メインストーリー 第07章 Story2
2015/01/23
目次
story8 タニア来たよ
……<夢のルーン>はこの奥だ。タニアもここで暮らしている。
タニアさんの<夢>が、現実になるのよね……
ちょっと緊張するね、主人公……
どこにいるのかな~。 おお~い! ごめんくださぁ~い!
キャトラ! 大きな声を出さないでくれ! ……彼女がおぴえてしまう!
え? 陽気で活発な、冒険家志望なんでしょ?
……!
だれ!? わさわざあたしをいじめに来たのはだれなの!?
……んん?
帰って! あたしのことなんか、放っておいてよ!
待ってください、私たちはいじめ待ってください、私たちはいじめに来たわけでは……
早くどこかへいって!
お願いです、あなたとお話をさせて。
イヤ! だれにも会いたくないわ!
-……思ってたのとずいぶん違うわね……
……みんな。すまないが、しばらくの間、私と彼女を二人きりにさせてくれないか?
……そうね。お任せしていいかな。
ウマルス。あとでぶーぶー言わせてもらうからね。
ああ……
……タニア。私だ、ウマルスだ。
……大丈夫。いるのは私だけだよ。耳を貸しておくれ……
…………
凶悪な魔物に襲われた国があった。幾人もの勇士が戦い、敗れ、人々は絶望に打ち震えていた――
――そこに、風のように現れた一頭の馬。それは……
……あなたね? ウマルス。
その馬は光の化身。白く輝く毛並。雷光のように駆けると、瞬時に魔物を貫いた。
すごい! 大活躍ね!
その雄姿を目にした姫が言う。『どうか私を妃にしてください』
まあ!
しかしその勇者は首を振ると、背を向けて去っていった……
どうして?
世界のどこかで彼を呼ぶ声が聞こえたからさ……
やっぱりあなたってすごいのね! ウマルス!
……たいしたことないさ。
……どうして?
この姿になり、私は力の大部分を失ってしまった。……現に、島の魔物を掃討することも出来ない。
もしもあなたが本当の姿に戻れたら?
世界は光で溢れかえる。全ての不安は消え去り、安らぎが人々の心を満たす。
すてき!
ふふふ……
……ねえ、ウマルス。どうしてお客さんをつれてきたの?
あたしはあなたさえいてくれればそれでいいのに……
……それは本心かい?
え?
彼らを呼んだのは<夢のルーン>、つまり、君の願いではないのかい?
……わからないわ。……ただ、あたし、ときどき圧しつぶされそうになるの……
<夢のルーン>を通して、闇の気配を感じる。
立っているだけで、目が眩みそうなほど不安になっていくの……
……それを抑えているんだね。偉いよ、タニア。
……でも、不安から逃げるだけでいいのかな?
え?
……不安はきっと、幸せと背中合わせさ。切り離してどちらかだけは、得られない。
…………
……彼らと話してごらん。きっと勇気をもらえるよ。
……イヤよ!
……しっかり前を見なきゃ、幸せにはなれないよ。
そんなこと……
そんなことないもの! わざわざそんなことしなくても、幸せになれるもの!
ウマルスのウソつき!
…………
ヒヒィーン。
story9 《夢のルーン》の暴走
よーせいさんやーい?
……やっぱり顔を出してはくれないのね……
すまない。私の説得では、タニアの心は変えられなかった。彼女が姿を現すことはないだろう。
じゃあもう一度呼びかけてみましょう。
なぜだ。
アタシはアンタの逆に張ることに決めたの。
私は幸運の女神の一人息子だ。それは得策とは言えない。
ハイハイ。
……<夢のルーン>を司る、妖精さん。私はアイリス。キャトラと主人公。
私たちは、お話しがしたいだけ。決していじめたりしないわ。できてくれないかしら――
<…………>
……ここで立ち止まっているわけにはいかないの。お……ここで立ち止まっているわけにはいかないの。お願い。姿を見せて――
<…………>
……タニア。前を向いて。勇気を出して。
<…………>
……ダメみたい――
…………
!
