ジュダ(茶熊)・思い出
学び舎の棺 ジュダ CV:子安武人 茶熊学園に入学した帝国の棺。 我儘な獣は、弔いの花を咲かせる。 | ||
2018/10/31 |
茶熊学園2018
思い出1
魂は空に昇り、地に還る。
ここは空に近い。つまり、命の末路にも近い。
今日も、迷える魂が空を目指している……
ジュダ……本当に生徒になるなんてね……
学ぶことは好きだ。
だったらよかったけど……
学ぶことは多い。ここ数百年の間に、世界は大きく変わった。
帝国を守るものとして、世情に通じるのは悪くない。
そんなに世の中が変わったんですか?
たとえば?
かつて定命のものたちは、神や精霊を恐れていたが――
今は恐れるどころか、その存在を忘れつつある。
昔は違ったのね。
弱き者が我儘を貫くことは、死を意味した。
だが、死すべき定めの者たちは少しづつ神々を上回り、神の力を我が物としていった。
ルーンを……?
現在よりも優れた技術が存在した時代はあったが――
これほど多くの者がルーンを手にしている時代はない。
アタシらはあたりまえに使っているけどね……
――俺の友は、そんな時代か来ることを願っていたが――
あいつでさえも、ここまでの状況になるとは思ってなかっただろう。
ジュダの友達……あの人ね……帝国を作った人……
ともあれ俺は俺で、あの学校を楽しんでいる。
なんか歴史の授業とかは、アンタか教えたほうがよさそう。
そうしてもいいが、教科書の大半を書き換える必要かある。
そんなに……!?
世に神話と呼ばれるものと、歴史と呼ばれるものがある。
その2つに、大した差はない。
前者は現実じゃないわ。
事実が歴史になるとは限らないということだ。
むむむ……で、アンタはどれくらい関わってるわけ?……世界の歴史に。
俺は少々昔から生きている。だが……それだけでしかない。
歴史を作るのは、死すべき定めの者たちだ。
俺は舞台装置だ。演目の終わりに登場する、機械仕掛けにすぎない。
――お前たちは、どちらだ?
思い出2
ええっと……園芸部の活助を、はじめます!
「ガルルルゥ……ガウガウ。
うむ。
ジュダにーに!今日は何をしよっか!
にーにか。
にーにって呼んじゃだめ?
好きに呼べ。
「キャウンキャウン。ガルル……
(ねーねは子供っぽいよね!)
今日の活動だが……俺が園芸部をやっているといったら……知人が、いくつか植物を送ってくれた。
よって、処遇を考える。
わぁ!お友達も園芸部なの!?
1300年ほど前からな。
せんぱいだね!
敬う必要はない。俺が言うのもなんだが、あいつは適当すぎる。
「キャン……ガルルルゥ。ガウガウ!
(ジュダさんの友達……きっとすごく強いんだね!)
どんなお花かな!それとも、お野菜の種?
確認する。
<ジュダは、木箱の中から鉢植えを取り出した。>
なんだか、ぷにぷにしてるね!
「ガルルゥ?(これ、なに……?)
多肉植物だ。
お花さんなの?
葉の中に水分を蓄えている。
お水を?
こいつが生える場所は、水気の無い岩場だ。厳しい環境に適応している。
「ガウガウ……!
いろんな形の子がいるね!この子はグリーンピースみたい。
ふむ……悪くないな。趣がある。
おもむきってなーに?
作為の無い美しさのことだ。
「ガウウウ~、ガウガウ!(この草も、葉っぱの形が変)
……あいつめ。こんなものまで。
なんだか、かわった葉っぱだね。ガブッてしそう。
食虫植物だ……植物だが文字通り虫を探る。
あっ、コヨミ、知ってるかも!
あれは冒険家を……いや、やめておこう。
「ガウ、ガウ~。
これは、お花の種だね。
踊る花か……
コヨミ知ってる!風が吹くと、ダンスをするの!
……プランターを一つ、使ってもいいか?
いいよ!種を撒くんだね!
m活動してるわね~。感心感心。
ミラねーね!じゃなくて、ミラ先輩!
mってあんたたち……それ何?野菜は?作物は?
そういった類のものは無い。
m食べられるもの育てなさいよね!
思い出3
<リアムとジュダが、竹刀を手に睨み合っている……!>
俺の剣術は我流だ。それでいいよな?
俺はかまわん。
いいのか、部長。
いいわけではありません――ですが、まあよいでしょう。
では――始め!!
行くぜ!!
ソウルを我がものとして操るか。
でりゃあああああ!!
人の身で、よく鍛えたものだ。
<ジュダは、リアムの竹刀を掴んだ――!>
ほーぅ。意外と本気……だったんだがなぁ……!
ソウルを操る武術ってことは、神気道かよ。
そんなもんは知らん!我流だ!
