永久に終焉は来ない。

なんの<虚無>、だか。虚空に身を投じたところで、形なき無数の思念にさらされ、苛まれるのであろうが。」

――ここで『個』を保とうとすればな――

「『個』の放棄が実現した前例など知らぬ。」

――我はな――

「ならば誰が知っていると?」

――……知らぬ――

「そうであろう。突き詰めるところ、そこよ。

恒久の無も結構であろう。ま、変化のない永遠など瞬間と同義だがな。どちらにせよ……

それを経験した者などおらぬ。」

――…………――

「ではとこしえの平和はどうか?……これも、体験した者などおらぬ。なぜならば……

物語は得てして。日常が破られるところから始まるからだ。」

――…………――

「虚無と平穏。そのどちらも、完全なる実感を持ちえた者がおらぬのなら――

――同格であろう?永遠の<闇>も。

結論は単純だ。『一度やってみればよい』

我が導いてくれよう。確信がある。おそらく――

案外悪くないぞ。

一の快楽のため、十の苦痛に耐えることを。まあ、愚かとは呼ばぬよ。選ぶのは自由だ。だが……

<闇>は、快楽と引き換えに、苦痛をも取り去るであろう。

単純な比較であれば、無や平穏より、利点もある。が、決断も一つの苦痛だ。よって、それは我だけが負う。我に『強制された』形を取れ。

我が誘ってやろう。未だ誰も経験したことのない、<安息の闇>の中に。」

――…………――


――……試してみろ――

「……おお……!

……ふ、思わず安堵したわ。甲斐があったぞ。」

――去る前に、賤別がある――

「賤別?」

――全ての<有>は、<零>の内にある――



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story27 共感



モタモタするな、ヴァルアス!

フン、誰に言っている。……だが、カイルよ。

なんだ!?

……ずいぶん思い切りよく、町を見捨てたものだな?

……あァ!?

『利』が頭ではわかっても、感情はそう都合良くはいかぬ。

……それが人間だと思っていたが。

…………

たしかに、手遅れだ。被害はなかったことにはならん。<空石>を得て、一刻も早く奴を討つのが最上の選択肢であろう。

大した俯瞰だ。見事ですらある。だが――

――何の迷いもないのか?

――ないわけないだろ!?オレが、何の感情もなく町を見捨てたとでも言うのか!?

…………

おい、ヴァルアス!いくらあんたでも、言っていいことと悪いことがある!

…………

…………

……すまん。失言だった。撤回する。

……ああ。

(怒りは、本物……か……?

だが……何か、ひっかかる……

ふざけた言動の多くで巧妙に隠しているが……

この男の進む道は……そう……たとえるならば……

『筋書き通り』過ぎはしないか……?)

…………

……?どうした?

……あんたと同じことを、オレも思っていた。

!?

と、言ったら?

……カマをかけるのはよせ。

なあ、ヴァルアス。

なんだ?

今ははぐれちまったが……オレには、仲間がいるんだ。

あの、バールってのを倒したら……あんたも一緒に旅をしないか?

!?私は<闇>だぞ!?

気にならねえよ。

…………

こう見えて、オレも、疑問を抱いてる。自分自身に対して、な。

もしよければ、一緒に歩んでくれると助かる。

…………

ヘンな話だが、あんたとやり取りするのは結構小気味イイんだ。どうだい?

……考えてもよい。

お!

が、私は騎士だ。主命には背けぬ。

わかってるさ。<闇の王>からお許しを得られたら、でいいとも。

……ふ……

はははは……――!?

……カイル?どうした?まさか、記憶が戻ろうとしているのか?

――記憶のことじゃない。昔のことじゃない。今現在のことだ。

新たな『解』が……提示されようとしている……

どういうことだ?

……よくわからん!だから、わかるように言うぞ!

何者かが、さらなる力を手に入れようとしている!

バールか!?

知らん!だが、この先へ行けばっ……!

……この先には古い神殿がある。

じゃあそこだっ!

(カイル、お前は何を感じ取った……!?

もしや……陛下が……!?)



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story28 世界の望み



……結果は見えている世界は、<闇>の消滅を、認めはしない……あなたには、まだ為すべき<役割>があるから……

…………

……それにしても……気に入りませんね。

<無>とは待ち受けるもの……暴力で距離を縮めるのは、私の……主義ではない。

バール……あなたのやり方は、まさしく<我儘>と断じられる所業。

……いい気になるな。


ほ~~~~~~う?

いないところで陰口とは、<再生の巫女>の名が泣くぞ?

肩書きに意味など。それに、わかっていましたし。あなたがそこにいることは。

ほお~?さすがじゃのぉ~?

……あなたは、神経を逆撫ですることばかり……!

儂は嬉しいぞ。貴様が、芯から木偶であったら、なぶってもクソも面白くない。

利口ぶり、冷静ぶる奴ほど、踏みにじり甲斐があるからなぁ!?

バールっ……!!

さて、これから、『力』と『言葉』で貴様を傷つける。

どっちが先がいい?

――<循環>を外れ、<無>へと還りしソウルよ――

――<理>を拒む愚者を断罪せよ――!

ハハハハハハッ!よ~し、ならば語ってくれる!

愚者は貴様よ!賢しらに、理、理とのたまうが!

なぜ気づかん!?貴様こそソレに疎まれていることに!

!?

仮に、全ては、最終的に<無>に帰するさだめだとしても――

――世界は凪を望むまい!

!!

<揺らぎ>なくして何の<均衡>よ。

<我儘>に任せ、波を生み続ける儂と、ただ何もせず、流される貴様。

<世界>がどちらを好むかは、誰の目にも明白であろうが!?

……くっ……!!

……と。まあ、もしも、世界にも個と同じような<自我>があったのならば、という前提ではあるが……

貴様の言っていたことだ。その上で、貴様は矛盾しておる。

――だから醜悪だと言うのだ!

世迷言をっ……!<無>を迎え入れるのに、過程など無意味!

馬鹿が!<有>がなければ<無>も役目を果たさん!

私は認めない!

やれやれ……話にならんな……

だがまあ、よかろう。改心だけが美徳ではない。愚者には愚者の道がある。

――馬鹿のまま死ね!

――虚ろの盾よ!

くぅぅっ……!

迷いは顕著に表れるだろう?

――カァッ!!

あぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?

ハハハハハッ!どれ、言うぞ?

――トドメだっ!

大丈夫か!?

……うっ……!

また会ったな、バール。

貴様ァ……正気か?

なにがだ。

貴様の乱入を待ち、タイミングを合わせたのは儂だ。なのに……『また会ったな』だと?

恥ずかしくはないのか?

ここで貴様を討てば、喧伝する者もいなくなる。

くくく……!なるほど……!『旅の恥は掻き捨て』か……

ちょっと違うかぁ!?

……こいつが、世界の<我儘>……

悪いな、カイル。旅の仲間には、なれないかもしれん……




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