あっ!
ひいっ!?
……大丈夫! 偉いよ、タニア。さあ、逃げないで。
……うん。
はじめまして、私はアイリス。よろしくね、妖精さん。
……ご用はなあに?
アタシたちの乗ってきた飛行島が、先へ進めないの。原因を知らないかしら?
……知らない。
……タニア。
もし、何か少しでもご存じだったら、教えてほしいんです。
……知らない。
タニア。
知らない知らない! ウマルスのいじわる! <夢のルーン>のことも、あたしはわかんないもの!
全部あたしのせいなんでしょ! この島の魔物が増えたのも! 闇が世界に広がっていくのも!
落ち着け、タニア!
だからあたしは一人なんだもの! いるだけで迷惑かけるの! だから一人でいるの!
だれかに来て欲しいなんて、少しも思ってなんかいないの!
タニア!
嫌い嫌い嫌い! みんな嫌い! 大嫌い! あたしを一人にしてよ!
あっ、待って!
アハハハハハハハハハハハハハハ! そーなると思ったんだ! こーなると思ったんだ!
妖精タニアは自分勝手さ! 周りが見えないヒステリー!
悪く捉えて思い込み、 勝手に怒って悲しんで!
アハハハハ! 残念でした、冒険家さん! あのコはイイコじゃないんだよ!
見てごらん! タニアの不安が膨れたよ! 自分勝手に膨れたよ!悪いことばかり考えて!
<夢のルーン>は感じたよ! 彼女の悪夢を感じたよ!
さあさあそれが実現するよ! 島の魔物が強くなり、 君たちみんな踏みつぶす!
闇の気配が……! 強まっていく……!
じょーだんじゃないわよぅ! ウマルスぅ! なんとかしてよ! タニアをなだめて!
……その場しのぎに意味はない。<悪夢>は悲劇だが、彼女自身が乗り越えねばならないのだ……
ウマルスさん……
……とはいえ、魔物たちの好きにさせるわけにもいかない。
そうね……。ねえ、アイリスは無理しないでね……
大丈夫よ、キャトラ……
主人公、ともに戦ってくれ。
……<夢>はいつか醒める。そのときが訪れるのを信じて!
story10 悪夢の発現
…………
……どうしてあたしが……
<夢のルーン>も、……嫌い……
……あたしは大好きよ。そんなあなたが。
!だれっ!?
あたしはあなた。<夢のルーン>で形をとった、あなたのずるくて弱い心……
と言っても、本家のあなたには敵わないけどね。ひねたウソつきのタニアさん。
なによそれ、あたしはウソなんか……
迷惑をかけるから一人でいる? アハハハハハハハ! よく言うわ!
あなたは受け入れたんじゃない! <夢のルーン>の<対象>に、選ばれたことを!
身勝手で嫌われ者のタニア。欲しくても友達はできない。いつもひとりぼっち。
ひとりぼっちに理由が出来た。<夢のルーン>は危険だから、だから誰も近づかない。
孤独は自分のせいじゃない。全部<夢のルーン>が原因。自分は何も悪くない。
あなたはそう思うことにした。そうよね?
それは……!
そ~よねぇ~! 嫌われるって辛いもの! 何かのせいにしたいよねぇ!
…………
大好きよタニア! ずっとここにいましょう!
ぜんぶ何かのせいにして、自分は悪くないって言って、孤独と不安を抱えて生きましょ。
あなたの感情は最高よ。あたしにどんどん養分をくれる。
<夢のルーン>が<悪夢のルーン>となり、世界を飲み込む日も遠くはないわ!
アハハハハハハハハ!
……そんなのイヤ……
ヤだからどーするのよ? なんにもできやしないクセに! ひとりぼっちのタニアちゃん!
アッハハハハハハハハ!