ルーンを持たぬ人が編み出した技術が一つ、神気道……一代にしてたどり着いたか。
<凄まじいソウルを発する竹刀を、ジュダは掴んでいる!>
それまで。
水を差してんじゃねえ。
それ以上は、試合ではありますまい。
ジュダ。次は俺だ。
――剣道はやらんぞ。
確かに剣道じゃねえ。だからこそ試したいんだよ。
いいだろう。
始め!
(――気配がまるで読めない。さすがに別格か)
よくやるぜ……ディランのやつめ。よりによって、ジュダ相手によ……
ジュダ殿はおそらく、我ら一族が追ってきた存在に近しい。
鬼ってやつか。
そう。……常理の外にある存在。つまり異常です。
異常の存在に、剣の理がどこまで通じるものか――
(こいつはまるで、一歩足を踏み外したら真っ逆さまの、崖っぷちだ――
落ちたらそれで終わり――底なんてありゃしねえ!)
戯れとはいえ……手は抜かない。
(だが俺は!この剣で確かめねえとならんことがあるんだ!)
…………
……
それまで。
やるじゃねえかディラン……ジュダ相手に剣道をやってみせるなんてよ。
……見事です!
はあ、はあ、はあ……もう体が動かん。
小手に一本入った。剣ではお前の勝ちだ。
はあ……あんたが俺に付き合ってくれたからだろ……
勝ちは勝ちだ。
一つ聞いていいか。あんた……帝国の出身だろう?
だったら?
俺の国は、もうどこにもない。
アレスの出だったか。
帝国はどうしてそんなに続いたんだ。俺達の国と何か違ったんだ。
お前もここで学んだはずだ。帝国の歴史を。
帝国は失いつづけた。命も、財産も、領土も。
だがそれでも、帝国は続いた。諦めないものたちがいたのだ。いつの時代にも。
……どうしてだ。
国とは、領土のことではない。それは理想そのものだ。
あらゆる民のための国を実現する。その理想を叶えようとするものは、すなわち帝国の民であり――
帝国の民がいる限り、帝国もまた終わりはしない。
理想か……そいつは、見果てぬ夢じゃねえのか!?
お前の国は地図から消えた。お前の心からも消えたのか?
――言ってくれやがるな。
この俺がアレスだ。帝国。俺たちの誇りを味わってもらう。
<ディランは、竹刀をジュダにつきつけた――!>
よかろう。お前が見るのは、帝国のたどりし歴史だ。
<ジュダもまた、構える――>
思い出4
やあジュダ。学生を楽しんでるか?
そう見えるか?
<ジュダは鉢植えを手にしている。>
ほう。リトープスだな。石ころにそっくりだ。
こいつは骨に似ている。地面にうずもれた骨だ。
部活助に打ち込んでるな。
埋めるのは好きだ。
君は埋める。私は掘り起こす。いい関係だと思わないか?
どっちにしろ、泥まみれだ。
望むところだよ。花が咲くのは土の上だ。
どうして学生ごっこを続けている?
この学園か気に入ったからだ。
どういう意味だ。
文字通りだよ……この学園は学び合う場だ。誰もが教師になり、生徒になる。
私が知っている学習とは、まるで違う。
……束ねられし民は、教育を重んじていたと聞いているが。
連中は生徒が己の頭で考えることを、許可していない。
だが例外的な教師もいた。そいつが言うには、ジェリービーンズは、虹の雫からできているんだと。
信じたのか?
私が知っている、唯一つの真実だよ。
虹の雫か。腐った玉ねぎ昧もか?
さあね。とにかく私は、それを教えた相手を、二度も手にかけた。
お前のせいではない。
奴らの教育の結果だ。
……お前の苦しみが、癒えることはないだろう。
私もそう願ってる。……ところで、園芸部員。
これは?
とある方からあずかった。
花の苗か――どこの誰からだ。
冒険家ギルド・ユニコーン通り支部の職員にして、オペラ愛好家。
あいつが、お前に……!?
この苗と、メッセージを預かっている。
聞かせろ。
それが、条件があるらしい。
どんな条件だ。
冬までにこの花を咲かせることができたら、教えてもいいそうだ。
……何を考えている。
今回ばかりは私の趣向じゃない。
思い出5
tガウゥ……!!
――戦ったのか、タロー。
tガウガウ!ガルルルゥ……!!
<タローは傷だらけだ……>
派手にやられたな。
tガルルルゥ……ガウガウ!
(大したことない!)
原因は何だ。
tガウガウ!!ガウウゥ!!ガルルルル……!
(悪いやつが、おじいさんをいじめてたから、ガブッてしてやったんだよ!)
老人を?
tガウガウ~。(犬のおじいさん)
(そういえば、近くの鳥の村に、年を取った犬かいたか――)
お前はどうした。
tキャウンキャウン、キャンキャン……
(悪いやつが仲間を呼んできたから、まとめてやっつけようとしたら、ねーねが来て……)
そうか――
tガウガウ!!