…………
story11 我が名はウマルス
ウマルス~! 魔物多いんだけどぉ~!
私の予想をはるかに超えてきた。これが伝承による<大悪夢>の到来か。
封印されし、いまのままでは……
封印が解けたらどうだっていうのよ!?
真実の姿となる。君たちの認識からすれば、<光>そのものに映るだろう。
ウソばっか!
古よりの俗説だ。
もが~!
二人とも! 新手が来るわよ!
あとからあとから……! はりきるのよ、主人公、ウマルス!
私は生来争いは好まないのだが。
剣がダメなのはわかってるから、オーブふってふってオーブ!
この<スタリオンオープ>も本来は祭礼具であり、戦闘用の物ではない。
そんなこといったって、持ってるんだから有効活用なさい!
そうだアンタ、<馬大魔法>でもないの!?
なぜそれを知っている。たしかに私は、正しい手順を踏めば、放つことが出来る。
しかしあまりに強力無比な力。相応の儀式が必要であり、またその制御も……
お~い魔物ども! 蹴散らしてやるわ、かかってこ~い!
なっ、キャトラ、わざわざ敵を呼び寄せるな!
とくと見ろぉ~! でんせつの、<馬大魔法>~!
いいか、私が言ったのは……!
ウソなのね!?
あるいは俗説だったとしても! この場をどうにかせねばならない!
どうやって!?
制するのだ!
へ!?
聞け、この世の闇の雫、身を魔にひたす獣どもよ! 我が名はウマルス!
その名、七海十国に轟き、崇め敬いし戦士の数、貴様らの軍勢よりも、星のかぞえになお近い!
両軍に降る勝敗は明らか! だが、無用に命を摘むは魔性の者相手とて本意ではない!
群れを煙と散らし、生まれの国に帰ると言うならば、この私も――
ウマルス!
なんだなんだろうかキャトラ!?
向こうの連中、全然聞いちゃいないわ! まぁアタシたちも聞いてないけど!
なぜだ!?
魔物にホラ話なんかなんの意味があるのよ! ほらほら、押し寄せてくるぅ~!
や、や、やめろ! 私を狙うな! 私はかの英雄ウマルスだぞ!
まだ言うの!?
やめはしない! 歯が舌が動きをやめぬ限り、私はしゃべり続ける!
……変な風に根性あるんだから……
控えろ、控えろ! 無尽蔵に悪を裂く我が聖剣、いかなる闇とて防げはしない!
剣持ってないくせに。
戦陣のならいに従えば、球とて剣と呼べるもの!
響け我が叫び、我が願いよ! 封印などなにあろう!
穢れなき正義の心! かの神話の鎖でつなごうとも! 檻に閉ざすことなどできはしない!
世に光、もたらす勇者! それこそウマルス!
我がそうである真実は、何者にも覆すことはできない!
……ふふ。ふふふ。うん! ウマルスさん、がんばりましょう!
アンタの徹底を知ったわ……さすがのアタシも拍手を禁じ得ない……
ヒッ! ヒッヒィーン!
ふふふ。ウマルスさんのおかげで負けるかもって想像が、どこかへいっちゃった!
いきましょう! 主人公!
story12 彼を信じてる
不安は恐怖へ、恐怖は不安へ。負の感情は連鎖する。
弱虫のあなたに、止められるうねりじゃないわ。
自分以外のだれも信用しようとしない、孤独で小さなあなたにはね……
……あたしは……
なあに? 吐くならそれも認めるわ。言い訳してごらんなさいな。
それが潰されたとき、上げ底もへこみ、より深い奈落へと落ちるのだから。
……信じるとか、わからない……
……だって、ホントがわからないんだもの……
ええ、おっしゃって。
ここでは褒めてくれてた人が、どうしてあっちではあたしを嫌うの?
言葉ってなに? 話すって? どうして自分の考えを、だれかと持たなきゃいけないの?
一緒に持ってあげるとき、ホントだと思わなきゃダメなの? そんなのどうでもいいって、言っちゃいけないの?
うふふふふふ……その考えをだれと持ちたい? それもやっぱり押し付けなのよ。
あなたの考えは自分勝手。本当と言われてもウソだと思い、またその逆も。そんなの可愛くもないし、疲れちゃう。
だからあたしを嫌うの……?
ええ、そう。
…………
もういい? 孤独なタニア。目と耳をふさいで、ずっと一人でいるのなら……
一つになりましょう。<悪夢>でいいのよ。あなたは悪くないんだから。
…………
……その名、七海十国に轟き、崇め敬いし戦士の数、貴様らの軍勢よりも、星のかぞえになお近い!
! この声は……!
え? ……ああ。風が運んできてるわね……
……穢れなき正義の心! かの神話の鎖でつなごうとも! 檻に閉ざすことなどできはしない!
世に光、もたらす勇者! それこそウマルス!
我がそうである真実は、何者にも覆すことはできない!
うふふ、ま~た言ってるわね。さて、それじゃあ――
――いた。
……え?
彼がいる! いるじゃない!
ウマルス!
…………
ウマルスは、いつでもあたしに会いにきてくれた。あたしも嫌じゃなかった。だって――
どうでもいいんだもの! ホントかなんて、ウソかなんて!
あたしが決めることだから! だからあたしは信じるの! ウマルスのことだけは!
…………
ウマルスは勇者。ウマルスは世界を光で溢れさせてくれる。
全ての不安を消し飛ばしてくれる!
あたしのも!
ウマルスこそ、伝説の英雄なんだもの!
……ウソでも?
あたしは信じてるの! 絶対に! 何が起こっても! 彼の、ウマルスのことだけは!
……そう。
えっ……?
あなたがそう思うのなら。あたしもそれに賛成するわ。
良い夢を信じるのは簡単なことではないけれど。それに賭ける勇気があるのね?
勇気……とか……
どうでも、どんな言い方したっていいわ、そんなものに意味はないもの! あたしは信じるの!
それだけ!
――そう。
――<夢のルーン>よ! 心の底よりの願いを叶えたまえ!
良き夢に力を! ……さあ。
……え?
それでも必要なことなの。ここは、言葉を使いましょう?
……ええ!
良き夢に力を!
story13 天覆う巨大なウマルス
ヒヒイーンっ!
ウマルス! いまさら蜂にツツかれただけで吹っ飛ばないで!
馬にとって蜂は天敵だ。
……ウソでしょ。
……うん?
なんか、わかってきた! アンタはまたまだ元気! とっとと突撃なさい!
なぜそう思うか根拠を問いたい。あるいはそうであろうとも、突撃など兵法においてもっとも愚策。対策を求める。
アタシがアンタに求めるのは一つなの!減らず口やめて、粉骨砕身闘いなさいな!
やっている!
ウソだ!
俗説だ!
なわけあるかぁ~!
……さっきのウマルスさんは、たとえウソ言ってたとしても頼もしかったのにな……
ならばもう一度再現しようではないか。
いいよもう。
……違うぞ、キャトラ。ウソとは心の余裕のある側面、その表れでもある。
……ウソの一つもつけなくなれば、人間もおしまいなのだ。
馬じゃん。
馬にも言えることなのさ! さあ! 再び大地を震わせよう、我がいななきにて!
遠からん者は音に聞け! 近くぱ寄って目にも見よ! 我こそは英雄ウマルス!
雑兵など、百を百とし千倍しても、届かぬ巨星であることを知れ!
ヒヒィーン!
……え?
ヒッヒィーン!!!
……ええ!?
ヒッヒィーン!!! ブルブルブル! ヒッ……ヒィーン!!!
いななくたびに、ウマルスさんがいななくたびに、ウマルスさんが……!
な、なにを……!