お前は一時の感情で戦った。
tガウゥ……
あの老いた犬が今後どうなると思う。
tガウ……ガウガゥ!!
より惨めになる。村を追われたら、もはや野垂れ死ぬしかない。
tガルル……!!
一度牙を振るえば、己以外の誰かも傷つく。
だが我らは狼だ。狼には牙がある。この牙は飾りではない。
我らの牙には誇りがある。――誇りの重さを知れ。
tキャンキャン!!
…………
……
<ジュダは、植木鉢に植えられた苗を見つめている。>
苗は成長しているが……
蕾もついてないわね……
k花芽になるかもしれない部分はあるんですけどねえ……
原始的な双子葉植物の一種らしいんですけど、サッパリですハイ。
どこでこんなものを?
――古い友人だ。
タロー、もうひとりでケンカしたら、だめだからね……!
tキャウンキャウン、ガルル……!
コヨミちゃんにタローちゃん。
タロー、大丈夫?
大丈夫だよ。コヨミがおくすりを塗ってあげたし。
tガルル!!
……傷に、しみたようだな。
ケンカなんかするからだよ!……ジュダにーに、お花は……?
今日も変わりなしだ。
k日照皿の不足でも、水分の多すぎでもなさそうですね~。
お力になれず、すみません……
参考になった。礼をいう。
元気がないのかな?
……おそらく、違う。
――思い出した。俺はこの花を、知っている。
あいつと出会った森――そこで、見た。
ジュダが、帝国を作った友達と出会った場所ね……
――この花が咲くのは――命が失われる寸前だ。
……枯れちゃう前に、咲くってこと?
花は――我が皇帝。
苗は――我が帝国。
それって、どういうこと……
これはおそらく――俺がどちらをとるかということだ。
苗を生かせば花は咲かない。花を咲かせるためには――
水も肥料もやらず、追い詰めればいい。
そんなの……かわいそうだよ!
お前はどちらをとるのか――
そういいたいのか――
思い出6 (友情覚醒)
――ルーンの光か。
この光には、一度ならず助けられた――
だが今度ばかりは、俺自身で答えを出さねばならないだろう……
お花を咲かせて……苗も元気ってわけにはいかないの?
花を咲かせると同時に枯れる植物は多い。
この花は己が咲くときを……いや、枯れるときを見失っているのだ。
死ぬべきときを――
俺が忠誠を誓うのは、皇帝唯一人――
…………
……
<冬に近づいたある日――
校庭の隅におかれたプランターに……
花が咲いた。>
思ったよりも可憐な花だな。
ああ。
君は皇帝を選んだわけだ。
どうしてプランターに移したと思う。
……ん?根本から芽が……
地下茎が伸びている。地上に出ている部分は全て枯れるが――
地面の下で、命は続く。
帝国は冬を向かえるだろう。狼の冬だ。
すべてが滅び去る前の、長い冬か。伝説だな。
帝国は死なない。地に堕ちようと、いつかまた芽吹き、花を咲かせる。
――全部言われてしまった。
なに?
それがメッセージだよ。
――フン。
そろそろ棺を運ぶ仕事に戻るかい?ジュダ。
それを決められるのは、一人だけだ。
ならば学ぶとしようか。この学園の生徒として……
ジュダにーに!早く早く!
tキャウンキャウン!!
今日は、作物を収穫する日か……
アタシらも応援に来たわよ!
お前たちか――
そういえば、酒場のご主人がおじいちゃん犬を引き取ったんだって。
tキャンキャン!!
よかったね、タロー!
きれいですね……
枯れちゃうなんて惜しいけど、来年も会えるのよね!
――棺らしくないと思うか。
お前たちと出会っていなければ、俺はもっと別の選択をしていたかもしれない。
学校にも通ってなかった。
学ぶことがあるのは、幸せなことだ。
俺もそれを学んだ――
覚醒絵・覚醒画像
その他
帝国
(獣人の皇帝が君臨し、元老院が統治を補佐する大国。
白の王国の後継者として名乗り上げていることもあり、もう1つの一大勢力である連邦とは敵味方では単純にくくれない、複雑で不穏な関係を保っていた。)
ツァラ |
連邦
(白の王国の直系と称する聖王家を中心とし、ガランド王国をはじめ、嵐の国、鋼の国、森の国、海の国など、多数の自治国家が集まった勢力。)
エリス・ミラージュ CV:ゆかな 聖王家の特務機関<V.O.X>の一員。主な仕事はお茶くみ。 | |
サイファー・オブニアル CV:三上哲 聖王家の特務機関<V.O.X>の一員。危機的状況でもユーモアは欠かさない。 | |
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カテリーナ アルビオン家御当主 | |
レヴナント |
中立