なにデカくなってんのよ!
<みるみるうちに、小山ほどに膨れ上がったウマルスが、落葉を遮り広々とした影を落とす。>
なんのことだ? どうしてキャトラの声を遠く感じるのだろう? 馬と猫、差はあるものの、いささか誇張が過ぎる。
だから! アンタがデカくなっちゃってるからよ!
ははは、キャトラよ。この私に、そんな子供じみたウソが……
おおっ!? 本当だっ!!!
なにが起きたの……?
どうやら解放されてしまったようだな……
この私の真の力が!
ウソだぁ~!
ならばどう説明する? 答えよキャトラ!
……わかんないけどお、そんなの絶対ウソよ! ……わかんないけどぉ、そんなの絶対ウソよ!
真実となった事実から、人はどうして目を逸らすのか!?
アタシ猫だもん!
感じるぞ……! 甚大なるソウルが、この身に流れ込んでくるのを……!
主人公! いまこそ反撃の狼煙を上げるとき!
群がる魔物どもを、殲滅してくれようぞ!
じゃあ、アンタを先頭に、とつげ~き!
だがしかし!
なによっ!? 声大きいっ!
大は小を兼ねるとも、小そのものとは別なもの。
まり!?
足元はおろそかになる。私を誘導してくれ。
もぉ~、どんなサイズになっても手間かけさすんだからぁ~……!
いざゆこう! 留まることを知らぬ悪夢に、終わりを告げる鐘を鳴らすのだ!
story14 我こそが勇者ウマルス
それにしても、デカいわね!
ウマルスさんのおしり……!
そんなことどーだっていいわよ!ウマルス!ちゃんとついてくるのよ!
ヒヒィ~ン!
う、ウマの本能が勝ってしまったか……!
ウマルスさんがはぐれないよう、上手に手綱を取らなきゃね、主人公?
story15 脱落のウマルス
やるじゃんウマルス! デタラメすぎる気もするけど!
ふふふ、さすが英雄ウマルスさんね!
よぉ~し、ウマルスを先頭に、破竹の勢いで……って、アレ? ウマルス?
ヒヒィン……
な、な……!
なにをつっかかってんのよ!
ヒヒィン……
もう、アホー! 役立たず!
仕方ないよキャトラ、大きくなりすぎたんだもの……
ちゃんと計算して大きくなりなさいっていうのよ!
でも、突破口は開けたから、あとは私たちでなんとかしましょう……!
ウマルスのアホ~! そこで待ってなさ~い!
ヒヒィン……
story16 ウィンニングラン
終わった……! が、一つ言いたい! ウマルスは、巨大化しても、所詮ウマルスであったと!
キャトラ、口調が似てきちゃったね。
だってコイツ、よくしゃべるんだもの!
はっはっは。……ともかく、良かった。……終わり良ければ……
! ヒ! ヒヒィーン!
へ?
<大きく一ついなないたウマルスは、しゅるしゅるとしぼんでいき――
元の三歳馬相当の大きさで落ち着いた。>
あら? おしまいですか?
絶大な力には枷があるもの。たとえばそれは全力の疾駆。永遠には続かない。
もっかいやって。
充分なソウルの補充が必要だ。濫発出来る行為ではない。
とかなんとか言って! 自分でもなんで大きくなれたかわかんないんでしょ、偶然でしょ!
一見偶然に見える事象も、必然であった因果に裏打ちされたもの。
現代の出来事は全て、古の伝承をなぞる筆でしかないのだ。
ハイハイ俗説ね。
わかってきたな。
ウマルス! 無事だったのね!
タニア! 君こそ、ケガはなかったかい?
ううん、大丈夫。……それに、ごめんなさい。
何を謝ることがある? 全ては<夢のルーン>が原因だったのだろう?
そう……だと、思ってたんだけど……
違ったの。悪いのはあたしたった。
……うん。
だから、みんなに謝りたいの。
……受け入れたんだね、タニア。
あなたたちにも、迷惑をかけてしまったわ。あの飛行島は、あたしの不安が呼び寄せたの。
あなたたちの都合も考えずに。ごめんなさい。
ん、まあ、そーやって素直に謝られると……
気にしないで。迷惑だなんて思わない。あなたとだって、会えたんだもの。
ありがとう……
…………
ヒ……
ヒヒィーン!
なに急にっ!?
……私はただの馬だよ、タニア。
……あはは。ウソばっかり。
story17 エピローグ
あはははは! 日差しに空気が特産物、ようこそ夢のメルリン島へ!
と、言ってもそろそろお別れの時間、お名残惜しいが涙は無用。
君らのおかげで助かった! ありがとう! またおいで!
この珍妙な花も見納めねぇ。
一株摘んでいく?
ううん、いい。
それにしても遅いわね。
事のてんまつをウマルスさんが、説明しに来てくれるはずなんだけどね……
ぶっちしていっちゃおか? アイツ待ってるの、なんか腹立つし。
おぉ~い!
ちぇっ、来ちゃったか……
……ってウマルス! のんびり歩いてんじゃないわよ! 走んなさい馬らしく!
歩く私が近づいているのか、それとも待ってるキャトラが近づいているのか。
それを考えるだけでも、些細な手持ち無沙汰は凌げると思わないか?
もじゃもじゃうるさいのよ!
どういうこと……?
お待たせしました。生ける英雄たちよ。
結論から話そう。私の力、君たちに託す。
いらない。
たしかに、私という駿馬を御する自信がないという君たちの気持ちもわかる。
そんなこと言ってない。
だが、真の乗り手は馬を選ばぬもの。そうではないか?
アンタ常用馬じゃないでしょーが。
一種の比例として受け取るとすればどうだ?
ヤ!
大人になれキャトラ。……タニアも自分と、向き合うことに決めたのだぞ。
そういうことじゃ……
待ってキャトラ。この話は聞かなきゃ。
気弱だったタニアはもういない。
……いや、誇張はよそう。少し成長したとはいえ、彼女はまだまだ強くはない。
……だがそれでも、〈夢のルーン〉は安定をみた。花たちからもわかる通り。
……このまま私がこの島にいては、いつかまた彼女が私に頼るか知れない。……だから旅立つのだ。
……またひとりぼっちになっちゃわないかしら……
……どうだろう。
……しかし、私はきっと、そうはならないと思う。そう信じた。信じさせる光を、彼女に見たからだ。
……ウマルスさんがそう言うのなら、私もその言葉信じます。
アイリス、コイツは…………でもいまのは、ウソじゃないか。
それに、己の使命から目を背ける私ではない。
望みさえすれば一代でこの世を平定することも可能であるこの力。
……正義のために、活かさなくてはならない。
半分ウソだ。
半分俗説だ。
どういうことっ!?
キャトラ、我らにのんびりと話をしている時間などないぞ?
一番話長いアンタがなに言うか!
さあゆこう主人公! ……光あふれる、未来へと向かって!
……ふふふ。これからもよろしくお願いしますね。伝説の勇者、ウマルスさん。
馬のウマルス。
そう、私は馬。だが馬であり勇者であることは、一つとて矛盾の含みを持たない。
この島にはファンファーレの鐘が鳴った! だが、次のファンファーれが響くとき、再び走り出さなければならない!
ムチを溜めろ! 直線はまだまだ続く!
コイツホント疲れるわぁ……
ふふ、でも、どんなときでも明るいのは、いいことよね。
主人公。私たちも、見習って、明るく楽しくいきましょう!
余計なことろは参考にしなくていいからね……
馬に無駄なところなどそれそのものどころか、いななきから馬蹄の響きまで全てが芸術だというのに。
そういう無駄なことばっかしゃべることよ!
ヒッヒィ~ン!!!
メインストーリー | ||
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